カナダ「鋼材派生品」に25%追加関税(2025年12月26日施行)— 何が変わり、実務で何をすべきか

結論から言うと、提示いただいたブログ草稿は、制度の「骨格」と実務イメージはかな​


1. まず結論:今回の「25%」は、下流の完成品・部材に刺さる

カナダ政府は2025年12月26日から、指定された「鋼材派生品(steel derivative products)」に対して、輸入品の通関価額(value for duty)の全額に25%の追加関税(surtax)を課します。しかも原則として、**全ての国・地域からの輸入が対象(from all countries)**です。orders-in-council.canada+1

これにより、これまで「鋼材(ミル製品)そのもの」中心だった関税リスクが、ボルト・ナット、ワイヤー、プレハブ建築、風力タワー、金属家具などの完成品寄りの品目にまで広がります。coleintl+1

重要なのは、「鋼材部分の価額」ではなく「製品全体の通関価額」に対して25%が乗ることです。通関価額には貨物価格に加え、輸送費・保険料等が含まれ得るため、評価の仕方次第で着地コストは想定以上に跳ね上がります。pcb+1


2. 「対象品目」は何か:建設・インフラ×部材×金属製品が中心

対象は、カナダ財務省が公表したリストに記載された関税番号(Tariff Item/HSコード)で指定されており、説明文はあくまで目安、法的な範囲はカラム1のTariff Itemで決まると明記されています。canada+1

実務的に「刺さりやすい」代表カテゴリを、ビジネス影響がイメージしやすい形に並べると、概ね次のようなイメージです(※例示。最終判断は必ず公式リストで照合)。

  • 構造物・建設系(HS 7308、9406 など)
    例:橋梁部材、塔、鉄骨構造、風力タワー、プレハブ建築coleintl+1
  • ワイヤー・ロープ・金網・チェーン類(HS 7312、7314、7315 など)
    例:ワイヤーロープ、金網、チェーンcanada+1
  • ファスナー(HS 7317、7318 など)
    例:釘、ねじ、ボルト、ナット、ワッシャーcoleintl+1
  • ばね・鋳物・その他金属製品(HS 7320、7325、7326 など)canada+1
  • 金属フレームの椅子・金属家具・照明部材(HS 9401、9403、9405 など)coleintl+1

さらに注意すべきは、「鋼材派生品」という名称からは連想しにくい完成品・半製品も含まれている点です。たとえばドア・窓、家具、照明器具用部材など、一般に「鉄鋼製品」としては認識されにくい品目も対象に含まれるため、「うちは鉄鋼メーカーではないから関係ない」という決めつけは危険です。canada+1


3. 例外(除外)を押さえる:7つの“逃げ道”と、見落としポイント

カナダ財務省のバックグラウンダーおよび Steel Derivative Goods Surtax Order では、25%のsurtaxが適用されないケースが明確に列挙されています。実務上はここが大きな分かれ目です。osler+2

主な「適用除外」は、次のとおり整理できます(要約)。

  • 既存のsurtaxの対象になっている貨物
    例:対中国のsurtax、対米国の鉄鋼・アルミ関連surtax、鉄鋼TRQ関連のsurtax等の対象貨物は、本25%の重複適用(スタック)の対象外。canada+1
  • カジュアル貨物(旅行者の携帯品等)canada
  • Chapter 98 に分類される特定用途・特例扱い貨物(他に対象Tariff ItemがあってもChapter 98分類であれば除外)canada
  • 2026年7月1日より前に輸入され、自動車(車体/シャシ/部品・付属品)製造用途に使用する貨物osler+1
  • 2026年7月1日より前に輸入され、航空機・地上飛行訓練機・宇宙機(およびそれらの部品)用途に使用する貨物osler+1
  • Tariff item 7308.20.00 の特定の風力タワーで、オンタリオ–マニトバ州境より西側のエネルギープロジェクト向けに設置するものosler+1
  • 施行日に「カナダへ輸送中(in transit)」の貨物tid+1

加えて、国内調達が困難など例外的事情がある場合のremission(減免)申請は、ケースバイケースで検討するとされています。制度の存在自体が重要であり、対象となり得る企業は早めに「国内調達困難性」「経済への影響」等を説明できる資料を準備しておく余地があります。chrobinson+1


4. なぜカナダはここまで踏み込むのか:米国市場の閉鎖と国内市場への振り向け

今回の25%は単発の関税ではなく、カナダ政府が進める鉄鋼政策パッケージの一部です。背景には、米国による高関税・輸入制限の強化を受けて、カナダ市場への貿易迂回を防ぎ、自国の鉄鋼産業向け需要を確保する狙いがあります。youtube​pm+1

大きく見ると、政策のポイントは次の2点に整理できます。

  • 鉄鋼(ミル製品)側では、関税割当(TRQ)を縮小し、割当超過分に最大50%のsurtaxを課す枠組みを強化wtocenter+2
  • それだけでは下流(派生品)で「輸入完成品への置き換え」が進むため、派生品にも25%のグローバルsurtaxを広げるpm+1

首相府の説明によれば、派生品関税は「カナダ国内で生産されている派生品」を起点に設計されており、対象リストは市場環境に応じて更新し得るうえ、初期リストだけでも数十億カナダドル規模の輸入に影響すると見込まれています。これは「一度決まって終わり」の制度ではなく、運用次第で対象が拡張され得る枠組みと理解した方が安全です。newswire+2

