FTAにおける原産地証明:その使うべき原産地規則

FTAでは、原産地証明で適用する原産地規則がかなり大事であると思っています。

原産地規則には3つの種類があります。

  • 加工工程基準(SP)
  • 関税分類変更基準(CTC)
  • 付加価値基準(VA)

企業は適用基準を好きに選べるわけではありません。協定、及び輸出商品の該当するHSコードにより使える原産地規則が決まっています。多くの場合、CTCかVAの選択が出来るようになっています。

大型客船のような一品ものは、付加価値基準(VA)で問題はないとは思いますが、同じ商品が何度も輸出されるような場合は、関税分類変更基準(CTC)の方が断然使い勝手がいいです。

しかし、実際にはVAを使われる企業が多くあります。計算しやすいからとのことですが、私の経験からすると、むしろVAは証明するのが厄介です。

構成部材毎のコストを計算する必要がありますし、その計算根拠もちゃんと出せるようにする必要があります。また、VAの場合は本来は輸出毎に証明をする必要があるのです。現実はそれは無理なので、企業内でのルール作りをして、そのチェック頻度を企業として明確にして、原産性が維持されていることを確認続ける必要があります。

VAが使われるのに、「計算がしやすいから」という理由意外に別に理由があるととある人から聞きました。「監査法人は、VAの方が自分たちの専門性が生きるし、仕事も継続してもらいやすくなるから。」だそうです。

確かに。

原価計算、システム化では彼らに一日の長があります。一方、CTCで必要となるHSコードは素人に等しい。

どれだけ、本当なのかはわかりません。

ただ、多くの工業製品でCTCとVAの選択が出来る場合は、CTCにした方が企業にはメリットが多いし、相手国の検認にも強いですよ。

FTAに関するサプライヤー説明会: メーカーの要望の問題点

私の顧客のところでサプライヤー様向けのFTA説明会を開きました。

目的は、企業と同じレベルの原産地証明をしてもらうことにあります。企業が原産地証明の品質を向上させたところで、サプライヤーの証明(サプライヤー証明や同意通知)が駄目でしたら、検認の際に大きな問題になります。

できるだけわかりやすい説明会とその後のフォローが大切であることを過去の経験から痛感しており、今回もその経験を生かして行ったつもりです。そうしないとちゃんとした証明を行ってもらえないことが多いためです。

一方、このお客様には多くの納品先から、サプライヤー証明や同意通知をもらうべく、「データを下さい」的な要望が来ます。

彼らが要求している情報だけでは不十分なことが多いと感じます。これにより原産地証明が出来ていると考えている企業が多いことは正直怖いことです。

日頃、サプライヤーの原産地証明に関する認識を上げることが必要と感じていますが、その阻害要因になっているものの一つは、サプライヤーの顧客にもあるのです。

FTA戦活研スタート

GEF(Global Edge Forum)から分化したFTA戦略的活用研究会。

9月21日にスタートしました。

詳しくはココをご覧下さい。

TPPなどは成立するのか危ぶむ声もありますが、企業としてはこのチャンスを活用すべく対応する必要があります。

研究会がその一助になればと思っています。

この研究会では、以下の3つを狙っています

  1. FTAを単なる関税削減ツールにするのではなく、企業のグローバル戦略に組み込む戦略エンジンであることを考える
  2. FTAが如何に大事かを経営陣に理解してもらう。戦略的重要性とコンプライアンスの問題の諸刃の刃であることを理解してもらう
  3. 国の側と企業の側の距離を縮め、企業に取って有効なFTAになるように国側にも理解してもらう

かなり大きな夢ですが、不可能ではないと思っています。少なくとも今のままでは日本企業がFTAを有効に使う事が出来ないだろうという危機感を持っています。

 

