メキシコ政府による「中国およびその他FTA非締約国からの完成車に対する最大50%関税」方針

エグゼクティブ・サマリー

メキシコ政府は2025年9月9日、中国などメキシコとFTAのない国から輸入される完成車の関税を、現行約20%から最大50%に引き上げる方針を議会に提出しました。これは2026年経済パッケージに含まれる大規模な関税改定案の一部です。whitecase+1

対象国は中国だけでなく、韓国、インド、インドネシア、ロシア、タイ、トルコなど、メキシコとFTAを結んでいない主要自動車輸出国全般に及びます。reuters

対象品目は完成車(乗用車・貨物車)が最大50%、自動車部品や鉄鋼・繊維なども10〜50%の幅で関税引上げが提案されており、対象品目は1,463〜1,500超のHSコード、輸入額ベースで約520億ドル(全輸入の約8.6%)に及びます。mex.news.o-abroad+2

重要な点として、本措置はMFN(最恵国)関税のみが対象であり、USMCA(米国・カナダ)、日墨EPA、EU–メキシコ協定などFTA/EPA経由の輸入には適用されません。whitecase

現状(2025年11月時点)では、本提案は議会審議中であり、承認が遅れる可能性も指摘されています。ただし与党連合が上下両院で多数を握っているため、可決される可能性は高く、承認されれば2026年初に発効し、2026年12月31日までの「時限措置」として実施される見込みです。insightplus.bakermckenzie+2

日本企業への影響は、中国など非FTA国からメキシコ向けに輸出している完成車・部品ビジネスには強い逆風となる一方、日本・EU・米加産の車両・部品の相対的競争力向上、およびメキシコ現地生産・調達の追い風という、攻守両面のインパクトが想定されます。blogs.tradlinx+1


政策の概要

法的枠組みと位置づけ

2025年9月9日、メキシコ政府は「2026年経済パッケージ」を議会(下院)に提出し、その中で「一般輸入税・輸出税法(LIGIE)」改正のための立法措置を提案しました。insightplus.bakermckenzie+1

この提案は、メキシコのWTO約束税率(バウンドレート)の範囲内で、MFN輸入関税を最大50%まで大幅引上げする内容であり、主な対象産業に自動車・鉄鋼・繊維・プラスチック・玩具等が含まれます。whitecase

従来の措置との違いとして、2024年に実施された関税引上げは大統領令(政令)による時限的なものでしたが、今回は議会承認を経ることで法的安定性を高め、訴訟リスクを低減する意図があります。whitecase

完成車に対する最大50%関税

複数の報道と法務解説によれば、完成車に関するポイントは以下の通りです。

対象品目(例示)

  • HS第87類のうち、乗用車・レーシングカー(8703)、貨物用自動車(8704)などの完成車が、新たに「50%」のMFN税率に引き上げられるカテゴリーに含まれます。blogs.tradlinx+1

現行との比較

  • 中国など非FTA国からの完成車:現行 約20% → 最大50% に引上げ。reuters

対象国(代表例)

  • 中国、韓国、インド、インドネシア、ロシア、タイ、トルコなど、いずれもメキシコとFTA/EPAを締結していないため、MFN税率が適用される国です。reuters

適用期間とスケジュール

議会審議状況: 2025年11月時点では、承認が遅れる可能性も指摘されています。一部報道では、2025年12月15日の通常会期終了前に採決される可能性があるとされていますが、確定していません。mex.news.o-abroad+1

発効時期: 議会承認・官報(DOF)公布後、早ければ2026年1月1日に発効する見込みです。insightplus.bakermckenzie+1

適用期間: 提案では2026年12月31日までの時限措置とされていますが、延長の可能性も排除されていません。whitecase

政治的背景: 与党連合が議会で多数を占めていることから、基本方針は維持されたまま可決される可能性が高いと見られています。insightplus.bakermckenzie+1


背景:なぜメキシコは「50%」という高関税に踏み切るのか

中国製自動車の急増と価格懸念

中国は近年、メキシコ向け自動車輸出で最大の供給国となっており、2024年には約44.5万台を輸出したとされています。メキシコ市場における中国ブランドのシェアは、統計により9.5%~30%と幅がありますが、廉価EV・低価格車を中心に短期間で急伸していることは共通しています。reuters

メキシコ経済相マルセロ・エブラルド氏は、「中国車などが参照価格を下回る水準で流入しており、個別のアンチダンピング調査では追いつかないため、関税そのものを引き上げる」と説明し、国内産業を守るための「防御策」であると強調しています。wsws+1

また、メキシコの対中貿易赤字は2024年に1,200億ドルに達し、過去10年で倍増しており、2025年前半だけで570億ドルを超えています。wsws+1

米国の圧力とUSMCA 2026年見直し

米国は、中国製EVや完成車が「メキシコ経由で米国市場に流入すること」を強く警戒しています。reuters

米シンクタンクCSISのマリアナ・カンペロ氏は、「米国は、中国がメキシコを経由してUSMCAを”裏口”として使うことを認めないだろう」とコメントしており、メキシコの今回の措置は「USMCA 2026年レビューを前に、米国との関係を良好に保つための『対米配慮』」と分析されています。reuters

USMCA見直しの時期: メキシコ経済省によれば、USMCAの正式な見直しは2025年10月に開始され、2026年7月1日に完了予定とされています。wyche

同時に、トランプ前大統領は2025年7月にメキシコ産品に対して30%の関税を課す可能性を示唆しており、メキシコとしては「米側の追加関税を避けつつ、国内自動車産業と雇用を守る」という難しいバランスを取ろうとしていると言えます。wyche

Plan Méxicoと国内産業保護

メキシコ政府は2025年初から、「Plan México」の下で、既に約500品目(主に鉄鋼・アルミ・一部自動車部品)に5〜25%の追加関税を導入済みであり、2026年パッケージはその延長線上に位置付けられています。whitecase

政府説明では、過度な輸入依存により「国内の重要な生産部門が失われ、外部ショックへの脆弱性が高まった」こと、近年の「ニアショアリング」潮流を踏まえ、国内付加価値とローカルコンテンツを引き上げたいという意図が明記されています。whitecase

エブラルド経済相は、今回の措置により約32.5万人の産業・製造業雇用を保護できると試算しています。reuters


関税の具体像:どの国の、どの車に効いてくるのか

対象となる完成車・部品のイメージ(HSベース)

完成車(CBU)

  • HS 8703:乗用車・ステーションワゴン・レーシングカー
  • HS 8704:貨物用自動車
  • → MFN税率:50%blogs.tradlinx+1

自動車部品(例示)

  • HS 8708:車両の部分品・付属品
  • 一部のプラスチック部品(HS39類)、アルミ部品(HS76類)など
  • → 10〜50%のレンジで個別に設定whitecase

その他主要産業

  • 鉄鋼・アルミ:約35%
  • 繊維・衣類:10〜50%
  • 玩具・二輪車:約35%reuters+1

注意点: 最終的な税率は、政令の条文(HS6〜8桁レベル)で確定するため、各社は自社製品のHSコードベースで個別確認が必須です。whitecase

対象国:FTAあり/なしで明確に線引き

関税引上げの対象

  • 中国、韓国、インド、インドネシア、ロシア、タイ、トルコなど、メキシコとFTAを締結していない国。reuters

関税引上げの対象外(FTA/EPAにより優遇)

  • 米国・カナダ:USMCA
  • 日本:日墨EPA
  • EU諸国:EU–メキシコ・グローバル協定whitecase

重要な注意点: これらの国からの輸出であっても、原産地規則(RoO)を満たさない車両・部品は「非原産品」とみなされ、50%関税の対象になり得ます。whitecase