また、国境当局(CBSA)による順守(コンプライアンス)強化も同時に打ち出されており、誤ったHS分類や虚偽申告をより厳格に是正する姿勢が示されています。これは、実務的には事後調査リスクの上昇として意識する必要があります。canada+1


5. 企業へのインパクト:利益を削るのは「25%」そのものより“連鎖”

インパクト①:着地コストが一気に25%上がる(しかも全額ベース)
「通関価額の全額×25%」は、見積・契約の設計が甘いとダイレクトに粗利を削ります。特に、DDP(関税込み持込)や実務的に売り手側が関税負担を被りやすいスキームでは、利益を一気に圧迫しかねません。pcb+2

インパクト②:価格交渉が“今すぐ”起きる
施行日が明確なため、カナダ側バイヤーは、高い確率で次のようなアクションを検討します。

  • 価格改定(値上げ受け入れ/値下げ要請の再交渉)
  • 供給条件変更(関税負担者・価格調整条項の見直し)
  • 代替サプライヤー探索(カナダ国内化、FTA域内化、別素材・別仕様へのシフト)chrobinson+2

インパクト③:「適用除外・減免の証憑」が競争力になる
今回の制度は、自動車・航空宇宙用途、in transit、風力タワーの地域限定など、除外条件が比較的具体的に定義されています。条件を満たせる企業にとっては、用途証明や輸送証憑をきちんと揃えることで、25%負担を回避しコスト競争力を維持できる可能性があります。osler+1


6. 明日から使える:ビジネス向け“実務チェックリスト”10

実務対応として、輸出者・輸入者・商社がすぐに着手できる基本ステップを10項目に整理します。

  1. 自社品目をHS10桁レベルまで棚卸しする(カナダ輸入時の分類ベースで整理)。canada
  2. 財務省公表の公式リスト(Tariff Item)と突合し、対象・非対象を一次判定する。orders-in-council.canada+1
  3. 対象の場合、「既存の中国向け・米国向け・鉄鋼TRQ関連など他のsurtaxの対象になっていないか」を確認し、本25%との重複がないか整理する。canada+1
  4. 自動車・航空機・宇宙用途等の用途要件で除外を狙える場合、カナダ側での用途証明フロー(契約記載、エンドユーザー証明、製造工程の裏付け等)を設計する。osler+1
  5. in transit 除外を活用する貨物は、B/Lや船積書類で「施行日時点で輸送中」であることを示せるか事前に点検する。tid+1
  6. 見積りは「製品価格」ではなく通関価額ベースで再試算し、輸送費・保険料等も含めた負担増を洗い出す。pcb+1
  7. 契約書に**関税変動条項(tariff pass-through/price adjustment)**があるか確認し、なければ条項追加を検討する。
  8. Incotermsを再点検し、誰が関税を負担するのか(DDP/DAP/FCA等)を契約書面上も明確にしておく。
  9. 国内調達が困難な場合や特別な事情がある場合、remission申請の可能性を検討し、「代替調達の難しさ」「経済・雇用への影響」等の主張骨子を準備する。chrobinson+1
  10. 対象リストが更新され得ることを前提に、財務省・首相府・CBSAの公表情報を定期モニタリングする運用を社内ルールに組み込む。pm+2

7. 今後の注目点:この制度は“拡張”があり得る

  • 対象リストは「カナダ国内で生産されている派生品」を起点に設計され、今後の市場環境に応じて更新され得るとされています。pm+1
  • 鉄鋼(ミル製品)側ではTRQが動いており、輸入戦略を考える際は「ミル製品のTRQ+TRQ超過50%surtax」と「派生品25%surtax」を一体として見る必要があります。blakes+2
  • カナダは米国の関税政策に強く影響を受ける構造にあり、今後の米加通商交渉の展開次第で、remissionやその他周辺制度の運用が変わる可能性があります。pfcollins+2

まとめ:本質は「カナダ向け完成品の関税リスクが制度化された」こと

今回の本質は、25%という数字そのもの以上に、対象が「鋼材(ミル製品)」ではなく、ボルト・ワイヤ、構造物、プレハブ建築、金属家具といった**派生品(完成品・部材)**へ広がった点にあります。coleintl+2

経営としては「関税が上がった」という一事象ではなく、見積・契約・通関・証憑・調達の一連の業務設計そのものを、「カナダ向けは25%surtax前提の市場になった」と捉え直すイベントと位置付けるのが安全です。canada+1

免責:本稿は公開情報に基づく一般情報であり、個別案件の該当性(HS分類、用途要件、申告・証憑要件、減免可否など)は、必ずカナダ側の通関実務(CBSA運用)および専門家の助言により確認してください。chrobinson+1

