2025年8月9日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は、「相互関税(reciprocal tariffs)」について、ホワイトハウス 2025‑07‑31発《Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates》Annex Iおよび最新報道をもとに、昨日と全く同じ対象国リストとフォーマットでまとめた最新の一覧です。発効は2025‑08‑07 0:01 EDTです。


相互関税 最新一覧

国名関税率出所備考
アルジェリア30%Annex I(2025‑07‑31 EO)Investopedia+8The White House+8The White House+8
アンゴラ32%同上
バングラデシュ37%同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ35%同上
ボツワナ37%同上
ブルネイ24%同上
カンボジア49%同上
カメルーン11%同上
チャド13%同上
コートジボワール21%同上
コンゴ民主共和国11%同上
赤道ギニア13%同上
欧州連合(EU)20%(品目ごとの補正あり)同上 §2(c)Column 1 ≥15% → 追加0%、<15% → 差額加算
フォークランド諸島41%同上
フィジー32%同上
ガイアナ38%同上
インド50%(基本26%+25%追加)Annex I + 別EO(2025‑08‑06)AInvestロシア油調達への制裁措置、8/27発効予定
インドネシア32%Annex I
イラク39%Annex I
イスラエル17%Annex I
日本15%Annex I二重課税の誤課に対し、米側が返金対応を約束した旨報道あり The Daily Beast
ヨルダン20%Annex I
カザフスタン27%Annex I
ラオス48%Annex I
レソト50%Annex I
リビア31%Annex I
リヒテンシュタイン37%Annex I
マダガスカル47%Annex I
マラウイ17%Annex I
マレーシア24%Annex I
モーリシャス40%Annex I
モルドバ31%Annex I
モザンビーク16%Annex I
ミャンマー44%Annex I
ナミビア21%Annex I
ナウル30%Annex I
ニカラグア18%Annex I
ナイジェリア15%Annex I
北マケドニア15%Annex I
ノルウェー15%Annex I
パキスタン19%Annex I
フィリピン19%Annex I
セルビア35%Annex I
南アフリカ30%Annex I
韓国15%Annex I
スリランカ20%Annex I
スイス39%(報道値)Annex I(31%) + 報道スイス側が高率に抗議中
シリア41%Annex I
台湾20%Annex I
タイ19%Annex I
チュニジア25%Annex I
トリニダード・トバゴ15%Annex I
トルコ15%Annex I
ウガンダ15%Annex I
英国10%Annex I
バヌアツ15%Annex I
ベネズエラ15%Annex I
ベトナム20%Annex I
ザンビア15%Annex I
ジンバブエ15%Annex I
その他未掲載国10%(ベースライン)EO 全体構成 §2(d)Annex I外国へのデフォルト適用

AIを単純に使ってHSコードを特定した場合:気をつけること

私のモデルは、HSコード特定のプロセスや考え方、事例を理解して付番する形にしています。

最近はGoogleで検索してもAIが回答する事が多くなりました。(Geminiだと思います)

最近「空調服」を実例で使ってHSコード特定をしてみました。

Google検索でのAIの回答

「空調服のHSコードは、構成材料や機能によって異なりますが、一般的には 6211.42-090 (その他の衣類、織物製、女性用または女児用) または 6211.43-090 (その他の衣類、化学繊維製、女性用または女児用) が使用されます。」

こんな結果が出ていますが、私のHSコード付番モデル(ChatGPTのカスタムGET)では、75%の推定精度で、6201.40(男子用)/6202.40(女子用)と出ました

結論が違いますね。汎用のAIだと、HSコードの付番プロセスが理解出来ていないこともあり、違う答えになるようです。

ですので、Google検索下でのAIを使ってHSコードを付番することは気をつけましよう。

AIの種類により、カスタムGPTでも答えが違っている

GeminiのカスタムGPTのGemでも間違います。詳しくは、別の投稿を見てください。きちんと教え込まないと、AIによっては答えが間違います。

安易にAIだからといって、答えを求めないようにしましょう。

カスタムGPTによるHSコード特定力の違い:ChatGPTとGemini

ファンがついている空調服のHSコードを、私が作ったカスタムGPT:ChatGPTベースとGeminiで試してみました。

ChatGPTによるカスタムGPTの結果

推定HSコード(HS2022・6桁)