影響分析:誰が損をし、誰が得をするのか

メキシコ自動車市場・価格への影響

政府試算では、今回の関税引上げパッケージ全体で、対象輸入は520億ドル(全輸入の約8.6%)、平均MFN税率は16.1% → 33.8%に上昇する可能性が指摘されています。reuters

短期的には、中国車などの値上がり前の「駆け込み輸入・販売」が起こり、一時的にシェアがさらに伸びる可能性があります。blogs.tradlinx

中長期的には、低価格帯を中心に値上がりし、メキシコ国内生産車(メキシコ・米・日・欧ブランド)の価格競争力が相対的に高まると見込まれています。blogs.tradlinx

中国・その他非FTA国OEM/サプライヤーへの影響

中国側は本措置に強く反発し、「外部からの圧力や様々な口実による制限に断固反対する」と表明し、必要に応じて「対抗措置も検討」としています。reuters

自動車セクターでは、車両:20% → 50%、部品:現行 → 最大50%への関税引上げが想定されており、中国製完成車・部品をメキシコ向けに輸出するビジネスモデルは大きな見直しを迫られます。blogs.tradlinx+1

BYD・Cheryなど既にメキシコ工場計画を発表していた企業は、「メキシコで現地生産し、USMCAを通じて北米市場にアクセスする」戦略を加速するか、逆に計画を見直すかの分岐点に立たされています。blogs.tradlinx

日本・EU・米加の完成車メーカーへの影響

FTA/EPAを持つ日本・EU・米加の完成車メーカーは、関税面で直接のマイナス影響を受けない一方、中国など非FTA国の車両が50%関税を負うことで、相対的な価格競争力が大きく改善します。blogs.tradlinx+1

ただし、以下のようなケースは注意が必要です:

  • 日本メーカーが中国工場からメキシコへ完成車を輸出している場合 → その車両は中国原産扱いとなり、50%関税の対象になるリスクwhitecase
  • 日墨EPAを利用しているが、原産地基準をギリギリで満たしているモデル → 中国・韓国等非FTA国の部品比率が高い場合、将来の原産地検証でリスクが高まるwhitecase
  • EUメーカーが中国製EVを自社ブランドで輸入・販売している場合 → 影響を受ける可能性whitecase

北米サプライチェーン全体への波及

メキシコはUSMCAの下で米国向け自動車輸出の重要生産拠点であり、今回の措置は、「中国製車両・部品 → メキシコ → 米国」の回廊を抑制する方向に働きます。blogs.tradlinx+1

結果として、北米3カ国の間で「より閉じたブロック経済圏」が強まり、非FTA国からの参入ハードルが上がる一方、日本・EUなど既存FTAパートナーは、北米サプライチェーンへの組み込みを深める好機ともなり得ます。blogs.tradlinx+1


日本企業へのインプリケーションとチェックポイント

日本の完成車メーカー

日本→メキシコ向け輸出/メキシコ現地生産ともに、大枠では「プラス要素」が多いものの、以下の点を要チェックです。

輸出ルート別の影響整理

  • 日本工場 → メキシコ(原産地要件を満たし日墨EPA利用) → 関税引上げの直接影響なしwhitecase
  • 中国工場 → メキシコ(日本ブランドだが中国製) → 中国原産として50%関税の対象となる可能性whitecase
  • メキシコ工場 → 米国・カナダ(USMCA利用) → 中国製部品・バッテリー比率が高いと、将来の原産地検証や米国側の追加措置のリスクwhitecase

価格・商品ポートフォリオ戦略

  • 中国・韓国ブランドが撤退・値上げした価格帯を、メキシコ現地生産の小型車・コンパクトSUV・エントリーEVで取りに行く余地blogs.tradlinx
  • 逆に、自社が中国生産に依存しているエントリーモデルは、生産拠点の移管(日本/メキシコ/他FTA国)を検討する必要whitecase

日本の自動車部品・素材メーカー

中国や非FTA国からメキシコへ輸出している案件

  • 日系企業であっても、輸出国が中国・インド・ASEAN(非FTA)であれば50%関税の対象になり得ますwhitecase
  • まずは「HSコード × 原産国 × メキシコ向け売上」一覧を作成し、影響額を試算することが重要ですwhitecase

メキシコ現地生産・調達の機会

  • 中国など非FTA国製の部品が高関税となることで、メキシコ現地生産、あるいは日本・米・EUからのFTAベース調達へのシフトが起こる可能性が高いblogs.tradlinx+1
  • 日本のTier1・Tier2にとって、メキシコ増産・新規拠点設立の投資案件が増える可能性がありますblogs.tradlinx

商社・物流・金融機関

商社・物流

  • 2025年末〜2026年初にかけて、中国・韓国・インドなどからの「駆け込み輸出」対応(在庫・港湾・通関キャパ)が必要blogs.tradlinx
  • その後は、物流量の減少と貨物構成の変化(CBU→CKD/SKD・部品)に備えたネットワーク再設計が課題blogs.tradlinx

金融機関

  • 中国企業・メキシコ企業向けの既存融資のリスク評価(事業計画の前提価格・数量の見直し)whitecase
  • 日本企業によるメキシコでのM&A・JV案件(部品・物流・販売網)の増加に備えたサポート体制構築blogs.tradlinx

今後のシナリオと実務上のアクション

シナリオ(2025〜2027年)

ベースラインシナリオ

  • 2025年末までに議会承認 → 2026年初に発効 → 2026年末まで50%関税を含む高関税が継続insightplus.bakermckenzie+1

延長・強化シナリオ

  • 2026年末の段階で、メキシコ政府が関税の延長(2027年以降)あるいはより選択的な制度(特定国・特定品目に継続)を導入する可能性whitecase

遅延・緩和シナリオ

  • 議会承認が遅れ、2026年の発効が遅れる可能性mex.news.o-abroad
  • 中国との関係悪化やWTOでの問題化を避けるため、政治的なディールにより税率引下げや適用除外が検討される可能性もゼロではありませんreuters

日本企業が今取るべき具体的アクション(チェックリスト)

自社影響の定量把握

  • 「製品別HSコード × 原産国 × メキシコ向け売上」を一覧化
  • 現行20% vs 50%での粗利・販売価格へのインパクト試算whitecase

原産地戦略の見直し

  • 日墨EPA・USMCA・EU–メキシコ協定などを活用した原産地基準(RoO)の再確認・構成変更
  • 中国・非FTA国からの調達比率が高い場合、サプライチェーンの再設計を検討whitecase

価格・契約条件の見直し

  • メキシコ向け長期契約について、関税変動条項(tax/tariff adjustment clause)の有無と、価格改定の交渉余地を確認whitecase

現地情報の継続的モニタリング

  • メキシコ官報(DOF)、経済省・財務省の発表、業界団体(AMIA、AMDA など)のコメントを継続フォローmex.news.o-abroad+1

メキシコ現地パートナーとの連携強化

  • 通関業者・現地法律事務所と連携し、実際のHSコード・適用税率・通関実務への影響を早期にキャッチアップwhitecase

まとめ

今回のメキシコの50%関税方針は、単なる「中国たたき」にとどまらず、以下を意味します:wsws+2

  • 非FTA国に対するMFN関税の大幅引上げ
  • USMCAを軸にした北米ブロック化の加速
  • ニアショアリング/ローカルコンテンツ重視への明確なシフト
  • メキシコの対中貿易赤字削減と国内雇用保護

日本企業にとっては、中国・非FTA国拠点からのメキシコ向け輸出ビジネスには大きな再設計が必要である一方、日本・メキシコ・米国・EUとのFTAネットワークを活かした「良いポジション」を取るチャンスでもあります。blogs.tradlinx+1

まずは、自社のメキシコ向けビジネスをHSコード・原産国単位で棚卸しし、「どこで50%関税リスクを負っているのか」「どこで相対的優位を取れるのか」を可視化することが、実務的な第一歩と言えます。whitecase

  1. https://www.whitecase.com/insight-alert/mexico-proposes-significant-customs-and-tariff-reforms-part-2026-economic-package
  2. https://www.reuters.com/business/autos-transportation/mexico-raise-tariffs-cars-china-50-major-overhaul-2025-09-10/
  3. https://mex.news.o-abroad.com/~/economy/178543-en-mexico-doubts-over-tariff-reform-approval-70-billion-peso-revenue-expected.html
  4. https://insightplus.bakermckenzie.com/bm/international-commercial-trade/mexico-initiative-to-reform-the-customs-law-and-the-tariff-of-the-general-import-and-export-tariffs-law
  5. https://blogs.tradlinx.com/mexico-eyes-50-auto-tariffs-on-china-what-it-means-for-lsps-shippers/
  6. https://www.wsws.org/en/articles/2025/09/22/oyqn-s22.html
  7. https://wyche.com/the-evolving-tariff-landscape/
  8. https://www.congress.gov/bill/119th-congress/house-bill/5926/text/ih?overview=closed&format=xml
  9. https://www.csis.org/analysis/usmca-review-2026
  10. https://mexicobusiness.news/trade-and-investment/news/mexico-prepares-2026-tariff-reform-amid-global-uncertainty

2025年10月25日発表「対カナダ関税追加10%ポイント引き上げ」

以下は、2025年10月25日(米国時間)にトランプ大統領が発表した「対カナダ関税を追加で10%ポイント引き上げ」の現時点で判明している要点と、既存の関税制度との関係をAIの力を借りてまとめたものです。

発表内容(速報ベース)

10月25日、トランプ大統領がカナダへの関税を「現在の税率にさらに10%ポイント上乗せする」とSNSで表明しました。発表の直接のきっかけは、オンタリオ州政府が米国内で放映した反関税TV広告(レーガン元大統領の発言を引用)への反発とされています。これに先立ち、米国は広告問題を理由にカナダとの通商協議を打ち切っていました。

対象品目や発効時期などの実務詳細は、公式告示が未公表のため未確定です。主要紙も「どの品目にどう適用されるかは現時点で不明」と報じています。

重要:現場での運用は大統領布告・商務省/税関(CBP)通知が出て初めて確定します。現時点では「追加10%ポイント」の方針表明段階です。

既存の対カナダ関税の枠組み(2025年時点)

USMCA適合品:原産地規則等を満たす大半の対米輸出は依然として無関税。2025年夏時点で対米加輸出の多くが関税非課税と報じられています。

USMCA非適合品(一般品):2025年8月1日から25%→35%に引上げ済み。

エネルギー関連:10%(国別追加関税の区分として明示)。

鉄鋼・アルミ:通商拡張法232条に基づき2025年6月4日から50%(英国のみ25%枠)。

自動車・同部品:25%(製品別の追加関税として明示)。

なお、米国は2025年4月5日から「ほぼ全輸入に最低10%関税(ベースライン)」を徴収開始していますが、対カナダではUSMCA適合品の無税枠が大きく残っています。

「追加10%ポイント」で想定される影響(シナリオ)

正式な告示が出るまで断定はできませんが、大統領の言い回しは「今払っている税率に10%ポイント上乗せ」と解釈されるため、カナダ原産で既に課税されている品目に広く加算される可能性があります。想定シナリオを整理すると:

区分現行(参考)追加10%適用と仮定した場合の見込み
USMCA適合品0%0%のまま(無税枠が維持されれば変化なし)
USMCA非適合の一般品35%45%
エネルギー10%20%
鉄鋼・アルミ(232条)50%60%
自動車・同部品25%35%

※上表は「一律に+10%ポイント」が適用される場合の試算イメージです。実際の対象範囲が限定される(例:USMCA非適合品のみ等)可能性もあり、最終は官報・布告待ちです。

:USMCA非適合の一般品を10万ドル輸入する場合、現行35%=3.5万ドルの関税 → 追加10%ポイントで45%なら4.5万ドル。差額1万ドル増。

背景事情

2025年春以降、米国は「ベースライン10%」や国別・品目別の高関税を段階的に導入しています。対カナダでは8月の35%(非USMCA品)に続くさらなる圧力となります。

今回の「10%上乗せ」は、オンタリオ州の反関税広告(レーガン発言引用)への報復色が濃い、政治的経緯を伴う措置です。

企業の実務対応チェックリスト

HS分類・原産地判定の再確認:USMCA適合化(原産地規則・RVC・関税分類変更)で関税ゼロに戻せないか直ちに検討。

関税負担のシナリオ試算:上記の+10%ポイントを前提に、製品別の実効税率・原価・価格転嫁を再計算。

在庫・通関タイミング:発効日確定後は通関日/引取り時点で税率が決まるのが通例。入港スケジュールを調整。

鉄鋼・アルミ・自動車等の品目別規制:232条50%や自動車25%など、既存の高率関税に重畳適用され得るかを注視。

公式告示のフォロー:大統領布告・商務省/CBPの実装通知(HTS追加注記・適用除外・移行措置等)を一次情報で確認。

今後の見通し

対象や発効日の詳細は未公表です。ホワイトハウスや商務省からの正式文書が出るまでは、社内ルールを「暫定→正式」に切り替える準備段階です。

米連邦最高裁は11月5日に広範な関税(IEEPAベース)の適法性を審理予定との報道もあり、法的リスクも交錯しています。

カーニー首相は協議再開に前向きと発言していますが、両首脳は直近のASEAN/APECに出席予定である一方、首脳会談の具体的計画は報じられていません。

まとめ

今回の「10%引き上げ」は「追加の10%ポイント」という宣言で、どの品目にどう重なるかは告示待ちです。実務上はUSMCA適合化(無税化)と非適合品の関税再試算が当面の肝になります。

米中関税交渉・動向 最新アップデート

2025年10月24日(米国時間)時点:米中関税交渉・動向 最新アップデート

全体要点

  • 新たな交渉ラウンド:米財務長官スコット・ベッセントとUSTRジャミソン・グリアーは、クアラルンプールで中国の何立峰副首相と会談中。大型関税エスカレーション回避と、トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談実現への道筋が目的。注目点は中国のレアアース輸出規制とこれに対する米国の対応。
  • 100%追加関税の予告:トランプ大統領は2025年11月1日から中国からの輸入品に追加で100%関税(現行関税に上乗せ)を課すと表明。ただし中国側対応次第で変更の可能性も示唆。この「追加関税発動」が目下のデッドラインとなっている。
  • 関税休戦の延長:8月12日に両国は高関税発動を回避する90日休戦延長で合意。これにより11月10日まで米30%、中10%の暫定関税水準が維持されている。
  • “Phase One”履行調査:USTRは2020年「Phase One」合意の履行状況について新たな301条調査を開始。追加関税発動の法的根拠拡充を意図。
  • 301条除外品目(178品目)の延長:USTRは11月29日まで特定品目に対する関税除外を延長済。該当HSコードは引き続き除外対象。

関税水準とリスク

  • 現状:8月の協議延長により11月10日までは「米30%:中10%」水準の関税休戦が継続。
  • 上振れリスク:トランプ大統領による「11/1から追加100%」の表明が実行されれば、休戦期限前倒しで関税水準が急上昇する可能性。
  • 対抗措置:レアアース規制拡大に加え、米国は米製ソフト利用製品の対中輸出規制強化なども検討中。

今後の注目日程

  • 11月1日:米国の追加100%関税の発動想定日(交渉進展により変更・撤回の可能性も)。
  • 11月10日:関税休戦延長(90日)の期限。トランプ-習会談もこの前後が節目に。
  • 11月29日:301条除外品目(178)の延長期限。以後の延長要否についてパブコメ手続・官報を要監視。

交渉の主要論点

  • レアアースの安定供給:中国の管理強化により米側は防衛・半導体・EV分野などサプライチェーンの影響を懸念。
  • 輸出管理 両国の応酬:米国はソフトウェア規制拡張を検討中で、AIチップや先端装置にも波及しうる。
  • “Phase One”履行・農産品購入拡大:米国は中国に大豆などの追加購入コミットを要求中。
  • 制制度是正:知財、強制移転、農業・金融サービスの体制面の履行状況も再検証。

企業対応チェックリスト

短期(〜11/10)

  • 船積み前倒し検討(到着日ではなく通関時税率適用に注意)。
  • 301条除外適用(〜11/29)HS再確認と申告書類整備。
  • 価格条項見直し(追加関税転嫁ロジック織り込み)。

中期(〜年末)

  • レアアース等サプライチェーン二線化推進。
  • 重層規制リスク(関税・輸出管理・制裁)のリスト化・管理。
  • 官報・USTRパブコメ監視の定期化。

補足・時系列ハイライト

  • 7/29:ストックホルム協議で休戦延長方針一致(最終判断は米大統領判断)。
  • 8/12:休戦延長で合意、暫定関税水準維持開始。
  • 10/10:トランプ大統領「11/1から100%関税追加」表明。
  • 10/22以降:米国が米製ソフトを利用した対中輸出の包括規制検討。
  • 10/24:クアラルンプールで米中実務協議、USTRがPhase One履行調査着手。

結論・注意喚起

最短11/1、遅くとも11/10が大きな分岐点です。「レアアース規制緩和と100%追加関税提案」のバーター的な妥協が現実的ですが、交渉決裂の場合は急激な関税引き上げ+輸出規制強化シナリオに要警戒です。各社は最新動向を見極め、輸入・生産・契約の「関税セーフティネット」を即点検してください。


参考・出典

  • クアラルンプール実務協議
  • トランプ大統領 100%追加関税表明
  • 関税休戦(〜11/10)延長と現行水準
  • 301条除外品目延長

(必要に応じ一次英文もご提供可能です。)

発表されたアメリカのトラックに対する関税に関して企業の経営者への情報

エグゼクティブ・ブリーフ(2025年10月19日/JST)

何が決まったか(超要約)

対象品目と関税率
中・大型トラック(クラス3~8)および部品に25%、バスに10%の関税を賦課。国家安全保障(通商拡大法232条など)を法的根拠とする大統領布告により発効します。

発効日時
米東部夏時間(EDT)2025年11月1日0:01(日本時間11月1日13:01)

USMCA適格車両の取り扱い
USMCA特恵要件を満たすトラックは、米国コンテンツを除く価値部分のみに25%を課税します(米国コンテンツ分は免除)。商務省への申請・承認プロセスが必要です。

USMCA適格部品
課税方式が連邦官報で確定するまで一時的に対象外とします(ただしCKD/EKD等のノックダウン・キットは常に課税対象)。

相殺プログラム(オフセット)
米国内で最終組立したMHDVについて、メーカーは車両価値の3.75%相当を関税相殺枠として2030年10月31日まで積み上げ可能です。エンジンメーカーにも同等制度を設定します。自動車分野の既存相殺制度も2030年まで延長されます。

関税の重ね掛け(スタッキング)
本布告の対象品は、鋼・アルミ・銅・自動車・木材等のセクター関税や相互関税との重ね掛けを回避します。ただし、素材・非対象部材に対する別関税は継続します。

業界インパクトの含意
メキシコ組立比率が高いOEMは原則コスト増となります。ただし米国部材比率(U.S. content)を高めて証明できれば実効税率を低減可能です。米国内組立は3.75%相殺により相対優位となります。メキシコが米向けトラック輸出の最大供給国である点から、サプライチェーン再配置圧力は強まります。


影響の見える化(簡易式とシナリオ)

USMCA適合トラック(メキシコ/カナダ組立)の関税額目安

実効関税 ≒ 25% × (1 − 米国コンテンツ比率)

計算例

  • トラック価額:180,000ドル
  • 米国コンテンツ:30%
  • 実効税率:25% × 70% = 17.5%
  • 関税額:約31,500ドル

※米国コンテンツの定義・算定は商務省の承認が必要です。虚偽申告には同型全量に対し全額25%適用の制裁条項があります。

米国内最終組立の相殺効果
相殺枠=車両価値の3.75%を、輸入部品の232関税等の負担とネット相殺に活用可能です(エンジンも同様)。


実務上の重要ポイント(法令運用)

USMCA適格部品の猶予措置
課税方式確立前は25%非課税とします(ただしCKD/EKDは課税対象のまま)。連邦官報告示を待つ必要があります。

FTZ(外国貿易ゾーン)の取り扱い
特恵外国(Privileged Foreign)ステータスでの入庫が必須となります。国内移出時に当該関税が適用されます。

車齢による除外
25年以上前の車両は対象外です(8702のバス含む)。

法的基盤と訴訟リスク
232条に加え、IEEPA・1974年通商法604条も布告に明記されています。関連の緊急関税に対する司法審査は別途進行中ですが、今回の主軸は232条です。訴訟リスクはあるものの、短中期での即時停止は見込み薄です。


経営サイドのアクション・チェックリスト(今週~来月)

財務/価格

  • 11/1(米東部)通関分からの原価再計算、販売価格・入札案件の価格条項(関税スライド/サーチャージ)更新
  • 相殺3.75%の申請・配賦設計(メーカー→輸入者番号への割当)

調達/生産

  • 米国コンテンツ比率の早急な実測(BOM展開、原価データの米国起源切り出し)。USMCAとは定義が異なる点に注意
  • CKD/EKD活用案件は構成見直し(対象固定)
  • メキシコ組立→米国組立の再配分や米国部材の置換に関する投資判断(6~18か月)

通関/ロジスティクス

  • 期日跨ぎ貨物の通関タイミング最適化(10/31までの搬入可否)とインボイス価額の整合
  • FTZ利用先はPrivileged Foreignでの運用切替確認

法務/渉外

  • 商務省への米国コンテンツ申請スキーム設計(証憑・監査プロセス)。誤申告は同型全量に全額25%ペナルティ
  • 官報・通達(部品方式、相殺運用細則)のモニタリング体制

メーカー別インパクト(要点サマリ)

評価軸
①北米の最終組立拠点、②メキシコ依存度、③短期コスト影響、④中期の戦略余地(米国化・相殺活用)

Daimler Truck NA(Freightliner/Western Star)
米国+メキシコ(サルティージョ/サンティアゴ)に主力工場。CascadiaやM2のメキシコ生産比率が高く、メキシコ依存度は高めです。USMCA適合でも非米国分に25%で実効税率が上昇します。米国内組立シフト、米国部材比の引上げ、3.75%相殺の活用で対応可能です。