  1. https://www.canada.ca/en/department-finance/news/2025/12/list-of-steel-derivative-products-subject-to-25-per-cent-tariffs-effective-december-26-2025.html
  2. https://www.canada.ca/en/department-finance/news/2025/12/government-implements-new-measures-to-protect-canadas-steel-industry.html
  3. https://orders-in-council.canada.ca/attachment.php?attach=47872&lang=en
  4. https://www.chrobinson.com/en-sg/resources/insights-and-advisories/client-advisories/2025q4/12-17-2025-client-advisory-government-canada-announces-tariffs-steel-derivative-product/
  5. https://www.tid.gov.hk/en/tradecircular/2025/ci10702025.html?categoryId=18
  6. https://blog.coleintl.com/tradenews/canada-publishes-list-of-steel-derivative-products-subject-to-25-percent-tariff
  7. https://www.osler.com/en/insights/updates/canada-further-shuts-its-market-to-steel-imports/
  8. https://www.blakes.com/insights/us-canada-tariffs-timeline-of-key-dates-and-documents/
  9. https://web.wtocenter.org.tw/downFiles/13151/419197/00ymjxNd5CXtX0J111118sEykfiCSaW6jraE0HqG0RuAlS11111JdeYIGQgvq1u6d1TKXirDdCilIUGC7cO8Z1jBnf2994hw==
  10. https://www.newswire.ca/news-releases/prime-minister-carney-announces-new-measures-to-protect-and-transform-canada-s-steel-and-lumber-industries-814911145.html
  11. https://www.pwc.com/ca/en/services/tax/publications/tax-insights/canada-tariff-rate-quotas-surtaxes-imports-2025.html
  12. https://www.pm.gc.ca/en/news/news-releases/2025/11/26/prime-minister-carney-announces-new-measures-protect-and-transform
  13. https://www.youtube.com/watch?v=TV6Strj0m88
  14. https://www.pcb.ca/news/ca-release-list-of-steel-derivative-products-subject-to-tariffs-on-dec-26th
  15. https://pfcollins.com/new-25-tariff-assessment-on-steel/
  16. https://www.chrobinson.com/en-us/resources/insights-and-advisories/client-advisories/2025q4/12-17-2025-client-advisory-government-canada-announces-tariffs-steel-derivative-product/
  17. https://info.expeditors.com/newsflash/canada-to-impose-25-tariff-on-steel-derivative-products
  18. https://www.youtube.com/watch?v=9lwd4bmQy5Q
  19. https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/ca/pdf/tnf/2025/12/ca-importers-temporary-remissions-set-to-end-in-2026.pdf
  20. https://www.willsonintl.com/archives/news/prime-minister-carney-announces-new-measures-to-protect-and-strengthen-canadas-steel-industry

カナダ「鋼材派生品」へ一律25%追加関税が発効──“素材”から“完成品・部材”へ広がる新リスク(2025/12/26施行)


2025年12月26日、カナダは鋼材そのものではなく、鋼材を多用する「鋼材派生品(Steel Derivative Goods)」の一部について、輸入時に一律25%の追加関税(surtax)を課し始めました。 対象は米国や中国など特定国に限られず「全ての国」からの輸入であり、建設・エネルギー案件(風力タワー、橋梁、プレハブ建築ユニット等)のほか、工業用途で広く用いられるワイヤー/チェーン/ファスナー(ねじ・ボルト等)、さらには金属フレーム椅子・金属家具・建物用金物にまで及びます(一部の風力タワーは地域限定の除外あり)。


要点サマリー(実務でまず押さえる4点)

国名税率・内容出所備考
カナダ25%(追加関税 / surtax)Steel Derivative Goods Surtax Order政令スケジュールに列挙された「鋼材派生品」が対象
カナダ25%(課税ベースは通関価額全額)Steel Derivative Goods Surtax OrderCustoms Act 47〜55条に基づく value for duty に対し 25%を課税
カナダ2025年12月26日施行Steel Derivative Goods Surtax Order施行日当日に「輸送中(in transit)」の貨物は適用除外
カナダ例外・猶予あり(自動車・航空宇宙などは 2026/7/1 まで一部除外)Finance Canada 公表リスト既存サーチャージ対象品は原則「二重課税」しない設計

1) 何が変わったのか:今回の追加関税の「設計」

今回の措置は、閣議決定(Order in Council)に基づく Steel Derivative Goods Surtax Order であり、スケジュール(品目リスト)に該当する輸入品に対し、通関価額(value for duty)に対して一律 25% の surtax を課すものです。 ここでいう value for duty は、Customs Act 47〜55条に基づく価額決定ルールに従って算出される通関価額であり、追加関税はその全額を課税ベースとします。

ここで重要なのは次の2点です。

  • 「鋼材含有量」ではなく、製品の通関価額 全額 に 25%を乗せる設計
    → 価格インパクトを過小評価しやすく、DPU/DDP 等の契約条件や見積りを再点検する必要があります。
  • Chapter 99(カナダの特別措置用コード)に付け替えても回避できない構造
    → Chapter 99 のタリフ・アイテムで申告した場合でも、もとの分類がスケジュール掲載のタリフ・アイテムに該当すれば surtax 対象とされます。

2) 対象はどこまで広い?──“完成品・部材”に刺さる品目群

対象は、Finance Canada が公表した「タリフ・アイテム(HS)」指定により決まり、説明文はあくまで参考情報であり、最終的な範囲はタリフ・アイテム自体によって確定します。 代表的な品目を、ビジネスインパクトが出やすい順に整理すると次の通りです。

(A) 建設・インフラ・エネルギー(案件単位で金額が大きい)

  • 構造物・部材(橋梁、塔、ドア/窓枠等):7308.10/20/30/90
  • プレハブ建築(鋼製モジュール含む):9406.20 ほか

(B) “地味に効く”製造業の定番(コスト転嫁が難しい)

  • ストランドワイヤー/ロープ/ケーブル:7312
  • 有刺鉄線・フェンス類、金網・ネット:7313、7314
  • チェーン類:7315
  • くぎ・ねじ・ボルト・ナット・ワッシャー:7317、7318

