分野別追加関税(米国・2025年10月1日発効)

分野別追加関税(米国・2025年10月1日発効)

2025年9月25日(木曜日)、ドナルド・トランプ米国大統領は自身のソーシャルメディア(Truth Social)上で、複数の分野を対象とした新たな輸入関税を10月1日から導入すると発表しました。この発表はブルームバーグ、AP通信(NPRなどが配信)、日本のTBS NEWS DIGなど複数の主要メディアによって報じられています。

以下が発表された関税の概要です。

分野関税率修正・補足事項
ブランド/特許医薬品100%ジェネリック医薬品は対象外。米国内で製造施設を建設中(着工済み)の企業は適用除外となる。
キッチンキャビネット・洗面化粧台50%トランプ大統領は、これらの製品が他国から不当に「大量流入」していることを理由に挙げている。
布張り家具30%キッチンキャビネット等と同様の理由が示唆されている。
中型・大型トラック25%Peterbilt、Kenworth、Freightlinerといった米国のトラックメーカーを「不公平な海外競争から保護するため」と説明している。


重要な補足情報

  • 法的根拠: トランプ大統領は、特にトラックや家具・キャビネットの関税について「国家安全保障(National Security)およびその他の理由」と述べており、通商拡大法232条を念頭に置いた措置である可能性が高いです。
  • 発表の背景と目的: 今回の発表は、米国内の製造業を保護し、サプライチェーンを国内に回帰させるというトランプ政権の一貫した政策を反映したものです。特に医薬品については、企業に米国内での工場建設を促す明確な意図が見られます。
  • 市場への影響: この突然の発表を受け、メキシコに大規模な生産拠点を持つダイムラー・トラックなどの株価は下落し、一方で米国内での生産が中心のボルボの株価は上昇するなど、すでに関連業界の株価に影響が出ています。
  • 用語について: これらは米国が一方的に課す関税であるため、「相互関税」ではなく「追加関税」や「分野別関税」と呼ぶのがより正確です。

「カナダ—インドネシア包括的経済連携協定(CEPA)」現状整理

概要

協定の現状: 2025年9月24日、オタワで両国がCEPAに署名。協定ステータスは「署名済(未発効)」。international

発効見込み: 2026年に発効予定(各国の国内批准・実施法整備が前提)。pm

関税撤廃の規模:

  • カナダ側:インドネシア産品に対する90.5%の関税を撤廃
  • インドネシア側:85.8%の品目ヘディング(HSヘディング)を自由化
  • カナダの対インドネシア輸出の95%以上で関税削減または撤廃効果xinhuanet+1

※測定単位(関税分類の粒度)が異なるため、数値の直接比較には注意が必要

実施スケジュール

現在(署名後〜発効前): 関税・通関手続きは現行通り。企業はHSコード単位での影響分析や原産地管理の準備段階 。international

2026年発効後: 即時撤廃品目は0%に、段階的削減品目は年次スケジュールに従い低下。具体的な品目別スケジュールおよび品目別原産地規則(PSR)は協定本文・附属書で確認可能 。international

関税・原産地・通関手続き

関税撤廃・削減: 物品市場アクセス章に基づき実行。輸出入許可の透明性強化、新規輸入ライセンス規律も盛り込み 。international

原産地規則(ROO):

  • 累積(accumulation)対応、生産累積見直し条項あり
  • 原産地証明、保存義務、事前教示、検認、罰則、当局間協力を含む
  • 証明方式の詳細(様式・自己証明可否等)は協定本文に従うinternational

通関手続き・貿易円滑化: WTO貿易円滑化協定を基盤とし、通関の簡素化・標準化・電子化等を規定 。international

サービス・投資・デジタル分野

投資: ISDS(投資家対国家紛争処理)を含む保護・待遇規律を整備。ネガティブリスト方式採用、インドネシア側には透明性向上のための3年移行期間。発効3年後のオファー改善見直しも規定 。international

金融サービス: 独立章として、市場アクセス・内外無差別・最恵国待遇に加え、強固なプルーデンシャル例外(金融安定確保のための裁量)を明記 。international

電子商取引: 越境データ流通、データローカライゼーション規律、ソースコード開示、オープンガバメントデータ、個人情報保護等を含み、デジタル貿易の予見可能性向上を図る 。international

政府調達: 透明性・協力等の手続き規律を整備し、将来の市場アクセス拡大に向けた交渉条項を含む 。international

国有企業(SOE): インドネシアにとって初の包括的SOE規律(無差別・商業的考慮・規制の中立性・透明性等)を導入 。international

労働・環境: 水準引き下げ競争防止、気候・生物多様性・プラスチック等の課題への取り組み、責任ある企業行動を盛り込み 。international

優先課題の二国間対話

重要鉱物: 高いESG基準の下で供給網強靭化・技術協力を推進 。international

SPS(衛生植物検疫): カナダ産牛肉とインドネシア産ツバメの巣の市場アクセス課題解消に向けた覚書を活用 。international

紛争解決: 透明性の高い国家間紛争解決(当事者提出、審理、最終報告の公開等)。international

有望セクター(公表情報ベース)

カナダ側有望品目(対インドネシア): 小麦、カリ(肥料)、木材、大豆等—完全実施で価格競争力が向上 。pm

インドネシア側有望品目(対カナダ): 繊維・履物・家具・加工食品・軽電機・自動車部材・ツバメの巣等。6,500超のタリフラインが優遇対象 。xinhuanet

企業実務対応チェックリスト

  1. HSコード特定: 主要SKUのHS6桁〜10桁を確定し、CEPA関税スケジュール(附属書)に照合。段階削減の年次率と即時撤廃判定を準備
  2. 原産地要件(PSR)リスク評価: 自社の部材構成・工程で原産資格を満たせるかを検証。累積条項の活用余地も試算
  3. 原産地管理プロセス整備: 証明書式/自己証明の可否、保存期間、検認対応を社内規程・システムに組み込み
  4. 通関・物流見直し: 発効後の申告手順・原産地申告文言・事前教示の取得計画を立案
  5. サービス・投資規制確認: インドネシア側ネガティブリストの参入制限・外資比率・現地要件を精査
  6. データ・IT対応: 越境データ移転・ローカライゼーション規律に適合するクラウド/拠点設計を検討
  7. 重要鉱物・SPS案件化: 鉱物・食品関連企業は二国間対話を活用し、規制・承認の前倒しを狙うinternational

よくある質問

Q1. いつから特恵税率を使えますか?
A. 発効(2026年)以降です。発効日前の出荷には適用されません 。pm

Q2. 自社品目が即時0%になるか知りたい
A. HSコード別の撤廃・削減スケジュールを確認する必要があります。正式な附属書に基づき判定してください 。international

Q3. 原産地証明は誰が作成しますか?
A. 原産地手続き章に証明・保存・検認・事前教示等の運用が規定されています。自社の役割分担に応じた体制整備が必要です 。international

Q4. セーフガードやAD/CVDは?
A. WTOの権利義務を再確認しており、アンチダンピング・相殺関税・グローバルセーフガードの枠組みは維持されます 。international

追加の注目点

安全保障・経済の包括連携: 署名当日、防衛協力協定など複数のMoUも同時締結。サプライチェーン(重要鉱物等)や人材協力の観点で、民間案件への波及可能性 。pm

数値の解釈: 90.5%(カナダ)と85.8%(インドネシア)は、それぞれ関税撤廃対象と自由化対象(ヘディング単位)で、母数・単位が異なるため単純比較は不適切 。setkab

参考資料

  1. https://www.pm.gc.ca/en/news/news-releases/2025/09/24/prime-minister-carney-announces-new-trade-agreement-indonesia-canadas
  2. https://www.international.gc.ca/trade-commerce/trade-agreements-accords-commerciaux/agr-acc/indonesia-indonesie/cepa-apeg/background-contexte.aspx?lang=eng
  3. http://www.xinhuanet.com/english/asiapacific/20250925/0626b5c9037a40bfa3be41f522915e87/c.html
  4. https://setkab.go.id/en/indonesia-canada-sign-agreements-on-trade-defense-business/
  5. https://www.international.gc.ca/trade-commerce/trade-agreements-accords-commerciaux/agr-acc/indonesia-indonesie/cepa-apeg/summary-negotiated-resume-negociations.aspx?lang=eng
  6. https://search.open.canada.ca/qpnotes/record/dfatd-maecd,00014-2025
  7. https://voi.id/ja/news/518008
  8. https://www.idnfinancials.com/jp/news/57461/signs-ica-cepa-indonesia-becomes-canadas-first-asean-partner?sl=jp
  9. https://www.thebusinesscouncil.ca/publication/bcc-and-kadin-indonesia-sign-mou/
  10. https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/07/e4c84586ae7275ed.html
  11. https://www.reuters.com/world/americas/canada-boost-indonesia-exports-diversify-non-us-trade-says-minister-2025-09-24/
  12. https://www.canada.ca/en/global-affairs/news/2025/09/minister-sidhu-meets-with-indonesias-minister-of-trade.html
  13. https://jp.reuters.com/business/XHGKBECGIVMORHZE63E5L3PMUY-2025-09-25/
  14. https://www.fibre2fashion.com/news/textile-news/canadian-pm-announces-new-trade-agreement-with-indonesia-305483-newsdetails.htm
  15. https://www.pm.gc.ca/en/news/statements/2025/09/24/joint-statement-bilateral-meeting-between-prime-minister-canada-mark-carney
  16. https://www.nna.jp/news/2843591
  17. https://news.yahoo.co.jp/articles/ec6a7ce4f22d07de22725942ff5ec8f5c58bc706/images/000
  18. https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2025/09/571486.php
  19. https://voi.id/ja/amp/517883
  20. https://www.jetro.go.jp/biznewstop/biznews/asia/idn/wto-fta/
  21. https://www.cbp.gov/sites/default/files/2025-08/20250820_tariff_factsheet_0.pdf
  22. https://search.open.canada.ca/qpnotes/record/dfatd-maecd,00010-2025
  23. https://www.dfat.gov.au/trade/agreements/in-force/iacepa/iacepa-text/Pages/iacepa-annex-2-a-schedules-of-tariff-commitments
  24. https://www.bilaterals.org/?indonesia-finalizes-first-north
  25. https://catts.eu/preferential-trade-updates-august-2025/
  26. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00207020251340090
  27. https://www.cbsa-asfc.gc.ca/trade-commerce/tariff-tarif/2025/html/countries-pays-eng.html
  28. https://www.thejakartapost.com/business/2025/09/25/ri-canada-ink-trade-pact-amid-us-pressure.html
  29. https://policy.trade.ec.europa.eu/eu-trade-meetings-civil-society/csd-negotiations-comprehensive-economic-partnership-agreement-cepa-between-eu-and-indonesia-2025-09-16_en
  30. https://policy.trade.ec.europa.eu/eu-trade-relationships-country-and-region/countries-and-regions/indonesia/eu-indonesia-agreements/key-elements-eu-indonesia-trade-agreement-and-investment-protection-agreement_en
  31. https://www.cbsa-asfc.gc.ca/trade-commerce/tariff-tarif/2025/html/admin-eng.html

ASEANに加盟予定の東ティモールについて

A. 東ティモールの概要

実務メモ:現時点(2025年9月)で、対東ティモール向け日本産品の輸入時は上記5%+2.5%が原則。一方、東ティモール原産品の対日輸入は、日本のLDC特恵(特別特恵)対象で多くが無税になり得ます(Form A等の要件充足が前提)。 Ministry of Foreign Affairs of Japan+2Japan Customs+2


B. ASEANへの参加の経緯(時系列の要点)

  • 2022年11月:ASEAN首脳会議で**「原則承認」(11番目の加盟国として)。オブザーバーとして各会合に出席。 2023年に「完全加盟ロードマップ」**をまとめる方針。 ASEAN
  • 2023年5月ロードマップ採択(第42回首脳会議)。実装進捗報告を注視。 ASEAN+1
  • 2025年
    • 3月:ASEAN事務局とADBが**能力強化プログラム第2弾(CBP 2.0)**開始。ロードマップの「優先合意群」への対応を加速。 ASEAN+2ASEAN+2
    • 7月第58回外相会議(AMM)で、完全加盟に向けた支持再確認・ASEAN事務局内の東ティモール・ユニット稼働等を明記。 ASEAN
    • 直近の見通し2025年10月・クアラルンプール正式加盟の儀式・最終化と報道。 CNA

ポイント正式加盟の発効は、署名・批准・寄託等の国内手続の完了を経て効力発生(“式典=即時発効”とは限らない)。ただ、外相会議やASEAN公式リリースからは最終段階に入っていることが読み取れます。 ASEAN


C. ASEAN加入で起こるビジネス上の変化

1) 関税(ATIGA)を中心に

  • 域内関税の基本像:ASEANのATIGA域内関税の大幅撤廃を目的。先行加盟6か国は99.65%の品目で関税撤廃済み。新規加盟国も段階的スケジュール(センシティブ例外を含む)で最終的にゼロ%に近づくのが通例。東ティモールも自国の譲許表(削減工程)を策定・公表していく運び。 ASEAN+1
  • 東ティモールの現行MFNとの関係:今は**MFN5%(一律)**だが、**ATIGA発効後は「ASEAN原産品」に限り段階的に低下→原則0%**へ。非ASEAN原産(例:日本原産)はATIGAの対象外Timor-Leste Customs Authority+1
  • 日本から東ティモールへの輸出
    • 短期:ASEAN正式加盟直後は、日本原産にはATIGAの特恵なし。当面は**MFN5%+売上税2.5%**が目安。 Timor-Leste Customs Authority
    • 中期:東ティモールがAJCEP(日本-ASEAN包括的経済連携)に追加加入(別途手続)すれば、日・東ティモール間に協定特恵が広がる余地。現時点で日本政府も加盟支援の意向を表明。 Ministry of Foreign Affairs of Japan+1
    • 補足(WTO/ITA)情報通信機器などITA品目2027/2030年までにMFN無税へ(原産地を問わず)。電気電子系の対東ティモール輸出は個別HSでゼロ化時期を要確認。 World Trade Organization
  • 東ティモールから日本への輸出
    • **日本のLDC特恵(特別特恵)**により、多くの品目で無税(Form A等の原産性証明が前提)。当面の優遇として実務的に最も使いやすい。 Ministry of Foreign Affairs of Japan+1
  • ASEAN内サプライチェーン活用
    • 加入後は、ATIGAの原産地規則(一般にRVC40%やCTH等)を満たすASEAN原産として組み立てれば、東ティモール向け域内ゼロ関税が狙える(譲許表に依存)。e-Form Dや**自己申告(AWSC)**の活用が実務の肝。 ASEAN+1

2) 当面の優遇・支援/ハーモナイズ(制度面)

  • 能力強化(IAI/JAIF・CBP 2.0):ASEANのIAI(格差是正)、日本のJAIFにより、東ティモール官庁の制度整備・人材育成を重点支援2025年3月に第2期プログラム始動。これにより移行期の“緩やかな適用”や運用安定化が期待できる。 ASEAN+1
  • 関税・通関の整合
    • AHTN(8桁):ASEAN共通の**品目表(AHTN 2022)**を採用へ。HSとの整合が取りやすくなり、品目分類のブレが減る。 ASEAN+1
    • ASW/e-Form DASEAN Single Window国家シングルウィンドウを接続し、ATIGAのe-Form Dを電子交換。紙のCO依存が低下し、通関の可視性・迅速化につながる。 ASEAN+2ASEAN+2
    • ACTS(域内トランジット):域内単一担保・単一申告で陸送トランジットを簡素化。将来的に東ティモールが参加すればロジコスト低減に寄与。 acts.asean.org+1
  • 投資・サービス
    • ACIA(投資保護・内外無差別の枠組み)とATISA(サービスのネガティブリストベース化)へ段階的に編入。参入透明性・保護が向上。 ASEAN+1
    • MNP協定(ビジネス人材の一時入国)で、ビジネス訪問者・企業内転勤等の扱いが整理され、人の流れがスムーズに。 Centre for International Law

まとめ(ハーモナイズの道筋)
AHTN採用 → ASW接続(e-Form D/AWSC) → ATIGA譲許表の履行 → ACIA/ATISA/MNPの国内整備 →(必要に応じて)ACTS参加という順で、**制度面の“ASEAN化”**が進む見込みです。 WTO Regional Trade Agreements+4ASEAN+4ASEAN+4


D. 日本企業の実務アクション(すぐできること)

1) HSコード単位の影響洗い出し

  • 対東ティモール輸出入で使うHS8桁(AHTN想定)を棚卸。現行MFN(5%)+売上税2.5%、WTO/ITAのゼロ化時期(2027/2030)、将来のATIGA譲許(域内ゼロ化)可能性をコード別にマッピング。 Timor-Leste Customs Authority+2Trade Information Portal+2

2) 原産地戦略の見直し

  • ATIGAのRVC40%/CTHを満たすASEAN内生産・加工の設計(発効後にe-Form Dで享受)。日本からの完成品直送は当面MFNのまま、AJCEP追加加入の時期をモニター。 ASEAN+2Enterprise Singapore+2

3) 通関電子化の準備

  • e-Form D/AWSCの運用実務、ASW接続国の受入状況(相手税関の受信・照合プロセス)を理解。社内/通関業者とデータ項目・運用手順を詰めておく。 Singapore Customs

4) 調達・販売の“当面の優遇”活用

  • 対日輸入(東ティモール原産)はLDC特恵で無税が広い。コーヒー等の一次産品だけでなく軽工業品の育成輸入の芽も検討。 Ministry of Foreign Affairs of Japan

5) 制度整備の進捗を定点観測

  • 正式加盟の最終化(2025年10月クアラルンプール)、ASEAN・東ティモール政府の**「優先合意群」実装**、投資・サービスのネガティブリスト公表等を四半期ベースで確認。 CNA+1

留意点(不確実性)

  • 正式加盟の効力発生日ATIGAの個別譲許表(削減カレンダー)は、署名・批准・官報告示を経て確定します。実務適用は法令公布・関税令改正の確認が必須です(ASEANも「優先合意群」整備を継続中)。 ASEAN

付録:ミニ早見表

テーマ“いま”加入後に起きること(概念)
関税(対TL輸入)MFN一律5%+売上税2.5%(物品税あり)ATIGAに基づきASEAN原産は段階的に**0%**へ(譲許表次第) Timor-Leste Customs Authority+1
日本→TL(日本原産)当面はMFN(5%+2.5%)AJCEPへの東ティモール加入が成立すれば協定特恵(時期未定) Ministry of Foreign Affairs of Japan
TL→日本(TL原産)LDC特別特恵広く無税(Form A等)継続(TLがLDCである限り) Ministry of Foreign Affairs of Japan
電機・ICT多くがMFN2.5%WTO/ITA2027/2030までにMFN0%(対象HS限定) World Trade Organization
通関・証明紙CO中心ASW/e-Form D/AWSCで電子化・迅速化 ASEAN+1
品目表(自国表)AHTN 2022へ整合(HS8桁統一) ASEAN
投資・サービス個別法制ACIA/ATISA/MNPの枠組み適用で透明性・保護向上 ASEAN+1

出典の要所(抜粋):

米国相互関税率表(2025年9月24日現在)

米国相互関税率表(2025年9月24日現在)

