注目

FTA-BPOセミナー013 「FTA業務でのAI活用:可能性と限界」

FTA-BPOセミナー013 「FTA業務でのAI活用:可能性と限界」の日時が決まりました。


昨今、AI活用が叫ばれており、FTA業務もその例外ではありません。原産地証明、HSコードなど適用領域は多くありますが、その一方でAIを使う事による問題も生じています。

どういう点を考えるべきなのかを、ロジスティックが作ったAIモデルを使っていただき、皆さんと経験を交えてお話ししていきます。

■■ 講演者 ■■
株式会社ロジスティック 代表取締役 嶋 正和 氏

■■ 開催日時 ■■
2025年11月13日(木) 14:00~15:00

■■ 開催場所 ■■
Webのみでの開催(Teams利用予定)

■■ セミナー関連情報 ■■

AIを活用したHS Code Finder

セミナーへのご参加は、実際にHSコードを活用する企業に限定させていただきます。
お申し込みの後、セミナー当日午前中にご参加頂く方にリンクをお送りいたします。

■■ 申込み ■■
こちらからお申し込み下さい。

2025年10月25日発表「対カナダ関税追加10%ポイント引き上げ」

以下は、2025年10月25日(米国時間)にトランプ大統領が発表した「対カナダ関税を追加で10%ポイント引き上げ」の現時点で判明している要点と、既存の関税制度との関係をAIの力を借りてまとめたものです。

発表内容(速報ベース)

10月25日、トランプ大統領がカナダへの関税を「現在の税率にさらに10%ポイント上乗せする」とSNSで表明しました。発表の直接のきっかけは、オンタリオ州政府が米国内で放映した反関税TV広告(レーガン元大統領の発言を引用)への反発とされています。これに先立ち、米国は広告問題を理由にカナダとの通商協議を打ち切っていました。

対象品目や発効時期などの実務詳細は、公式告示が未公表のため未確定です。主要紙も「どの品目にどう適用されるかは現時点で不明」と報じています。

重要:現場での運用は大統領布告・商務省/税関(CBP)通知が出て初めて確定します。現時点では「追加10%ポイント」の方針表明段階です。

既存の対カナダ関税の枠組み(2025年時点)

USMCA適合品:原産地規則等を満たす大半の対米輸出は依然として無関税。2025年夏時点で対米加輸出の多くが関税非課税と報じられています。

USMCA非適合品(一般品):2025年8月1日から25%→35%に引上げ済み。

エネルギー関連:10%(国別追加関税の区分として明示)。

鉄鋼・アルミ:通商拡張法232条に基づき2025年6月4日から50%(英国のみ25%枠)。

自動車・同部品:25%(製品別の追加関税として明示)。

なお、米国は2025年4月5日から「ほぼ全輸入に最低10%関税(ベースライン)」を徴収開始していますが、対カナダではUSMCA適合品の無税枠が大きく残っています。

「追加10%ポイント」で想定される影響(シナリオ)

正式な告示が出るまで断定はできませんが、大統領の言い回しは「今払っている税率に10%ポイント上乗せ」と解釈されるため、カナダ原産で既に課税されている品目に広く加算される可能性があります。想定シナリオを整理すると:

区分現行(参考)追加10%適用と仮定した場合の見込み
USMCA適合品0%0%のまま(無税枠が維持されれば変化なし)
USMCA非適合の一般品35%45%
エネルギー10%20%
鉄鋼・アルミ(232条)50%60%
自動車・同部品25%35%

※上表は「一律に+10%ポイント」が適用される場合の試算イメージです。実際の対象範囲が限定される(例:USMCA非適合品のみ等)可能性もあり、最終は官報・布告待ちです。

:USMCA非適合の一般品を10万ドル輸入する場合、現行35%=3.5万ドルの関税 → 追加10%ポイントで45%なら4.5万ドル。差額1万ドル増。

背景事情

2025年春以降、米国は「ベースライン10%」や国別・品目別の高関税を段階的に導入しています。対カナダでは8月の35%(非USMCA品)に続くさらなる圧力となります。

今回の「10%上乗せ」は、オンタリオ州の反関税広告(レーガン発言引用)への報復色が濃い、政治的経緯を伴う措置です。

企業の実務対応チェックリスト

HS分類・原産地判定の再確認:USMCA適合化(原産地規則・RVC・関税分類変更)で関税ゼロに戻せないか直ちに検討。

関税負担のシナリオ試算:上記の+10%ポイントを前提に、製品別の実効税率・原価・価格転嫁を再計算。

在庫・通関タイミング:発効日確定後は通関日/引取り時点で税率が決まるのが通例。入港スケジュールを調整。

鉄鋼・アルミ・自動車等の品目別規制:232条50%や自動車25%など、既存の高率関税に重畳適用され得るかを注視。

公式告示のフォロー:大統領布告・商務省/CBPの実装通知(HTS追加注記・適用除外・移行措置等)を一次情報で確認。

今後の見通し

対象や発効日の詳細は未公表です。ホワイトハウスや商務省からの正式文書が出るまでは、社内ルールを「暫定→正式」に切り替える準備段階です。

米連邦最高裁は11月5日に広範な関税(IEEPAベース)の適法性を審理予定との報道もあり、法的リスクも交錯しています。

カーニー首相は協議再開に前向きと発言していますが、両首脳は直近のASEAN/APECに出席予定である一方、首脳会談の具体的計画は報じられていません。

まとめ

今回の「10%引き上げ」は「追加の10%ポイント」という宣言で、どの品目にどう重なるかは告示待ちです。実務上はUSMCA適合化(無税化)と非適合品の関税再試算が当面の肝になります。

ペルーSUNATにおけるHSコード事前教示制度

ペルーSUNATにおけるHSコード事前教示制度(Advance Ruling)の最新実務

2025年10月25日確認時点

1. 主管当局・関連窓口

  • 統括機関:SUNAT(Superintendencia Nacional de Aduanas y de Administración Tributaria)
  • 主な窓口・制度説明:
    • サービス概要「Tariff Classification」
    • 事前教示申請(DESPA‑PE.00.09)、電子提出(MPV-SUNAT)、公開決定検索入口など複数ページから案内

2. 制度の種類と申請資格

  • 「分類決定(Resolución de Clasificación Arancelaria)」:自然人・法人の誰でも申請可能。
  • FTA等に基づく「事前決定(Resolución Anticipada)」:協定に定められた輸入者・輸出者・生産者(または代理人)が申請可能。代理申請は厳格な書類要件あり。

