サプライヤ証明:お願いする側の課題

最近のFTAに関するコンサルティングが多いのは「サプライヤ証明」をどうするかというものです。

サプライヤ証明は原産地証明の必要な部品の原産性を証明してもらうもので、ここが崩れると自社の証明も正しいものでなくなるので、大事な部分です。

昨今はサプライヤにFTAの原産地証明について対応してもらうための説明会を開き、証拠書類の作り方を説明する会社も増えています。

ただ、本当にそれで十分なのか、理解が足りているのか。

現実は、「サプライヤのFTA理解が不十分」というのが現状だと思います。

先日訪問した会社では、サプライヤ説明会の参集通知が来た場合、営業が参加するそうです。話を聞いて、それを本社に丸投げしてくるとのこと。参加した営業の価値は何だったのでしょうかね。

私がサプライヤ説明会を支援する場合は、必ず、「営業の参加があってもいいが、本社の担当者を呼ぶように」とアドバイスしています。ですが、半分以上の会社でそれを守って頂けませんね。

ケーススタディを用いたワークショップを行ったところで、効果もかなり限定的です。

説明会、ワークショップが限定的であれば、どうすればいいか。

現在、試行錯誤中ですが、方向性が見えてきた気がします。

どうすべきかは、またお話しするとしましょう。

ただ言えるのは、現在の状況ではサプライヤに依存した部分のある証明だと、問題を内包したままだと言うことです。

FTA原産地証明におけるリスクとその減らし方

最近、サプライヤ証明のリスクを感じることが多くあります。

依頼する側の認識不足は問題でありますが、サプライヤ証明を行うサプライヤの証明品質に依存するのはリスクが多くあることを痛感します。

FTAへの認識も広がっているとはいえ、残念ながらサプライヤが正しい認識をしているかと言えば、まだまだの状況だと言わざるを得ません。

証明書に捺印をするだけでいい、証拠はいらないという姿勢のサプライヤも少なくないのです。

このサプライヤ証明以外にも、証明上のリスクがいくつか存在します。日EU、TPP11と広がり、今後RCEP、アメリカがやってくると、証明業務量が飛躍的に増えるでしょう。それ以外にも検認数も増えてくるでしょうから、FTAの担当者は休まる暇がありません。海外間FTAの本社対応も仕事になると想像されます。

この環境下で実施すべきは、証明をいかに効率的にかつリスクを減らすかを考えることが肝心だと思い、コンサルティングのメインテーマにしています。特にサプライヤ証明の数を減らすこと、そして、実施する会社とは十分な情報共有を行うことが肝心ですね。

 

なぜFTAの原産地証明が企業に根付かないか

FTAのコンサルティングを行っていて、企業に原産地証明がなかなか根付かないと思っています。

一番の大きな理由は企業の取り組み姿勢にあると思いますが、その次の課題は教える側の教え方にあると思っています。

経済産業省、外務省、財務省(税関)、ジェトロ、商工会議所、EPAデスク、みんな頑張ってわかりやすい説明を心がけているのは事実でしょう。資料も昔に比べて読みやすくなっています。

しかし、根付かない。企業が真剣に取り組んでいないからだといえばそれまでですが、最近特に感じているのは、原産地証明の教え方だと思うようになりました。

学校の勉強も同様ですが、わかりやすさを進めるが故に、なぜそうするべきかということを企業側に理解させていないのです。「こう書きましょう」、「こうしなさい」といったすべきことをわかりやすくは伝えているのですが、その背景にある「なぜそうするべきか」を伝えきっていない。

EPAデスクの対面相談員を担当していますが、「○○にこう言われましたが、よくわかりません。」という質問が最近特に増えています。

企業側は、「これをやれ」ということを丁寧に教えてもらっているのですが、応用が利かず、結果絶えず「どうすればいいのですか。」という疑問しか持っていません。明らかに応え待ちの姿勢で、何がいいのかがわかっていません。

原産地証明で、証明をするにはその背景があります。その背景を伝えれば、何が必要で何が必要でないかが自ずからわかります。その背景なしに「こうしましょう」という指導だからちょっとした変化球に追いつかないのです。

原産地証明のワークショップも増えましたが、例題の限界から、どうしても配布された資料の証明書類への転記で終始します。参加者もそのときは作った気持ちになりますが、気持ちだけで、いざ実際に行おうとするとわからず、戸惑うのです。

