直近の交渉状況
2025年3月の3カ国貿易閣僚会合で「包括的かつ高水準なFTA」に向けた緊密な協力を確認しましたが、2012年の交渉開始から実質的な進展はほぼゼロの状態が続いています。 2024年5月の日中韓首脳会議でも言及されたものの、正式な交渉再開には至っていません。sangiin.go+2

障害要因①:農林水産業の市場開放問題
農業分野が最大の国内政治的障壁です。 日本は農業・漁業の自由化に一貫して消極的であり、交渉が再開した場合、RCEPを上回る農林水産品の関税削減・撤廃を中韓から迫られることが確実視されています。 中国・韓国側も、日本との競合産業での自由化により対日貿易赤字が拡大することを懸念しています。bilaterals+1
障害要因②:中国の「不公正慣行」問題
日本が中国に求める改善要求の内容が極めて困難です。[jsil]
- 産業補助金・国有企業への優遇措置の廃止
- 政府調達における国産品優遇の是正
- デジタル貿易に対する過剰規制の撤廃
- 強制的な技術移転の禁止
これらはいずれも中国の産業政策の根幹に触れる要求であり、国内からの反発が必至の難題です。jsil+1
障害要因③:歴史問題・地政学的対立
歴史認識・領土紛争・安全保障の対立が交渉の土台を不安定にしています。[bilaterals]
- 日韓間:日本の朝鮮半島植民地支配をめぐる歴史的摩擦、独島(竹島)問題
- 日中間:尖閣諸島問題、東アジアにおける覇権争い
- 朝鮮半島の核・ミサイル問題を背景に日韓は米国との同盟強化を優先し、中国との経済統合に慎重な姿勢npi+1
これらの地政学的障害は「完全には除去不可能」と専門家も指摘しています。[bilaterals]
障害要因④:協定の「水準」をめぐる3カ国の温度差
3カ国が望む協定のスタイルが一致していません。[bilaterals]
| 国 | 希望する協定の姿 |
|---|---|
| 日本 | 高水準・包括的(関税削減+サービス・知財・労働・環境を含む) |
| 韓国 | 包括的かつ高水準(物品・サービス・投資・政府調達・知財・技術標準を含む) |
| 中国 | 関税削減中心、国内政策への介入を避けたい。米国対抗の側面も強い |
中国が交渉に積極化した背景には米中対立・不動産不況による経済活性化の必要性があり、その意図に日韓が警戒感を持っています。[sangiin.go]
障害要因⑤:3カ国間の相互信頼の欠如
日中韓協力事務局・専門家が共通して指摘する根本問題は「3カ国間に十分な信頼関係が形成されていない」ことです。 貿易実務・ルール実施・国際協力はいずれも一定レベルの信頼関係を前提としており、その基盤なしに高水準協定を結んでも実効性が担保されないという構造的な問題があります。jsil+1
現実的な展望
トランプ関税という共通の外圧が3カ国を近づける「切迫感」を生み出しており、RCEPの実施強化をステップとして段階的に信頼醸成を図ることが現実的なルートとされています。 ただし、農業・不公正慣行・歴史問題という3大障害が解消されない限り、実質的な進展は困難な状況が続くと見られています。nikkei+2
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FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック