2025年8月8日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

国名関税率出所備考
日本15%(Reuters)既存税率15%以上品目への“積み上げ課税”を巡り日米で解釈対立(日本は回避、米国は適用余地)
欧州連合(EU)15%上限(既存15%以上は追加0%)(The White House)“no stacking” 条項を明文化
イギリス10%(ガーディアン)発効90日後に再協議予定
カナダ35%(ポリティコ)USMCA原産品は免除、第三国経由品には+40%の迂回防止課徴金
メキシコ25%(Al Jazeera)交渉継続のため25%を90日間据え置き
韓国15%(The White House)KORUS優遇なし、自動車等すべての品目対象
中国10%(暫定)→30%*(Al Jazeera)*8月12日まで10%、協議失敗時30%へ引上げ
インド50%(Bloomberg.com)既存25%+ロシア産原油問題で追加25%(21日猶予後発効)
ブラジル50%(Reuters)ボルソナロ訴追への報復とされ、WTO協議を要請
スイス39%(The White House)時計・精密機械産業に打撃
オーストラリア10%(ガーディアン)ベースラインのみ、増税回避
南アフリカ30%(The White House)鉱物・医薬品は一部除外
インドネシア19%(The White House)日米欧と並び枠組み合意済み
ベトナム20%(The White House)
フィリピン19%(The White House)
マレーシア19%(The White House)
台湾20%(The White House)中国圧力に配慮し個別レート設定
タイ19%(The White House)
トルコ15%(The White House)デジタル課税(DST)問題で追加措置の可能性
イスラエル15%(The White House)

補足

  • EU以外は「相互関税」を既存MFNに“上乗せ”する仕組みです。日本は「上乗せしない」と主張する一方、米国実務は依然不透明なため留意してください。
  • 中国の10%→30%移行やインドへの追加25%など、時限・条件付きの引上げが含まれます。実務適用前に HSコード単位で連邦官報・CBP通達を必ず確認してください。

日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”


日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”

2025年8月時点の最新状況

8月7日、米国は日本製品に対し15%の相互関税を発動しました。これに対し日本政府は「合意内容と異なる」と強く反発し、貿易摩擦が再燃する懸念が高まっています。


日本の立場:合意不履行への強い懸念

  • 合意の前提
    • 既存関税が15%以上の品目には新たな相互関税を課さない
    • 15%未満の品目は、既存関税と合わせて**上限15%**に抑える
  • 問題点
    米国の大統領令にはこの「上限」規定が反映されておらず、一部品目で実質的に15%超となる恐れが浮上。
  • 日本政府の対応
    • 「認識に齟齬はない」としつつ、米国に即時是正を要求
    • 閣僚レベルを含むあらゆる外交ルートで交渉を継続

米国の立場:貿易赤字是正が最優先

  • 基本方針
    対日貿易赤字の縮小が最重要課題。相互関税はその“圧力装置”と位置付け。
  • 追加関税の例
    鉄鋼・アルミ製品に**最大50%**の関税を課すなど、強硬姿勢を維持。
  • 優先順位
    「公平な取引」と赤字是正が大局的目標。合意細部よりも結果重視の姿勢が色濃い。

まとめ:交わらない優先順位

  • 日本:ルールに基づく合意履行を最重視
  • 米国:貿易赤字削減という結果を最優先
  • 不安定要因
    日本は法的整合性と手続きの正当性を訴え、米国は国内政治・経済のニーズを背景に“力の外交”を展開。両者の立場の隔たりが、今後の日米貿易関係を揺さぶる火種となっています。