6201.40(男子用・織物製のアノラック/ウインドジャケット等・人造繊維製)
※女子用なら 6202.40。該当見出しは62.01/62.02(アノラック、ウインドジャケット等)で、号は表地の繊維で決まります
(HS商品インデックス上も「ウインドジャケット/ウインドチーター」は62.01/62.02に位置付け。)

根拠(かんたんに)

  • どの類・項に入る? 62類は(編物を除く)衣類で、62.01/62.02の範囲に「アノラック、ウインドジャケット等」を明記。
  • 6桁の決め方:HS解説は、表生地の繊維で号を決めると説明(例:綿60/ポリ40の男子アノラック→6201.30)。従って化繊主体なら6201.40(女子は6202.40)。
  • セット扱い(服+ファン+電源):通則3(b)の「小売用のセット」は、特定の用途のために一緒に包装された複数品目を、重要な特性を与える構成要素で分類。衣類+付属品の典型例でも、衣類側が全体に重要な特性を与えるとして衣類で分類された事例が示されています。
  • 基本ルール:分類は「項の規定と部・類注」に従って決定(通則1)。

代替候補(情報次第で変動)

  • 編物(ニット)製なら 61類:男子 6101.30/女子 6102.30(人造繊維製)。
  • 表地が綿主体なら 6201.30/6202.30。
  • 男女別で号が変わる:男子=62.01、女子=62.02(編物なら61.01/61.02)。
  • ファン・電源を単独輸入:衣類から独立した場合は衣類ではなく、ファンは84.14類系、バッテリーは85.07類系の検討になります(セットでないなら通則1で各品ごとに)。

推定精度

75%
(服の素材/編み・織り/男女別/セットの構成の確定が未提示のため。これらが確定すれば90%以上に上げられます。)

追加で教えてほしいこと

  1. 表地の素材・混率(綿/ポリエステルなど)
  2. 編物(ニット)か織物(布帛)か
  3. 男性用・女性用の別(またはユニセックス表示)
  4. 服・ファン・電源を一括で輸入するか、別送か(別送ならセット扱い不可の可能性あり)

GeminiによるカスタムGPTの結果

推定HSコード: 8414.59

品目: ファン(卓上用、床用、壁用、窓用、天井用又は屋根用のものを除く。)

詳細な説明: ご提示いただいた「空調服」は、衣類と小型の電動ファンが一体となった複合製品です。このような複数の構成要素からなる物品のHSコードを決定する際には、「関税率表の解釈に関する通則」というルールに従います。

この通則に基づくと、物品に「重要な特性」を与えている要素が分類の決め手となります。「空調服」の場合、その最も重要な機能はファンによる送風・冷却機能であると解釈するのが一般的です。したがって、衣類としてではなく、ファン(機械類)として分類します。

ファンはHSコード第84.14項に分類され、その中でも空調服に使用されるような小型のファンは、この「8414.59」に該当すると考えられます。


根拠と精度

  • 情報源:
    • 関税率表の解釈に関する通則3(b)(複合産品の分類ルール)
    • HSコード第84類(機械類)の規定
    • 過去の類似品目に関する分類事例
  • 推定精度: 85%

分類上の注意点と追加情報

  • 分類上の争点: この種の製品は、衣類(第61類または第62類)とファン(第84類)のどちらに重要な特性があるかで見解が分かれる可能性があります。しかし、製品の主目的が「涼をとること」であるため、ファンに重要な特性があると判断するのが最も一般的です。
  • ご確認いただきたい情報: より正確な判断のため、以下の情報を確認させていただくと、精度を高めることができます。
    • ファンの仕様: ファンの出力(ワット数)は分かりますか?
    • 衣類の素材: 主な素材(例:ポリエステル100%、綿65%・ポリエステル35%など)と、それが織物か編物(ニット)か分かりますか?
    • ファンの取り付け状態: ファンは衣類に恒久的に固定されていますか?それとも簡単に取り外せますか?

