2025年米国鉄鋼・アルミニウム関税制度の概要と企業対応(2025年10月最新版)

下記情報は確実にと努力しましたが、不確定な部分もあり、あくまで参考としてください。

最新動向(2025年8月~10月)

2025年8月以降、Section 232関税制度は更なる拡大を続けています。8月18日に407品目の派生製品が追加され、9月にはインクルージョン申請の第2回受付期間が実施され、10月には木材・重トラック関税の新規措置が発表されました。

8月18日発効:407品目の大規模追加

商務省産業安全保障局(BIS)は、407の製品カテゴリーを232関税対象の「派生製品」リストに追加しました。この拡大により、年間輸入額2,000億ドル超に相当する400以上のHS番号が新たに対象となり、実効関税率が約1パーセントポイント上昇したと推定されています。

主な追加品目

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品
  • バス部品
  • 空調ユニット部品

この措置は、6月23日発効の家電製品追加に続く第2弾の大規模拡大であり、鉄鋼・アルミニウムの含有価額部分に50%の関税が課されます。

9月:第2回インクルージョン申請期間

BISは2025年9月15日から29日まで、第2回目のインクルージョン申請受付期間を実施しました。このプロセスは年3回(5月・9月・1月)実施され、国内生産者等が追加対象品目を申請できる制度です。申請から60日以内にBISが判断を行い、採用された品目は順次232関税の対象に追加されます。

10月14日発効:木材・木製品への新規232関税

9月29日の大統領布告により、針葉樹材・木材および木製派生製品に対する新たなSection 232関税が10月14日から適用されています。

税率

  • 針葉樹材・木材:10%
  • 室内装飾付き木製家具:25%(2026年1月1日から30%に引上げ)
  • キッチンキャビネット・洗面台:25%(2026年1月1日から50%に引上げ)

重複関税の取扱い

  • 相互関税(reciprocal tariffs)およびIEEPA関税とは重複適用されない
  • 232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみ適用
  • 対カナダ・メキシコIEEPA関税と重複する場合は木材232関税のみ適用

11月1日発効予定:中・大型トラック関税

10月6日、トランプ大統領は中型・大型トラック(車両総重量10,000ポンド超)および部品に対する25%の232関税を11月1日から適用すると発表しました。当初は10月1日発効予定でしたが、米国自動車メーカーからのロビー活動を受けて1カ月延期されました。

4月に開始された商務省の232調査では、「少数の外国供給者が略奪的貿易慣行により米国輸入の大部分を占めている」と指摘されており、国家安全保障上の脅威と位置付けられています。主要な影響国は、メキシコ、カナダ、日本、ドイツ、フィンランドです。

米国トラック協会(ATA)は、この措置に加えてIEEPA関税や232鉄鋼・アルミ関税も適用されることで業界への負担が過大になるとして、緩和を求めています。

1. 2025年の大改定のポイント

関税率の大幅引上げ

2025年6月3日の大統領布告により、鉄鋼・アルミニウムおよびその派生製品に対する関税率が一律**50%**に引き上げられました(英国のみ25%)。これは通商拡張法第232条(Section 232)に基づく措置で、2025年6月4日(EDT)以降の輸入に適用されます。

課税方式の変更:「金属含有価額」ベース

従来の「総額課税」から「金属含有価額のみに対する課税」に変更されました。CBP(米国税関国境警備局)の実務通達により、派生製品やHS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)の品目についても、製品全体ではなく鋼・アルミニウムの含有価額部分のみに232関税が課されます。

除外制度の終了と「インクルージョン制度」の創設

2025年2月10日の布告により、従来の232除外申請制度が終了しました。代わりに、派生製品を追加指定するための「インクルージョン手続」が年3回(5月・9月・1月)の受付期間で運用開始されています。