凡例:関税率=米国が当該国原産品に課す「相互関税」率。別建ての対カナダ/対メキシコ/対中国”オピオイド関連”などの関税は備考欄に明記。「前日差」は9月24日と9月23日の比較。

主要国・地域別関税率

国・地域名相互関税率出所備考前日差
日本15%FR告示(9/9, 9/16)/CBPガイダンス9/16から実装詳細明確化。自動車・航空機・医薬等の取扱い規定、最大15%の非スタック適用変更なし
中国10%(相互関税分)CBP CSMS(8/11)/FR告示(8/14)対中相互関税は11/10まで10%延長。別枠で”オピオイド供給網”20%等が並行適用(合算で30%水準)変更なし
EU15%上限方式大統領令 Annex I(7/31)列1一般税率15%未満:差額上乗せ/15%以上:追加0%。実効15%上限で運用変更なし
カナダ相互関税対象外別枠の対カナダ関税:35%(USMCA適用品免除、エネルギー・カリ肥料10%)。7/31発表・8/1発効変更なし
メキシコ相互関税対象外別枠の対メキシコ関税:25%(USMCA適用品免除)。2/1以降のEOと3/6実装告示変更なし

アジア太平洋地域

国名相互関税率備考前日差
インドネシア19%米・インドネシア合意(7/22発表)に基づく変更なし
インド25%9/18時点で引下げ観測報道(10-15%)も現行25%維持変更なし
韓国15%日本との差を問題視する報道あり、率は未変更変更なし
フィリピン19%交渉継続報道あり(率は現行19%維持)変更なし
ベトナム20%影響に関する直近報道あり(率は現行20%)変更なし
タイ19%変更なし
マレーシア19%変更なし
ブルネイ25%変更なし
カンボジア19%変更なし
ラオス40%変更なし
ミャンマー40%変更なし
バングラデシュ20%変更なし
パキスタン19%変更なし
スリランカ20%変更なし
台湾20%変更なし

中東・アフリカ地域

国名相互関税率前日差
イスラエル15%変更なし
ヨルダン15%変更なし
イラク35%変更なし
シリア41%変更なし
南アフリカ30%変更なし
ナイジェリア15%変更なし
アルジェリア30%変更なし
リビア30%変更なし
チュニジア25%変更なし

ヨーロッパ地域

国名相互関税率前日差
スイス39%変更なし
ノルウェー15%変更なし
リヒテンシュタイン15%変更なし
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%変更なし
北マケドニア15%変更なし
セルビア35%変更なし
モルドバ25%変更なし

その他地域

国名相互関税率前日差
ブラジル10%変更なし
ベネズエラ15%変更なし
カザフスタン25%変更なし
フィジー15%変更なし
フォークランド諸島10%変更なし
その他アフリカ諸国15%アンゴラ、ボツワナ、カメルーン、チャド、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ガイアナ、レソト、マダガスカル、マラウイ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、ナウル、ザンビア、ジンバブエ

重要な注記事項

トランシップメント規制:相互関税回避の迂回輸出と認定された場合、追加40%(HTS 9903.02.01)のペナルティが適用される可能性があります 。

他制度との関係:相互関税は他の関税制度(対中”オピオイド”20%、232条鉄鋼・アルミ、セクター別上乗せ等)と別建てです。日本については”相互関税は最大15%でスタックしない”等の非累積規定が明確化されています 。

前日(9/23)からの変更:上記各国について公的更新による相互関税率の変更は確認されていません 。

主要出所

  • 国別レート基準:大統領令(2025年7月31日)”Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates” Annex I
  • 日本:連邦官報(9/9・9/16公示、9/16適用)/CBPガイダンス(9/15)
  • 中国:CBP CSMS(8/11)・連邦官報(8/14)により10%を11/10まで延長確認
  • カナダ:ホワイトハウス大統領令(7/31)による別枠35%関税
  • メキシコ:国境関連別枠関税25%(2/1のEO、3/6実装告示)

インドネシアEU CEPA合意内容

エグゼクティブサマリー

EU-インドネシアCEPA(包括的経済連携協定)は2025年9月23日に交渉妥結し、併せて投資保護協定(IPA)も最終化されました 。今後は法的精査・翻訳→署名→双方の承認・批准手続きを経て発効します 。

関税撤廃は品目数ベースで98%超、価値ベースでほぼ100%に達します 。発効時点で約80%が即時撤廃され、5年後には対EU・対インドネシア貿易の96%まで段階的に撤廃されます 。自動車・機械・化学等のEU製品は段階的撤廃の恩恵を受け、インドネシアのパーム油・繊維・履物なども市場アクセスが向上します 。

原産地規則は自己申告(self-certification)を採用し、中小企業でも使いやすい設計となっています 。通関円滑化はWTO貿易円滑化協定(TFA)を上回るTFA+の内容です 。

技術的貿易障壁(TBT)・自動車付属書では、UNECE 1958規則に基づくEU型式認証の受入れ等により再試験の重複を削減します(最遅2033年までの移行規定) 。

**貿易と持続可能な発展(TSD)**章は法的拘束力・紛争解決メカニズムにより執行され、パーム油プロトコルで持続可能なパーム関連の対話・協力・貿易円滑化の仕組みを新設します 。

発効時期は双方の国内手続完了後となり、インドネシアは2027年1月の実施を目標としています 。

主要変更点(章別要点)

関税(物品貿易)

撤廃カバレッジ: 品目の98%超(価値ベースでほぼ100%)。即時80%→5年で96%の貿易が自由化 。

EU→インドネシアの主な撤廃例:

  • 自動車(最大50%、多くは5年で撤廃)
  • 機械・電機(多くは即時、残り5年)
  • 医薬品(多くは即時、残り3年)
  • 化学(多くは即時、残り5年)

インドネシア→EU: 多くの関税を撤廃・大幅削減。パーム油、繊維・履物などの主要輸出品にメリット 。

原産地規則

**自己申告(self-certification)**を基本とし、ビジネスフレンドリーな文書化システム。税関当局間の行政協力による検認システムを整備 。

通関・貿易円滑化

TFAの実績を統合しつつTFA+へ発展。透明性向上、品目分類・評価の明確化、手続きの公表、税関当局間の情報連携(相互行政支援プロトコル)などにより迅速・確実な通関を促進 。

SPS(衛生植物検疫)

WTO-SPS協定の再確認に加え、緊急時対応、情報共有、公式管理・認証、国境検査の効率化等を強化 。

技術的貿易障壁(TBT)・自動車付属書

認証の相互受入れ: EUの認定機関による試験・証明の受入れ(電機・機械等)
規制透明性: 60日のパブリックコメント期間+発効まで6ヶ月の猶予期間を設定
自動車付属書: UNECE 1958規則への整合化により、EU型式認証を追加試験なしで受入れ。インドネシアのUNECE1958協定加入、又は2033年までの段階的受入れ措置 。