GeminiにChatGPTでの結論をぶつけてみた

セット(服+ファン+バッテリー)で輸入なら 8414.59 にはしません。通則3(b)の“重要な特性”で分類するため、全体の性質を決めるのは衣類=62類(上衣)だからです。通則3(b)は複合品/小売用セットを重要な特性で決める規則で、衣類+付属品の組合せを衣類側で分類した実例とも整合します。

このコメントにはどう返事しますか。

Geminiの回答

HS Code Finder Gemini

カスタム Gem

思考プロセスを表示

ご指摘いただき、誠にありがとうございます。 大変鋭いご指摘であり、HSコード分類における非常に重要な論点です。いただいたご意見を踏まえ、改めて検討いたしました。

おっしゃる通り、セット全体で輸入する場合、衣類として分類する方がより適切であると考えられます。私の前回の回答は、製品の「機能」に重きを置きすぎたものでした。訂正し、深くお詫び申し上げます。


HSコードの再提案

ご指摘の通り、「関税率表の解釈に関する通則3(b)」を適用すると、この商品は「小売のためにセットにした物品」と見なすことができます。その場合、セット全体に**「重要な特性」を与えているのは、ファンやバッテリーという付属品ではなく、「衣類」そのものである**と判断するのが妥当です。

なぜなら、この製品はあくまで「衣類」として着用されるものであり、ファンやバッテリーはその衣類の快適性を高めるための「付属品」と解釈できるからです。これは、ベルト付きのドレスをドレスとして分類したり、スカーフ付きのコートをコートとして分類したりするのと同じ考え方です。

この解釈に基づき、HSコードを再提案します。

推定HSコード: 6201.93

品目: 人造繊維製のもの(男性用のオーバーコート、カーコート、ケープ、クローク、アノラック(スキージャケットを含む。)、ウインドチーター、ウインドジャケットその他これらに類する衣類)

詳細な説明: このHSコードは、衣類が織物であり、主な素材がポリエステルなどの人造繊維であると仮定した場合のものです。空調服は「ウインドジャケットその他これらに類する衣類」に該当すると考えられます。セットで提示されるファンとバッテリーは、この衣類の付属品として一体で分類されます。


根拠と精度

  • 情報源:
    • 関税率表の解釈に関する通則3(b)(ご指摘いただいた通り)
    • HSコード第62類(衣類及び衣類付属品)の規定
    • 日本の関税中央分析所や税関相談室の見解、及び類似のセット産品に関する分類事例
  • 推定精度: 95%

結論

いただいたご意見は、実際の税関実務における判断と一致するものです。複合産品やセット産品の分類、特に「重要な特性」の解釈は非常に難しい問題ですが、今回のような着用する製品の場合は、ベースとなる衣類が分類を決定づける主要な要素となります。

大変勉強になるご指摘をいただき、誠にありがとうございました。今後も何かお気づきの点がございましたら、ご教示いただけますと幸いです。

ChatGPTのカスタムGPTの方が精度が高いことを確認しました。今後もそれぞれを調整します。

ファーストセールの土台となった「日商岩井(Nissho Iwai)事件」って何?

結論
サプライチェーンに「メーカー → 商社(中間業者) → 米国の買い手」という三者売買があるときでも、条件を満たせばメーカー→商社の“最初の売買価格”で関税評価してよい、と連邦巡回控訴裁(CAFC)がはっきり示した有名判決です。以後の“ファーストセール”の土台になりました。Justia Law


何が起きた?

  • 当事者と品目
    メーカー=川崎重工(日本)、中間業者=日商岩井、米国の買い手=NY州の公共交通当局(MTA)。品目は地下鉄の車両Justia Law
  • 争点
    米国税関(当時)は**「商社→MTAの価格(高い方)」で関税計算。日商岩井側は「メーカー→商社の価格(低い方)」**を使うべきと主張。Justia Law
  • 判決(1992年)
    連邦巡回控訴裁は商社→MTA価格ではなく、メーカー→商社価格で評価すべきと判断し、下級審(CIT)の判断を覆しました。Justia Law

何を基準にしたの?(“Nisshoテスト”)

判決は、最初の売買価格を使える条件を整理しました。要はこの3点です:

  1. 米国向けに明確に仕向けられている(clearly destined for the U.S.)
  2. **真正な売買(bona fide sale)**がある
  3. アームズレングス(関連者間でも価格が歪んでいない)
    これらを満たすとき、メーカー→中間業者の価格を取引価格(transaction value)として採用できる、と明記しています。Justia Law

その後、実務ではどう運用されている?

