改正の全体像
2026年1月1日から施行された輸出入関税法改正では、合計1,463品目(HSコード8桁ベース)が対象となり、関税率は5パーセントから最大50パーセントの範囲で引き上げられています。対象は20以上のHS類にまたがり、多岐にわたる産業分野に影響を及ぼします。mof+3
業界別主要HSコード一覧
自動車産業(最大50パーセント)
完成乗用車
関税率50パーセントが適用される完成乗用車のHSコードは以下の通りです。nikkei+1
- HS 8703.22.99(ピストン式内燃機関乗用車、排気量1,000cc超1,500cc以下)
- HS 8703.23.99(ピストン式内燃機関乗用車、排気量1,500cc超3,000cc以下)
- HS 8703.24.99(ピストン式内燃機関乗用車、排気量3,000cc超)
- HS 8703.32.99(ディーゼル乗用車、排気量1,500cc超2,500cc以下)
- HS 8703.33.99(ディーゼル乗用車、排気量2,500cc超)
- HS 8703.40.99(ハイブリッド車)
- HS 8703.60.99(電気自動車)
- HS 8703.80.01(その他の自動車)
トラック・商用車
トラックおよび商用車も50パーセントの関税が課されます。[nikkei]
- HS 8704.21.99(ディーゼルトラック、総重量5トン以下)
- HS 8704.31.99(ガソリントラック、総重量5トン以下)
- HS 8704.41.99(ディーゼルトラック、総重量5トン超20トン以下)
- HS 8704.51.99(ガソリントラック、総重量5トン超)
- HS 8704.60.02(電気トラック)
自動車部品
自動車部品は7パーセントから36パーセントの範囲で引き上げられています。mof+1
- HS 8708.x(自動車部品・付属品全般)
- HS 8409.x(エンジン部品)
- HS 8511.x(電気点火装置、始動装置)
- HS 8512.x(照明装置、信号装置)
繊維・アパレル産業(最大35パーセント)
繊維製品は最大35パーセント、繊維材料は10パーセントから15パーセントへ引き上げられました。global-scm+1
- HS第50類~第63類(繊維製品全般)
- 繊維製品の関税率:20パーセントから35パーセントへ
- 繊維材料の関税率:10パーセントから15パーセントへ
鉄鋼・金属産業(最大25パーセント)
鉄鋼製品は合計201品目が対象となり、多くが25パーセントまで引き上げられました。jetro+1
- HS第72類(鉄鋼)
- HS第73類(鉄鋼製品)
- HS第76類(アルミニウムおよびその製品)
関税率は品目により5パーセントから25パーセントの範囲です。[mof.go]
プラスチック産業
- HS第39類(プラスチックおよびその製品)
具体的な税率は品目により異なりますが、多くが5パーセントから20パーセントの範囲で引き上げられています。jetro+1
履物産業
- HS第64類(履物、ゲートルその他これらに類する物品およびこれらの部分品)
繊維・履物分野は、従来の暫定措置が今回恒久化された分野です。[mof.go]
家具・家庭用品
- HS第94類(家具、寝具、マットレス、照明器具など)
- HS第70類(ガラスおよびガラス製品)
玩具・スポーツ用品
- HS第95類(玩具、遊戯用具、運動用具およびその部分品・付属品)
家電・電子機器
- HS第84類(原子炉、ボイラー、機械類および機器)の一部
- HS第85類(電気機器およびその部分品)の一部
紙・板紙産業
- HS第48類(紙および板紙、製紙用パルプ、紙または板紙の製品)
皮革製品
- HS第41類~第43類(皮革および毛皮)
オートバイ・トレーラー
- HS 8711.x(オートバイ)
- HS 8716.x(トレーラーおよびセミトレーラー)
関税率の分布
引き上げ後の関税率は以下の水準に分布しています。[mof.go]
- 5パーセント
- 7パーセント
- 10パーセント
- 14パーセント
- 15パーセント
- 18パーセント
- 20パーセント
- 22パーセント
- 25パーセント
- 30パーセント
- 35パーセント
- 36パーセント
- 45パーセント
- 50パーセント(最高税率、完成車と一部トラックのみ)
完成車の特定の関税番号では50パーセントが適用され、自動車部品は25パーセントから36パーセントの範囲が中心です。[mof.go]
新規課税品目
1,463品目のうち、316品目は以前は無税(duty-free)だったものが、今回初めて関税が課されることになりました。また、1,463品目のうち約41パーセントは2024年の大統領令で既に引き上げ済みの内容を制度化し、残り59パーセントが新規に追加された品目です。[mof.go]
重要な注意事項
FTA締結国の優位性
日本はメキシコとの間で日墨EPA(経済連携協定)およびCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)を締結しているため、日本原産品にはこれらの協定に基づく特恵税率(大半が0パーセント)が適用されます。今回のMFN(最恵国待遇)関税率の引き上げは、原産地規則を満たし適切に申告できる限り、FTA締結国の原産品には影響を及ぼしません。ailaw+2
原産地証明の重要性
FTA相手国からの出荷であっても、商品が原産として認められない場合(第三国原産のまま、工程不足、証憑不備など)は、FTA特恵が使えずMFN(引上げ後)のコストになります。出荷国と原産国は別物であり、中国原産の部品や完成品を日本経由でメキシコへ流しても、原産地が中国のままなら非FTA原産として引上げ後の税率が適用されます。[mof.go]
PROSEC制度の活用
PROSEC(産業分野別生産促進プログラム)は、自動車、電子機器、鉄鋼、化学、繊維など特定セクターで原材料・部品・機械を減免税率(0パーセントを含む)で輸入可能にするプログラムです。自動車産業は第XIX業種として登録されており、該当業種ほど効果が大きいため積極的な活用が推奨されます。[crdb]
実務上の対応
企業は自社の輸入品目(TIGIE8桁)を洗い出し、1,463品目の対象に入っているかを確認する必要があります。対象品目については、HSコードの正確な特定、原産地証明の取得、FTA活用の徹底、調達先の見直しなど、包括的な対応が求められます。global-scm+1
免責事項
:本情報は2026年2月時点の公表情報に基づくものであり、個別案件の法令判断や通関助言を目的とするものではありません。実際の適用は品目の分類、原産地事実、申告実務、当局運用により左右されるため、個別案件は現地通関業者・専門家と一次情報で確認してください。[mof.go]