PACCAR(Kenworth/Peterbilt)
米国主力+メキシコ生産も一定の割合を占めます。メキシコ依存度は中~高です。四半期あたり7,500万ドル規模の関税コスト増との報道があります。USMCA部材化・米国化を進めつつ、米国内組立分には相殺3.75%で影響緩和が可能です。

Navistar(International/親会社Traton)
メキシコ・エスコベードが大規模輸出拠点、米テキサス(サンアントニオ)等も拡張中です。メキシコ依存度は高めで、メキシコ発の非米国分に25%がヒットします。米国内拠点の活用拡大、米国部材化で実効税率低減余地があります。

Volvo Trucks North America / Mack
米国生産中心(VA/PA)でメキシコ依存度は低いです。完成車輸入は限定的で直接打撃は小さく、非USMCA部品の25%リスクは残りますが、米国内組立×相殺3.75%でむしろ相対優位となります。

Stellantis(Ram 3500などHDピックアップ)
メキシコ・サルティージョでHDピックアップ(クラス3相当中心)を生産します。メキシコ依存度は高く、USMCA適合でも非米国分に25%、価格転嫁圧力が生じます。米国コンテンツの引上げ、サプライヤー米国化で実効税率を圧縮できます。

Ford(Super Duty、F-650/750)
米国(KY/OH)組立中心でメキシコ依存度は低いです。完成車の直接影響は限定的で、相殺3.75%活用でネット有利となります。カナダ増産計画がある場合はUSMCA扱い+非米国分課税ルールの精査が必要です。

GM(Silverado HD/ Sierra HD)
米国(フリント)+カナダ(オシャワ)で生産します。メキシコ依存度は中程度で、カナダ組立はUSMCA前提でも非米国分に25%の可能性があります。米国内組立比率向上と相殺で影響緩和が可能です。

Isuzu(北米:N/Fシリーズ)
米国組立(ミシガン→SCへ拡大)が進行中です。メキシコ依存度は低く、完成車輸入依存が小さいため直接影響は限定的です。ただし日本発ボディ/キャブ等の非USMCA部品が25%対象となるリスクがあります。米国内一貫体制の加速でネット優位化が可能です。

Hino(トヨタ系)
米国(WV)で中型組立を行います。メキシコ依存度は低く、完成車輸入は限定的で相殺3.75%のポジティブ効果があります。エンジンは外部調達中心に移行済みで、非USMCA部品の管理が論点となります。

Tesla Semi / その他米系ZEV
米国内生産のためメキシコ依存度はありません。直接影響は軽微で、部材の原産地管理・232素材関税の最適化が主眼となります。

参考情報
メキシコは米向けMHDVの最大供給国で、政策発表後の報道もメキシコ依存OEMのコスト上振れを強調しています。


直近90日で経営が押さえるべき「3つの分岐点」

1. 米国コンテンツの定義運用と承認速度
「USMCA適合+非米国分のみ課税」の実効値が各社で大きく異なる可能性があります。商務省の運用方針とプロセス速度が重要です。

2. 部品課税方式の連邦官報告示
発効までUSMCA部品は一時免除ですが、方式確定で非米国分への25%が動き出します。告示内容とタイミングが業務に直結します。

3. 法的争点(232条/IEEPA周辺)の進展
全面無効化までは距離がありますが、周辺セクターとの整合や適用除外の余地に注目する必要があります。


参考:発表と報道(一次情報と主要メディア)

一次情報

  • 大統領布告:25%/10%の新関税、USMCA下の非米国分課税、相殺3.75%、FTZ/PFS、CKD対象、発効時刻等の詳細
  • ファクトシート:クラス3~8の範囲、重ね掛け回避、部品猶予等を整理

主要報道

  • メキシコ向け影響、相殺延長、北米サプライチェーンの見立て
  • メーカー別影響分析

「中国、米関税に報復示唆 100%の追加関税なら相応の措置」というニュースの内容を深掘りして整理しました

以下は2025年10月12日時点の整理です。あくまで情報の整理と勝手な推定です。

エグゼクティブ・サマリー

何が起きたか:トランプ米大統領が11月1日から中国からの輸入に100%の追加関税を課すと発表。あわせて「重要ソフトウェア」の対中輸出規制も示唆・準備中。発表はTruth Social投稿・記者団への発言ベースで、現時点で連邦官報(Federal Register)やUSTRの正式告示は未確認。したがって方針発表>実装手続きの途上という段階。

中国の反応:10月11日、商務省が「高関税で脅すのは正しい付き合い方ではない」「米国が独断専行を続けるなら**断固たる措置(resolute measures)**をとる」と表明。「関税戦争は望まないが恐れもしない(We do not want to fight, but we are not afraid to fight)」と一貫した立場を強調。背景として10月9日発表のレアアース輸出管理の強化を「正当かつ防衛的」と主張。直ちに追加関税で報復するとは言及せず、交渉余地を残す発信。

ビジネス影響の核

  • 100%は**既存の関税(基準10%+フェンタニル20%=30%)に”上乗せ”**の追加税と理解され、合計130%となる見込み
  • 原産地が中国かどうかが決定的(迂回組立や単純作業では原産地は変わらない)
  • 越境ECの”抜け道”だったデミニミス($800免税)も中国発は2025年5月2日で既に停止。小口でも課税
  • 中国は関税以外(輸出規制、アンチトラスト、不可靠実体リスト等)での非関税型の報復選択肢を多く持つ

タイムライン(直近)

10/9(木):中国が商務部公告2025年第61号でレアアース輸出規制を大幅強化。ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユーロピウム、イッテルビウムの5元素を追加し、計12元素を規制対象に。12月1日発効。

10/10(金):米大統領が中国全輸入への100%追加関税と重要ソフトウェアの輸出規制を示唆。発効は**11/1(またはそれ以前)**と発言。

10/11(日):中国商務省が「高関税で脅すのは正しい付き合い方ではない」「米国が独断専行を続けるなら断固たる措置を講じる」と表明。レアアース輸出規制は正当と反論。

:連邦官報やUSTRの正式通知に、当該100%の実装告示は未掲載(10/12時点)。制度発動には官報告示・HTSUS追補(Chapter 99)等が通常必要。

100%「追加関税」の実務解釈(通関の観点)

積み上げ型:現行の米中関税は基準10%+フェンタニル関税20%=30%(2025年5月合意、90日延長で11月期限)。100%追加が実装されれば、基準10%+フェンタニル20%+100%追加=合計130%

過去の301条税(25%等)の除外品目については、8月29日付でUSTRが178品目の除外を11月29日まで延長。しかし100%追加との関係は官報告示待ち

いずれもMerchandise Processing Fee(MPF 0.3464%)やHarbor Maintenance Fee(HMF 0.125%、海上のみ)は貨物価額に対して別途加算(関税額に対する料率ではない)。

計算の目安($100,000の貨物価額の仮例)

例A(基準10%、フェンタニル20%、100%追加)

  • 関税=$10,000(基準)+$20,000(フェンタニル)+$100,000(追加)=$130,000
  • MPF=0.3464%×$100,000=$346.40(最小・最大の閾内)
  • HMF(海上)=0.125%×$100,000=$125.00
  • 合計負担=$130,471.40

例B(301条除外品で基準10%、100%追加のみ)