  • 財務省決定 T.D. 96-87CBP裁決が、Nisshoの考え方を具体化。
    「インポーター申告価格が原則」だけど、上の3条件を書面で立証できれば**“ファーストセール”が使える**、という運用が確立。必要書類は契約/PO/各段のインボイス・支払証跡/B/Lなど完全なペーパートレイルCustoms Mobile
  • CBPの**インフォームド・コンプライアンス(ICP)でも、“真正な売買”と“米国向け売買”**の確認ポイントが案内されています。U.S. Customs and Border Protection

ビジネス目線での要点

  • イメージ
    メーカー(日本) → 商社(海外) → 米国輸入者
    ↑この左側の最初の価格で評価できれば課税ベースが下がる関税コストが下がる。ただし3条件+証憑がカギ。Justia LawCustoms Mobile
  • 実務Tip:三者でNDA→書類共有→数SKUで試行照会対応の型を作って横展開。CBPはケースバイケースで見るので、書類の厚みが成否を分けます。Customs Mobile

米国輸入で関税を削減する「ファーストセール」ルール

米国への輸入ビジネスで関税コストを合法的に削減できる手法をご存知でしょうか?「ファーストセール(First Sale)」という制度を活用すれば、関税の計算基礎となる価格を下げることで、実質的な関税額を削減できます。

ファーストセールとは?

基本的な仕組み

通常の輸入では、サプライチェーンに複数の売買が存在します:

メーカー → 中間業者 → 米国輸入者

一般的には最後の売買価格(中間業者→輸入者)が通関価格となりますが、ファーストセールルールを適用すると、最初の売買価格(メーカー→中間業者)を通関価格として使用できます。

削減効果の例:

  • メーカー価格:$80
  • 中間業者への販売価格:$100
  • 関税率:10%

通常の場合:$100 × 10% = $10の関税
ファーストセール適用:$80 × 10% = $8の関税($2/個の削減)

適用に必要な3つの条件

1. ボナファイド(真正)な売買であること

  • 所有権と危険負担の実質的な移転
  • 対価の授受が実際に行われている
  • 委託販売(コンサインメント)は対象外

2. 米国向け輸出のための売買であること

  • 売買時点で米国向けが明確に特定されている
  • 仕様書や梱包に米国向けの記載がある

3. アームズレングス価格(本来利害関係のある国外企業の当事者間(独立企業間)取引で成立すると認められる価格)であること

  • 関連者間でも価格が関係性に左右されていない
  • 通常の市場価格と同等である

この考え方は「Nissho Iwai」判決以降、CBP(米国税関国境警備局)のガイダンスにも明記されており、確立された制度となっています。

実務での導入手順

ステップ1:対象商品の選定と効果試算

優先順位の付け方:

  • 価格差が大きい商品
  • 関税率が高い商品
  • 取引量が多い商品

これらの要素から削減効果を試算し、インパクトの大きいものから着手します。

ステップ2:取引スキームの可視化

確認すべきポイント:

  • 各段階のインコタームズ
  • 所有権移転のタイミング
  • 危険負担の移転時点
  • 商品の物流ルート(直送か迂回か)

フローチャートを作成し、売買の実態を明確にします。

ステップ3:3条件のセルフチェック

必要な証憑の例:

  • 発注書(P/O)、請求書、支払い証跡
  • 売買契約書
  • 船荷証券(B/L)
  • 所有権・危険負担に関する条項
  • 米国向けであることを示す書類

ステップ4:エビデンス収集の徹底

CBPは「取引の完全な紙のトレイル(一つの取引に関連するすべての書類や記録を時系列順に整理した文書の記録のこと)」を重視します。以下の書類を体系的に整理:

  • 購買発注書(P/O)
  • 売買契約書
  • インボイス
  • 支払い証跡
  • 出荷書類一式
  • 社内往来文書
  • ロイヤリティやアシスト情報(該当する場合)

ステップ5:申告時の適切な表示

First Saleで申告する品目には、CBP Form 7501またはACEシステムの行レベルで「F」インジケーターを付与する必要があります。

ステップ6:パイロット運用からSOP(標準作業手順書)化へ

  1. パイロット段階:影響の大きい数品番で試行
  2. 検証段階:CF-28(情報提供要求)への対応体制構築
  3. 展開段階:問題がなければ全社展開
  4. 定着化:年次でエビデンスの棚卸しと見直し