重複課税(スタッキング)の整理

複数の特定関税が同一貨物に重複して過剰となる事態を一定範囲で防ぐ手順が規定されました。ただし、232関税と対中制裁の「301関税」については累積適用されることが明記されています。

2. 派生製品の対象拡大

「派生製品(derivatives)」とは、基礎素材(鉄鋼・アルミニウム)からさらに加工された下流製品のことで、2018年の232措置では対象外だった製品分野にまで関税を適用するために指定されています。

2025年の主な追加項目

アルミニウム派生製品(4月4日発効)

  • 空のアルミ缶(HS 7612.90.10)
  • ビール(HS 2203.00.00)

鉄鋼派生製品(6月23日発効)

  • 家電製品(冷蔵冷凍庫、洗濯機、乾燥機、食洗機、オーブン・レンジ、生ごみ処理機)
  • 溶接ワイヤラック(HS 9403.99.9020)

トレーラー類(8月18日発効)

  • ドライバン・冷凍(リーファー)トレーラー(HS 8716.39.0040等)とそのサブアセンブリ

407品目の大規模追加(8月18日発効)

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品

木材派生製品(10月14日発効)

  • 針葉樹材・木材
  • 室内装飾付き木製家具
  • キッチンキャビネット・洗面台

中・大型トラック(11月1日発効予定)

  • 車両総重量10,000ポンド超の中型・大型トラックおよび部品

今後の展開

BISのインクルージョン制度により、国内生産者等の申請に基づいて派生製品は継続的に追加される見込みです(申請から60日以内に判断)。次回の申請期間は2026年1月に予定されています。

3. 関税算定の具体的方法

基本税率

  • 鉄鋼・アルミニウム・派生品:50%(英国原産品のみ25%)
  • 木材派生品:10~25%(段階的引上げあり)
  • 中・大型トラック:25%(11月1日~)

課税ベースの算定

  • HS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)製品:金属の「含有価額」のみに課税
  • 派生製品:製品中の鋼・アルミニウム含有価額に対して課税
  • 鉄・アルミ両方を含む派生品:それぞれの含有価額に対してそれぞれの232関税を課税

申告方式:「2行計上」

CBPの指示により、以下の2行に分けて申告します:

  1. 1行目(非金属部分):本来のHS番号、原産国、「総額-金属含有価額」
  2. 2行目(金属含有価額):同一HS・原産国、数量0、価額=金属含有価額、HS第99類で50%課税

算定例

洗濯機(申告価額500ドル、うち鋼含有価額100ドル、アルミ含有価額20ドル)の場合:

  • 鋼部分:100ドル × 50% = 50ドル
  • アルミ部分:20ドル × 50% = 10ドル
  • 232関税合計:60ドル

中国原産品で301関税対象の場合、さらに25%が併課される可能性があります。

4. 重複関税の取扱い

232関税 vs 301関税(対中)

累積適用されます。中国原産で232対象品の場合、232(50%)+ 301(25%)が併課される可能性があります。

232関税(鉄鋼・アルミ) vs IEEPA(相互関税)

232に関わる金属部分にはIEEPAは重複適用されませんが、非金属部分にはIEEPAが課される場合があります。

232関税(木材) vs その他関税

木材関連の232関税は、相互関税・IEEPA関税(ブラジル40%、インド25%)とは重複適用されません。232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみが適用されます。

その他の特則

  • ロシア関連アルミニウム:232とは別に200%の特則が存続
  • デューティードローバック不可
  • FTZは原則「特恵外国品扱い」が必要

5. 企業の実務対応チェックリスト

A. 分類・原産・含有価額の把握

HTS分類の見直し:新規派生指定品目について社内マスターを更新

  • 家電、トレーラー、空缶・ビール(既存)
  • 風力タービン、移動式クレーン、ブルドーザー、鉄道車両、家具、圧縮機、ポンプ、オートバイ、船舶用エンジン、EV用電気鋼材、排気システム部品(8月18日追加)
  • 木材、木製家具、キャビネット(10月14日追加)
  • 中・大型トラック(11月1日予定)