デジタル貿易

予見可能で公正なデジタル環境を整備。電子契約・電子インボイス・ペーパーレス化、中小企業支援、相互運用可能なサイバー標準等を促進 。

政府調達

透明・公正・無差別な手続原則を明記。入札アクセスの予見可能性が向上 。

知的財産権

著作権、商標、意匠、地理的表示、特許、営業秘密、品種等の包括的な保護・執行枠組みを整備。EU221品目、インドネシア72品目の地理的表示を直接保護 。

エネルギー・原材料

許認可の透明化、再生可能エネルギー分野の現地含有要件緩和、送配電網への非差別アクセス等により投資・サプライチェーンを安定化。ESG・責任ある企業行動(RBC)の協力も明記 。

貿易と持続可能な発展(TSD)・パーム油プロトコル

ILO中核条約・パリ協定等を基礎とする法的拘束力のある執行メカニズム。森林・生物多様性・IUU漁業対策を包含。
パーム油プロトコル: 規制動向の対話・持続可能な生産の協力・パーム関連貿易の円滑化を図る専用枠組み 。

投資保護協定(IPA)

不当取扱い・収用・司法救済の拒否等から投資を保護しつつ、規制権限を維持。最新型の投資紛争解決制度を3年以内の別途交渉で追加予定 。

実施タイムライン

交渉妥結: 2025年9月23日(CEPA・IPA)
今後の手続: 法的精査・多言語翻訳 → EU理事会での署名・締結提案 → 署名 → 欧州議会の同意 → インドネシア側批准 → 発効
発効見通し: インドネシアは2027年1月実施を目標としているが、正式には批准完了が前提 。

ATIGA改訂の内容

エグゼクティブサマリー

ATIGAアップグレードは、ASEAN域内の物品貿易をデジタル・持続可能社会に対応させる包括的な近代化改訂です 。2025年5月に交渉が実質妥結し、「ATIGA改正第二議定書」として2025年10月26-28日の第47回ASEANサミット(マレーシア・クアラルンプール)で署名予定です 。発効は各国の国内手続完了後となります 。

改訂の柱は、非関税措置の透明性向上原産地規則の簡素化通関のデジタル化・ペーパーレス化AEO・事前教示等のTFA+要素SPS/TBT強化(GRP導入含む)、および環境・循環経済やMSME支援等の新分野の包含です 。

交渉ステータスとタイムライン

交渉妥結: 2025年5月25日のAECC(ASEAN経済共同体理事会)会合でATIGAアップグレード交渉の妥結が正式確認されました 。

署名予定: 第二議定書は2025年10月26-28日の第47回ASEANサミットで署名予定です 。マレーシアが議長国として開催します 。

発効見通し: 署名後、各国で批准・国内実装手続きを経て発効します。具体的な発効条件・移行期間は議定書テキスト及び各国通達で確定されるため、企業は官報・税関通達の継続的モニタリングが必要です 。

改訂の主要内容

関税・市場アクセス/非関税措置

現在のATIGAは既に98.6%の品目で関税撤廃を達成しているため、今後の焦点は非関税障壁の解消にあります 。改訂では、定量規制の不実施確認、輸入ライセンス・輸出規制・輸出補助金の規律強化、通知・透明性要件、是正メカニズムの整備を図ります 。

原産地規則の近代化

**「シンプル・ビジネスフレンドリー」**を基本原則として、PSR(付加価値基準・関税分類変更基準・加工工程基準の組合せ)、累積活用、証明手続きの明確化を進めます 。特に、e-Form D/ASWの活用拡大、原産地申告制度、検認・免除閾値・記録保存義務の整備により、事務負担・リードタイム削減が期待されます 。

通関・貿易円滑化の強化

WTO貿易円滑化協定(TFA)を上回る水準(TFA+)を目指し、自動化・標準化・簡素化事前教示制度(品目分類・評価・原産地規則)、AEO制度ペーパーレス化、エクスプレス貨物、ASW/ACTS高度化を柱とする包括的拡充を行います 。

SPS・TBT・GRP強化

SPS(衛生植物検疫措置): WTO-SPS協定の再確認に加え、同等性認定の迅速化、国際基準活用、意思決定情報共有、国内手続公表、技術協議メカニズムを強化します 。

TBT・GRP(良好規制慣行): WTO-TBT協定のTBT+実装、国際規格使用・相互承認、GRP原則適用、ACCQ(ASEAN基準・品質協議会)連携を推進します 。

新分野の導入

環境・持続可能性: 多国間環境協定履行確認、各国規制主権保持、循環経済促進を明記します 。

MSME支援: 中小零細企業の市場アクセス・情報・デジタル化支援を制度化します 。

企業への影響と対応準備

重要な変化点

非関税措置への対応: 通関・検査・規格・検疫手続きのコスト・時間短縮が期待される一方、透明性・通知要件の遵守強化が求められます 。

原産地規則の高度化: ASW/e-Form D・原産地申告・記録保存要件整備によりリードタイム短縮が期待されますが、サプライチェーン情報のトレーサビリティがより重要になります 。

準備チェックリスト

制度対応:

  • 2025年10月署名後の官報・通達監視体制構築
  • 社内原産地判定SOP及び記録保存規程のATIGA改訂対応更新

サプライチェーン管理:

  • PSRデータ整備(部材別原産・非原産区分、RVC計算、累積活用方法)
  • e-Form D/ASW利用拡大及び自己申告要件確認

貿易円滑化:

  • 事前教示活用計画作成及びAEO取得・維持の費用対効果評価
  • ペーパーレス化対応(権限管理・監査ログ整備)

品質・環境管理:

  • SPS/TBT手続変更点の製品カテゴリー別棚卸
  • 循環経済・環境データ(再生材比率等)管理システム構築

今後の展望

第47回ASEANサミットでの署名により、ASEAN域内貿易の新たな段階が始まります 。企業は署名後に公表される議定書正文及び各国実施通達を注視し、段階的実装に備える必要があります 。特に、デジタル化・持続可能性・サプライチェーン強靭化といった今後のトレンドに対応した貿易実務への移行が重要となります 。