ステップ7:事前教示の活用(必要に応じて)

不確実性が高い案件では、Part 177に基づく事前教示(バリュエーション)を取得し、当局の見解を確認してから本格導入することも可能です。

制度の信頼性と最近の動向

法的根拠の確立

CBPの公式ガイダンス「Bona Fide Sales and Sales for Exportation to the United States」により、要件と考え方が明確に整理されています。

Meyer事件による明確化(2024年)

最近の「Meyer」事件では、連邦巡回区控訴裁判所が重要な判断を示しました:

  • 「非市場経済国だから一律不可」という過剰な要件は不適切
  • 本質は関係者間で価格が歪んでいないかの検証
  • 適切な証拠があれば、中国製品でも適用可能

導入時の注意点とリスク管理

よくある課題

1. サプライヤーの協力確保

  • メーカーの原価・利益情報の開示が必要
  • NDA(秘密保持契約)の締結が重要

2. エビデンス不備による否認リスク

  • 不十分な証憑は否認の原因に
  • 事前の準備と整理が必須

3. 申告実務の負荷増大

  • 「F」インジケーターの管理体制
  • 社内SOPの整備と教育

4. 監査・照会への対応体制

  • CF-28/CF-29への迅速対応
  • 合理的注意(reasonable care)の証明

5. 誤適用の防止

  • 委託販売は対象外
  • 売買の実態確認が重要

まずは何から始めるべきか

初期アクションプラン

  1. 優先度設定:価格差×関税率×取引量で対象品を選定
  2. 関係者調整:三者間でNDAを締結し、情報共有体制を構築
  3. 小規模試行:パイロット品目でFirst Sale申告を実施
  4. 体制整備:照会対応テンプレートとSOPを準備
  5. 段階的展開:成功事例を基に適用範囲を拡大

まとめ

ファーストセールは、適切に活用すれば大幅な関税削減を実現できる強力なツールです。ただし、成功のカギは徹底した証憑管理CBPの要求への対応体制にあります。

リスクを適切に管理しながら段階的に導入することで、持続可能なコスト削減を実現できるでしょう。特に、取引量が多く、サプライチェーンに複数の売買が存在する企業にとっては、検討する価値が十分にあります。

重要なのは、これが「抜け道」ではなく、CBPが認める正当な評価方法であるという点です。適切な要件を満たし、透明性を保って運用すれば、安心して活用できる制度なのです。

2025年8月8日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

国名関税率出所備考
日本15%(Reuters)既存税率15%以上品目への“積み上げ課税”を巡り日米で解釈対立(日本は回避、米国は適用余地)
欧州連合(EU)15%上限(既存15%以上は追加0%)(The White House)“no stacking” 条項を明文化
イギリス10%(ガーディアン)発効90日後に再協議予定
カナダ35%(ポリティコ)USMCA原産品は免除、第三国経由品には+40%の迂回防止課徴金
メキシコ25%(Al Jazeera)交渉継続のため25%を90日間据え置き
韓国15%(The White House)KORUS優遇なし、自動車等すべての品目対象
中国10%(暫定)→30%*(Al Jazeera)*8月12日まで10%、協議失敗時30%へ引上げ
インド50%(Bloomberg.com)既存25%+ロシア産原油問題で追加25%(21日猶予後発効)
ブラジル50%(Reuters)ボルソナロ訴追への報復とされ、WTO協議を要請
スイス39%(The White House)時計・精密機械産業に打撃
オーストラリア10%(ガーディアン)ベースラインのみ、増税回避
南アフリカ30%(The White House)鉱物・医薬品は一部除外
インドネシア19%(The White House)日米欧と並び枠組み合意済み
ベトナム20%(The White House)
フィリピン19%(The White House)
マレーシア19%(The White House)
台湾20%(The White House)中国圧力に配慮し個別レート設定
タイ19%(The White House)
トルコ15%(The White House)デジタル課税(DST)問題で追加措置の可能性
イスラエル15%(The White House)

補足

  • EU以外は「相互関税」を既存MFNに“上乗せ”する仕組みです。日本は「上乗せしない」と主張する一方、米国実務は依然不透明なため留意してください。
  • 中国の10%→30%移行やインドへの追加25%など、時限・条件付きの引上げが含まれます。実務適用前に HSコード単位で連邦官報・CBP通達を必ず確認してください。

日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”


日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”

2025年8月時点の最新状況

8月7日、米国は日本製品に対し15%の相互関税を発動しました。これに対し日本政府は「合意内容と異なる」と強く反発し、貿易摩擦が再燃する懸念が高まっています。


日本の立場:合意不履行への強い懸念

  • 合意の前提
    • 既存関税が15%以上の品目には新たな相互関税を課さない
    • 15%未満の品目は、既存関税と合わせて**上限15%**に抑える
  • 問題点
    米国の大統領令にはこの「上限」規定が反映されておらず、一部品目で実質的に15%超となる恐れが浮上。
  • 日本政府の対応
    • 「認識に齟齬はない」としつつ、米国に即時是正を要求
    • 閣僚レベルを含むあらゆる外交ルートで交渉を継続

米国の立場:貿易赤字是正が最優先

  • 基本方針
    対日貿易赤字の縮小が最重要課題。相互関税はその“圧力装置”と位置付け。
  • 追加関税の例
    鉄鋼・アルミ製品に**最大50%**の関税を課すなど、強硬姿勢を維持。
  • 優先順位
    「公平な取引」と赤字是正が大局的目標。合意細部よりも結果重視の姿勢が色濃い。

まとめ:交わらない優先順位

  • 日本:ルールに基づく合意履行を最重視
  • 米国:貿易赤字削減という結果を最優先
  • 不安定要因
    日本は法的整合性と手続きの正当性を訴え、米国は国内政治・経済のニーズを背景に“力の外交”を展開。両者の立場の隔たりが、今後の日米貿易関係を揺さぶる火種となっています。

2025年8月7日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は 2025 年 8 月 7 日時点 で公表・報道されている最新「相互関税」一覧を、8 月 6 日の追加大統領令による インドへの+25 % 制裁関税(8 月 27 日発効予定) を反映して更新したものです。フォーマットは昨日までと同一です。基礎データは 7 月 31 日付大統領令 Annex I と、8 月 6 日付「Addressing Threats to the United States by the Government of the Russian Federation」を引用しています。The White House+1

国名関税率出所備考
アフガニスタン15%同上2025-08-07 発効
アルジェリア30%同上同上
アンゴラ15%同上同上
バングラデシュ20%同上同上
ボリビア15%同上同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%同上同上
ボツワナ15%同上同上
ブラジル10%同上同上
ブルネイ25%同上同上
カンボジア19%同上同上
カメルーン15%同上同上
チャド15%同上同上
コスタリカ15%同上同上
コートジボワール15%同上同上
コンゴ民主共和国15%同上同上
エクアドル15%同上同上
赤道ギニア15%同上同上
欧州連合(Column 1 Duty Rate ≥ 15 %)0%同上Column 1 Duty Rate が15 %以上
欧州連合(Column 1 Duty Rate < 15 %)15 % − Column 1 関税同上Column 1 Duty Rate が15 %未満
フォークランド諸島10%同上同上
フィジー15%同上同上
ガーナ15%同上同上
ガイアナ15%同上同上
アイスランド15%同上同上
インド25 % → 50 %(2025-08-27 発効)EO (2025-07-31) Annex I + EO (2025-08-06)追加25 %はロシア産原油制裁関税。21 日後発効で合計50 %
インドネシア19%同上2025-08-07 発効
イラク35%同上同上
イスラエル15%同上同上
日本15%同上同上
ヨルダン15%同上同上
カザフスタン25%同上同上
ラオス40%同上同上
レソト15%同上同上
リビア30%同上同上
リヒテンシュタイン15%同上同上
マダガスカル15%同上同上
マラウイ15%同上同上
マレーシア19%同上同上
モーリシャス15%同上同上
モルドバ25%同上同上
モザンビーク15%同上同上
ミャンマー40%同上同上
ナミビア15%同上同上
ナウル15%同上同上
ニュージーランド15%同上同上
ニカラグア18%同上同上
ナイジェリア15%同上同上
北マケドニア15%同上同上
ノルウェー15%同上同上
パキスタン19%同上同上
パプアニューギニア15%同上同上
フィリピン19%同上同上
セルビア35%同上同上
南アフリカ30%同上同上
韓国15%同上同上
スリランカ20%同上同上
スイス39%同上同上
シリア41%同上同上
台湾20%同上同上
タイ19%同上同上
トリニダード・トバゴ15%同上同上
チュニジア25%同上同上
トルコ15%同上同上
ウガンダ15%同上同上
英国10%同上同上
バヌアツ15%同上同上
ベネズエラ15%同上同上
ベトナム20%同上同上
ザンビア15%同上同上
ジンバブエ15%同上同上

