HSコード(Harmonized System Code)とは、世界税関機構(WCO)が定める国際的な商品分類コードである。タイが採用する「AHTN(ASEAN統一品目表)」は、WCOが定める世界共通の6桁HSコードをベースに、ASEAN独自の品目細分化として2桁を追加した計8桁の体系となっている。現在は「AHTN 2022」の最新版に準拠して運用されている。
2026年2月20日、米連邦最高裁は、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠にした広範な関税措置について、IEEPAは関税を課す権限を大統領に与えていないと判断しました。 (Reuters) その直後、ホワイトハウスは通商法(Trade Act of 1974)122条(19 U.S.C. 2132)を根拠に、150日間の一時的輸入サーチャージ(従価税)を課す布告を出しました。 (The White House)
そこで前面に出てきたのが通商法122条です。通商法122条は、国際収支問題に対応するための「一時的輸入サーチャージ(最大15%、原則150日)」を明文で認める条文で、IEEPAと違って「関税」を正面から規定しています。 (Legal Information Institute) ただし、122条は万能ではありません。要件も、上限も、期間も、条文上の制約が明確であるため、企業は「同じ関税でも、法的な寿命と論点が違う」ことを前提に備える必要があります。 (Legal Information Institute)
3-1. 発動要件:fundamental international payments problems
通商法122条(19 U.S.C. 2132)は、fundamental international payments problems(根本的な国際収支問題)に対して、輸入制限措置をとるための条文です。要件として条文が掲げる目的は次の3つです。 (Legal Information Institute)
大きく深刻な米国の国際収支赤字に対処するため
外国為替市場におけるドルの急激かつ重大な下落を防ぐため
国際的な国際収支不均衡の是正について他国と協力するため
ここで重要なのは、単なる貿易赤字(モノの輸出入差)に限られない一方で、無限定に「通商交渉のてこ」として使える条文でもない点です。少なくとも文面上は「国際収支問題」という政策目的に結び付ける必要があります。 (Legal Information Institute)
122条の輸入サーチャージは、期間が原則150日で、延長には議会(法律)による延長が必要です。上限は最大15%です。 (Legal Information Institute) ここがIEEPAとの決定的な違いです。IEEPAは非常事態と制裁の枠組みであり、関税上限や期間上限が条文で設計されていません。一方、122条は「短期で上限付き」という形で、政治的にも司法的にもコントロール可能な設計になっています。 (Legal Information Institute)
122条は、輸入制限措置は原則として広く一様に適用すべきだとしつつ、米国経済の必要性に基づく例外を認めます。ただし、例外は無制限ではなく、国内供給の不足、原材料の必要輸入、供給混乱の回避などに限定され、特定産業を輸入競争から守る目的で例外設定をしてはならないとも明記します。 (Legal Information Institute) したがって、企業としては「例外品目の定義や根拠」が、政策と法の両面から精査対象になると見ておくべきです。 (Legal Information Institute)
さらに122条は、輸入制限措置は無差別原則に沿って適用する、とした上で、目的達成のために一部の国(大きく持続的な国際収支黒字を持つ国)に対する措置が最適だと大統領が判断すれば、それ以外の国を除外できる余地も書かれています。 (Legal Information Institute) この条文構造は、実務で「全世界一律」と「国別アレンジ」の両方が起こり得ることを意味します。どちらに寄るかは、布告や付属文書(Annex)の設計次第です。 (Legal Information Institute)
3-5. 2026年2月の布告から読み解く「運用の型」
2026年2月20日付の大統領布告は、122条を根拠に、150日間の10%従価税を課すとし、発効日を2026年2月24日と明示しています。 (The White House) 布告文は、国際収支問題の説明として、財務・経済統計(財・サービス収支、第一次所得、第二次所得など)を挙げ、米国の国際収支が「大きく深刻な赤字」であるという評価を前提にしています。 (The White House) また、例外についても、122条が許容する限定要因(国内供給、原材料、供給混乱回避、無効・不要、輸送中の貨物など)に沿って設計していることを明記し、輸送中貨物の定義まで置いています。 (The White House) 加えて、サーチャージを通常の関税として扱うこと、USTRとCBP等がHTSUS修正を連邦官報の通知で行うことなど、執行面の設計も条文のフレームに合わせています。 (The White House)
