ミャンマー(ミャンマー連邦共和国)のHSコード事前教示制度

ミャンマーにおける**HSコード分類の事前教示(Advance Ruling on Classification)**制度について、一次情報に基づき整理しました。

1. 主管当局と公式サイト

主管当局:Myanmar Customs Department(ミャンマー税関;所管省はMinistry of Planning and Finance)

公式サイト

主要な根拠法令

  • 通知150/2016(分類事前教示の手続根拠、2016年10月14日発行)
  • 通知40/2019(申請書様式CR-98(A)と手数料50,000チャットを規定、2019年4月18日発行)
  • 通知151/2016(評価事前教示、英語版公開、手続理解の参考に有用)
  • 通知91/2024(原産地事前教示、2024年12月27日発行、2025年より運用開始)

2. 事前教示(分類AR)の申請プロセス

申請書の入手
税関サイトの「Forms」ページから**Advance Ruling on Classification Application Form(様式名:Form CR-98(A)、通称ARC)**をPDFまたはExcel形式で入手できます。

提出先

  • Director of Export, Import Control Division, Customs Department, Yangon
  • 各Township Customs Station または OSS(ワンストップサービス窓口)

申請手数料
1件につき50,000ミャンマーチャット(MMK)

申請方法
英語またはビルマ語で記入し、本人持参、郵送、またはオンライン(限定的)で提出

受理・審査
税関が登録番号(Registration No.)および返信参照番号(Reply Reference No.)を付与し、内容を審査します。必要に応じて追加資料やサンプルの提出を求められる場合があります。

結果の通知
AHTN/WCO HSに基づくHSコードを記載した回答書(ARCレター)が発行されます。

輸入申告での利用
評価ARでは申告時に原本の添付が求められており、分類ARも同様の取扱いと想定されます。MACCSシステムへのオンライン添付の運用も一部で言及されていますが、実務では紙提出が基本です。

3. 申請に必要な情報

申請書(Form CR-98(A))には以下の情報を記載します:

申請者情報

  • 氏名または会社名、登録番号
  • 住所、電話番号、Eメールアドレス

商流・契約情報

  • 出荷スケジュール
  • 投資や長期契約の有無など取引詳細

貨物の詳細

  • 品名、ブランド、型式
  • 製造者、原産国、サプライヤー
  • 材質・成分、仕様・能力
  • 用途、包装形態
  • 製造・加工方法

添付書類

  • カタログ、パンフレット、技術資料
  • 写真
  • 必要に応じてサンプル

申請者の見解

  • 提案HSコード(任意)とその根拠

過去の照会情報

  • 同一品目について過去に照会したか否か

公開・非公開の選択
Disclosure(Yes/No)欄があり、非公開を希望する場合は最長180日間の非公開期間を指定できます(企業機密への配慮)。

4. 処理期間

分類ARの法定処理期間は英語資料では明確に規定されていません。

参考として、評価AR(通知151/2016)では、必要書類が揃ってから14日以内に回答することが規定されています。また、追加情報を求められた場合、申請者は5営業日以内に回答する義務があります。申請は貨物到着の30日前までに行うことが推奨されています。

分類ARも評価ARと基本的に同様の手続フローに準拠しているため、十分な資料を揃えて申請することが最短処理の鍵となります。

5. 有効期間

評価ARは発出日から6か月間有効です。

分類ARの具体的な有効期間を定めた英語の明文規定は確認できていません。一般的に、多くの国ではHS改正や事実変更まで有効とする運用や、一定期間(例:1年以上)の有効期間を付すのがWCOガイダンスの目安ですが、ミャンマー固有の期間は公表情報では未確認です。

6. 申請手数料

50,000ミャンマーチャット(MMK)

7. その他の重要事項

制度の範囲
ミャンマーでは分類(HS)、評価、原産地の3種類のAdvance Ruling制度が整備されています。原産地ARは2024年12月27日付の通知91/2024により導入され、2025年から運用が開始されました。

適用通則
ミャンマーはAHTN 2022/HS 2022に移行済みです。分類ARで参照されるHS版は最新のAHTN/HSに基づきます。

言語
申請は英語またはビルマ語で可能です。

秘密保持
評価ARでは評価情報の秘密保持が規定されています。分類ARの様式にも非公表(最大180日まで指定)のチェック欄があり、企業機密に配慮した運用がなされています。

申請主体
評価ARの規定では「国際取引者(輸入を予定する者)」が申請可能とされており、分類ARも同趣旨と考えられます。

オンライン公開状況
分類・評価ARの結果は体系的には公開されていません(2023年レビュー時点)。オンライン申請・受領システムも未整備との評価がありました。

原産地AR
通知91/2024に基づき、輸入者は貨物到着の60日前までに申請可能です。申請には製品サンプル、写真、図面、カタログ、生産計画、成分証明、製造工程、FTA原産地規則関連情報などの提出が求められます。

申請準備チェックリスト

申請をスムーズに進めるため、以下の点に留意してください:

  • 製品を1申請1品目で特定(バリエーションがある場合は型式別に申請)
  • 客観的資料を十分に準備(英語カタログ、構造図、化学成分表、製造工程図、用途写真など)
  • サンプル準備(求められる場合がある)
  • 提案HSコードと論拠を簡潔に記載(AHTN注釈、HS解説、類注・部注との整合性)
  • 商流の説明(長期契約や定期船積スケジュールがある場合は詳細に記載)
  • 処理期間を考慮した早めの申請(評価ARでは到着30日前申請・14日回答が目安)
  • 手数料50,000 MMKの準備

主要参考資料

  • Myanmar Customs Department公式サイト(申請様式、SOP、手数料規定)
  • Myanmar National Trade Portal(通知150/2016、通知40/2019、通知151/2016)
  • ERIA報告書(2023年、制度横断レビュー)
  • Lincoln Legal Services Newsletter 186(2025年1月、原産地AR導入情報)
  • Myanmar Customs Tariff 2022(AHTN/HS 2022適用)

 

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