(C) 家具・建材・部品(完成品側に波及)

  • 金属フレームの椅子:9401.71/79
  • オフィス用金属家具、家具部品:9403.10、9403.99
  • 建物用金物(取付金具等):8302.41.90

注意点として、リストには「プラスチック製建具(3925.20)」のように、一見すると鉄鋼製品に見えない分類も含まれているため、先入観で除外せず、HS ベースで網羅的に洗い出すことが重要です。


3) 例外・猶予(ここを外すと“余計に払う”)

公表されている主な適用除外・猶予は次の通りであり、実務上は用途・期間を裏づける証憑をどこまで整備できるかがカギになります。

  • 既に他のサーチャージ対象の品(例:China Surtax Order 2024、United States Surtax Order (Steel and Aluminum 2025) 等)
    → 原則として「二重課税しない」設計。
  • Chapter 98(特別分類)は対象外
    → Chapter 98 のタリフ・アイテムに分類される貨物は、他のタリフ・アイテムに該当していても surtax を課さない。
  • 自動車(車両・シャシ・部品/付属品)向け用途:2026年7月1日以前の輸入は除外
  • 航空機・宇宙(航空機・地上飛行訓練機・宇宙機等)向け用途:2026年7月1日以前の輸入は除外
  • 特定の風力タワー(7308.20.00):オンタリオ–マニトバ境界以西のエネルギー案件向けは除外
  • 施行日(2025/12/26)時点で「輸送中(in transit)」の貨物は除外

さらに、国内での調達が困難な場合など、例外的事情によりカナダ経済への深刻な悪影響が見込まれるケースでは、関税免除(remission)申請を個別に審査するとされています。 完全な「ゼロ回答」ではなく、救済の可能性を残す制度設計といえます。


4) なぜ今「派生品」なのか:背景は“迂回流入”と内需防衛

カナダ政府は、米国による鉄鋼・アルミ関税や中国などへのサーチャージの影響で、鋼材が第三国・派生品ルートを通じてカナダ市場に流入するリスクを強く意識しており、国内産業保護とグリーン投資推進を目的とした新パッケージの一環として鋼材派生品への 25% 関税を導入しました。 その中には、輸入管理の強化、TRQ 見直し、国境でのコンプライアンス強化など複数の措置が含まれています。

当局側の問題意識として、「鋼材そのもの」への規制だけでは、完成品・部材に形を変えた輸入を十分に抑えられない点が強調されています。 そのため、今回のリストは、構造物・ファスナー・ワイヤー・家具・プレハブ等のいわゆる「下流製品」をピンポイントで対象にした設計になっています。


5) 日本企業(輸出・現法)へのインパクト:どこが痛いか

影響①:見積りが“25%上振れ”しやすい(しかも全額課税)

カナダ向けにねじ・ボルト・金属フレーム椅子・プレハブユニット等を輸出している場合、輸入者側コストを通じて 25% の追加負担がストレートに効いてきます。 契約条件が DDP など輸入関税を輸出側が負担するスキームの場合、日本側が追加コストを吸収せざるを得ないケースも想定されます。

影響②:建設・再エネ案件で「コスト+納期」両面の変動

風力発電や大型インフラ案件のように、対象 HS の部材単価・数量が大きいプロジェクトでは、総コストへの影響が顕著になります。 一方で、特定地域向け風力タワー等の例外もあるため、案件所在地・用途・設置条件を証明できるかどうかが、プロジェクト単位での差別化要素になります。

影響③:取締り強化で「分類・原産地・用途」が監査点に

政府は、カナダ国境サービス庁(CBSA)に専任のコンプライアンス体制を設け、虚偽申告の検知・是正を強化する方針を打ち出しています。 これまでグレーな運用でしのいでいた企業ほど、事後の更正(B2 更正)や追徴課税リスクが高まることが想定されます。


6) すぐやる実務チェックリスト(現場が動きやすい順)

  • 品目の当たりを付ける(HS/タリフ・アイテム照合)
    → 7308/7312/7317/7318/9406 あたりが出てきたら「要注意」としてスケジュールと突き合わせる。
  • 例外該当性(用途・期限・輸送中)を棚卸し
    → 自動車・航空宇宙用途は「2026/7/1 以前の輸入」が条件であり、発注書・製造指図書・用途宣誓書・BOM 等で裏づけが必要。
  • 通関価額(value for duty)を再点検
    → 25%は「価額全体」に乗るため、移転価格ポリシーやロイヤルティなど加算要素の取り扱いの違いが関税負担に直結します。
  • 契約(インコタームズ)・価格条項を確認
    → Duty 負担者・価格改定条項・関税変動条項がない取引は、短期的にトラブルに発展しやすい。
  • 代替調達・仕様変更(ねじ/ワイヤー/家具/プレハブ)を検討
    → 「カナダ国内製」への置き換えを促すインセンティブ設計である点を踏まえ、競合が動き出す前にサプライチェーン再編を検討。
  • 顧客(カナダ輸入者)と「誰が申告・誰が立証」するか決める
    → 例外適用は、最終的に証憑を整理・提出できる当事者が有利になるため、責任分担をあらかじめ明確化。
  • リスト更新のモニタリング運用を作る
    → 政府はリスト更新の可能性を示唆しており、更新頻度が上がるほど属人的チェックでは限界があるため、定期的なモニタリング体制を仕組み化する必要があります。