AIを利用した「HS Code Finder 2.5」で関税率表解説と国際分類例規を更新しました

関税率表解説と国際分類例規が更新されましたので、「HS Code Finder 2.5」でもリファレンスを更新しました。

参考までですが、現在のHSコードは2022年次のものとなりますが、次回のWCOによる更新は2028となります。それまでは、こういうデータの更新のみとなります。

代替性のある産品・材料とは

A. 用語の整理:代替性のある産品・材料とは

  • 定義のイメージ
    見た目や規格・品質が同一で互いに取り替えて使えるため、混ざってしまうと個々の出所を見分けられない産品・材料のこと(例:樹脂ペレット、ボルト、穀物、化学薬品)。RCEP では「商業上代替可能で、本質的性質が同一」などと定義されています。Ministry of Commerce FTA
  • なぜ規定がある?
    倉庫・サイロ・タンクで原産(Originating)と非原産(Non‑originating)が混蔵されても、合理的な在庫管理で**どれだけ“原産として使った扱いにできるか”**を決め、原産地証明を実務的に可能にするためです。CPTPP や RCEP は「物理的分離」または「GAAP(各国会計原則)に認められた在庫管理法」での扱いを明記しています。Global Affairs Canada

B. どの協定で使えるか(主要協定の早見表)

※「範囲」=材料のみ/材料+完成品(保税的な保管から輸出)、「方法」=在庫管理法の例。条文は英語正式名。

協定条文・用語範囲方法・ポイント(抜粋)
CPTPP(TPP11)Art. 3.12: Fungible Goods or Materials材料+完成品物理分離またはGAAPに認められた在庫管理法(年度を通じて同一法を継続使用)。Global Affairs Canada
RCEPArt. 3.11: Fungible Goods or Materials材料+完成品物理分離またはGAAPベースの在庫管理法(通年で使用)。定義も明記。Ministry of Commerce FTA
日EU EPAArt. 3.8: Accounting segregation材料のみ会計分離を許容。税関の事前許可を求め得る/物理分離と同じ結果を超えてはならない。Ministry of Foreign Affairs of Japan
日英 EPAArt. 3.8: Accounting segregation材料のみ日EUと同趣旨(会計分離、事前許可可)。Japan Customs
日豪 EPA(JAEPA)Art. 3.10: Fungible Goods and Materials材料+完成品GAAPに認められた在庫管理法で判断可。Japan Customs
日メキシコ EPAArt. 28: Fungible Goods and Materials材料+完成品FIFO/LIFO/平均法を明示。選んだ方法は会計年度(又は期間)を通じ継続Ministry of Foreign Affairs of Japan
日ASEAN(AJCEP)Art. 35: Identical and Interchangeable Materials材料のみ**在庫管理・在庫会計の慣行(GAAP)**で判断。用語は「同一・代替材料」。Japan Customs
日チリ EPAArt. 34: Fungible Goods and Materials材料+完成品混蔵在庫に在庫管理法適用を明記。Ministry of Foreign Affairs of Japan
日ペルー EPAArt. 46: Fungible Goods or Materials材料+完成品条文項目として規定あり(原文索引)。Ministry of Foreign Affairs of Japan

実務上、近年の日本の二国間EPAは多くが採用しています(上の日本税関「LEGAL TEXTS」から各本文参照可能)。具体案件では対象協定の条文番号を都度確認してください。Japan Customs


C. 原産性の判断方法

  1. 二つのアプローチ
    • 物理的分離:原産と非原産を倉庫・タンク等で区分保管。
    • 在庫管理法/会計分離:混蔵を前提に、FIFO(先入先出)/LIFO(後入先出)/平均法などGAAPに基づく手法で、「どれだけ原産を使ったことにするか」を算定。CPTPP・RCEPは「同一会計年度に同じ方法」の継続使用を要求。日EU・日英は会計分離で、税関の事前許可物理分離と同じ結果を超えないことを求めます。Japan Customs+3Global Affairs Canada+3Ministry of Commerce FTA+3
  2. 「材料のみ」か「材料+完成品」か
  3. 記録と検証
  4. 原産地証明の形(超要約)
    • CPTPP:輸入者・輸出者・生産者いずれでも自己作成の原産地証明(Minimum Data)。Global Affairs Canada
    • RCEP発給機関の原産地証明 or 承認輸出者/輸出者・生産者の申告Ministry of Commerce FTA
    • 日EU/日英輸出者の原産地申告(Statement on origin)または輸入者知見。会計分離は許可制の可能性Ministry of Foreign Affairs of Japan+1
    • AJCEP/日メキシコ等:**原産地証明書(CO)**の取得が基本。日メキシコは在庫管理法の明示も可能。Japan Customs+1

D. 実務フロー(社内の動き方)

  1. 適用協定の特定(仕向地・品目) → 製品の**PSR(品目別規則)**確認
  2. 混蔵の有無を棚卸:倉庫/サイロ/タンクで原産・非原産が混ざるか
  3. 方法を選択
    • EU/UK は会計分離の許可取得が必要な場合 → 事前申請
    • CPTPP/RCEP/日豪/日メキシコ 等はFIFO/LIFO/平均法のどれを使うか決定し、会計年度を通じて継続
  4. 記録体制:在庫台帳(入庫日・数量・原産性)、使用数量、出荷ロットと紐づけ
  5. 原産計算:PSR(CTC/VA/工程)に合わせ、在庫法で“使った原産材料”の数量・価額を確定
  6. 証明:協定に応じて申告書/COを作成(データ最小要件や有効期限に留意)

E. 具体例(3ケース)

例1:樹脂ペレット → 成形部品(CPTPP/RCEP/日EU)

  • 倉庫に原産600kg(日本製)と非原産400kg(域外)のペレットを混蔵。
  • 平均法を選択すると、原産比率は 600/1,000=60%。同日に生産・出荷する800kgぶんの材料使用をみなす場合、原産480kg/非原産320kgとして取り扱える。
  • CPTPP/RCEPならこの比率をもとにRVCの計算CTC判定へ展開(年度内は継続適用)。日EUの場合は「材料の会計分離」として同様の按分が可能(必要に応じ事前許可)。Global Affairs Canada+2Ministry of Commerce FTA+2

例2:ボルトを混蔵保管し、そのまま輸出(完成品への適用)

  • 日メキシコ/日豪/CPTPP/RCEPのように完成品レベルでもみなし適用が可能な協定では、倉庫で混蔵されたボルト(同一規格)をFIFOで引き当てて**「原産として輸出できる数量」**を算定できる。
  • 日EU・日英・AJCEP材料限定のため、完成品の混蔵輸出に在庫法を使う設計ではない点に注意。Japan Customs+6Ministry of Foreign Affairs of Japan+6Japan Customs+6

例3:コーヒー豆ブレンド → 焙煎豆(AJCEP)