  • 関税=$10,000+$100,000=$110,000
  • MPF=$346.40、HMF=$125.00
  • 合計負担=$110,471.40

※MPFの最低$33.58/最高$651.50(2025年10月1日改定)。

価格転嫁

2018–19年の米中関税では、輸入者・消費者へのパススルーがほぼ完全という実証が蓄積。関税は最終価格に反映されやすい。今回100%が実装されれば、相当程度の値上げは避けがたい。

「断固たる措置」—中国側の選択肢(非関税中心)

中国商務省は10月11日、「米国が誤った道を進むなら、中国は自国の正当な権利と利益を守るため**断固たる措置(resolute measures)**を講じる」と警告。具体的選択肢:

輸出規制の拡張:レアアース12元素(ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等)の輸出許可審査を厳格化。軍需・半導体向けの審査厳格化。民生用途は許可の可能性とするも、実務上の遅延・不透明化でサプライチェーンを締め上げる余地。12月1日発効。

行政的圧力:独禁調査やサイバー審査、データ越境規制の厳格化。直近ではQualcommへの審査着手報道も。10月14日から米船舶への港湾使用料賦課開始。

対外制裁法/不可靠実体リスト:取引・投資禁止、資産凍結、入国拒否など広範。9月マドリード会談以降、米国が複数の中国企業をエンティティリストおよびSDNリストに追加したことを非難し、中国側も同様の指定拡大を示唆。

港湾使用料等の相殺措置:米側措置に対し中国港での米船舶への料金賦課など、物流での摩擦を拡大。

どの品目が特に当たるか(米国の対中輸入の構成)

米国の対中輸入(2024年$4,387億)は電気機器(HS85)・機械(HS84)・家具(HS94)・玩具(HS95)・アパレル(61/62)が柱。100%追加は消費財セクターの最終価格に広く影響。

実装プロセスの見極めポイント(法的経路)

実装にはUSTR告示・連邦官報でのHTSUS Chapter 99追補・適用日・対象の正式特定が通常必要。10/12時点で未掲示。

手段は301の修正もしくはIEEPA等に基づく新たな宣言の可能性。過去の裁判でIEEPA権限の限界が指摘された例もあり、法廷争いや議会監督のリスクを内包。

BIS(商務省)のソフトウェア輸出規制の具体像(規制対象・除外・暫定一般許可)を要注視。最近もAI・半導体で相次ぐ規制更新あり。

既存制度との関係(重要)

301除外の延長:USTRは2025年8月29日付で178品目の301条除外を11月29日まで延長。仮に100%が発効しても、除外品の扱いがどうなるか(別枠の追加税がかかるのか)官報告示を要確認。

デミニミス($800):中国・香港発は2025年5月2日で既に免税終了。小口でも関税・通関が必要(EC事業者はDTC価格式の全面見直し必須)。

あなたの会社が直ちにやるべきこと

原産地棚卸し:全SKUの**最終実質的変更(substantial transformation)**の発生地を再確認。単純組立やリパックでは原産地は変わらない。

関税数理の即時計算:SKU別に基準10%+フェンタニル20%+100%での新想定税負担を試算し、粗利・販売価格への影響と在庫評価を更新。

契約条項のトリガー確認:Change in Law/タリフ・サーチャージ条項の発動条件、価格改定の通知義務、フォースマジュールの射程。

物流計画:11/1前納品への前倒しの可否(ただしルール確定前の駆け込みは通関事故リスクあり)。エントリー日・輸入申告時刻が発効判定の基準になるのが通例。

代替調達・加工の設計:ベトナム等での実質的加工による原産地変更は可だが実質的変更基準を満たす工程設計・コスト検証・**CBP事前裁定(Binding Ruling)**の活用を。

ドローバック戦略:輸出向け分は301等を含め最大全額の99%還付が可能(条件あり)。輸出・破棄・製造代替の各類型で5年内の請求設計を。

社内・販売先への説明キット:上記の価格影響、納期、代替策を1枚に要約。

中国側の非関税リスク:不可靠実体リスト/対外制裁法の指定拡大や当局検査の強化に備え、現地在庫・人員・データのBCPを更新。

サプライチェーン別の「当たりどころ」

**電機・ICT(HS85)/機械(HS84)/家具(HS94)/玩具(HS95)/アパレル(61/62)**は米国の対中輸入の中核。価格転嫁→需要鈍化の一次波及に加え、レアアース制約→部材ひっ迫の二次波及が重なる可能性。

シナリオと備え(確率は私見)

停戦維持(30%):官報告示が出ず交渉入り。市場は一時安堵。

段階的導入(45%):対象・時期に例外を付しつつ一部適用。輸出規制は並走。価格改定と代替調達の両睨みが必要。

全面発動(25%)+中国の非関税報復:輸出許可の絞り込みや企業への個別制裁が加速。在庫・受注の調整を即実行。

(注:現時点で中国は関税で即時報復を明言しておらず、非関税の比重が高い公算。)

実務メモ(細目)

MPF/HMF:MPFは0.3464%(10/1改定で最小$33.58/最高$651.50)。HMFは0.125%(海上)。関税額には掛からず、貨物価額に対し課金。

価格転嫁の経験則:2018–19の研究では輸入者負担が主。部材→最終製品まで広範なコスト上昇。

越境EC:中国発デミニミス廃止(2025年5月2日)でShein/Temu等の小口も通関・課税。小口多頻度のオペレーションは関税・通関コストを前提に再設計を。

直近2週間のプラン(72時間/2週間)

72時間

  • SKU別関税インパクト表(基準10%/フェンタニル20%/想定100%/MPF/HMF)を作成
  • 価格改定シナリオ(内外税、販社マージン、販促原資)
  • 在庫と発注の前倒し/見合わせの判断

~2週間

  • 原産地変更案のPoC(工程票・BOM・価値加算法)/Binding Ruling準備
  • ドローバックの要件確認(輸出・製造代替・破棄)とデータ整備
  • 契約見直し(タリフ・サーチャージ条項、Change in Law、Incoterms再定義)

今後の「確認すべき公式ソース」

USTRのプレス/官報告示:100%追加の対象・発効時刻・Chapter 99番号が出るかを最優先で確認。

BISの輸出規制:「重要ソフトウェア」の定義、暫定一般許可、猶予期間。

中国の商務省告知・輸出許可運用:レアアースの審査基準・許可遅延の実勢(12月1日発効に向けて)。

2025年8月7日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は 2025 年 8 月 7 日時点 で公表・報道されている最新「相互関税」一覧を、8 月 6 日の追加大統領令による インドへの+25 % 制裁関税(8 月 27 日発効予定) を反映して更新したものです。フォーマットは昨日までと同一です。基礎データは 7 月 31 日付大統領令 Annex I と、8 月 6 日付「Addressing Threats to the United States by the Government of the Russian Federation」を引用しています。The White House+1