3. 申請方法・必要情報

  • 電子(MPV-SUNAT推奨)または窓口書面提出。
  • 様式「Solicitud de clasificación arancelaria(Anexo I)」で申請、1申請につき1品目。
  • 添付資料:技術資料(カタログ、写真、工程図、SDS等)、申請者見解、品目特定情報(用途・構成・寸法など)。
  • 代理申請時は、代理権限証明(公証要件)提出が必須。
  • スペイン語提出(他言語は簡易訳で可)。

4. 審査の流れ・期限

  • 形式要件不備があれば10営業日以内に補正要請。代理権限の場合は15営業日以内の補正。
  • 必要に応じてサンプル提出・中央研究所による分析(15営業日で一次報告+最大5営業日追加)。
  • 基本審査期間:
    • 分類決定(通常):提出日から45営業日以内に発出
    • 事前決定(FTA):提出日から最大90暦日(制度による短縮例あり)。米国FTAでは最大150暦日という記載も公刊資料あり(デッドラインは運用ベースで原則90日以内)。

5. 主な発給不可ケース

  • 審査・監査等の「行為中」や裁判・係争中
  • 申請時点で該当品が輸入済みの場合
  • 条文解釈のみや抽象的案件
  • 申請資格・代理権限の不備
  • 上記に該当する場合、申請は却下される。

6. 費用について

  • 申請自体は無料。
  • サンプル分析が必要な場合、「Boletín Químico」発行ごとにS/ 163.00(2024年1月現在)が固定で課金される。UIT%換算は旧方式であり、現行はTUPA明記の固定額のみ。

7. 決定の通知・公開・有効性

  • 決定は申請者へ書面通知、SUNATポータルでも5年間原則公開(申請者が秘密指定の場合は非公開)。
  • 決定番号は輸入申告書欄「7.37」に記載し運用。
  • 決定は関税表(Arancel)の改正や国際規則変更、事実変更等で効力を失う場合あり。FTAの事前決定は協定規定優先で運用。
  • 決定に対し不服申立(異議・上訴)は税通則法や各FTA規定を根拠に行う。

8. 実務上の注意事項

  • ウェブ上の「電子照会」(SUNATサイト)のみでは拘束力なし。正式な「書面決定」のみが法的効力を持つ。
  • 公開決定検索で先例参照はできるが、他社事例は拘束力なし。

9. チェックリスト(分類AR申請手順)

  • Anexo I様式提出(電子または紙)
  • 技術裏付資料添付(写真・カタログ・SDS等)
  • 自社分類見解明記
  • サンプル要請時の即応(分析料S/ 163.00固定)
  • 主要期限(分類決定:45営業日/FTA事前決定:原則90暦日)
  • 決定番号の運用・社内展開徹底
  • 関税表改正時の決定見直し準備

【参考資料・根拠】

  • SUNAT「Tariff Classification」
  • SUNAT PROCEDIMIENTOS ASSOCIADOS INSTRUCTIVO: DESPA-IT.00.11(分類AR・事前決定)
  • SUNAT「Boletín Químico分析費周知」
  • PAFTA導入関係資料(申請資格・期限)

必要に応じて最新官報改正、TUPA記載等も追加で参照のこと。

米中関税交渉・動向 最新アップデート

2025年10月24日(米国時間)時点:米中関税交渉・動向 最新アップデート

全体要点

  • 新たな交渉ラウンド:米財務長官スコット・ベッセントとUSTRジャミソン・グリアーは、クアラルンプールで中国の何立峰副首相と会談中。大型関税エスカレーション回避と、トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談実現への道筋が目的。注目点は中国のレアアース輸出規制とこれに対する米国の対応。
  • 100%追加関税の予告:トランプ大統領は2025年11月1日から中国からの輸入品に追加で100%関税(現行関税に上乗せ)を課すと表明。ただし中国側対応次第で変更の可能性も示唆。この「追加関税発動」が目下のデッドラインとなっている。
  • 関税休戦の延長:8月12日に両国は高関税発動を回避する90日休戦延長で合意。これにより11月10日まで米30%、中10%の暫定関税水準が維持されている。
  • “Phase One”履行調査:USTRは2020年「Phase One」合意の履行状況について新たな301条調査を開始。追加関税発動の法的根拠拡充を意図。
  • 301条除外品目(178品目)の延長:USTRは11月29日まで特定品目に対する関税除外を延長済。該当HSコードは引き続き除外対象。

関税水準とリスク

  • 現状:8月の協議延長により11月10日までは「米30%:中10%」水準の関税休戦が継続。
  • 上振れリスク:トランプ大統領による「11/1から追加100%」の表明が実行されれば、休戦期限前倒しで関税水準が急上昇する可能性。
  • 対抗措置:レアアース規制拡大に加え、米国は米製ソフト利用製品の対中輸出規制強化なども検討中。

今後の注目日程

  • 11月1日:米国の追加100%関税の発動想定日(交渉進展により変更・撤回の可能性も)。
  • 11月10日:関税休戦延長(90日)の期限。トランプ-習会談もこの前後が節目に。
  • 11月29日:301条除外品目(178)の延長期限。以後の延長要否についてパブコメ手続・官報を要監視。

交渉の主要論点

  • レアアースの安定供給:中国の管理強化により米側は防衛・半導体・EV分野などサプライチェーンの影響を懸念。
  • 輸出管理 両国の応酬:米国はソフトウェア規制拡張を検討中で、AIチップや先端装置にも波及しうる。
  • “Phase One”履行・農産品購入拡大:米国は中国に大豆などの追加購入コミットを要求中。
  • 制制度是正:知財、強制移転、農業・金融サービスの体制面の履行状況も再検証。

企業対応チェックリスト

短期(〜11/10)

  • 船積み前倒し検討(到着日ではなく通関時税率適用に注意)。
  • 301条除外適用(〜11/29)HS再確認と申告書類整備。
  • 価格条項見直し(追加関税転嫁ロジック織り込み)。

中期(〜年末)

  • レアアース等サプライチェーン二線化推進。
  • 重層規制リスク(関税・輸出管理・制裁)のリスト化・管理。
  • 官報・USTRパブコメ監視の定期化。

補足・時系列ハイライト

  • 7/29:ストックホルム協議で休戦延長方針一致(最終判断は米大統領判断)。
  • 8/12:休戦延長で合意、暫定関税水準維持開始。
  • 10/10:トランプ大統領「11/1から100%関税追加」表明。
  • 10/22以降:米国が米製ソフトを利用した対中輸出の包括規制検討。
  • 10/24:クアラルンプールで米中実務協議、USTRがPhase One履行調査着手。