  • 原産(ASEAN域内)と非原産の生豆を混蔵し焙煎。AJCEPの**「同一・代替材料」**規定により、**在庫管理(GAAP)**で投入原料の原産比率を出せる(材料レベル)。Japan Customs

F. よくある落とし穴(回避策)

  • 年度途中の方法変更:CPTPP/RCEP/日メキシコは会計年度を通じ同一方法。年度途中の切替は不可(新年度から変更)。Global Affairs Canada+2Ministry of Commerce FTA+2
  • 会計分離の許可漏れ:日EU・日英は税関の事前許可が必要となる場合。社内フローに許可取得を組み込む。Ministry of Foreign Affairs of Japan+1
  • 証憑の不足:在庫台帳・入出庫、BOM、購買・生産・出荷記録、コスト計算根拠等を5年程度の保管(協定・相手国法で年限は異なる)。CPTPPの記録義務を参考。Global Affairs Canada
  • 完成品への適用可否の取り違え材料のみの協定(日EU・日英・AJCEP)では完成品混蔵に在庫法を使わない。Ministry of Foreign Affairs of Japan+2Japan Customs+2

③ 確認(依頼事項への対応状況)


付録:条文原文の要点(抜粋)

REX(登録輸出者)システムに関する企業向け実務ガイド

皆様からREXに関する関心が多いことから、今回まとめてみました。

はじめに:日本企業にとっての結論
日EU・EPAを利用して日本からEUへ輸出する場合、REX登録は不要です。6,000ユーロを超える貨物で原産地を自己申告する際の「輸出者参照番号」には、EUのREX番号ではなく、**日本の「法人番号」**を記載します(未付番なら空欄可。住所の記載で代替可)。Taxation and Customs Union


1. REX(登録輸出者)システムとは?

REX(Registered Exporter)は、原産地自己申告を可能にするための輸出者登録制度です。EU側の輸出者GSP受益国の輸出者が、REX番号をインボイス等の**Statement on origin(原産地に関する申告)**に記載して特恵を申請する仕組みです。Taxation and Customs Union


2. REXが必要となる主なケース(日本からの輸出以外)

輸出ルート適用される制度/協定6,000ユーロ超の場合の要件
EU → 日本 などEUが締結するFTA(例:EU–Japan、CETA、UK TCA等)EU側輸出者にREX登録が必要(自己申告で特恵申請)。EU Trade+1
GSP受益国 → EUGSP(一般特恵)受益国の輸出者にREX登録が必要(自己申告で特恵申請)。Taxation and Customs Union

したがって、REXは**「EU側が輸出者」または「GSP受益国が輸出者」のときに関係し、日本からEUへ輸出する場合には直接関係しません**。Taxation and Customs Union


3. 日EU・EPAにおける日本の輸出者の対応

3.1 輸出者参照番号には「法人番号」を記載

  • 自己申告文(Statement on origin)をインボイス等に記載する際、**日本側輸出者の輸出者参照番号は「法人番号(13桁)」**です。Taxation and Customs Union
  • 未付番の場合空欄可で、住所を「場所及び日付」欄に記載して輸出者を識別できます。Taxation and Customs Union
  • EU税関による照合のため、国税庁「法人番号公表サイト(英語版)」に社名・所在地が表示されるよう設定しておくことを推奨します。Taxation and Customs Union

3.2 6,000ユーロ閾値の考え方

  • EU側輸出者6,000ユーロ以上でREXが必要、未満は不要。EU Trade
  • 日本側輸出者はREX不要で、基本は法人番号を用います(未付番時は空欄可)。「日本側に6,000ユーロ超=番号必須」という定めは明文化されていませんTaxation and Customs Union

3.3 代替手段:輸入者の知識(Importer’s knowledge)
輸出者の自己申告に代えて、EU側輸入者の知識に基づき特恵申請することも可能です。輸入者は原産性を示す資料を保持・提示できる必要があります。Taxation and Customs Union


4. 実務上のチェックリストと注意点

4.1 原産地自己申告文(Statement on origin)の記載【重要】

  • **PSR(CTH、RVC等)の“具体語”を書き込む必要はありません。一方で、附属書3‑Dの注記(4)に従い、A/B/C/D/Eの「コード」(例:A=完全生産、B=品目別規則充足、E=寛容差 等)は該当すれば記載します。多くのケースでは「B」**になります。wko.at+1
  • 輸出者参照番号(日本側=法人番号)原産地(EUまたはJapan)、**有効期間(複数出荷の場合)**など、附属書3‑Dで定める要素を満たすこと。Taxation and Customs Union
  • 保存義務:自己申告文と原産性に係る記録は最低4年間保存。Taxation and Customs Union

4.2 取引先(EUの輸入者)からREX番号を求められた場合
REXはEU側輸出で使う番号であり、日本からEUへの輸出では法人番号を用いる旨を説明します。必要に応じて、**法人番号公表サイト(英語版)**の掲載で確認可能にします。Taxation and Customs Union

4.3 用語の混同に注意

  • REX番号EU側GSP受益国側登録輸出者番号(自己申告のため)。Taxation and Customs Union
  • 法人番号日本側輸出者が日EU・EPAで輸出者参照番号として用いる番号。Taxation and Customs Union
  • EORI番号EU域内で通関手続を行う事業者の登録番号(REXとは用途が異なる)。EU Trade

5. まとめ

  • REXの基本EU側輸出者GSP受益国の輸出者6,000ユーロ超の貨物で自己申告する際に用いる登録番号EU Trade+1
  • 日本企業の対応日本→EUではREX不要輸出者参照番号=法人番号を記載(未付番時は空欄可・住所で代替)。Taxation and Customs Union
  • 実務最重点PSRの具体語(CTH等)の記載は不要だが、A/B/C/D/Eのコード必要に応じ記載裏付け資料の4年間保存法人番号の英語表記公開を徹底。wko.at+1

確認(根拠)

  • 日本側=法人番号/EU側=REX、輸出者参照番号の空欄許容と住所記載の代替、保存期間4年、自己申告文の構成要素:EU–Japan EPA 共同ガイダンスTaxation and Customs Union
  • EU側輸出者のREX要否(6,000ユーロ閾値)Access2Markets「Statement on origin」。EU Trade
  • EU–Japan(双方)での自己申告フレーム、EU側輸出はREX登録が前提/日本側は法人番号:Access2Markets EU–Japanページ。EU Trade
  • GSPはREX必須:欧州委「GSP」ページ(受益国輸出者はREXで自己申告)。Taxation and Customs Union
  • 附属書3‑D注記(4)のコード(A/B/C/D/E)官報版 附属書3‑DおよびAccess2Marketsの記載。wko.at+1
  • **輸入者の知識(Importer’s knowledge)**の要件:EU–Japan EPAガイダンス(Importer’s knowledge)Taxation and Customs Union

