検認における日本商工会議所と税関のアプローチの違い

昨今、FTAの検認がかなり増えました。

当社のお客さんの相談も検認が半分を超えるようになっています。

また、RCEPでの検認も始まったようで、検認増加傾向は今後も続きそうです。

検認のサポートを様々経験してきて、感じたことがあります。

自己証明の場合、税関が窓口となりますが、税関が原産性を確認する際に見る視点が日本商工会議所とはどうやら違います。

日本商工会議所は原産地証明書発給の前に証拠書類を見ているのですが、税関は検認時に証拠書類を見るため、見るタイミングが確かに違います。

ただ、組織の傾向から検認時に気をつけなければいけないことがあることが最近の経験から分かってきました。

問題の無い原産地証明と証拠書類を作れば、どんなFTAの検認でも問題ないのは事実です。

ただ、この傾向を知ると知らないでは検認時の対処方法も違ってきますね。

FTA戦略的活用研究会 東京会場 9月度の日程が決まりました。

FTA戦略的活用研究会 東京会場 9月度の日程が決まりました。

9月14日(木) 14:00〜 @東京国際フォーラムG402

となりました。

ご予定ください。

FTA戦略的活用研究会 東京会場 第79回は盛況に終了しました。

今回は以下のテーマでした。

「原産地証明書の電子化について(データ交換)」

概略: 日インドネシアEPAに基づく原産地証明書データ交換の取組が進められているところ、データ交換の意義、パイロット運用の概要、日本での輸入申告における利用方法、ご留意頂きたい点などについて解説頂きます
説明者: 財務省関税局原産地規則室長 近田春実 様

最近は参加できる方も増えて、41名の方がご参加されました。懇親会も26名。

大盛況でした。

次回は、2023年6月21日です。

検認時の対応:説明の技術

検認が来ると、日本商工会議所や税関から問い合わせが来ます。

その際の回答を手伝うことが多いのですが、皆さんどの様な回答書を用意していますか。

一番感じる疑問は、「相手が分かるように正しく情報を伝達しているか。」ですね。検認での最初の問い合わせは「原産かどうかを示してください」になります。

企業側は輸出した産品の原産性を立証する必要があるのですが、その説明がわかりにくいことが大変多いですし、また、趣旨からずれる回答を記載されているケースが多くあります。

事実のみを簡素に伝えましょう。初期は過剰な情報も必要ありません。QC工程図など企業内部の人は分かるかもしれないが、初見の人が見て分からないものは分かるように加工(改変ではない)して示すべきでしょう。

相手を納得させる技術は本来生きていく際に必要だと思います。家庭でも、友人関係でも。相手が分かるか、という観点で提出資料を眺めてください。

私は長い期間コンサルタントなので、徹底的に鍛えられてきました。いきなり素晴らしい説明は難しいのかもしれませんが、「相手はこの回答書をどの様に見るだろうか」を考えつつ、書類を作成しましょう。

このスキルは他の場面にも有効ですよ。

日本商工会議所の事務所によるFTA原産地証明の指摘事項:とても困ること

第三者証明では、日本商工会議所に原産地判定を申請して承認が得られないと特恵原産地証明書の発給を受けることが出来ません。

それ故に、原産地証明の証拠書類が出来ると、日本商工会議所(実際は8つの商工会議所事務所から1つを選択)に証拠書類を提出し判定依頼を依頼します。

困るのは、そこで商工会議所から指摘されることが的を得ていない場合があること。

当社は企業に代り、原産地証明を行い、商工会議所に判定依頼をし、やりとりをして判定を受けるまでを代行業として行うことをしています。

FTAのコンサルティングと称して、原産判定までを具体的にやったことのない企業は信用できませんからね。理屈だけの企業が残念ながら存在するのは業界として困ったものです。当社は原産の判定を行う全ての商工会議所とのやりとりを経験しています。彼らの指摘ももっともだと思うところは、当然反映し、今後の代行業での糧としています。

今回は日インドCEPAの活用だったのですが、一般規則の適用品でCTCとVAを用意しなければなりません。ご存じの通り、CTCとVAでは対象となる部材表が違います。それに従って証明せねばなりません。

当社が提出した商工会議所からの指摘事項には納得がいきませんでした。いくつかあります(多くはこの場では伏せます)が、一番びっくりしたのはCTCの対比対象外の部材にもHSコードを付番せよとのこと。今までにも多くのインド向けの証明をしてきましたが、このような指摘は初めてです。