補足・解説

  • インドのみ変更
    • 8 月 6 日付 EO により 追加 25 % が課され、合計 50 %(25 % [相互関税]+25 % [制裁関税])となります。発効は 2025-08-27 0:01 EDT。経過措置として、同時刻以前に最終輸送モードに乗った貨物は 9 月 17 日まで旧税率が適用。The White House
  • その他の国・地域
    • 7 月 31 日 EO Annex I 以降、現時点では追加改訂なし。相互関税未掲載国には追加 10 % が適用される点に変更ありません。The White House

HS Code Finderの使い方:意見が違う場合のその理屈づけを理解する

スマートリングのHSコードの見解が国によって違っています。最新の商品なのでそういうこともありますが、違う場合に、その論点を明らかにすることができるのはうれしいです。

ご指摘のとおり、スマートリングのような新しい技術を使った製品は、国や地域によってHSコードの解釈が異なる場合があります。これは、製品のどの機能を「本質的な特性」と見なすかについて、各国の税関で見解が分かれる可能性があるためです。

現状をまとめると、主に以下の2つのHSコードが候補となり、地域によって判断が異なっています。


考えられるHSコードと各地域の傾向

候補1:HSコード 8517.62

  • 分類: データ通信用の機器(音声、画像その他のデータを送受信・変換するための機器)
  • 考え方: スマートリングを、スマートフォンと連携してデータを送受信する「通信デバイス」として捉える見方です。通知の表示、音楽の操作、NFC決済などの機能が重視される場合、この分類になる可能性が高まります。
  • 該当する地域: 欧州(EU)で有力な候補
    • EUでは、同様のウェアラブルデバイスである「スマートウォッチ」が、通信機能を理由にこの8517.62に分類される傾向が強いです。スマートリングについても、双方向のデータ通信機能があれば、同様に分類される可能性が高いと考えられます。

候補2:HSコード 9031.80

  • 分類: 測定用・検査用の機器(他の項に該当しないもの)
  • 考え方: スマートリングを、心拍数や睡眠、活動量などの生体データを「測定・検査するセンサーデバイス」として捉える見方です。通信はあくまで測定データを転送するための補助的な機能と解釈されます。
  • 該当する地域: 米国で分類実績あり
    • 先日お伝えした通り、米国税関は「Samsung Galaxy Smart Ring」について、複数の機能(測定、通信など)のうち、解釈通則3(c)(等しく考慮に値する項のうち、数字上の配列で最後に来る項に分類する)を適用し、この9031.80に分類しました。

比較まとめ

HSコード (Code)分類の根拠となる機能判断する可能性のある地域・根拠
8517.62通信機能を重視EUで有力。 スマートフォンからの通知受信や、双方向のデータ連携が主機能と判断される場合。
9031.80測定・検査機能を重視米国で実績あり。 主に生体データを記録・測定するセンサーとしての役割が主機能と判断される場合。

結論と日本での対応

現時点では、日本の税関がどちらの解釈を採用するかを示す公的な分類事例(事前教示)は見当たりません。

そのため、日本に輸入する際のHSコードは、製品の具体的な機能(NFC決済や通知機能の有無など)を税関に提示し、どちらのHSコードが妥当か判断を仰ぐ必要があります。

【最も確実な対応】

このような解釈が分かれる製品については、輸入前に日本の税関へ事前教示の照会を行うことを強くお勧めします。これにより、輸入申告前に正しいHSコードと関税率が確定するため、後々のトラブルを避けることができます。