金属含有価額の算定体制整備:BOM・コスト表から鋼・アルミ含有価額を抽出できる仕組みの構築

原産性証明の取得

  • 鉄鋼:Melt & Pour(溶解・鋳造)国の証明
  • アルミニウム:Smelt & Cast(製錬・鋳造)国の証明
  • メキシコ経由品は2024年7月以降の厳格化に注意

B. 課税最適化戦略

調達先の見直し:英国原産品は25%(他国50%)の優遇税率を活用

米国内素材の活用:米国でMelt & Pour/Smelt & Castされた素材は0%免除の可能性

設計変更の検討:鋼・アルミ以外素材への置換、金属使用量削減による含有価額の圧縮

複数関税の影響分析:232 + 301 + AD/CVDの総負担試算

C. 契約・申請対応

価格条項の見直し:サプライ・販売契約に「232/301変動条項」を追加

インクルージョン申請の活用(国内生産者向け):年3回の申請機会を活用した競合品の追加指定

社内統制の強化:HTS・原産・含有価額・証憑の監査体制整備

6. 実際の企業事例

American Trailer Manufacturers Coalition

Great Dane、Stoughton、Strick、Wabashなどの米国トレーラーメーカー連合が2025年5月にBISへ派生指定追加を申請し、8月18日にドライバン・リーファートレーラーが派生製品として採用されました。

Whirlpool(米国家電メーカー)

家電の派生指定追加(6月23日)に対し、「金属含有価額課税」や重複関税整理を踏まえた支持表明を行い、国産比率の高さを背景に価格公平化効果を主張しています。

Ball Corporation(アルミ缶メーカー)

2025年の関税環境下でも、調達・ヘッジ・価格見直しにより影響は限定的としており、財務・契約面での対応による影響平準化の好例となっています。

外国自動車メーカー連合

外国自動車メーカー連合は、EV用電気鋼材や排気システム部品の派生製品追加に対して、米国内に十分な生産能力がないことを理由に反対意見を提出しましたが、採用されませんでした。

Tesla

Teslaは、電気自動車モーターや風力タービンに使用される鉄鋼製品の追加指定について、米国内の生産能力が不足しているとして反対しましたが、8月18日の決定で対象に含まれました。

7. 今後の注意点

制度面のポイント

  • 232税率は原則50%(英国25%、木材10~25%)
  • 課税ベースは金属の「含有価額」のみで、2行計上が必要
  • 派生品範囲は今後もインクルージョン制度により拡大予定(年3回:5月・9月・1月)
  • 301関税(対中)とは累積適用される
  • 2026年1月には木製家具・キャビネット関税が段階的に引上げ(30%・50%)

企業の優先対応事項

緊急対応(~2025年11月)

  • 中・大型トラック輸入企業:11月1日発効の25%関税への対応準備
  • 木材・木製品輸入企業:10月14日発効の関税(10~25%)の影響分析と価格見直し

継続対応

  • HTS分類の再確認(407品目追加を反映)
  • 含有価額算定体制の整備
  • Melt & Pour/Smelt & Cast証憑の取得
  • 契約価格条項の見直し
  • 対中国301関税重複の影響分析
  • (国内生産者の場合)次回インクルージョン制度(2026年1月)の活用検討

情報収集

  • BISの連邦官報公告の定期的な確認(次回申請期間:2026年1月)
  • 自動車部品インクルージョン制度の動向監視(2025年10月1日から第1回申請期間開始)

この新制度により、米国への鉄鋼・アルミニウム関連製品の輸出入には従来以上に精緻な管理と戦略的対応が求められています。特に2025年8月の407

同一商品なのに中国の税関ごとにHSコード(税則号列)が違う場合

同一商品なのに中国の税関ごとにHSコード(税則号列)が違う場合、放置すると税率・輸出VAT還付・監管条件に影響します。中国ではHS分類の根拠と統一方法が制度化されています。以下の順に動くと解決が早いです。