国名関税率出所備考
アフガニスタン15%同上2025-08-07 発効
アルジェリア30%同上同上
アンゴラ15%同上同上
バングラデシュ20%同上同上
ボリビア15%同上同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%同上同上
ボツワナ15%同上同上
ブラジル10%同上同上
ブルネイ25%同上同上
カンボジア19%同上同上
カメルーン15%同上同上
チャド15%同上同上
コスタリカ15%同上同上
コートジボワール15%同上同上
コンゴ民主共和国15%同上同上
エクアドル15%同上同上
赤道ギニア15%同上同上
欧州連合(Column 1 Duty Rate ≥ 15 %)0%同上Column 1 Duty Rate が15 %以上
欧州連合(Column 1 Duty Rate < 15 %)15 % − Column 1 関税同上Column 1 Duty Rate が15 %未満
フォークランド諸島10%同上同上
フィジー15%同上同上
ガーナ15%同上同上
ガイアナ15%同上同上
アイスランド15%同上同上
インド25 % → 50 %(2025-08-27 発効)EO (2025-07-31) Annex I + EO (2025-08-06)追加25 %はロシア産原油制裁関税。21 日後発効で合計50 %
インドネシア19%同上2025-08-07 発効
イラク35%同上同上
イスラエル15%同上同上
日本15%同上同上
ヨルダン15%同上同上
カザフスタン25%同上同上
ラオス40%同上同上
レソト15%同上同上
リビア30%同上同上
リヒテンシュタイン15%同上同上
マダガスカル15%同上同上
マラウイ15%同上同上
マレーシア19%同上同上
モーリシャス15%同上同上
モルドバ25%同上同上
モザンビーク15%同上同上
ミャンマー40%同上同上
ナミビア15%同上同上
ナウル15%同上同上
ニュージーランド15%同上同上
ニカラグア18%同上同上
ナイジェリア15%同上同上
北マケドニア15%同上同上
ノルウェー15%同上同上
パキスタン19%同上同上
パプアニューギニア15%同上同上
フィリピン19%同上同上
セルビア35%同上同上
南アフリカ30%同上同上
韓国15%同上同上
スリランカ20%同上同上
スイス39%同上同上
シリア41%同上同上
台湾20%同上同上
タイ19%同上同上
トリニダード・トバゴ15%同上同上
チュニジア25%同上同上
トルコ15%同上同上
ウガンダ15%同上同上
英国10%同上同上
バヌアツ15%同上同上
ベネズエラ15%同上同上
ベトナム20%同上同上
ザンビア15%同上同上
ジンバブエ15%同上同上

補足・解説

  • インドのみ変更
    • 8 月 6 日付 EO により 追加 25 % が課され、合計 50 %(25 % [相互関税]+25 % [制裁関税])となります。発効は 2025-08-27 0:01 EDT。経過措置として、同時刻以前に最終輸送モードに乗った貨物は 9 月 17 日まで旧税率が適用。The White House
  • その他の国・地域
    • 7 月 31 日 EO Annex I 以降、現時点では追加改訂なし。相互関税未掲載国には追加 10 % が適用される点に変更ありません。The White House

2025年8月6日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は 2025年8月6日 時点で確認できる米国「相互関税(Reciprocal Tariffs)」の最新一覧です。
基本データは 7 月 31 日付 Executive Order 添付 Annex I のレートを基礎に、8 月 1 日以降に判明した追加変更・停止措置を上書きしています。The White House
太字は前回(8 月 4 日版)から更新があった国・地域です。

国名関税率出所備考
アフガニスタン15%Annex I
アルジェリア30%Annex I
アンゴラ15%Annex I
バングラデシュ20%Annex I
ボリビア15%Annex I
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%Annex I
ボツワナ15%Annex I
ブラジル50%大統領令(7/30) ウォール・ストリート・ジャーナル基礎10%+追加40%
ブルネイ25%Annex I
カンボジア19%Annex I
カメルーン15%Annex I
チャド15%Annex I
コスタリカ15%Annex I
コートジボワール15%Annex I
コンゴ民共和国15%Annex I
エクアドル15%Annex I
赤道ギニア15%Annex I
フォークランド諸島10%Annex I
フィジー15%Annex I
ガーナ15%Annex I
ガイアナ15%Annex I
アイスランド15%Annex I
インド25%大統領令(8/1) インディアタイムズ追加引上げ検討中(8/5発言)
インドネシア19%Annex I
イラク35%Annex I
イスラエル15%Annex I
日本15%Annex I
ヨルダン15%Annex I
カザフスタン25%Annex I
ラオス40%Annex I
レソト15%Annex I
リビア30%Annex I
リヒテンシュタイン15%Annex I
スイス39%FT報道(8/6) フィナンシャル・タイムズ交渉中
マダガスカル15%Annex I
マラウイ15%Annex I
マレーシア19%Annex I
モーリシャス15%Annex I
モルドバ25%Annex I
モザンビーク15%Annex I
ミャンマー40%Annex I
ナミビア15%Annex I
ナウル15%Annex I
メキシコ―(30%課税を90日停止中)Reuters(8/5) ReutersUSMCA適用品は無税;停止期間中は追加関税なし
ニュージーランド15%Annex I
ニカラグア18%Annex I
ナイジェリア15%Annex I
北マケドニア15%Annex I
ノルウェー15%Annex I
パキスタン19%Annex I
パプアニューギニア15%Annex I
フィリピン19%Annex I
セルビア35%Annex I
南アフリカ30%Annex I
韓国15%Annex I
スリランカ20%Annex I
カナダ35%別途大統領令(7/31) ウィルマー・ヘイルフェンタニル対策名目
シリア41%Annex I
台湾20%Annex I
タイ19%Annex I
トリニダード・トバゴ15%Annex I
チュニジア25%Annex I
トルコ15%Annex I
ウガンダ15%Annex I
イギリス10%Annex I
バヌアツ15%Annex I
ベネズエラ15%Annex I
ベトナム20%Annex I
ザンビア15%Annex I
ジンバブエ15%Annex I
欧州連合(EU)0〜15%Annex I既存MFNが15%未満の場合「差額上乗せ」
その他(Annex I非掲載国)10%大統領令一律追加関税

主要アップデートの概要

運用上の注意

  1. 表は追加関税のみを示しています。基礎10%の「ユニバーサル関税」が残る場合があるため、実効税率は別途確認してください。
  2. 一部品目(鉄鋼・アルミ、自動車、自動車部品、銅など)は他の通商措置(Section 232 等)の対象であり、重複課税に注意が必要です。
  3. 政府間交渉や制裁の進展により、レートは随時変更されます。輸入実務では 最新の大統領令・連邦官報(Federal Register)CBP CSMS を必ず確認してください。

2025年8月3日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

国名関税率出所備考
Afghanistan15%ホワイトハウス大統領令(2025-07-31)
Algeria30%同上
Angola15%同上
Bangladesh20%同上
Bolivia15%同上
Bosnia and Herzegovina30%同上
Botswana15%同上
Brazil50%ロイター通信(2025-08-01)大統領令上は10% → 報道で50%に上方修正(特定品目除外あり)
Brunei25%ホワイトハウス大統領令(2025-07-31)
Cambodia19%同上
Cameroon15%同上
Chad15%同上
Costa Rica15%同上
Côte d’Ivoire15%同上
Democratic Republic of the Congo15%同上
Ecuador15%同上
Equatorial Guinea15%同上
European Union可変同上現行税率15%未満の品目は不足分を上乗せし15%に、15%以上は追加0%
Falkland Islands10%同上
Fiji15%同上
Ghana15%同上
Guyana15%同上
Iceland15%同上
India25%同上
Indonesia19%同上
Iraq35%同上
Israel15%同上
Japan15%同上
Jordan15%同上
Kazakhstan25%同上
Laos40%同上
Lesotho15%同上
Libya30%同上
Liechtenstein15%同上
Madagascar15%同上
Malawi15%同上
Malaysia19%同上
Mauritius15%同上
Moldova25%同上
Mozambique15%同上
Myanmar (Burma)40%同上
Namibia15%同上
Nauru15%同上
New Zealand15%同上
Nicaragua18%同上
Nigeria15%同上
North Macedonia15%同上
Norway15%同上
Pakistan19%同上
Papua New Guinea15%同上
Philippines19%同上
Serbia35%同上
South Africa30%同上
South Korea15%同上
Sri Lanka20%同上
Switzerland39%同上
Syria41%同上
Taiwan20%同上
Thailand19%同上
Trinidad and Tobago15%同上
Tunisia25%同上
Turkey15%同上
Uganda15%同上
United Kingdom10%同上
Vanuatu15%同上
Venezuela15%同上
Vietnam20%同上
Zambia15%同上
Zimbabwe15%同上
Canada35%ロイター通信(2025-08-01)USMCA対象外品目に適用
Mexico30%(計画)ロイター通信(2025-08-01)非自動車・非金属品目は90日延期