EPA相談デスクで、浜松にてセミナー講師を務めました

本日は、浜松でセミナーの講師を務めました。

テーマは他の会場でのセミナーと同じで、

「戦略活用とコンプライアンス」

資料は毎回進化させています。

企業のEPA事例としては、東芝ジーイータービンコンポーネンツ株式会社様と、株式会社タスコ様がお話しをされました。

参加者は20名と少なかったのですが、無事に終えて良かったですね。

2016年9月14日 EPA活用デスク セミナー@浜松
2016年9月14日に浜松で行われました「EPA活用セミナー」の光景です

昨日は、TKAOのEPA活用セミナーの講師で福山に行きました

台風が来ていましたが、TKAOのEPA活用セミナーの講師で福山に行きました。

主催がジェトロとのジョイントで、通常の14:00スタートではなく、13:00スタート。

天候の問題もあり、到着が13:00少し手前となってしまいました。

私が最初に講演することになっており、問題がありましたので順番を変えて頂きました。

出席者は70名。商工会議所、ジェトロ他の皆様のご尽力のおかけです。

17:00までの長丁場でしたが、皆さん真剣に聞いておられました。

昨日は、中小企業大学校関西校で講師を1日行ってきました

昨日は、中小企業大学校関西校(兵庫・福崎)で講師を1日行ってきました。

テーマはグローバル人材についてで、午後からは私の専門のFTAのお話。

個人的にはグローバル人材という言葉は嫌いで、そんなものは全くないと思っています。むしろそういう曖昧な言葉でまとめて語るから、「グローバル人材」が育たないのだと。

個人的な、他国の人とのコミュニケーションは、共通項と違いを早く理解し、共通項で語りながら、違いを尊重することだと思っています。

話が長くなるので今回はこれまでとして、午後のFTAの講義はいい経験でした。

決して大きくない企業からの人8名でしたが、とても勉強熱心。講義時間が4時間あるので、FTA業務では定番のWorld TariffをID取得から行い、自分たちの商品が他国でどれくらい関税がかかっているかから経験してもらいました。その後に原産地規則を説明、実際にどんな規則かを調べてもらい、「大変だー」といった言葉がでたり、かなり和気藹々と抗議は終わりました。

「知らないことばかり」、「眠たくなる暇なし」と後の懇親会でおっしゃっていただき、東方としてもとてもいい経験が出来ました。

学校のロケーションは、福崎という播州に位置する町です。私はその播州の加古川に小学生までいましたら、とても懐かしい思い出いっぱいでした。

 

FTA/TPPセミナーが立て込み、グロッキー気味

この1週間程度、かなりFTA関連のセミナーが立て込みました。

7月25日: GEF FTA戦略的活用研究会 @東京

7月26日: EPAデスク EPA活用セミナー(日本自動車部品工業会協賛) @名古屋

7月27日: 中小企業大学校 三条校 TPPの活用に関して @新潟県三条市

7月30日: 専修大学、東京信用保証協会 TPPの活用 @東京

8月2日; 日本関税協会 メガFTAに関して @東京

8月8日(予): 中小企業大学校 関西校 TPPの活用について @兵庫県姫路市

これ以外にも、トムソン・ロイターのセミナーでのパネルディスカッション、福山でのセミナーと8月であと二つ。

そろそろ充電しないと、しゃべることがなくなりつつあります。

EPA相談デスクのセミナー@名古屋

7月26日は、経済産業省の補助金事業のEPA相談デスクの名古屋セミナーでした。

この会場のセミナーは日本自動車部品工業会の共催で行われ、自動車メーカーや自動車部品メーカーの方々が多く来られました。

私もセミナーの講師をしました。

私の最近の関心事は、FTAとコンプライアンス(検認)とサプライヤーのFTA原産地証明の巻き込み方。最近のパターンです。

講演の後、多くの方が名刺交換に来られました。これらの関心の高さがうかがえます。

企業事例では、デンソーとヒロタニの2社の自動車部品メーカーが講演をされ、100名近くの方で大盛況でした。

 

ジェトロの新輸出大国エキスパート

ジェトロの新輸出大国エキスパートに選ばれました。

3名の募集(これからの輸出大国化のために、3名は少ないと思いますが)に選ばれたことは光栄です。

特にTPPに関係する案件の相談を担当することになります。

現在、東京共同会計事務所と一緒に行っている経済産業省関連のEPAアドバイザー、中小機構が行っているFTA・EPA・TPPのアドバイザーと国関連が行っているアドバーザー業務はほとんど関係することになったのではないかと思います。

本業のコンサルティング業務の時間とのバランスが気になるところではありますね。

イギリスのTPP参加?インドのTPP参加?

アメリカの政治家の中には、イギリスのTPP参加の可能性に言及する人がいるようです。

面白い発想ですね。あり得なくないと思います。

EUほどのきつい縛りがTPPにたくさんある訳ではありませんし。

もし、可能性が出てくれば、オーストラリア、ニュージーランドも賛同するでしょう。

また、イギリスとのFTAに関する話題で持ちきりのインドも、これを機会にTPPに加盟するかもしれません。(インドの場合、超えねばならない課題も多いでしょうが)