結論・注意喚起

最短11/1、遅くとも11/10が大きな分岐点です。「レアアース規制緩和と100%追加関税提案」のバーター的な妥協が現実的ですが、交渉決裂の場合は急激な関税引き上げ+輸出規制強化シナリオに要警戒です。各社は最新動向を見極め、輸入・生産・契約の「関税セーフティネット」を即点検してください。


参考・出典

  • クアラルンプール実務協議
  • トランプ大統領 100%追加関税表明
  • 関税休戦(〜11/10)延長と現行水準
  • 301条除外品目延長

(必要に応じ一次英文もご提供可能です。)

2025年10月24日(JST)時点、「10月11日以降に変わった(or 追加で動いた)」ポイントを中心に、Section 232(鉄鋼・アルミ)をアップデート

2025年10月24日(JST)時点、Section 232(鉄鋼・アルミ)の最新動向まとめ(複数AIを利用)

1) 10月11日以降の新着・進展

派生品の第2回インクルージョン(追加対象)案が公開・パブコメは終了
商務省BISが2025年9月サイクルの追加対象要請90件超を10月7日に公開し、10月7日~10月21日(米国東部時間)でコメントを受付。10月21日でパブリックコメント期間は終了済。掲載先はDocket BIS-2025-0023。ここで指定されたHTSの派生品が今後の官報告示で正式追加される見込み。該当品目の実名リストはBISのドケットで確認可能。

アルミ”溶解・鋳造(smelt/cast)不明=UN報告”は当該行に200%を自動適用(実務コスト注意)
CBPのCSMS #65340246(2025年6月13日発行)で、アルミ派生品のsmelt/castを”UN”(不明)申告した行に200%関税を課す手順が明記。10月24日時点でもこの扱いが有効で、現場では”UN回避”対応(証憑整備・サプライヤー照会)が実務の最優先事項。

基礎レートや課税設計に10月11日以降の数値変更なし(再確認)
2025年6月4日以降の鉄鋼・アルミ本体&派生品=原則50%(UKのみ25%)は継続。課税ベースは「金属含有価額のみ」で2行計上(金属行/非金属行分離)の運用も継続。”非金属行には相互関税(IEEPA)等が適用されるが、金属行には適用されない”という”アンスタッキング”の原則も変わっていない。

まとめ
10月11日以降の核心は「第2回インクルージョン(追加候補)の審査進行」+「UN=200%の徹底適用で実務負荷増」。税率や「金属含有価額のみ課税」の枠組み自体は据え置き。

2) 制度の現状(2025年10月24日時点の要点リファレンス)

税率水準
鉄鋼・アルミ(本体+派生品)は原則50%、UKのみ25%(EPD条項に基づく特例)。効力は2025年6月4日以降継続。引下げ・停止の公表なし。

課税対象の価額
金属(鉄鋼/アルミ)の含有価額にのみ232を課す(非金属部分は通常関税+相互関税等)。CBPは2行計上(非金属行/金属行)を要求する運用。

相互関税との関係
金属行には相互関税を重ねない一方、非金属行には適用(HTS 9903.01.25/9903.01.33の案内)。

派生品の拡大
2025年8月18日に407サブヘッディングを正式追加(官報8月19日告示)。以後はBISのインクルージョン・プロセスで年3回ウィンドウを開き追加を継続(1月、5月、9月)。

アルミ”ロシア起因”/不明取扱
ロシア起因は200%。smelt/cast “UN”申告行も200%。

UK特例
当面25%維持(EPDの履行評価次第で将来50%やTRQ化の余地)。

除外・クオータ
GAEは2025年3月11日で失効、新規除外の受付停止。既存の「企業別除外」は有効期限/数量上限まで存続。過去の232クオータも3月11日で終了。

FTZ
2025年6月4日以降は**”privileged foreign status”**等、入庫・消費移行での取扱が厳格化。

実務ガイダンス拠り所
CBP CSMS(例:#65236374(鉄鋼)/#65236645(アルミ)/#65936570(鉄鋼派生品追加)/#65936615(アルミ派生品追加))、FAQ。

3) 企業対応(10月11日以降に優先度が上がったチェックリスト)

自社HTSの”派生品”該当性の再点検
2025年8月18日追加分+10月の第2回インクルージョン案件をBISドケット(BIS-2025-0023)でクロスチェック。最終決定→官報で即時課税になるため、製品・部品単位のマッピングを更新。

インボイス/原価内訳の”2行計上”仕様に統一
金属含有価額の算定方法(輸入原価の分解根拠)を社内標準化。非金属行/金属行を分け、金属行に232、非金属行に通常+相互関税等を載せる。監査対応の算定ワークペーパーを常備。

アルミの”smelt/cast”証憑の100%取得(UN回避)
**UN申告=200%**は致命的コスト。一次・二次smelt国/cast国をサプライヤーから宣誓書+裏付資料で取得し、ACE記録と連動。

UK原産の振分け最適化
UKは25%。部材調達・最終加工の切替余地があればUK由来比率の引上げや原産地証明の整備で即効性あり(ただし将来のTRQ/見直しリスクは注記)。

“米国溶解・鋳造→海外加工”の0%特例の掘り起こし
**US melt & pour(鉄鋼)/US smelt & cast(アルミ)を使った派生品は0%(9903.81.92/9903.85.09)**が使える設計。サプライヤー宣誓とトレーサビリティを整備。

既存の”企業別除外”は期限管理と量管理を厳格化
新規申請不可、GAE失効済。

4) 参考:基本セット(実務メモ)

追加関税率原則50%UK25%Federal Register
課税ベース金属(鉄鋼/アルミ)含有価額のみ2行計上推奨Federal Register+1
相互関税との関係金属行には不適用/非金属行には適用content.govdelivery.com
派生品の拡大8/18に大幅追加(官報告示)、第2回公募は10/7公開・10/21締切Federal Register+1
アルミ“UN”UN報告行=200%(ロシア並み)content.govdelivery.com
除外・クオータGAE失効/新規除外停止、既存企業別は期限・数量まで産業安全保障局+1
FTZ・ドローバック特定条件下でprivilegedドローバック不可Federal Register

チリにおけるHSコード事前教示制度

チリにおけるHSコード事前教示制度の実務まとめ

チリ(Servicio Nacional de Aduanas:チリ国税関)におけるHSコードの事前教示(Advance Ruling/Resolución Anticipada)の実務まとめです。根拠は国税関の手続ページ・様式(2020年改正手続)とWCO(TFA Art.3)紹介、BCN(国会図書館)法令ページなどの一次情報です(最終確認:2025年10月23日)。