「検認にはこれで十分ですか。」という質問をよく受けます。そんなものありません。むしろ、必要なのは「これで原産性は証明できているだろう。なんか問題でも?」という、言い切れる企業による理屈と意思が一番大切です。それがなければ、何でも回答できるように、事細かくすべてのデータを用意する羽目になるのです。

企業がこの姿勢を持つには根本の背景を徹底的に理解させることが必要です。当社ではワークショップの内容を改め、根本の背景を理解してもらうことに努めています。

 

FTA対応が常態化する前の対策

日EU EPAの利用もいよいよ本格化してきました。

後に控えるRCEPや日米貿易交渉の結果で、更に米中が日本とのFTAもしくはそれに準じる協定を結べば、日本の貿易金額上で、80%はFTA関連国への輸出となります。

FTAにおける原産地証明の業務はその検認対策と相まって業務量が飛躍的に増大することになりそうです。

顧客との対策プロジェクトが複数本格的に立ち上がりました。

いかにして増大する業務量に効率的に対処し、かつコンプライアンスを維持するか。

会社の経営陣も理解を示していますので、とてもエキサイティングなプロジェクトになりそうです。

FTA活用講座 基礎編 2-5「FTAにおける原産とは」~FTAのメリットを享受するためのプロセス(5)~

戦略的FTA活用ハンドブック 2018年度版の解説ビデオのアップデートです。

YouTube によるFTA活用講座の新しいパートをアップしました。

基礎編 2-5「FTAにおける原産とは」~FTAのメリットを享受するためのプロセス(5)~

FTAでは、輸出する商品のHSコード毎に原産地規則が設定されており、原産であることを示すために、原産地規則を満たしていることを示す必要があります。 その原産地規則の見つけ方を説明します。

 

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FTA活用講座:オンライン講座リスト

FTA協定を読み解く(原産地規則・品目別規則)

税関で弊社の書籍が使われているのは感無量です

昨日、とある企業のFTA監査に伺いました。

その企業では、税関出身の方がいらっしゃって、最近税関を訪問されたそうです。その際に、税関の原産地調査官の方が弊社の「FTA協定を読み解く」シリーズの日EU・EPAをご利用になっていたとのこと。

横書きで、数字もアラビア数字にしているため大編読みやすいとご評価頂いていたとのことです。

昨日は、私もその書籍を持って行っていたので、それを見てびっくりされて、「どこで買ったんですか?」「うちで発刊しているんですよ。」とのやりとりが。

とてもうれしいお話しでした。

FTA協定を読み解く(原産地規則・品目別規則)

 

YouTube によるFTA活用講座の新しいパートをアップしました。基礎編 2-4「原産地規則の把握」 ~FTAのメリットを享受するためのプロセス(4)~

YouTube によるFTA活用講座の専門編の新しいパートをアップしました。

基礎編 2-4「原産地規則の把握」 ~FTAのメリットを享受するためのプロセス(4)~

FTAでは、輸出する商品のHSコード毎に原産地規則が設定されており、原産であることを示すために、原産地規則を満たしていることを示す必要があります。 その原産地規則の見つけ方を説明します。

 

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FTA協定を読み解く(原産地規則・品目別規則)

日EU・EPAでREXナンバーが必要?

最近の日EU・EPAに関する質問で、

「日EU・EPAでREXナンバーが必要?」

という質問を受けます。

結論から言えば、いりません。

REXとはEUで「Registerd Exporter System」のことで、番号はその際の番号となります。

EUから輸出する時には必要となるでしょうが、日本から日EU・EPAを使う場合は、そもそも必要ないものです。

税関が混同しているのか、輸入者が混同しているのかわかりませんが、EUカナダのFTAでも同じ質問があるようです。

Do I need a REX?

 

FTA活用講座 応用編 11-1 FTA完全自己証明と対応

YouTube によるFTA活用講座、今回のアップは基礎編ではなく、TPP11と日EU・EPAで本格的になった完全自己証明に対する対応方法を説明します。

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YouTubeをアップしました。FTA活用講座:基礎編 1-2 世界におけるFTAの広がり

YouTube によるFTA活用講座では、FTAの進化と世界のメガFTAについて解説します。

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