(C)「論点が立ちやすい」:本当に“国際支払問題”なのかが争点になる 一部の研究者・実務家は「変動相場制の下では“fundamental international payments problems”という概念自体が現代では当てはまりにくく、122条で広範関税は無理筋では」という趣旨の批判も出しています。 (国際経済法政策ブログ) 他方で、ホワイトハウスは、貿易収支や所得収支などを根拠に「国際収支赤字が大きく深刻」と位置付けて正当化しています。 (The White House) さらにReutersは、122条の適用は**法的に十分にテストされていない(legally untested)**とも報じています。 (Reuters)
今回の訴訟(Learning Resources, Inc. v. Trump および Trump v. V.O.S. Selections)における最大の争点は、1977年に制定された国際緊急経済権限法(IEEPA)が大統領に関税を課す権限を与えているか否かであった。大統領府側は、IEEPAが大統領に国家緊急事態において国際取引を「規制(regulate)」する権限を与えており、この「規制」には関税の賦課も含まれると主張していた。
しかし、通商専門家のサイモン・レスターらが分析するように、第122条の行使には法的な制約が存在する。同条項は、米国の「根本的な国際収支問題(fundamental international payments problem)」や深刻な貿易赤字に対処するための時限的措置として設計されており、最大15%の関税を150日間のみ課すことが許されている。150日を超えて関税を維持するには議会の承認が必要となる。また、この措置は特定の国を狙い撃ちにするのではなく、全貿易パートナーに一律に適用されなければならないという制約がある。
インドの強気な再交渉 トランプ大統領は、ロシア産石油の輸入などを理由にインドに対して最大50%の懲罰的関税を課していたが、最近の二国間交渉により18%への引き下げで暫定合意していた。違憲判決により、インドの輸出業者はIEEPA関税の足枷から解放されることとなった。興味深いことに、トランプ大統領は違憲判決を受けた直後の記者会見で「インドの取引は有効だ(The India deal is on)」と公言し、合意の維持を強調した。インド政府は、今回の判決を奇貨として、米国との本格的な自由貿易協定や特恵貿易の再交渉において、より強気な姿勢で臨むことが可能となった。
ブラジルの「競争力回復」という逆説 ブラジルは、他国とは異なる視点からこの状況を歓迎している。同国のジェラルド・アルキミン副大統領兼開発商工相は、最高裁判決とそれに続く米国の10%グローバル関税への移行によって、米国との通商交渉は「強化される」と述べた。その理由は、これまでブラジルは他国にない40%という著しく高い関税の標的にされていたため、トランプ政権が「すべての国に一律10%」という代替関税(第122条)に切り替えることは、相対的にブラジルの競争力を劇的に回復させ、プレイングフィールドを平坦にする(Leveling the playing field)効果があるからだ。これは、一律のグローバル関税が及ぼす影響が、既存の関税率の不均衡によって国ごとに全く逆の作用をもたらすという重要な事実を示している。
還付をめぐって特に揉めやすいのが、「誰が還付請求できるのか」という点です。米国の輸入実務では、還付を請求できる主体が輸入者(Importer of Record)に紐づくことが多く、流通や小売など、関税コストを事実上負担していても、輸入者でないと還付を取りに行けないリスクが指摘されています。(Reuters)
本記事は、2026年2月20日までに公表されている判決文および報道等に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件、還付手続き等は改正・運用変更・個別事情により変わる可能性がありますので、必ず最新の公的情報をご確認ください。重要な取引については、米国側のImporter of Record、通関業者、弁護士、税理士、監査法人等の専門家に相談し、必要な検証を行った上でご判断ください。本記事の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。