まず押さえる前提

  • 中国の分類は、「進出口税則」「税則商品及び品目注釈」「本国子目注釈」等に基づいて決めます(客観・正確・統一の原則)。同一貨物は同一の分類決定に従うのがルールです。Government of China
  • 税関審査中でも緊急に出す必要があるときは、**担保提供での放行(担保放行)**が可能です。Government of China
  • 税則や注釈、申告要素(申报要素)は年初に改定されることがあるため、年度違いで見解が割れることもあります(例:2024→2025年の改定告知)。customs.gov.cn

すぐやること

  1. 技術資料を一本化
    品名・型番・用途・作用原理・材質/成分・構成/同梱品・完成/未組立か・セット品か・規格(GB/ISO等)・画像/図面・パンフ・安全データ、を中国語で揃えます。税関は実際状態で判断します。Government of China
  2. 公式データベースで“根拠合わせ”
    • 進出口税則・品目注釈」「本国子目注釈」を検索(用語の定義や除外規定を確認)。urumqi.customs.gov.cn+1
    • **申告要素(申报要素)**の最新版を確認(項目抜けが食い違いの典型原因)。customs.gov.cn
  3. 既存の“統一判断”がないかを調査
    GACCが公表する**「商品归类决定(分類決定)」や「行政裁定」に該当例があれば、それに全国で合わせる義務**が生じます。Government of China
  4. 相手税関に“根拠セット”で照会・調整
    2)と3)の根拠を添付し、「他港での見解」「年度の税則版」「申告要素の充足」を示して統一運用を依頼します(全国通関一体化の下、照会でそろうことが多い)。
  5. (貨物を急ぐ場合)担保放行+後追い確定
    輸出入を止めずに進めつつ、分類確定の手続きを継続します。Government of China

再発防止と“決定打”

A. 分類の「予裁定」(Advance Ruling)を取る

  • 効力3年間有効で、同一条件の貨物に全国で拘束力。税関は60日以内に決定書を交付(化験等の時間は除外)。申告時に**「预裁定+番号」**を備考に記載すれば税関が認めます。policy.mofcom.gov.cn+1
  • 申請窓口:「互联网+海关」→「税费业务」→「归类业务」→「归类预裁定」。shanghai.customs.gov.cn
  • 延長(展期)有効期限の30~90日前に延長申請可(2024年制度改正)。paper.people.com.cn
  • 海外企業でも申請できるケース上海自貿区では、海外の輸出者・生産者も契約条件等を満たせば代理経由で申請できるパイロットが運用中。該当すれば活用価値大。gdfs.customs.gov.cn+1

B. GACCの「分類決定」・「行政裁定」で全国統一

  • GACCが公表する分類決定(归类决定)は普遍的拘束力を持ち、同一貨物に全国一律適用。該当例を根拠にすれば各港で統一されます。Government of China

C. 紛争になったら「行政復議」

  • 具体的な行政行為(コードの否認・追徴等)に不服があれば、知った日から60日以内上級税関へ行政復議(不服申立て)が可能。審理は原則60日(必要に応じ最長+30日)。Government of China+1

なぜ食い違うのか

  • 申告要素の不足/表現の差(“用途/構成/機能/組成”の書きぶりで見解が割れる)。customs.gov.cn
  • 製品状態の違い(完成/未組立、セット詰合せ、同梱アクセサリーの有無)。Government of China
  • 年度改定や注釈改訳の差(年替わりで注釈修正)。customs.gov.cn
  • 既存の「分類決定」・判例情報の見落とし(既決例があるのに参照していない)。gdfs.customs.gov.cn