対応組織と公式情報源

主管当局: Servicio Nacional de Aduanas(チリ国税関)

制度総合ページ: 「Resoluciones Anticipadas」から手続案内・様式(アペンディクス・各別添)・公開済み決定へアクセス可能

制度の定義・範囲: WCO掲載のチリ当局説明によると、分類・評価(バリュエーション)・原産地を対象とし、輸入・輸出・再入国の申告前に書面で発給する拘束的決定。申請者(輸入者・輸出者・生産者)または通関士・代理人が申請可。有効期間は3年。

現行手続の根拠: Resolución Exenta N° 1629(2020年4月23日)で新手続を制定(官報掲載:2020年4月28日、施行:90日後)。BCN法令ページに告示要旨、国税関サイトに本文と様式が掲載。

申請フォーム: 「Formulario de Solicitud de Resolución Anticipada」(分類=Anexo 1、評価・原産地の各別添あり)

窓口住所: Plaza Sotomayor 60, Valparaíso(国税関・本庁のOficina de Partes(事務管理課)宛て)

事前教示のプロセス

対象分野の選択

申請は以下のいずれかについて行います:

  • (1) 分類(Clasificación arancelaria)
  • (2) 価額評価(Valoración)
  • (3) 原産地(Origen)

申請書の作成

アペンディクス(共通様式)+該当別添(例:分類はAnexo 1)を記入。スペイン語での提出が必須。

提出先

国税関・本庁のOficina de Partes(Plaza Sotomayor 60, Valparaíso)に書面提出(郵送・持参)。

受理・審査

申請が「admisible(適法受理)」と判断されると審査に入り、必要に応じて追加資料の提出を求められます。審査完了後、書面のResolución Anticipadaが発出されます。決定・変更・撤回は当局サイトで公開(機密条件に配慮)されます。

適用

通関前に入手した決定を、該当申告に適用します(決定は当局と申請者を拘束)。手続改正に伴い、輸入・輸出書類の記載要領も調整されています。

必要情報(最小パック:分類の例)

Anexo 1(Clasificación)に沿って、少なくとも次をスペイン語で整えます:

  • 申請者情報(輸入者・輸出者・生産者、通関士等の代理人を含む)、連絡先
  • 申請対象の特定:分類対象貨物の説明(品名・用途・機能・作動原理・構造)、材質・組成(%)、寸法・重量・電気的仕様、包装形態(小売・バルク、セット・部分品)、写真・図面・カタログ等の客観資料
  • 申請者の見解:チリ関税表での分類候補(10桁)と根拠(GIR・部注・類注等)
  • 原産地・評価で申請する場合:当該FTAの原産地規則や評価方法に関する証憑・計算根拠(別添に従う)

様式の所在:アペンディクス(共通フォーム)に「分類(Anexo 1)」「評価」「原産地」の選択欄と、各別添の記入指示が明記されています。

処理期間

現行の標準: 適法受理(admisibilidad)後、最大50営業日で発給(以前の90日から短縮)。国の行政サービス案内(ChileAtiende)で明示されています。

有効期間・拘束力

有効期間: 原則3年(発給日または決定で指定する後日から起算)。法令改正や事実変更、決定の変更・撤回があった場合は有効期間中でも影響を受けます。

拘束力: 当局(国税関)と申請者を拘束(同一の事実・条件の範囲)。行政審査・司法審査の対象となり得ます。

公開: 決定・変更・撤回は国税関サイトで公開(機密指定が可能。情報公開法の原則の下で配慮)。

費用

申請手数料: 無料(No tiene costo)。国税関サイト・行政サービス案内に明記。

留意点: 第三者分析・鑑定等が必要な場合の実費負担や翻訳費など、申請外の実費が発生することは一般論としてあり得ます(旧手続には第三者調査時の取扱い規定あり)。

その他重要な実務上の注意

申請資格: 輸入者・輸出者・生産者(自社案件に限る)。通関士・法定代理人経由も可。

言語: スペイン語で提出。

提出先: 本庁Oficina de Partes(Plaza Sotomayor 60, Valparaíso)

公開データの探索: 国税関サイトで決定一覧(Resoluciones/Dictámenes)を参照可。類似品の先例調査に有用(先例は他社を直接拘束しない)。

書類記載と申告反映: 2020年手続の導入に伴い、輸入(Anexo 18)・輸出(Anexo 35)書類の記載要領が改訂されています(決定番号の管理・記載を社内で徹底)。

見直し・不服: 決定・変更・撤回・手続打切りは、行政・司法審査の対象になり得ます。

申請準備チェックリスト(分類向け)

  • ☐ アペンディクス+Anexo 1を入手し、スペイン語で記入
  • ☐ 用途・機能・作動原理・構造、材質・組成(%)、寸法・重量、包装を一次資料(写真・図面・カタログ等)で裏付け
  • ☐ 自社見解(HS10桁・根拠:GIR・部注・類注)を簡潔に記載
  • ☐ 提出先:Plaza Sotomayor 60(本庁Oficina de Partes)へ書面提出
  • ☐ タイムライン:受理後50営業日以内を目安(早めの準備・追加照会への即応)
  • ☐ 費用:申請無料(ただし外部鑑定等の実費は発生し得る)
  • ☐ 有効期間3年。法改正・事実変更での失効・変更に備え、更新時期を逆算

主要根拠(一次情報)

  • WCO(TFA Art.3:Chileの実務):対象分野、申請主体、拘束性、有効3年、公開・見直し、国内根拠=Res.Ex.1629(2020)
  • BCN(国会図書館):Res.Ex.1629(2020年4月23日)の制定告示・施行・旧手続撤廃
  • 国税関手続ページ・様式:Oficina de Partes提出(スペイン語)、アペンディクス(共通フォーム)、Anexo 1(分類)の存在
  • 処理期間:50営業日(適法受理後)— 行政サービス案内ChileAtiendeおよび新手続の周知記事
  • 費用:無料(No tiene costo)— 国税関の案内ページ・ChileAtiende

ミャンマー(ミャンマー連邦共和国)のHSコード事前教示制度

ミャンマーにおける**HSコード分類の事前教示(Advance Ruling on Classification)**制度について、一次情報に基づき整理しました。

1. 主管当局と公式サイト

主管当局:Myanmar Customs Department(ミャンマー税関;所管省はMinistry of Planning and Finance)

公式サイト

主要な根拠法令

  • 通知150/2016(分類事前教示の手続根拠、2016年10月14日発行)
  • 通知40/2019(申請書様式CR-98(A)と手数料50,000チャットを規定、2019年4月18日発行)
  • 通知151/2016(評価事前教示、英語版公開、手続理解の参考に有用)
  • 通知91/2024(原産地事前教示、2024年12月27日発行、2025年より運用開始)

