2026年1月16日時点で公的情報として確認できる「世界で検討・交渉されているFTA/EPA」を、交渉中・署名済/発効待ち・検討中・中断/停止のカテゴリーで整理しました。WTOのRTAデータベースでは、通知済みで発効中のRTAが380件とされています。[rtais.wto]
本一覧は主要案件を中心に構成しており、各国・各地域が公式に更新している一次ソースも併記しています。
交渉中(公式交渉が進行中)
| 主体 | 案件 | ステータス | 直近のポイント | 実務で先に見る論点 |
|---|---|---|---|---|
| EU | EU-インド(FTA/投資保護/GI) | 交渉中 | 2026年1月27日に署名予定と報道[india-briefing] | 工業品関税、農産品、データ/デジタル、GI、持続可能性条項 |
| EU | EU-豪州FTA | 交渉中(2018年開始) | 交渉継続中 | 農業市場アクセス、GI、原産地規則(累積・許容度) |
| EU | EU-マレーシアFTA | 交渉中(2025年再開) | 再開済みとしてEUが明示 | 電機・化学の関税/非関税、TBT、サプライチェーン規律 |
| EU | EU-フィリピンFTA | 交渉中 | EU側一覧で交渉中と整理 | 自動車・電機、サービス、投資、労働・環境条項 |
| EU | EU-タイFTA | 交渉中(2023年再開) | 再開をEUが明示 | 自動車・電機の関税/ROO、TBT、持続可能性条項 |
| EU | EU-UAE FTA | 交渉中(2025年再開) | EU側一覧で交渉中 | ルール整備(投資・サービス・調達)、制裁/輸出管理との整合 |
| 日本 | 日トルコEPA | 交渉中 | 外務省の交渉中リストに掲載 | 自動車・化学・鉄鋼、ROO(CTC/VA)、累積の設計 |
| 日本 | 日コロンビアEPA | 交渉中 | 外務省の交渉中リストに掲載 | 自動車部品、農産品、原産地証明運用 |
| 日本 | 日中韓FTA | 交渉中 | 外務省の交渉中リストに掲載 | サプライチェーン累積、機微品目、ルールの収斂 |
| 日本 | 日バングラデシュEPA | 交渉中 | 外務省の交渉中リストに掲載 | 繊維・縫製ROO、通関円滑化、投資・人の移動 |
| 日本 | 日GCC EPA | 交渉中 | 2024年からの交渉再開方針に言及 | エネルギー・化学、投資、原産地(域内加工) |
| 日本 | 日UAE EPA | 交渉中 | 外務省の交渉中リストに掲載 | デジタル/データ、サービス、政府調達 |
| 英国 | 英-韓(高度化FTA) | 交渉中 | 交渉優先案件として明記 | サービス・デジタル、原産地の簡素化、TBT |
| 英国 | 英-スイスFTA | 交渉中 | 交渉優先案件として明記 | 医薬・精密機器、原産地、金融/データ |
| 英国 | 英-トルコ(高度化) | 交渉中 | 交渉優先案件として明記 | 自動車・繊維、原産地累積、関税割当 |
| 英国 | 英-GCC FTA | 交渉中 | 交渉中と整理 | エネルギー、政府調達、サービス/人の移動 |
| カナダ | カナダ-ASEAN FTA | 交渉中 | 2026年の妥結目標に言及 | 自動車・電機のROO、原産地自己申告/証明、関税削減表 |
| カナダ | カナダ-フィリピンFTA | 交渉中 | 2025年11月5日に交渉開始意向を公式通知 | 農水産・電機、SPS/TBT、原産地と証明運用 |
| カナダ | カナダ-メルコスールFTA | 交渉中(再開) | 交渉再開を公式発表 | 農産品・鉱物、投資、政府調達、累積/不足分の扱い |
| カナダ | カナダ-UAE CEPA | 交渉開始 | 2026年2月に第1回交渉ラウンド開始予定[visahq] | エネルギー、投資、サービス、輸出管理の整合 |
| インド | インド-複数国FTA | 交渉中 | インド政府が「進行中のFTA交渉」として列挙 | 対象が多いので品目別に優先度付け(EU/米/豪/NZ/韓/ペルー等) |
| EAEU | EAEU-モンゴル(暫定/一時協定) | 交渉開始 | 2024年5月8日に交渉開始をEECが公表 | 限定品目の関税撤廃・軽減、品目表と原産地運用 |
交渉終結・署名済み・発効待ち(実務影響が近い)
| 主体 | 案件 | 現状 | 直近のポイント | 実務で先にやること |
|---|---|---|---|---|
| EU-メルコスール | パートナーシップ協定+暫定貿易協定 | 署名・批准プロセス段階 | 2026年1月17日にパラグアイで署名[portugalglobal] | 影響品目(農産・自動車・化学)をHS別に棚卸し、ROO要件と証憑を先行設計 |
| EU-メキシコ | 近代化グローバル協定 | 交渉終結→採択/批准待ち | 2025年1月17日に交渉終結、2025年9月3日に署名・締結に向けた提案採択 | 既存協定との差分(関税/調達/原産地)をギャップ分析 |
| EU-インドネシア | CEPA/投資保護 | 交渉終結(2025年9月23日) | EUが「交渉を最終化」と公表 | 対象品目の関税スケジュール、パーム油等のセンシティブ領域、原産地手当 |