出所の凡例

  • ホワイトハウス大統領令 = “Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates” (2025年7月31日発令)
  • ロイター通信 = 2025年8月1日付報道

2025年8月1日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

(更新日時:2025-08-01 JST)
下表は、米国「相互関税(Reciprocal Tariffs)」について 昨日ご提示した国・地域 に、同日付ホワイトハウス発表 Annex I 掲載分および追加の個別大統領令・報道で判明した国をすべて加えた最新版です。列構成(国名/関税率/出所/備考)は前回と同一です。

国名関税率出所備考
アフガニスタン15 %(The White House)
アルジェリア30 %(The White House)
アンゴラ15 %(The White House)
バングラデシュ20 %(The White House)
ボリビア15 %(The White House)
ボスニア・ヘルツェゴビナ30 %(The White House)
ボツワナ15 %(The White House)
ブラジル40 %(The White House)7 月 30 日付別途 EO により+40 %
ブルネイ25 %(The White House)
カンボジア19 %(The White House)
カメルーン15 %(The White House)
チャド15 %(The White House)
中国34 %中国向けは別枠 EO (5 / 12 改定)
コートジボワール15 %(The White House)
コンゴ民主共和国15 %(The White House)
エクアドル15 %(The White House)
赤道ギニア15 %(The White House)
欧州連合最大 15 %(The White House)品目税率<15%の場合差額、≧15%は追加0
フォークランド諸島10 %(The White House)
フィジー15 %(The White House)
ガーナ15 %(The White House)
ガイアナ15 %(The White House)
アイスランド15 %(The White House)
インド25 %(The White House)
インドネシア19 %(The White House)
イラク35 %(The White House)
イスラエル15 %(The White House)
日本15 %(The White House)
ヨルダン15 %(The White House)
カザフスタン25 %(The White House)
ラオス40 %(The White House)
レソト15 %(The White House)
リビア30 %(The White House)
リヒテンシュタイン15 %(The White House)
マダガスカル15 %(The White House)
マラウイ15 %(The White House)
マレーシア19 %(The White House)
モーリシャス15 %(The White House)
モルドバ25 %(The White House)
モザンビーク15 %(The White House)
ミャンマー40 %(The White House)
ナミビア15 %(The White House)
ナウル15 %(The White House)
ニュージーランド15 %(The White House)
ニカラグア18 %(The White House)
ナイジェリア15 %(The White House)
北マケドニア15 %(The White House)
ノルウェー15 %(The White House)
パキスタン19 %(The White House)
パプアニューギニア15 %(The White House)
フィリピン19 %(The White House)
セルビア35 %(The White House)
南アフリカ30 %(The White House)
韓国15 %(The White House)
スリランカ20 %(The White House)
スイス39 %(The White House)
シリア41 %(The White House)
台湾20 %(The White House)
タイ19 %(The White House)
トリニダード・トバゴ15 %(The White House)
チュニジア25 %(The White House)
トルコ15 %(The White House)
ウガンダ15 %(The White House)
イギリス10 %(The White House)
バヌアツ15 %(The White House)
ベネズエラ15 %(The White House)
ベトナム20 %(The White House)
ザンビア15 %(The White House)
ジンバブエ15 %(The White House)
オーストラリア10 %(ニューズドットコムオーストラリア)基礎10 %据え置き
カナダ35 %(Reuters)8 月 7 日発効
メキシコ10 %(ガーディアン)30 %案を90日間延期

ご参考

  • Annex I にない国・地域は、現行 EO(4 月 2 日)により一律 10 % のベースライン が適用されます。(The White House)
  • ブラジル(40 %)とカナダ(35 %)は別個の大統領令で上乗せされており、Annex I 値より優先されます。
  • メキシコは当初 30 % 引き上げ予定でしたが 90 日間の猶予期間中はベースライン 10 % です。(ガーディアン)

2025 年 7 月 30 日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

1. 最近 30 日以内にレート改定・新規公表があった国

国名関税率出所備考
中国10 %(暫定)5 / 14 WH Fact Sheet8 / 12まで 10 %へ減額中
欧州連合(EU)15 %7 / 28 米EU共同発表8 / 1発効予定
日本15 %7 / 23 WH Fact Sheet8 / 1発効予定
フィリピン19 %7 / 22 大統領声明8 / 1発効予定
インドネシア19 %7 / 22 WH リリース8 / 1発効予定
ブラジル50 %7 / 7 大統領書簡8 / 1発効予定
カナダ35 %7 / 11 大統領書簡8 / 1発効予定
メキシコ30 %7 / 12 大統領演説交渉中・8 / 1目標
英国10 %6 / 30 米英協定既に 10 % で運用

2. Executive Order 14257 Annex I (初期レート)

★印=現在 10 % に一時減額中(8 / 1 EDT まで)

国名関税率出所備考
★アルジェリア30 %Annex I
★アンゴラ32 %Annex I
★バングラデシュ37 %Annex I
★ボスニア・ヘルツェゴビナ35 %Annex I
★ボツワナ37 %Annex I
★ブルネイ24 %Annex I
★カンボジア49 %Annex I
★カメルーン11 %Annex I
★チャド13 %Annex I
★コートジボワール21 %Annex I
★コンゴ民共和国11 %Annex I
★赤道ギニア13 %Annex I
★フォークランド諸島41 %Annex I
★フィジー32 %Annex I
★ガイアナ38 %Annex I
★インド26 %Annex I
★イラク39 %Annex I
★イスラエル17 %Annex I
★ヨルダン20 %Annex I
★カザフスタン27 %Annex I
★ラオス48 %Annex I
★レソト50 %Annex I
★リビア31 %Annex I
★リヒテンシュタイン37 %Annex I
★マダガスカル47 %Annex I
★マラウイ17 %Annex I
★マレーシア24 %Annex I
★モーリシャス40 %Annex I
★モルドバ31 %Annex I
★モザンビーク16 %Annex I
★ミャンマー44 %Annex I
★ナミビア21 %Annex I
★ナウル30 %Annex I
★ニカラグア18 %Annex I
★ナイジェリア14 %Annex I
★北マケドニア33 %Annex I
★ノルウェー15 %Annex I
★パキスタン29 %Annex I
★セルビア37 %Annex I
★南アフリカ30 %Annex I
★韓国25 %Annex I
★スリランカ44 %Annex I
★スイス31 %Annex I
★シリア41 %Annex I
★台湾32 %Annex I
★タイ36 %Annex I
★チュニジア28 %Annex I
★バヌアツ22 %Annex I
★ベネズエラ15 %Annex I
★ベトナム46 %Annex I
★ザンビア17 %Annex I
★ジンバブエ18 %Annex I

ご注意

  • Annex I 掲載国(★) は現在 10 % に暫定減額中で、8 月 1 日に上表レートへスナップバック(または追加変更)予定です。
  • 実務では HTS 分類やセクション 232/301 など他の措置が重層適用される場合がありますので、通関前に最新の CBP/HTSUS 情報を必ず確認してください。