2. 事前教示(分類AR)の申請プロセス

申請書の入手
税関サイトの「Forms」ページから**Advance Ruling on Classification Application Form(様式名:Form CR-98(A)、通称ARC)**をPDFまたはExcel形式で入手できます。

提出先

  • Director of Export, Import Control Division, Customs Department, Yangon
  • 各Township Customs Station または OSS(ワンストップサービス窓口)

申請手数料
1件につき50,000ミャンマーチャット(MMK)

申請方法
英語またはビルマ語で記入し、本人持参、郵送、またはオンライン(限定的)で提出

受理・審査
税関が登録番号(Registration No.)および返信参照番号(Reply Reference No.)を付与し、内容を審査します。必要に応じて追加資料やサンプルの提出を求められる場合があります。

結果の通知
AHTN/WCO HSに基づくHSコードを記載した回答書(ARCレター)が発行されます。

輸入申告での利用
評価ARでは申告時に原本の添付が求められており、分類ARも同様の取扱いと想定されます。MACCSシステムへのオンライン添付の運用も一部で言及されていますが、実務では紙提出が基本です。

3. 申請に必要な情報

申請書(Form CR-98(A))には以下の情報を記載します:

申請者情報

  • 氏名または会社名、登録番号
  • 住所、電話番号、Eメールアドレス

商流・契約情報

  • 出荷スケジュール
  • 投資や長期契約の有無など取引詳細

貨物の詳細

  • 品名、ブランド、型式
  • 製造者、原産国、サプライヤー
  • 材質・成分、仕様・能力
  • 用途、包装形態
  • 製造・加工方法

添付書類

  • カタログ、パンフレット、技術資料
  • 写真
  • 必要に応じてサンプル

申請者の見解

  • 提案HSコード(任意)とその根拠

過去の照会情報

  • 同一品目について過去に照会したか否か

公開・非公開の選択
Disclosure(Yes/No)欄があり、非公開を希望する場合は最長180日間の非公開期間を指定できます(企業機密への配慮)。

4. 処理期間

分類ARの法定処理期間は英語資料では明確に規定されていません。

参考として、評価AR(通知151/2016)では、必要書類が揃ってから14日以内に回答することが規定されています。また、追加情報を求められた場合、申請者は5営業日以内に回答する義務があります。申請は貨物到着の30日前までに行うことが推奨されています。

分類ARも評価ARと基本的に同様の手続フローに準拠しているため、十分な資料を揃えて申請することが最短処理の鍵となります。

5. 有効期間

評価ARは発出日から6か月間有効です。

分類ARの具体的な有効期間を定めた英語の明文規定は確認できていません。一般的に、多くの国ではHS改正や事実変更まで有効とする運用や、一定期間(例:1年以上)の有効期間を付すのがWCOガイダンスの目安ですが、ミャンマー固有の期間は公表情報では未確認です。

6. 申請手数料

50,000ミャンマーチャット(MMK)

7. その他の重要事項

制度の範囲
ミャンマーでは分類(HS)、評価、原産地の3種類のAdvance Ruling制度が整備されています。原産地ARは2024年12月27日付の通知91/2024により導入され、2025年から運用が開始されました。

適用通則
ミャンマーはAHTN 2022/HS 2022に移行済みです。分類ARで参照されるHS版は最新のAHTN/HSに基づきます。

言語
申請は英語またはビルマ語で可能です。

秘密保持
評価ARでは評価情報の秘密保持が規定されています。分類ARの様式にも非公表(最大180日まで指定)のチェック欄があり、企業機密に配慮した運用がなされています。

申請主体
評価ARの規定では「国際取引者(輸入を予定する者)」が申請可能とされており、分類ARも同趣旨と考えられます。

オンライン公開状況
分類・評価ARの結果は体系的には公開されていません(2023年レビュー時点)。オンライン申請・受領システムも未整備との評価がありました。

原産地AR
通知91/2024に基づき、輸入者は貨物到着の60日前までに申請可能です。申請には製品サンプル、写真、図面、カタログ、生産計画、成分証明、製造工程、FTA原産地規則関連情報などの提出が求められます。

申請準備チェックリスト

申請をスムーズに進めるため、以下の点に留意してください:

  • 製品を1申請1品目で特定(バリエーションがある場合は型式別に申請)
  • 客観的資料を十分に準備(英語カタログ、構造図、化学成分表、製造工程図、用途写真など)
  • サンプル準備(求められる場合がある)
  • 提案HSコードと論拠を簡潔に記載(AHTN注釈、HS解説、類注・部注との整合性)
  • 商流の説明(長期契約や定期船積スケジュールがある場合は詳細に記載)
  • 処理期間を考慮した早めの申請(評価ARでは到着30日前申請・14日回答が目安)
  • 手数料50,000 MMKの準備

主要参考資料

  • Myanmar Customs Department公式サイト(申請様式、SOP、手数料規定)
  • Myanmar National Trade Portal(通知150/2016、通知40/2019、通知151/2016)
  • ERIA報告書(2023年、制度横断レビュー)
  • Lincoln Legal Services Newsletter 186(2025年1月、原産地AR導入情報)
  • Myanmar Customs Tariff 2022(AHTN/HS 2022適用)

ラオス人民民主共和国におけるHSコード事前教示制度

ラオス人民民主共和国におけるHSコード事前教示制度の実務まとめ

ラオス(Lao PDR)におけるHSコードの事前教示(Advance Ruling)制度—ラオス関税法上は分類・原産地・評価・手続/レジームを対象とするAdvance Rulings—の実務向けまとめです。一次根拠は、改正関税法(Customs Law)の第32条と、財務大臣インストラクション No.3610/MoF(2012年12月21日)、およびラオ・トレードポータルの掲載資料です。

主管当局と公式情報源

所管当局:税関総局(Lao Customs Department, Ministry of Finance)

制度案内・根拠:「Instruction of the Finance Minister on Advance Ruling, No. 3610/MoF」(ラオ・トレードポータル掲載)

Advance Ruling Unit(ARU):税関本部の所掌部局内に設置(申請受付・審査・決定案作成)。決定権者は税関総局長です。

問い合わせ先:WTO TFAデータベース上の税関協力Enquiry Point(連絡先・所在地)—税関協力窓口ですが、AR申請に関する初期照会先として有用です。

関連ポータル:ラオ・トレードポータル(制度全般/関連法令)

事前教示のプロセス(分類ARを中心に)