HS2028年改訂に関する企業向け実務ガイドライン

概要
次回のHSコード(商品の名称および分類についての統一システム)の改訂は、当初の2027年から1年延期され、2028年1月1日発効となります。これは新型コロナウイルス禍による審議サイクルの遅延に伴う一度限りの延長で、次の版は2033年に戻るとWCOが明確にしています。World Customs Organization


1. HS2028改訂の公式スケジュール(確定/見込み)

時系列(国際6桁HSの改正工程)

  • 2025年3月10–21日HS委員会(HSC)第75会期が改正勧告を暫定採択(交渉は収束)。勧告はWCO理事会に付議。あわせて作業実績(分類意見・EN改正等)も公表。World Customs Organization
  • 2025年6月26–28日WCO理事会がArticle 16の「改正勧告」を採択(EUも歓迎声明を公表)。ここから6か月の受諾期間(反対がなければ受諾成立)。Taxation and Customs Union
  • 2025年12月末受諾期間満了(HS条約の手続)。
  • 2026年1月改正内容(条文パッケージ)の公表(企業が差分精査を開始できるタイミング)。World Customs Organization
  • 2028年1月1日HS2028発効(全世界同日)World Customs Organization

上記の“6か月受諾→翌1月公表→2028年実施”という並びは、WCOの公表・各当局通知とHS条約上の手続きを総合した整理です。米国ITC等の公的告知も2026年1月公表→2028年1月発効の見通しで整合しています。Federal Register


2. 企業が取るべき実務対応ロードマップ

時期主なアクション
~2025年フォロー体制の確立:HSC/理事会の結果と各国の先行周知を継続モニター。社内プロジェクトを正式化。World Customs Organization
2026年1Q条文公表を受けた一次ギャップ分析:HS2022→HS2028の見出し・号注・サブヘディング差分をSKUにひも付け。相関表も参考に(ただし最終判断は各国条文)。World Customs Organization
2026年2Q–4Q詳細設計:品目マスター、ERP・通関SaaS、インターフェース、ラベル/請求書/パッキングリストのテンプレ更新。主要仕向地の**事前教示(Binding Ruling)**の棚卸しと再取得計画。
2027年通年国別拡張コード(8–10桁)対応:EU CN(8桁、年次改正)、日本9桁統計コード等を国別に差分管理。税率・非関税措置も並行確認。物流・通関事業者と回帰テストTaxation and Customs Union+1
2027年Q4総合リハーサル原産地証明/サプライヤー宣言、規制許認可のコード整合性チェック。本番移行計画の凍結。
2028年1月1日~本番運用:HS2028で申告開始。各国の国内細分(8–10桁)の更新も継続管理。World Customs Organization

3. 分野別の必須確認タスク

3.1 二層管理(6桁国際+各国拡張)の徹底
HSは国際共通6桁の上に、各国・地域が8~10桁で拡張します。例:EUのCNは8桁で年次更新、日本は9桁統計コード(輸出入で末尾3桁が異なることあり)。6桁変更の連鎖影響を国別拡張まで精査してください。Taxation and Customs Union+1

3.2 FTA/EPAの原産地規則(PSR)の再検証
多くの協定はHS見出し・号注参照型のPSRです。見出し再編や注改正でPSR参照がズレるため、各協定当局のPSR改正・適用通達を必ず確認し、**原産地判定・サプライヤー宣言(LTSD等)**を更新。

3.3 関税率・その他貿易政策の再確認
新設・再編サブヘディングには税率特恵セーフガード/AD/CVD等の政策が再設定され得ます。国別の関税率表(8~10桁)で最終確認を。(米国ではUSITCがHS改正反映のためのHTS改正プロセスを開始済。)USITC

3.4 規制・許認可の対象品目リストの総点検
危険化学品・デュアルユース・環境条約(CITES/バーゼル/ロッテルダム等)はHS参照が基盤。WCOはロッテルダム条約の品目次の版(HS2028)でHS側に反映させる方針で、各国関税への先行反映を促す勧告も提示しています。関連許認可や届出のHS参照を棚卸ししてください。World Customs Organization

3.5 事前教示(Binding Ruling)の有効性確認
根拠となるHS条文・注が変われば失効・見直しが必要になります。主要仕向地で再申請要否を判定し、計画的に取得・更新。

3.6 ITシステム/マスタ/帳票の更新
HS2022→HS2028の移行フィールドを新設し、EDI・通関SaaS・照会APIを一斉に回帰テスト。ラベル/インボイス/パッキングリストのコード表示も更新。


4. よくある質問と注意点

(1)HSの「版」名称の混同に注意
国際6桁の改訂はHS2017→HS2022→HS2028と推移します。一方、EUのCN(8桁)は年次更新、各国の国内版(例:HTSUS 2024年版など)という表現は国別拡張を指すことが多く、国際6桁HSの改版年とは別です。Taxation and Customs Union

(2)相関表(Correlation Tables)の使い方
相関表は移行作業の強力な補助資料ですが、法的拘束力は各国条文にあります。最終判断は国別の関税率表・適用通達で裏取りを。World Customs Organization


5. まとめ(実務の勘所)

  • 2028年1月1日発効は確定。2026年1月の公表が企業の本格準備の起点。World Customs Organization
  • 2027年内に国別テストを完了し、原産地・規制・IT・帳票まで含めた全社移行計画を整えるのが安全。
  • 6桁(国際)→各国拡張(8~10桁)の二層管理と、事前教示/規制リストの取り直しがポイント。

【参考】一次情報の確認先(抜粋)

  • WCO(2023/10/12)次版は2028年1月1日実施/以後は2033年へ(72回HSC)。World Customs Organization
  • WCO(2025/4/2)HS2028改正勧告をHSCで暫定採択2026年1月公表→2028年1月発効World Customs Organization
  • EU TAXUD(2025/7/1)WCO理事会が改正勧告を採択と公表。Taxation and Customs Union
  • USITC/Federal Register(2025/8/15)2026年1月にWCOが改正内容を公表・2028年発効の見通しで国内手続開始。Federal Register
  • WCO 相関表(HS2017⇄2022の前例)相関表は公開されるが法的拘束力なしWorld Customs Organization
  • 日本の9桁統計コード(財務省)EUのCN(8桁・年次改正)Japan Customs+1