7) まとめ:今回の本質は「カナダ向け完成品の関税リスクが一段上がった」こと

2025年12月26日以降、カナダは鋼材「派生品」に対し、一律 25% の追加関税を全世界からの輸入品に適用します。 課税ベースは通関価額の全額であるため、見積り・契約・価格転嫁設計が甘いと、利益が一気に圧迫される構造です。

一方で、自動車・航空宇宙向けの時限除外(〜2026/7/1)や in transit 除外、特定風力タワーの地域限定除外、さらには remission の個別申請など、一定の「逃げ道」も用意されています。 実務上の勝負どころは、これらの例外を的確に読み取り、用途・期間・物流条件を示す証憑をどこまで前倒しで整えるかにあります。

※本稿は公開情報に基づく一般的な情報であり、実際の該当性判断(分類・用途・申告方法等)は、カナダ側の通関実務(CBSA 運用)も踏まえ、現地通関業者・専門家と個別にすり合わせてください。

カナダ「鋼材派生品」に一律25%の追加関税:2025年12月26日施行の実務対応

要旨:
カナダ政府は、従来の鉄鋼素材(ミルプロダクト)への保護措置を下流製品(派生品)へと拡張しました。2025年12月26日より、建設用部材や金属製家具などを含む特定品目に対し、輸入相手国を問わず一律25%の追加関税(Surtax)が課されます。

項目内容
対象国全世界(※他措置との重複適用なし)
税率25%(輸入申告価額 VFDに対し課税)
施行日2025年12月26日
根拠Steel Derivative Goods Surtax Order

1. 規制の全体像:ターゲットは「素材」から「完成品・部材」へ

今回の措置の最大の特徴は、課税対象が鋼材そのものではなく、それを使用した「鋼材派生品(Steel Derivative Goods)」である点です。

カナダ政府は、建設用構造物、線材、ボルト・ナット、金属家具などを対象とする「特定リスト(HSコード指定)」を公表しました。これにより、サプライチェーンの下流工程にある完成品や部材が広く課税対象となります。

実務上の重要スケジュール

  • 2025/12/12:財務省が対象品目リスト(HSコード)および詳細を公表
  • 2025/12/26:追加関税(Surtax)の施行開始
  • ~2026/07/01:自動車・航空宇宙用途等に対する期限付き適用除外期間

2. 対象品目:日本企業が注意すべき「見落としがちなHSコード」

財務省が公表したリストは、建設・物流・設備保全で使用される鉄系完成品を広範囲にカバーしています。特に72類・73類(鉄鋼および鉄鋼製品)以外の品目が含まれている点に細心の注意が必要です。

主な対象カテゴリとHSコード例

  • 構造物・建材系
    • 橋梁、塔、ドア・窓枠、構造材(HS 7308)
    • プレハブ建築物(HS 9406)
  • ワイヤー・フェンス・金網
    • ロープ、ケーブル、有刺鉄線、金網(HS 7312~7314)
    • 鋼心アルミより線(HS 7614.10.00)※要注意(76類)
  • 締結部品・チェーン
    • ローラーチェーン等(HS 7315)
    • 釘、ボルト、ナット、ワッシャー(HS 7317~7318)
  • 家具・什器・その他
    • 金属フレームの椅子、オフィス家具、家具部品(HS 9401, 9403)※要注意(94類)
    • 照明器具の部品(HS 9405.99.00)
    • 建物用取付具・金具(HS 8302.41.90)
    • ばね(HS 7320)、その他の鉄鋼製品(HS 7326)

実務的示唆:
「鉄鋼製品(73類)だけを確認すればよい」という認識は危険です。83類(卑金属製品)や94類(家具・建屋)まで影響が波及するため、BOM(部品表)全体への網羅的なスクリーニングが不可欠です。


3. 課税ルール:計算式と優先順位

課税標準と計算式
追加関税は、対象品目の輸入申告価額(Value for Duty: VFD)の全額に対して25%が課されます。付加価値分のみへの課税ではないため、コストインパクトは甚大です。

計算式: Value for Duty × 25%

非積み上げ(Non-stackable)原則
本措置は他の貿易救済措置と重複して適用されません(二重課税の回避)。
例えば、既に「中国製鉄鋼へのSurtax」や「米国製アルミ・鉄鋼への報復関税」、「鉄鋼セーフガード(TRQ)超過分」の対象となっている貨物については、そちらの措置が優先され、今回の「派生品25%」は上乗せされません。


4. 適用除外(Exclusions)と救済措置

コスト増を回避するためには、以下の「除外要件」に該当するかどうかの判定と証憑確保が勝負となります。

自動的な適用除外(OIC明記)

  1. 他措置の対象品:前述の通り、他のSurtax等が適用される原産国の物品。
  2. 特例輸入(Chapter 98):カナダ関税率表第98類(旅行者携帯品や特定の戻り荷など)で輸入されるもの。
  3. 個人のカジュアル輸入:商業目的ではない個人輸入。

期限付き・用途限定の除外(~2026/7/1輸入分まで)
以下の特定産業用途に供される場合、一時的に除外されます。

  • 自動車産業:自動車、シャシー、部品・付属品の製造用。
  • 航空宇宙産業:航空機、宇宙船の機体および部品製造用。
  • 特定エネルギー案件:オンタリオ州/マニトバ州境以西向けの特定の風力タワー(7308.20.00)。