当方が指摘に対して主張をして、先方が当方の主張に対し、日本商工会議所国際部と打ち合せをした上で再び戻ってこられた回答は、HSコードの付番は必要ないが、表記はこうしてほしいということ。そこで戦っても仕方ないので、追加の表記は了承し、原産判定が下りました。

商工会議所の指摘事項は、「こうしなさい」と来るので、「通常の企業の人はそれに従うんだろうな。」と思うことが割とあります。(彼らの名誉のために申せば、なるほどと思うことも多くあります)

民間コンサルタントの私と、商工会議所の見解と企業はどちらをまず信じるかと言えば後者ですよね。それ故に、「おかしい」との文句が当社に来ます。当方は本当に困るのです。当方の間違いなら致し方ないのですが、多くを経験しているので、「この指摘、おかしい」と思うことがしばしあるのです。

今回の件の1つの事例、対象外の部材に対してHSコードを付番することは労力がとてもかかります。はっきり言って不必要です。指導される方は多くの案件をかかえてらっしゃるのでしょうが、もう少し勉強されたらと思います。また、商工会議所間での認識のギャップはいまだ解決されておらず、Aの商工会議所ではOKだったものが、Bではだめというものがあります。

商工会議所からの原産地証明の指摘事項、ありがたいことではありますが、当方もよく学んだ上で、指摘を咀嚼して、不必要なものは不必要と言えるようにならねばなりません。

検認が増えた

今年に入り、相談事の多くがFTAにおける検認になりました。

それも、RCEPでの中国、韓国の検認発生がまだ確認できていない現段階です。中国、韓国からの検認が始まるとどうなってしまうのか、考えると恐ろしいです。

ご存じの通り、検認は数年前のFTA利用に対してやってきます。それに対してちゃんとした証拠書類をあらかじめ準備し、しかるべき社内での組織対応が確立されていれば何の問題もありません。

しかし、それが出来ていないために、企業内でのバタバタが発生してしまう。過去のものなので、検認を想定した証拠書類もないし、組織も出来ていないため、対応に苦慮している企業が多すぎます。

比較的多く感じるのは、日タイEPAと日EU EPA。

タイは積極的に検認を行っています。まぁ、彼らの積極性はとある理由から発生しているのですが。この国は、一度検認で原産性を否認することがあると検認をたたみかけてきます。ですので、最初の検認が肝心。関税を取れるところから撮ってやろうというきがありありです。

また、EUでの検認ではイタリアが目立ちます。イタリアが多いのは正直意外でした。が、仲間内で話していて、「税金が足らないのでは」という声に、妙に納得してしまいました。

検認はその対応体制としかるべき証拠書類が整っていれば、恐れるものではありません。手際よく行えば、すぐに終わるものです。大半の日本企業がそうでないのは、FTAを利用したいがために、日本商工会議所からの原産判定を取ることばかりに意識がいっているためです。

FTAで大事なのは、検認対応から考える原産地証明を行う事。日本商工会議所の原産判定が下りることが目的とすると検認で大変な目にあいますよ。

ここから当社の営業になりますが、自社が検認対応できているかを確認できる「無料FTA監査サービス」を行っています。(遠方の企業の方には申し訳ないのですが、交通費、場合により宿泊が必要な場合は、宿泊費は頂戴します)、備えあれば憂いなしと言います。一度ご検討ください。

詳細は、こちらをご覧下さい。

2023年8月度のFTA戦略的活用研究会 東京会場の日程

2023年8月度のFTA戦略的活用研究会 東京会場の日程が決まりました。

日時: 8月25日(金) 14:00~

会場: 東京国際フォーラム会議棟G602

となります。

メンバーの方はご予定ください。

【FTA無料セミナー】 「日本企業の原産地証明の課題:企業の実例から学ぶ」(東京,大阪開催)

FTAではRCEPも発効し、1年が経過しました。

RCEPの発効により、アメリカを除けば主要国とのFTAを締結した日本。ビジネス上でのFTAの活用はますます重要性を帯びています。

FTAを確実に戦略に取り込むには担当者の証明における力量が大事なのですが、その課題が明らかになりつつあります。経営陣のFTAに対する意識と増大する業務をいかに正確に効率化するためのITが課題になりつつあります。