実務パッケージ

  • 申告書類の備考例(中国語) 依据《中华人民共和国海关预裁定决定书》(编号:XXXX),本批货物与预裁定列明情形一致,特按该决定申报。gongbei.customs.gov.cn
  • 予裁定 申請書類チェックリスト
    ① 申請書(中文版)② 製品仕様書/図面(CN)③ 成分/材質証明 ④ 用途・作用原理説明 ⑤ 型番対応表 ⑥ 写真/動画リンク ⑦ サンプル(要求があれば)⑧ 他港での指摘・税号案の比較票 ⑨ 国家/業界標準の引用(該当時)policy.mofcom.gov.cn+1

まとめ

  1. 技術資料と申告要素を整備 → 2. 公式注釈・既決例で根拠固め → 3. 港間調整(必要なら担保放行) → 4. 予裁定で将来案件を固定 → 5. なお争いが残るなら行政復議
    これで同一商品のHSコードを全国で一本化できます。Government of China+3Government of China+3policy.mofcom.gov.cn+3

参考:公式リソース(検索入口)


「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ」の信憑性を評価する(2025年10月6日時点)

10月3日のロイター電以降に出ている一次・二次情報を突き合わせて、件の見出し「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ」の信憑性を評価します。


結論

  • ロイター(10月3日)が伝えたのは「検討中(considering)」。正式決定はまだというのが記事本文のニュアンスです。ホワイトハウス関係者も「大統領の署名による公式行動がない限り、政策の議論は推測だ」とコメントしています。Reuters
  • その後の国内報道の多くはロイター電を基に「延長を近く決定へ/決定の見通し」と書きましたが、新たな公式文書や布告は未確認です(10月6日現在)。Yahoo!ファイナンス+2Mainichi+2
  • 現行の「関税相殺(Import Adjustment Offset)」制度は、2026年4月末までMSRPの3.75%、その後は2027年4月末まで2.5%という既存ルールのみが官報・大統領布告で有効。5年延長やエンジンまでの拡大はまだ告示されていません。The White House+2Federal Register+2

したがって、この見出しは方向性(軽減拡大の検討)自体は事実に沿う一方で、「決定へ」と断定的に読める点は行き過ぎ。“高い確度で検討中”だが“未決”というのが最新の整合的な読みです。


何が報じられたか(10/3のロイター)

  • 趣旨:米国で最終組立てを行う乗用車について、部品の232条関税に充当できる相殺額現行の3.75%(1年目)→2.5%(2年目)という暫定スケジュールから、3.75%を最大5年に延長し、米国製エンジンも対象に拡大する案を大統領が検討
    情報源はバーニー・モレノ上院議員(共和)および自動車業界関係者。ホワイトハウスは「署名までは推測」と述べ、正式決定は否定Reuters
  • 恩恵が想定されるメーカーとして、フォード、トヨタ、ホンダ、テスラ、GMなど米国内での国産比率が高いメーカーが名指しされました(記事内のモレノ氏コメント)。Reuters

10/3以降のフォロー報道(整理)

  • 日本メディアの後追い
    延長を近く決定する見通し」「負担軽減へ」といったトーンで配信(時事/Yahoo!ニュース、毎日新聞、電波新聞など)。いずれも根拠はロイター電で、新規の一次情報は付されていません。Yahoo!ファイナンス+2Mainichi+2
  • マーケット反応
    10/3の報道を受け、米自動車株が上昇(フォード、GM、トヨタ、ホンダなど)。バロンズは相殺延長観測を材料視と解説。Barron’s
  • 周辺コンテクスト(今日:10/6)
    対輸入全般の関税環境が厳しい中で、各社が米国内投資を増やす動きをロイターが総括。今回の相殺延長検討は、こうした潮流と整合しますが、個別制度の正式アップデートには触れていませんReuters

公式根拠(現行制度)

