日本に対する相互関税のアメリカの大統領令

公式本文(英語・全文)

  • Executive Order: “IMPLEMENTING THE UNITED STATES–JAPAN AGREEMENT”(署名日:2025年9月4日)— ホワイトハウス公式サイトに全文が公開されています。The White House
  • 本命令は、7月31日付の大統領令14326(「Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates」)を参照しつつ、日本向けの取扱い(“15%ベースライン”や複合税の扱い等)を明確化しています。The White House
  • 併せてホワイトハウスのファクトシート(2025年9月5日)も、枠組み合意の実施として位置づけています。The White House

※ 原文全文は上記リンクからお読みいただけます(この場では全文貼付を避け、主要部分の正確な抄訳を以下に示します)。


要点

  • 日本からの輸入品に対し、HTSUS「欄1(Column 1)」の従価税率が
    15%未満:欄1税率+追加関税の合計が15%になるよう調整
    15%以上:追加関税は0%(上乗せなし)
    → 相互関税の“積み上げ(スタッキング)”を避ける明確ルール。複合税(specific/compound)の扱いはEUと同様
    (令14326参照)。The White House+1
  • 遡及適用2025年8月7日 午前0時1分(米東部夏時間)以降に輸入通関(または保税蔵置から引取り)された日本産品に適用。過払があれば返金The White House
  • 自動車・自動車部品:Section 232(自動車関連の宣言)による追加関税に代えて、上記15%基準で扱う。The White House
  • 航空宇宙(民間航空機協定対象、無人機除く):既存のアルミ・鉄鋼・銅・相互関税の対象外へ移行(官報告示によりHTSUSを改正)。The White House
  • 特定品目の0%化:米国内で供給困難な天然資源ジェネリック医薬品(原薬・化学前駆体含む)は、商務長官の裁量で**相互関税を0%**にできる。The White House
  • 履行監視と変更:日本が合意履行を怠った場合、命令の見直し・強化もあり得る。The White House

主要条文の参考訳

※ 法的効力は英語原文が優先です。条番号は原文に準拠。

Sec. 1(背景)
2025年7月22日の米日フレームワーク合意を受け、その実施として本命令を発出。対日15%ベースライン関税を導入し、米国の製造・安全保障上の必要を満たす。日本側からの米国内5,500億ドル投資等のコミットメントにも触れる。The White House

Sec. 2(一般関税)
(a) 日本産品に適用する追加従価税率は、HTSUS欄1の現行税率を基準に決定。欄1が15%未満なら「欄1+追加=15%」。15%以上なら追加は0%特定税・複合税の処理は令14326(EU扱い)と同様
(b) これ以外は、令14257(相互関税の基本令)の規定が継続。
(d) 適用は2025/8/7 0:01(EDT)に遡及、過払返金は関係法令・CBP手続に従う。The White House

Sec. 3(航空宇宙)
WTO民間航空機協定に該当する**日本産航空宇宙製品(無人機を除く)**には、令14257鉄鋼・アルミの大統領宣言(9704/9705)銅(10962)による関税を適用しない。官報告示でHTSUSを改正。The White House

Sec. 4(自動車・部品)
官報告示の効力発生日以降、自動車・部品については、**宣言10908(Section 232自動車)**の追加関税に代えて、欄1が15%未満なら合計15%、15%以上なら追加0%The White House

Sec. 5(相互関税の適用除外品目)
商務長官は、日本産の国内供給が不足する天然資源ジェネリック医薬品・原薬・化学前駆体について、**相互関税率を0%**に改める裁量を持つ(合意履行状況や米国の国益等を考慮)。The White House

Sec. 6(監視と修正)
日本のコミットメント履行を商務長官が継続監視。履行不十分の場合は、本命令の修正等で対応し得る。The White House

Sec. 7–9(権限委任・他令との関係・一般規定)
実施のための規則改正・官報告示等を商務長官・国土安全保障長官に委任。既存の宣言・大統領令と矛盾する部分は本命令が優先。本命令は権利発生を意図しない一般条項を含む。署名は2025年9月4日The White House


関連する前提令(参照条項)

  • Executive Order 14326(2025年7月31日):EU向けの**「15%ベースライン/15%以上は追加0%」のロジックや、複合税の取扱いを定めた命令。今回の対日取扱いでも同一ロジック**を適用すると明記。The White House

国名関税率出所備考
アメリカ15%(対日ベースライン:欄1が15%未満は合計15%、15%以上は追加0%。自動車・部品も同基準/民間航空機は除外The White House(Executive Order, 2025/9/4)適用起点:2025/8/7(EDT)に遡及。一部品目は0%化可(資源・ジェネリック)。

出所:実施令「Implementing the United States–Japan Agreement」(2025年9月4日)、および令14326(2025年7月31日)。The White House+1


参考報道

  • ホワイトハウスのファクトシート(合意の位置づけと概要)。The White House

 

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