判決と同日の2026年2月24日、ホワイトハウスは通商拡大法(Trade Expansion Act of 1962)第122条に基づく大統領布告を発出し、輸入品全般に対して原則10%の一時的輸入サーチャージを150日間課すことを宣言した。発効は2026年2月24日午前0時1分(米東部標準時)で、原則として2026年7月24日午前0時1分(米東部夏時間)まで継続とされる。jdsupra+1
第122条は本来、国際収支の深刻な赤字への緊急対応を想定した条文であり、最大税率15%、最長150日間という上限が法律上明記されている。 トランプ大統領はその後、Truth Social 上で税率15%の検討を示唆したが、2026年2月25日時点において正式な新たな布告は発出されておらず、法的有効税率は10%のままである。 税率引き上げには別途の大統領布告が必要であり、自動的な引き上げ条項は現行の布告には存在しない。craneww+1
HSコード(Harmonized System Code)とは、世界税関機構(WCO)が定める国際的な商品分類コードである。タイが採用する「AHTN(ASEAN統一品目表)」は、WCOが定める世界共通の6桁HSコードをベースに、ASEAN独自の品目細分化として2桁を追加した計8桁の体系となっている。現在は「AHTN 2022」の最新版に準拠して運用されている。
2026年2月20日、米連邦最高裁は、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠にした広範な関税措置について、IEEPAは関税を課す権限を大統領に与えていないと判断しました。 (Reuters) その直後、ホワイトハウスは通商法(Trade Act of 1974)122条(19 U.S.C. 2132)を根拠に、150日間の一時的輸入サーチャージ(従価税)を課す布告を出しました。 (The White House)
そこで前面に出てきたのが通商法122条です。通商法122条は、国際収支問題に対応するための「一時的輸入サーチャージ(最大15%、原則150日)」を明文で認める条文で、IEEPAと違って「関税」を正面から規定しています。 (Legal Information Institute) ただし、122条は万能ではありません。要件も、上限も、期間も、条文上の制約が明確であるため、企業は「同じ関税でも、法的な寿命と論点が違う」ことを前提に備える必要があります。 (Legal Information Institute)
3-1. 発動要件:fundamental international payments problems
通商法122条(19 U.S.C. 2132)は、fundamental international payments problems(根本的な国際収支問題)に対して、輸入制限措置をとるための条文です。要件として条文が掲げる目的は次の3つです。 (Legal Information Institute)
大きく深刻な米国の国際収支赤字に対処するため
外国為替市場におけるドルの急激かつ重大な下落を防ぐため
国際的な国際収支不均衡の是正について他国と協力するため
ここで重要なのは、単なる貿易赤字(モノの輸出入差)に限られない一方で、無限定に「通商交渉のてこ」として使える条文でもない点です。少なくとも文面上は「国際収支問題」という政策目的に結び付ける必要があります。 (Legal Information Institute)
122条の輸入サーチャージは、期間が原則150日で、延長には議会(法律)による延長が必要です。上限は最大15%です。 (Legal Information Institute) ここがIEEPAとの決定的な違いです。IEEPAは非常事態と制裁の枠組みであり、関税上限や期間上限が条文で設計されていません。一方、122条は「短期で上限付き」という形で、政治的にも司法的にもコントロール可能な設計になっています。 (Legal Information Institute)
122条は、輸入制限措置は原則として広く一様に適用すべきだとしつつ、米国経済の必要性に基づく例外を認めます。ただし、例外は無制限ではなく、国内供給の不足、原材料の必要輸入、供給混乱の回避などに限定され、特定産業を輸入競争から守る目的で例外設定をしてはならないとも明記します。 (Legal Information Institute) したがって、企業としては「例外品目の定義や根拠」が、政策と法の両面から精査対象になると見ておくべきです。 (Legal Information Institute)
さらに122条は、輸入制限措置は無差別原則に沿って適用する、とした上で、目的達成のために一部の国(大きく持続的な国際収支黒字を持つ国)に対する措置が最適だと大統領が判断すれば、それ以外の国を除外できる余地も書かれています。 (Legal Information Institute) この条文構造は、実務で「全世界一律」と「国別アレンジ」の両方が起こり得ることを意味します。どちらに寄るかは、布告や付属文書(Annex)の設計次第です。 (Legal Information Institute)
3-5. 2026年2月の布告から読み解く「運用の型」
2026年2月20日付の大統領布告は、122条を根拠に、150日間の10%従価税を課すとし、発効日を2026年2月24日と明示しています。 (The White House) 布告文は、国際収支問題の説明として、財務・経済統計(財・サービス収支、第一次所得、第二次所得など)を挙げ、米国の国際収支が「大きく深刻な赤字」であるという評価を前提にしています。 (The White House) また、例外についても、122条が許容する限定要因(国内供給、原材料、供給混乱回避、無効・不要、輸送中の貨物など)に沿って設計していることを明記し、輸送中貨物の定義まで置いています。 (The White House) 加えて、サーチャージを通常の関税として扱うこと、USTRとCBP等がHTSUS修正を連邦官報の通知で行うことなど、執行面の設計も条文のフレームに合わせています。 (The White House)
(C)「論点が立ちやすい」:本当に“国際支払問題”なのかが争点になる 一部の研究者・実務家は「変動相場制の下では“fundamental international payments problems”という概念自体が現代では当てはまりにくく、122条で広範関税は無理筋では」という趣旨の批判も出しています。 (国際経済法政策ブログ) 他方で、ホワイトハウスは、貿易収支や所得収支などを根拠に「国際収支赤字が大きく深刻」と位置付けて正当化しています。 (The White House) さらにReutersは、122条の適用は**法的に十分にテストされていない(legally untested)**とも報じています。 (Reuters)