輸送中(In Transit)の特例
施行日(2025年12月26日)時点で、既にカナダに向けて輸送中であることが立証できる貨物は対象外となります。

減免(Remission)申請
国内調達が不可能であり、かつ関税賦課がカナダ経済に重大な悪影響を及ぼす場合、個別に減免申請を行う道(Remission process)が用意されています。


5. 日本企業への実務インパクトと対策

(1) コスト・価格転嫁への波及
鉄鋼メーカーだけでなく、機械メーカーや建設事業者への影響が避けられません。調達・営業・法務が連携し、Incoterms(DDP条件などの確認)や契約上の価格改定条項(サーチャージ条項)を見直す必要があります。

(2) HSコード分類精度の重要性
類似製品であっても、HSコードが少し異なるだけで「25%か0%か」が変わります(例:7308の構造物と判断されるか、機械の部分品と判断されるか)。分類の論拠を明確にした資料(Classification Rationale)の準備が推奨されます。

(3) コンプライアンスリスク
カナダ国境サービス庁(CBSA)は、関税回避を目的とした不適切なHSコード申告(品目ずらし)や、原産地・用途の虚偽申告に対する取締りを強化する方針です。


6. 施行直前チェックリスト(Action Items)

  1. [棚卸し] 対象HSコードの網羅的確認
    • 自社製品のSKUを、公表リスト(7308, 7318, 9403等)と照合する。
  2. [物流] 「輸送中(In Transit)」の証拠保全
    • 12/26をまたぐ船積みについて、B/L日付や積載証明など、CBSAが認める「輸送中」の定義に合致する書類を確保する。
  3. [証明] 用途除外のスキーム構築
    • 自動車・航空機用途(2026/7/1まで)の場合、輸入通関時にその用途を証明できるエンドユース・サーティフィケートや発注書の紐づけフローを確立する。
  4. [契約] コスト負担の明確化
    • 既存契約において、新規導入されるSurtaxを誰が負担するか(売主か買主か)を法的に確認し、必要に応じて顧客と交渉する。
  5. [例外] 減免(Remission)の検討
    • 代替調達不可のロジック構築や、業界団体を通じたロビーイングの必要性を検討する。

まとめ

今回の措置は、カナダ向けの輸出において「鉄鋼素材」だけでなく「鉄鋼を使った最終製品」へとリスクの軸足が移ったことを意味します。施行までの残り時間はわずかですが、「HS分類の適正化」「用途例外の活用」「契約条件の再確認」の3点を迅速に進めることが、貴社の利益とコンプライアンスを守る鍵となります。


2025年10月25日発表「対カナダ関税追加10%ポイント引き上げ」

以下は、2025年10月25日(米国時間)にトランプ大統領が発表した「対カナダ関税を追加で10%ポイント引き上げ」の現時点で判明している要点と、既存の関税制度との関係をAIの力を借りてまとめたものです。

発表内容(速報ベース)

10月25日、トランプ大統領がカナダへの関税を「現在の税率にさらに10%ポイント上乗せする」とSNSで表明しました。発表の直接のきっかけは、オンタリオ州政府が米国内で放映した反関税TV広告(レーガン元大統領の発言を引用)への反発とされています。これに先立ち、米国は広告問題を理由にカナダとの通商協議を打ち切っていました。

対象品目や発効時期などの実務詳細は、公式告示が未公表のため未確定です。主要紙も「どの品目にどう適用されるかは現時点で不明」と報じています。

重要:現場での運用は大統領布告・商務省/税関(CBP)通知が出て初めて確定します。現時点では「追加10%ポイント」の方針表明段階です。

既存の対カナダ関税の枠組み(2025年時点)

USMCA適合品:原産地規則等を満たす大半の対米輸出は依然として無関税。2025年夏時点で対米加輸出の多くが関税非課税と報じられています。

USMCA非適合品(一般品):2025年8月1日から25%→35%に引上げ済み。

エネルギー関連:10%(国別追加関税の区分として明示)。

鉄鋼・アルミ:通商拡張法232条に基づき2025年6月4日から50%(英国のみ25%枠)。

自動車・同部品:25%(製品別の追加関税として明示)。

なお、米国は2025年4月5日から「ほぼ全輸入に最低10%関税(ベースライン)」を徴収開始していますが、対カナダではUSMCA適合品の無税枠が大きく残っています。

「追加10%ポイント」で想定される影響(シナリオ)

正式な告示が出るまで断定はできませんが、大統領の言い回しは「今払っている税率に10%ポイント上乗せ」と解釈されるため、カナダ原産で既に課税されている品目に広く加算される可能性があります。想定シナリオを整理すると:

区分現行(参考)追加10%適用と仮定した場合の見込み
USMCA適合品0%0%のまま(無税枠が維持されれば変化なし)
USMCA非適合の一般品35%45%
エネルギー10%20%
鉄鋼・アルミ(232条)50%60%
自動車・同部品25%35%

※上表は「一律に+10%ポイント」が適用される場合の試算イメージです。実際の対象範囲が限定される(例:USMCA非適合品のみ等)可能性もあり、最終は官報・布告待ちです。

:USMCA非適合の一般品を10万ドル輸入する場合、現行35%=3.5万ドルの関税 → 追加10%ポイントで45%なら4.5万ドル。差額1万ドル増。

背景事情

2025年春以降、米国は「ベースライン10%」や国別・品目別の高関税を段階的に導入しています。対カナダでは8月の35%(非USMCA品)に続くさらなる圧力となります。