  • 大統領布告(4/29付)と連邦官報で、相殺率と適用期間が明確化:
    • MSRPの3.75%2025/4/3–2026/4/30の米国組立て分)
    • MSRPの2.5%2026/5/1–2027/4/30の米国組立て分)
    • 相殺額は部品の232条関税に充当未使用分は失効せずに繰越可能。
      これを超える延長・拡大の告示は10/6時点で未掲載The White House+2Federal Register+2

トヨタ・ホンダにとっての意味合い

  • 相殺の枠組みは「銘柄別の優遇」ではなく、米国で最終組立てを行うOEM全般が対象。トヨタ・ホンダも対象になり得ます。Reuters
  • 例:MSRP 4万ドルの米国組立車なら、3.75%=1,500ドル/台を部品関税の支払いに充当可能(現行制度)。これが5年に延長され、エンジン製造にも広がれば、米国内足場の強いトヨタ・ホンダのネット負担はさらに軽くなる可能性。※実際の効果は部品輸入構成や台数で変動。現時点では“検討段階”です。Federal Register+1

信憑性の評価

  • 一次性・具体性:ロイターは名指しの議員+業界関係者を情報源に、制度の具体数値(3.75%、5年、エンジン拡大)まで提示。信頼性は高め。ただしホワイトハウスは未決を明言しており、“方向性は確からしいが確定ではない”が妥当。Reuters
  • 公的裏取り連邦官報/大統領布告/商務省の新リリース延長告示は未掲載(10/6時点)。公式アクション未了Federal Register+2Federal Register+2
  • 二次報道の妥当性「決定へ」「延長へ」という表現は市場の期待を要約したものの、事実関係は「検討」レベル。表現が先走りの可能性。Yahoo!ファイナンス+1

これからの「正式決定」の見極めポイント

  1. ホワイトハウスの新たな大統領布告(Presidential Action)の公表。The White House
  2. 連邦官報(Federal Register)への制度改定の告示(5年延長やエンジン拡大の条項追加)。Federal Register
  3. 商務省(ITA/Trade.gov)のニュースリリースでの運用詳細更新。Trade.gov

上記のいずれかが出れば「決定・実施」に相当します。現行は2027年4月末までの2年相殺が有効で、それ以降や拡大は未確定です。Federal Register


参考(背景)

  • 2025年春以降、米国は自動車・部品に対する232条の25%追加関税を発動(既存の関税に上乗せ)。相殺制度はその痛みを一部緩和する狙い。Auto Care
  • こうした関税圧力のもと、海外企業の米国内投資拡大が相次いでいることをロイターが総括(10/6)。Reuters

ベトナム(Viet Nam)のHSコード「事前教示」

ベトナム(Viet Nam)のHSコードに関する「事前教示(Advance Ruling/ベトナム語:Xác định trước mã số)」**の実務まとめです(確認日:2025‑10‑06)。


相手国の対応組織とURL

ベトナムの事前教示(HS分類)は**ベトナム税関総局(General Department of Vietnam Customs, GDVC)**が所管します。オンライン提出を含む公式サイト・様式は下記です

□ 総局トップ/問い合わせ
  https://www.customs.gov.vn/

□ 事前教示(HS分類)ガイダンス(VNTR内・英語)
  https://vntr.moit.gov.vn/administrative_rulings

□ 国家公共サービスポータル(手続ページ/分類)
  https://dichvucong.gov.vn/p/home/dvc-chi-tiet-thu-tuc-hanh-chinh.html?ma_thu_tuc=1.007807

□ 電子申請ポータル(GDVC Online Public Service:pus)
  https://pus.customs.gov.vn/

□ 申請様式(Form 01/XĐTMS/TXNK:申請書の雛形PDF)
  

クリックしてMau%2001%20PL%206%20TT38%20-%20xac%20dinh%20truoc%20ma%20so%20hang%20nhap%20khau.pdfにアクセス

出典(制度全体と入口の確認):VNTRの「Administrative rulings」ページ、国家公共サービスポータル、GDVCオンラインポータル等。Viet Nam National Trade Repository+2Dich Vu Cong+2