今回のセミナーでは、トムソン・ロイター主催、Global Edge Forum共催にて、基本課題の講演と、企業の方にご登壇いただき、具体例をお話しいただく予定にしております。  

ぜひ、こぞってご参加賜りますようよろしくお願い申し上げます。

以  上

                                    記

テーマ:
「日本企業の原産地証明の課題:企業の実例から学ぶ」

「FTA:日本企業の原産地証明技量の問題」

ロジスティックでは原産地証明の力を試す検定試験を行っております。その中で課題となる点が見えて参りました。その点を踏まえて、「FTA予備校と称し、証明方法を予備校のようなスタイルでわかりやすく説明します。  
株式会社ロジスティック 代表取締役 嶋 正和

「FTA対応: 企業プレゼンテーション」(Webでのビデオ配信では、このパートは含まれません。)

企業の実際のFTA利用の現状をお話しいただきます。
  東京: 日本精工株式会社 様
  大阪: 株式会社シマノ 様

「FTA効果試算ソリューション、FTA Analyzerのご紹介」

国別の取引経路や完成品の取引数量、及びHSコードに対して現時点での最適なFTAを導き出す、効果試算ソリューションをデモを含めてご紹介いたします。
トムソン・ロイター株式会社 

セミナーの後、講演者を交え、茶菓での簡単な懇親会を予定しております。ぜひ、ご参加下さいますよう、お願い申し上げます。

日時:
東京:
  2023年4月14日(金) 14:00~18:00
    会場: 東京国際フォーラム 会議棟G402(東京、有楽町駅)
    https://www.t-i-forum.co.jp/access/access/

大阪:
  2023年4月12日(水) 14:00~17:00
    会場: ナレッジキャピタル カンファレンスルーム B01(大阪駅)
    http://www.kc-space.jp/accessmap/conference/

Web配信:
後日撮影したビデオをWeb配信します。但し、企業プレゼンパートは配信されず、会場のみです。

参加費用:
無料

お申し込み:

東京:
https://smoothcontact.jp/front/output/7f0000011cd53edf9bc545266562dc1

大阪:
https://smoothcontact.jp/front/output/7f0000011cd53edf9b5d02be1ab111e

Web配信は上記の会場どちらでも結構ですので、お申し込み下さい。後日アドレスをお送りします。

セミナー案内状:
以下からダウンロード可能です。
https://www.dropbox.com/s/kb14sggti1wi66k/GEF%20202304%20TR%E6%A1%88%E5%86%85%E7%8A%B6.pdf?dl=0

先日のセミナー・ビデオ公開のご案内:テーマ「原産地証明の基礎と検認:会社の責任、個人の責任」 

先日、以下のセミナーを催しました。東京、大阪で合計約200名の形が会場参加され、大変盛況だったものです。

テーマ:
【初心者向けFTA無料セミナー】 「原産地証明の基礎と検認:会社の責任、個人の責任」

講演内容:
「FTA原産地証明の基礎と見過ごしがちな問題点」
サプライヤー証明では、依頼する場合も、受ける場合も大きな課題点が存在します。正しく証明が出来ない場合、例え自社での証明が正しくとも他社の間違いで証明が破綻します。まず、基本的な証明に関してお話しした後にこの点に触れます。
  TSストラテジー株式会社 代表取締役 藤森 陽子 

「FTAの検認:企業の責任、個人の責任」
原産地証明で間違いがあるかどうかを相手国が確認する「検認」。輸出しない場合でも「サプライヤー証明」を顧客に提出している限り、検認時に責任を問われることがあります。原産性を証明出来ない場合、ペナルティを受けることになります。当然会社が受けるのですが、個人も社内で責任があります。具体的にどの様な事があるかをお伝えします。
  株式会社ロジスティック 代表取締役 嶋  正和

(セミナービデオ:YouTubeでの公開となります。)
資料はそれぞれのビデオの概要欄のリンクからダウンロード出来ます。(同じファイルとなります。)

前半「オープニング」 & 「FTA原産地証明の基礎と見過ごしがちな問題点」 
 ・ TSストラテジー 藤森
   https://youtu.be/o4CpUioo0CM

後半 「FTAの検認:企業の責任、個人の責任」 
 ・ 株式会社ロジスティック 嶋 正和
   https://youtu.be/_W-xJqkh0-Q

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