今回の「10%上乗せ」は、オンタリオ州の反関税広告(レーガン発言引用)への報復色が濃い、政治的経緯を伴う措置です。

企業の実務対応チェックリスト

HS分類・原産地判定の再確認:USMCA適合化(原産地規則・RVC・関税分類変更)で関税ゼロに戻せないか直ちに検討。

関税負担のシナリオ試算:上記の+10%ポイントを前提に、製品別の実効税率・原価・価格転嫁を再計算。

在庫・通関タイミング:発効日確定後は通関日/引取り時点で税率が決まるのが通例。入港スケジュールを調整。

鉄鋼・アルミ・自動車等の品目別規制:232条50%や自動車25%など、既存の高率関税に重畳適用され得るかを注視。

公式告示のフォロー:大統領布告・商務省/CBPの実装通知(HTS追加注記・適用除外・移行措置等)を一次情報で確認。

今後の見通し

対象や発効日の詳細は未公表です。ホワイトハウスや商務省からの正式文書が出るまでは、社内ルールを「暫定→正式」に切り替える準備段階です。

米連邦最高裁は11月5日に広範な関税(IEEPAベース)の適法性を審理予定との報道もあり、法的リスクも交錯しています。

カーニー首相は協議再開に前向きと発言していますが、両首脳は直近のASEAN/APECに出席予定である一方、首脳会談の具体的計画は報じられていません。

まとめ

今回の「10%引き上げ」は「追加の10%ポイント」という宣言で、どの品目にどう重なるかは告示待ちです。実務上はUSMCA適合化(無税化)と非適合品の関税再試算が当面の肝になります。

カナダにおけるHSコード事前教示制度

カナダにおけるHSコード事前教示制度の実務ガイド

本書は、カナダ国境サービス庁(CBSA: Canada Border Services Agency)が運用する品目分類に関する事前教示(Advance Ruling for Tariff Classification)制度をまとめたものです。根拠はCBSAのD-Memoranda D11-11-3「品目分類の事前裁定」、D11-4-16「FTA原産地の事前裁定」および公式ガイドです(最終確認:2025年10月15日)。

主管当局と公式情報源

当局:Canada Border Services Agency(CBSA)

主要URL

事前教示の申請プロセス

申請資格者(Tariff Classification Advance Rulings Regulationsに基づく):

  • カナダの輸入者
  • Customs Act 32(6)(a)/32(7)に基づき会計手続の権限を付与された者(通関業者等)
  • 海外の輸出者または生産者

申請方法:CARM Client Portal、電子メール、郵送のいずれか。CARM利用を推奨(代理申請は委任状またはCARM上の権限委譲が必要)。

申請タイミング:輸入予定日の120日以上前に申請することが規則で定められています(Regulations第3条)。120日未満でも申請自体は受理されますが、輸入前に裁定が間に合う保証はありません。

審査期間:必要情報の受領完了から120暦日以内(サービス標準)。不足資料の補足要請があった場合は、回答期限は30日以上付与され、必要情報到達後に120日が再起算されます。

申請単位:一申請=一品目が原則。ただし「same goods」(用途・機能が同一で10桁分類が一致する同質品)は束ねて申請可能。

発給形式:書面(ケース番号付)で発給。公表可否は申請時に選択(非同意でも審査に不利益なし)。

通関での使用:Commercial Accounting Declaration(CAD)のRuling Number欄に裁定番号を記載。インボイスやCI1への記載も推奨。

申請に必要な情報

D11-11-3付録Aに規定される必須項目(英語またはフランス語):

申請者情報:事業者番号(BN9/RM)、担当者氏名・連絡先

当事者関係:申請者の立場(輸入者/輸出者/生産者)、取引相手の氏名・住所

物流情報:主な輸入港(未定の場合はN/A可)

係属・既往案件:同一貨物についての検認・審査・審判・既申請の有無

技術情報(受理の鍵となる最重要項目):

  • 詳細な商品説明(商標、一般名、技術名称)
  • 組成・材質(パーセンテージ、寸法等)
  • 製造工程
  • 包装形態
  • 用途
  • 図面・写真・仕様書・カタログ等
  • 注意:部品番号のみの説明は不可

分類見解:申請者が考える10桁分類候補と根拠(GIR・部注・類注の引用)

公開同意:公表の可否を明示(同意・不同意いずれか必須)

代理申請:委任状(POA)またはCARM上の権限委譲

サンプル:CBSAから要請があった場合のみ送付(危険物はMSDS添付)

処理期間

標準期間:必要情報の受領完了から120暦日以内

補足資料の回答期限:30日以上。期限内に回答がない場合は裁定不発給となる可能性あり

有効期間と拘束力

効力発生:発給日(または裁定で指定する将来日)

有効条件(固定年限ではなく以下の条件を満たす限り有効):

  • 事実関係・事情・法令に変更がない
  • 裁定に遵守している
  • 取消・変更されていない

使用可能な範囲

  • 裁定の名宛人本人
  • 名宛人(輸出者・生産者)から直接輸入する者
  • 名宛人に直接販売する者による同一貨物の輸入

重要:他者の裁定番号を引用してもCBSAは拘束されないため、自社名義での取得を推奨。

申請費用

申請料:無料(手数料規定なし)。ただし、サンプルの返送費用や私設ラボ分析等の実費は申請者負担。

その他の重要事項

“Reason to believe”(誤申告認識)と修正義務:名宛人あての裁定は、誤りを認識する理由に該当します。同一または類似貨物の過去申告に誤りがあれば、最長4年遡及して自主修正が必要。