申請

様式:指定フォーム(分類/原産地/評価/通関手続・レジーム)で手書・電子のいずれも可。ラオス語または英語で詳細記載し、裏付け資料・必要に応じサンプルを添付してARUに提出します。

受付・照会

受付票の発行:受付日・受付番号を付して書面/電子で通知。

書類確認:5営業日以内に追加情報を求め得ます(インストラクションでは5日以内に照会→申請者は10営業日以内に回答とされていますが、改正関税法〔第32条〕では「追加情報の提出期限:5営業日」に短縮されているため、実務は法〔5日〕優先と理解するのが安全です)。

審査・決定

原則の流れ(省令ベース):10営業日以内に決定案を作成→ユニット長が5営業日以内に確認→2営業日以内に申請者へ受領案内。ラボ分析が必要な場合はこの10営業日目標を超過します。

法定の上限(関税法):申請受理日から60日以内にAdvance Rulingを発出。不備照会→5営業日以内の追完→再起算。

再考申立て(Reconsideration)

決定受領後30日以内に再考請求可。税関は7営業日以内に結果を通知します。

適用範囲・現場運用

全国の国境税関で有効。ただし現場の検査権限は維持(同一性確認のため現物検査を行い得る)。同一・同質貨物にも適用できる旨が明記されています。

注意:ラオスの別資料に「advance declaration(事前申告)」という語があり、”7日以内に事前申告を行う”等の運用が示されていますが、これは通関の事前申告であり、分類・原産地・評価のAdvance Ruling(第32条)とは別制度です。混同に注意してください。

申請に必要な情報(最小パック)

申請者情報:輸入者/申告者(海外の生産者・輸出者の代表による申請も可)。連絡先。

貨物の詳細説明:品名(通称/技術名)・用途/機能・作動原理・構造・材質/組成(重量%=100%合計)・寸法重量・包装形態(リテール/バルク、セット/部品)。写真・図面・カタログ等の裏付け。必要時はサンプル(提供困難な場合は技術情報で代替)。

申請者の見解:AHTN/HS候補と法的根拠(GIR・部注・類注)。

既往・係属:同一・類似案件の既存ARや係属(審査・不服)の有無。

原産地/評価:該当協定の原産地規則・工程/投入材内訳、評価方法の適用根拠、契約・価格関連証憑 等。

言語:ラオス語または英語(申請フォーム記載可)。

処理期間

法定上限:60日以内(受理日から)。追加資料のやり取り期間は別途。

内部目標(省令):10営業日で発出目標(ラボ分析等がある場合は超過)。受理後5営業日で照会可/申請者は(旧指針では)10営業日で回答。

有効期間

最新法令(関税法 第32条):3年間有効(貨物の性状等が不変であることが条件)。変更があれば新規ARが必要。

旧インストラクション(2012年):1年+延長1年と規定。現行は関税法の3年が優先(後法優先)。

必要な費用

手数料:金額の一律公表は確認できません。インストラクション第22条は「費用徴収に関する別途指示を税関が発出」と規定(発出時は「発給・延長に係る実費」ベース)。現時点で定額の料額表の公開情報は見当たらないため、ARUに個別確認が確実です。

実費:サンプル送付・試験分析などの実費が生じ得ます(関税法の規定上、サンプル提供要請あり)。

その他重要な実務上の注意点

拘束力の射程:全国すべての国境税関で有効。ただし現場検査権限は維持(貨物同一性の確認のため)。「同一・同質貨物」にも適用可能。

対象分野:分類(1申請=1品目)、評価、原産地、通関手続/レジーム(各1テーマごと)。

再考(Reconsideration):30日以内に申請→7営業日以内に回答。

公開性:非機密のARはデータベース化する方針(インストラクション)。

制度導入の背景:2012年インストラクション→2020年の関税法改正で「60日・3年有効」を明文化。

申請準備チェックリスト(分類AR)

☐ フォーム(分類用)にラオス語/英語で記入、ARU宛に提出

☐ 用途・機能・原理・構造・材質/組成(重量%=100%)・寸法重量・包装を写真・図面・カタログで裏付け、サンプルは要請時に対応

☐ AHTN/HS候補+GIR/注解で分類見解を明示

☐ 既往AR・係属の有無を申告

☐ タイムライン:受理→60日以内(内部目標は10営業日、不備照会は現行法では5営業日以内に回答)

☐ 有効3年(性状変更・法改正で失効)。更新時期の逆算

☐ 費用:統一料額の公示なし→ARUに確認(分析・サンプル等は実費)

主要根拠

関税法(改正):第32条 Advance Rulings(60日以内の発出/不備照会5営業日/再考30日→7営業日回答/有効3年)

財務大臣インストラクション No.3610/MoF(2012年):ARUの設置・手順、内部目標(10営業日で発出、ラボ分析時は超過)、決定の構成・全国適用・データベース化・費用規定の枠組み 等

電子通関関連の別資料(参考):advance declaration(事前申告)の運用(7日)—分類等のAdvance Rulingとは別制度

スイス連邦におけるHSコード事前教示制度

スイス連邦におけるHSコード事前教示制度の実務まとめ

スイス(Swiss Confederation)でのHSコード事前教示制度—同国では一般に**「(拘束的)関税分類照会/Verbindliche Zolltarifauskunft(vZTA)」**と呼ばれる—の実務向けまとめです(最終確認日:2025年10月18日)。

主管当局と公式情報源

主管当局:連邦税関・国境警備庁(FOCBS/BAZG/OFDF)

公式ページ:関税分類照会(Zolltarifauskünfte)ページに、申請窓口・必要情報・処理目安・法的基礎が整理されています。

公式URL:https://www.bazg.admin.ch/bazg/de/home/services/services-firmen/services-firmen_einfuhr-ausfuhr-durchfuhr/zolltarif-tares/zolltarifauskuenfte.html

オンライン関税表(検索ツール):Tares(スイス関税表・注解・先例へのリンクを収載)。

申請窓口:メールのみ(tarifauskunft@bazg.admin.ch)で受付。所定の質問票**「40.10 Tarifanfrage」**(Word様式)を添付します。

様式ダウンロード:https://www.bazg.admin.ch/…/40_10_tarifanfrage.docx

各ページの言語切替(DE/FR/IT/EN)も利用可能です。

事前教示(vZTA)のプロセス

申請時期・対象:原則として輸入前に、個別の具体品目について照会します。BAZGは商品群全体に対する包括的な回答は行わない旨を明記しています。

提出方法:所定の質問票40.10に記入し、メール(tarifauskunft@bazg.admin.ch)で提出。必要添付書類(写真・図面・仕様等)はPDF等で同封します。