| EU-シンガポール | デジタル貿易協定(DTA) | 署名済み・発効待ち | 2025年5月7日署名、双方の批准後に発効[eurocham.org] | 越境データ、電子契約/署名、ソースコード等の条項を社内規程に反映 |
| EU-チリ | 暫定貿易協定(ITA)+枠組み協定(AFA) | ITAは発効、AFAは批准待ち | ITAは2025年2月1日発効、AFAは加盟国批准待ち | ITAで使える特恵の適用開始(CO/ROO手順)を先に運用化 |
| EFTA-メルコスール | FTA | 署名済み・発効待ち | 2025年9月16日署名、発効は未了 | 欧州向け(EFTA4国)輸出のROO・証明書式を事前準備 |
| 英国-インド | 貿易協定 | 署名済み・発効待ち | 英政府が「署名済み未発効」に整理 | 英向け・印向けの関税削減表と原産地証明の運用設計 |
| EAEU-インドネシア | FTA | 署名済み・発効待ち | 2025年12月21日署名とEECが公表[global-scm] | EAEU向け(180百万人市場)で、対象関税ライン・ROOの事前検証 |
| EAEU-イラン | FTA | 発効済み(2025年5月15日) | 90%程度の品目を対象とする旨の説明 | 既存取引がある企業は、適用開始済みとして遡及・証憑整備を確認 |
検討中(アクセス審査・共同研究・参加申請など)
| 区分 | 案件 | 現状 | 根拠(一次情報) | 実務の意味合い |
|---|---|---|---|---|
| メガFTAの参加 | CPTPP:コスタリカ | 参加作業部会で協議継続 | 作業部会設置の決定文書 | 加盟時にROO累積と関税削減の適用範囲が広がる可能性 |
| メガFTAの参加 | CPTPP:ウルグアイ | 参加作業部会を設置しプロセス開始 | 2025年11月に公式決定[dfat.gov] | 中南米サプライチェーンに波及 |
| メガFTAの参加 | CPTPP:2026年に開始し得る候補 | UAE、フィリピン、インドネシア(条件付き) | 共同閣僚声明等で明示 | 中東・ASEANの累積設計が変わる。輸出入双方で影響 |
| メガFTAの参加 | CPTPP:その他申請国 | 中国、エクアドル、台湾、ウクライナ等の申請があるとの整理 | 英議会資料に申請国一覧 | 地政学リスクも含め、採否でサプライチェーン戦略が変動 |
| メガFTAの参加 | RCEP:参加打診 | 香港、スリランカ、チリ、バングラデシュ等が参加を模索 | 2025年9月のASEAN経済閣僚会合で言及[thestar.com] | 累積原産地の範囲拡大や品目別関税の再計算が必要になる可能性 |
| 共同研究 | 日イスラエルEPA | 可能性検討の共同研究実施中[arabnews] | METIが共同研究実施を掲載 | 交渉入り前でも、想定論点(デジタル・投資)を先読み可能 |
| アフリカ域内 | AfCFTA:追加議定書・附属書 | デジタル貿易等の議定書採択後、附属書などの作業が残る | AU関連資料で採択・交渉アジェンダに言及 | アフリカ向け取引は、関税だけでなくデジタル/規制面が段階的に整備される |
中断・停止(再開リスクがあるので注意)
| 主体 | 案件 | 現状 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 日韓EPA、日加EPA | 中断 | 外務省が「In Suspension」として掲載 |
| EU | EU-GCC(国別)など | 長期停止の案件がEU一覧に整理 | バーレーン等は2008年以降停止など |
企業実務としての使い方(この一覧を意思決定に落とすポイント)
交渉中案件:原産地規則と証明運用の変化が早く効く
交渉中の協定では、関税率そのものよりも、原産地規則と証明運用の変化が実務コストに直結します。特に、累積(域内累積・二国間累積)、デミニミス、CTCの粒度、自己申告の可否、電子CO/データ交換などが重要です。EUや日本の公式一覧を定点観測することで、早期に対応できます。
採択/批准待ち案件:発効日が見えた瞬間に社内対応が集中する
EU-メルコスール、EU-メキシコ、EU-インドネシアなどは、交渉終結済みとしてEUが整理しており、発効準備(HS別影響分析、ROO証憑、サプライヤー宣誓取得)を先に進める価値があります。[reuters]
参加申請(CPTPP/RCEP):候補国が自社の生産国・調達国に含まれるかで監視優先度が決まる
CPTPPは、コスタリカ・ウルグアイの作業部会に加え、2026年に開始し得る候補が共同声明等で明記されています。採否が不確実でも、候補国が自社のサプライチェーンに含まれる場合は、優先的に監視すべきです。[gub]
一次ソース参照先
- WTO RTA Database[rtais.wto]
- EU Trade Agreements[portugalglobal]
- 日本外務省EPA一覧
- カナダ Global Affairs Canada[reuters]
- 英国政府 Trade Agreements
- ASEAN経済閣僚会合声明[reuters]