事前教示のプロセス

  • 提出時期輸出入の少なくとも60日前までに、完全な申請書類GDVCへ提出(オンライン/郵送/対面のいずれか)。Viet Nam National Trade Repository
  • 提出経路
    • オンライン(pus.customs.gov.vn)、
    • 郵送、
    • 直接持参(GDVC本庁の受付)。Dich Vu Cong
  • 審査・不受理:書類が不十分、他機関で調査中、既に同一品のコードが官庁文書で示されている場合などは不処理(不受理)Viet Nam National Trade Repository
  • 形式審査(5日)受領から5営業日以内に、要件不充足の場合は文書で拒否通知Viet Nam National Trade Repository
  • 結果通知完全書類の受領後通常30日/複雑案件60日結果(事前決定)を文書で通知し、税関データベースに登録・GDVCサイトで公表Viet Nam National Trade Repository

事前教示をもらうために必要な情報(最小パック)

  • 申請書Form 01/XĐTMS/TXNK(Circular 39/2018/TT‑BTC 付属書VI)。
  • 技術資料成分分析書/カタログ/写真等(サンプルは任意だが求められる場合あり)。
  • サンプル取扱い:分析・分類検査はCircular 14/2015/TT‑BTCの規定に従う。
    (いずれもVNTRの手順に明記)Viet Nam National Trade Repository+1

結果が出るまで必要な期間(目安)

  • 通常案件30日以内(完全書類受領から)。
  • 複雑案件60日以内
    (手続ページ・政令に一致する標準)Dich Vu Cong+1

事前教示の有効期間

  • 最長3年(総局長サイン日から起算)。
  • 事実相違・虚偽情報・法令改廃などがある場合は無効・取消となる旨を規定。Viet Nam National Trade Repository

事前教示を得るために必要な費用

  • 政府手数料公式手続ページに具体額の掲示なし(記載欄はあるが金額の明示は見当たらず)。
    実務上、分析・鑑定が伴う場合の実費が個別指示されることがあります。Dich Vu Cong

その他大切な項目(使い勝手に直結)

  • 拘束力と使途:GDVCが発する事前決定通知通関申告の根拠。ただし申請内容と実貨物が同一であること、法令不変が前提。Viet Nam National Trade Repository
  • 公表:結果通知は税関データベースへ登録され、GDVC公式サイトで公表される運用。実際にGDVCは「HSコードの事前決定通知(TB‑TCHQ)」を公開しています。Viet Nam National Trade Repository+1
  • 異議・再検討:内容に異議がある場合は**10営業日(通常)/30日(複雑)**で再検討結果を通知。Viet Nam National Trade Repository
  • 変更届出義務:申請対象品に変更が生じたら10営業日以内にGDVCへ文書通知。Viet Nam National Trade Repository
  • 提出先・方法の再確認:GDVC本庁の窓口提出に加え、**オンライン提出(pus.customs.gov.vn)**が公的Q&Aで明記。Dich Vu Cong
  • 提出タイミング60日前提出が公式ガイダンス(VNTR)に明記されているため、図面・分析等の補充時間も含め逆算が安全。Viet Nam National Trade Repository

すぐ使える実務TIP(チェックリスト)


まとめ(要点)

  • 窓口:GDVC(オンライン提出可)。
  • 提出60日前Form 01+技術資料(必要に応じサンプル)
  • 期間30日(通常)/60日(複雑)
  • 有効最長3年(同一事実・法令不変が前提、条件変更で失効)。
  • 手数料明記なし(分析等の実費は個別)。
  • 公開・再検討データベース登録・サイト公表異議は10/30日で回答
    (根拠:政令08/2015(改正59/2018)英訳、VNTR、国家公共サービスポータル、GDVC告知)Viet Nam National Trade Repository+2Viet Nam National Trade Repository+2