受理・補正:記載内容が不十分な場合、BAZGが追完(補正)を求めます。なお、サンプルは原則送付不要です(必要時にBAZGから要請)。

審査・回答:必要情報が出そろってから起算で、最長40日以内に回答します(通常はおおむね40日)。処理は到着順です。回答は書面(PDF)で通知されます。

法的位置づけ:書面の関税分類照会は「行政処分(Verfügung)」ではないため、その文書自体に対する不服申立ては不可です。ただし、その照会に基づく具体の賦課決定に対しては通常の不服申立て手段で争うことができます。

申請に必要な情報(最小パック)

BAZGは申請に必須の情報を明示しています。40.10の質問票に沿って、次を英独仏伊いずれかで具体的に記載・添付します:

  • 商品の詳細説明:種類・性状、包装形態、用途
  • 組成(複合材/化学品等):各成分の重量%(100%基準)
  • 参考情報:専門文献・ウェブリンク
  • 高解像度の写真、カタログ/取説抜粋、図面、製造工程情報など分類に有用な資料
  • サンプル:送付不要(BAZGが必要と判断した場合のみ依頼)

実務のヒント:出願前にTaresで候補見出しを確認し、GIR(一般解釈規則)・部注・類注の当てはめと「候補の比較→棄却理由→主張見出し」の論理を資料内で明示しておくと審査が速やかです。Tares内には「貨物分類の決定(先例)」へのリンクもあります。

処理期間

法定上限:完全な資料の到達後、最長40日で回答(Zollverordnung〔関税施行令〕Art. 73)。

運用目安:通常は約40日。到着順で処理されます。

有効期間(拘束力・失効)

有効期間:6年。または、適用法令や解釈が改正・撤回された時点で失効します。

補足:関税分類の照会は6年、原産地の照会は3年とする旨が法体系の解説箇所にも示されています。

法的性質:書面照会は「行政処分」ではないため直接の不服申立ては不可。ただし、その照会に依拠した具体の賦課(課税)処分に対しては通常の審査ルートで争えます。

必要な費用

手数料:FOCBS/BAZGは、通常業務としての処理について原則手数料を徴収しません(Verordnung über die Gebühren der Zollverwaltung〔SR 631.035〕Art. 1)。したがって分類照会(vZTA)自体は無料です。

実費等:サンプル送付費や特別の出張・時間外対応等を要する場合は、別表の実費・時間料が適用され得ます(同規則の別表)。

その他重要な実務上の注意点

申請単位:1申請=1品目が原則。製品群一括の判断は行いません。

提出形式:メールに40.10様式を添付(Word)。資料はPDF等で明瞭に。サンプルは原則送付不要です。

Tares活用:関税表・注解・先例をTaresで事前確認。分類根拠の提示(GIR、部注・類注の該当)を明確化します。

照会文書の法的地位:不服申立て不可ですが、具体の課税決定に対する不服申立てで間接的に争うことは可能です。

HS改訂への注意:HS改正(例:2028年改正)など制度改訂で有効期間内でも失効があり得ます。

産業品関税の撤廃(2024年1月1日~):工業品の輸入関税は撤廃されましたが、分類(HSコード)は依然必須です(農産品関税・VAT・各種規制・統計・FTA原産地判定等で利用)。

申請準備チェックリスト

☐ 40.10質問票を作成(DE/FR/IT/ENのいずれか)。tarifauskunft@bazg.admin.ch宛にメール提出

☐ 用途・機能・構造・作動原理・組成(重量%=合計100%)・寸法重量・包装を写真・図面・仕様で裏付け

☐ 候補見出しの比較→棄却理由→主張見出し(GIR・部注・類注の当てはめ)を明記

☐ サンプル不要(要請時のみ提出)

☐ 処理目安:完全資料受領後40日以内(到着順)

☐ 有効6年(法改正等で失効あり)。更新時期を逆算

☐ 手数料:原則無料(通常業務の範囲)。特別対応は規則の定める実費があり得る

法令・一次情報(抜粋)

  • BAZG公式:関税分類照会(Zolltarifauskünfte)—必要情報、提出方法、40日の運用目安、サンプル不要、処分性なし
  • Zollverordnung(関税施行令)Art. 73—完全資料受領後40日以内に回答、補正要求の規定
  • BAZG指針R-10-00—有効6年、法改正等で失効、不服は具体賦課で間接的に
  • Tares(関税表)—関税表・注解・分類決定(先例)へのリンク
  • 手数料規則(SR 631.035)Art. 1—通常業務の処理は手数料を徴収しない旨
  • SECO:工業品関税の撤廃(2024年1月1日)—分類自体は引き続き必要

発表されたアメリカのトラックに対する関税に関して企業の経営者への情報

エグゼクティブ・ブリーフ(2025年10月19日/JST)

何が決まったか(超要約)

対象品目と関税率
中・大型トラック(クラス3~8)および部品に25%、バスに10%の関税を賦課。国家安全保障(通商拡大法232条など)を法的根拠とする大統領布告により発効します。

発効日時
米東部夏時間(EDT)2025年11月1日0:01(日本時間11月1日13:01)

USMCA適格車両の取り扱い
USMCA特恵要件を満たすトラックは、米国コンテンツを除く価値部分のみに25%を課税します(米国コンテンツ分は免除)。商務省への申請・承認プロセスが必要です。

USMCA適格部品
課税方式が連邦官報で確定するまで一時的に対象外とします(ただしCKD/EKD等のノックダウン・キットは常に課税対象)。

相殺プログラム(オフセット)
米国内で最終組立したMHDVについて、メーカーは車両価値の3.75%相当を関税相殺枠として2030年10月31日まで積み上げ可能です。エンジンメーカーにも同等制度を設定します。自動車分野の既存相殺制度も2030年まで延長されます。

関税の重ね掛け(スタッキング)
本布告の対象品は、鋼・アルミ・銅・自動車・木材等のセクター関税や相互関税との重ね掛けを回避します。ただし、素材・非対象部材に対する別関税は継続します。

業界インパクトの含意
メキシコ組立比率が高いOEMは原則コスト増となります。ただし米国部材比率(U.S. content)を高めて証明できれば実効税率を低減可能です。米国内組立は3.75%相殺により相対優位となります。メキシコが米向けトラック輸出の最大供給国である点から、サプライチェーン再配置圧力は強まります。


影響の見える化(簡易式とシナリオ)

USMCA適合トラック(メキシコ/カナダ組立)の関税額目安

実効関税 ≒ 25% × (1 − 米国コンテンツ比率)

計算例

  • トラック価額:180,000ドル
  • 米国コンテンツ:30%
  • 実効税率:25% × 70% = 17.5%
  • 関税額:約31,500ドル

※米国コンテンツの定義・算定は商務省の承認が必要です。虚偽申告には同型全量に対し全額25%適用の制裁条項があります。

米国内最終組立の相殺効果
相殺枠=車両価値の3.75%を、輸入部品の232関税等の負担とネット相殺に活用可能です(エンジンも同様)。


実務上の重要ポイント(法令運用)

USMCA適格部品の猶予措置
課税方式確立前は25%非課税とします(ただしCKD/EKDは課税対象のまま)。連邦官報告示を待つ必要があります。

FTZ(外国貿易ゾーン)の取り扱い
特恵外国(Privileged Foreign)ステータスでの入庫が必須となります。国内移出時に当該関税が適用されます。

車齢による除外
25年以上前の車両は対象外です(8702のバス含む)。

法的基盤と訴訟リスク
232条に加え、IEEPA・1974年通商法604条も布告に明記されています。関連の緊急関税に対する司法審査は別途進行中ですが、今回の主軸は232条です。訴訟リスクはあるものの、短中期での即時停止は見込み薄です。


経営サイドのアクション・チェックリスト(今週~来月)

財務/価格

  • 11/1(米東部)通関分からの原価再計算、販売価格・入札案件の価格条項(関税スライド/サーチャージ)更新
  • 相殺3.75%の申請・配賦設計(メーカー→輸入者番号への割当)

調達/生産

  • 米国コンテンツ比率の早急な実測(BOM展開、原価データの米国起源切り出し)。USMCAとは定義が異なる点に注意
  • CKD/EKD活用案件は構成見直し(対象固定)
  • メキシコ組立→米国組立の再配分や米国部材の置換に関する投資判断(6~18か月)

通関/ロジスティクス

  • 期日跨ぎ貨物の通関タイミング最適化(10/31までの搬入可否)とインボイス価額の整合
  • FTZ利用先はPrivileged Foreignでの運用切替確認

法務/渉外

  • 商務省への米国コンテンツ申請スキーム設計(証憑・監査プロセス)。誤申告は同型全量に全額25%ペナルティ
  • 官報・通達(部品方式、相殺運用細則)のモニタリング体制

メーカー別インパクト(要点サマリ)

評価軸
①北米の最終組立拠点、②メキシコ依存度、③短期コスト影響、④中期の戦略余地(米国化・相殺活用)

Daimler Truck NA(Freightliner/Western Star)
米国+メキシコ(サルティージョ/サンティアゴ)に主力工場。CascadiaやM2のメキシコ生産比率が高く、メキシコ依存度は高めです。USMCA適合でも非米国分に25%で実効税率が上昇します。米国内組立シフト、米国部材比の引上げ、3.75%相殺の活用で対応可能です。

PACCAR(Kenworth/Peterbilt)
米国主力+メキシコ生産も一定の割合を占めます。メキシコ依存度は中~高です。四半期あたり7,500万ドル規模の関税コスト増との報道があります。USMCA部材化・米国化を進めつつ、米国内組立分には相殺3.75%で影響緩和が可能です。

Navistar(International/親会社Traton)
メキシコ・エスコベードが大規模輸出拠点、米テキサス(サンアントニオ)等も拡張中です。メキシコ依存度は高めで、メキシコ発の非米国分に25%がヒットします。米国内拠点の活用拡大、米国部材化で実効税率低減余地があります。

Volvo Trucks North America / Mack
米国生産中心(VA/PA)でメキシコ依存度は低いです。完成車輸入は限定的で直接打撃は小さく、非USMCA部品の25%リスクは残りますが、米国内組立×相殺3.75%でむしろ相対優位となります。

Stellantis(Ram 3500などHDピックアップ)
メキシコ・サルティージョでHDピックアップ(クラス3相当中心)を生産します。メキシコ依存度は高く、USMCA適合でも非米国分に25%、価格転嫁圧力が生じます。米国コンテンツの引上げ、サプライヤー米国化で実効税率を圧縮できます。

Ford(Super Duty、F-650/750)
米国(KY/OH)組立中心でメキシコ依存度は低いです。完成車の直接影響は限定的で、相殺3.75%活用でネット有利となります。カナダ増産計画がある場合はUSMCA扱い+非米国分課税ルールの精査が必要です。

GM(Silverado HD/ Sierra HD)
米国(フリント)+カナダ(オシャワ)で生産します。メキシコ依存度は中程度で、カナダ組立はUSMCA前提でも非米国分に25%の可能性があります。米国内組立比率向上と相殺で影響緩和が可能です。

Isuzu(北米:N/Fシリーズ)
米国組立(ミシガン→SCへ拡大)が進行中です。メキシコ依存度は低く、完成車輸入依存が小さいため直接影響は限定的です。ただし日本発ボディ/キャブ等の非USMCA部品が25%対象となるリスクがあります。米国内一貫体制の加速でネット優位化が可能です。

Hino(トヨタ系)
米国(WV)で中型組立を行います。メキシコ依存度は低く、完成車輸入は限定的で相殺3.75%のポジティブ効果があります。エンジンは外部調達中心に移行済みで、非USMCA部品の管理が論点となります。

Tesla Semi / その他米系ZEV
米国内生産のためメキシコ依存度はありません。直接影響は軽微で、部材の原産地管理・232素材関税の最適化が主眼となります。

参考情報
メキシコは米向けMHDVの最大供給国で、政策発表後の報道もメキシコ依存OEMのコスト上振れを強調しています。


直近90日で経営が押さえるべき「3つの分岐点」

1. 米国コンテンツの定義運用と承認速度
「USMCA適合+非米国分のみ課税」の実効値が各社で大きく異なる可能性があります。商務省の運用方針とプロセス速度が重要です。

2. 部品課税方式の連邦官報告示
発効までUSMCA部品は一時免除ですが、方式確定で非米国分への25%が動き出します。告示内容とタイミングが業務に直結します。

3. 法的争点(232条/IEEPA周辺)の進展
全面無効化までは距離がありますが、周辺セクターとの整合や適用除外の余地に注目する必要があります。


参考:発表と報道(一次情報と主要メディア)

一次情報

  • 大統領布告:25%/10%の新関税、USMCA下の非米国分課税、相殺3.75%、FTZ/PFS、CKD対象、発効時刻等の詳細
  • ファクトシート:クラス3~8の範囲、重ね掛け回避、部品猶予等を整理

主要報道

  • メキシコ向け影響、相殺延長、北米サプライチェーンの見立て
  • メーカー別影響分析