不受理・発給延期事由

  • 仮想貨物(現物が存在しない)
  • 複数品目を1申請(同質品の範囲外)
  • 事実関係が不明
  • 追加情報が期限内に提出されない
  • 係属事件や審判・裁判の係争が関連

変更・取消:誤認・法改正・事情変更等により変更または取消される場合があります。名宛人が善意で依拠していたことを証明すれば、最大90日まで不利益変更の発効日を繰り下げ可能(要申請・証拠提出)。

公開と秘匿:公開同意は任意。非同意でも審査に不利益なし。公開済み裁定は参考資料であり、名宛人以外は拘束されません。

不服申立

  • 裁定に不服の場合:90日以内にCustoms Act 60条に基づく審査請求(CBSA長官宛)
  • さらに不服の場合:CITT(カナダ国際貿易審判所)へ90日以内に上訴

関連制度の区別

  • 分類AR(D11-11-3):本ガイドの対象
  • 原産地AR(D11-4-16):FTAの原産地判定
  • NCR(National Customs Rulings; D11-11-1):評価・非FTA原産地・原産国表示等の行政的指示(拘束力や運用が異なるため要注意)

申請準備チェックリスト

  •  CARM登録(輸入者:BN9/RM取得、代理人は権限委譲)
  •  一申請=一品目の原則確認(同質品の束ね要件を確認)
  •  技術資料の充実(用途・機能、構造・原理、組成%、工程、包装+写真・図面・カタログ。部品番号のみは不可)
  •  輸入予定日の120日以上前に申請
  •  ラボ分析や追加照会(回答期限30日以上)への対応体制構築
  •  裁定番号の社内展開手順整備(CAD/インボイス/CI1への記載)
  •  公開同意の判断(非同意でも不利益なし)
  •  “Reason to believe”リスク管理(発給後の過去申告点検・修正)

主要根拠資料

  • D11-11-3:申請主体、申請手段、120日標準、30日補足期限、一申請=一品目、same goods定義、効力範囲、Reason to believe、90日内見直し請求、変更・取消と発効猶予、公開同意等
  • CBSA公式ガイド:制度概要、有効条件、処理標準120日、不発給・延期事由、使用可能範囲、申告書への裁定番号記載等
  • D11-4-16(参考):FTA原産地のAdvance Ruling

米国とカナダの相互関税交渉:現在地

現状をまとめてみました。間違っている点があるかも知れませんが、ご容赦ください。

米国とカナダの相互関税交渉は複数回にわたり決裂と再開を繰り返しており、現時点(2025年10月)でも正式な合意には至っていません。以下、合意内容と対立点を整理します。bbc+2

交渉の経緯

6月の決裂と再開

2025年6月27日、トランプ大統領はカナダとの全貿易交渉を「即時終了」すると発表しました。決裂の原因は、カナダが6月30日から施行予定だったデジタルサービス税(DST)で、米国のテクノロジー企業に対する「直接的かつ露骨な攻撃」と非難しました。両国は7月16日までに新経済・安全保障協定で合意する予定でしたが、この問題で頓挫しました。nytimes+2

6月29日、カナダのカーニー首相がDSTを撤回したことで、両国は交渉を再開し、7月21日までの合意を目指すことで合意しました。canada+2

10月の会談

7月21日の期限を逃した後、10月7日にトランプとカーニーがホワイトハウスで再会談しましたが、正式な合意や画期的な進展はありませんでした。x+3

合意された点

カナダがデジタルサービス税を撤回したことで交渉が再開されましたが、実質的な貿易協定の合意には至っていません。両首脳は以下の点で一致しました:bbc+1

  • USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の2026年レビューを通じて「誠実な交渉」を進めることbrookings+1
  • カナダ企業が数百億ドル規模の米国投資を行う意向があることx
  • 国境警備とNATO支出(GDP比5%への増額)などの安全保障面での協力強化x

トランプ大統領は「解決策を見出す公式に取り組んでいる」と楽観的な発言をしましたが、具体的な内容は明らかにしませんでした。bloomberg+1

意見対立の焦点

個別品目の関税

カナダが最も強く求めているのは、以下の品目に課されている米国の関税撤廃または削減です:politico+1

  • 鉄鋼・アルミニウム:米国が50%の関税を課し、カナダは25%の報復関税で対抗reuters+1
  • 自動車:追加関税が適用され、カナダの自動車産業に打撃nytimes+1
  • 針葉樹材(ソフトウッド):カナダの製材産業が「崩壊寸前」との指摘politico
  • :追加関税の対象politico

カナダのフォード・オンタリオ州首相は「カーニー首相が早急に合意できないなら、報復関税を強化すべき」と圧力をかけています。politico

USMCA見直しの争点

2026年7月に予定されているUSMCAの共同レビューでは、以下の点が対立軸となる見込みです:whitecase+2

  • 原産地規則の強化:米国は自動車、鉄鋼、アルミなどで域内調達率の引き上げを要求する可能性が高いcsis
  • 対中国政策:北米域内での中国企業の活動制限や強制労働輸入禁止の強化whitecase+1
  • 乳製品市場アクセス:米国が継続的に要求しているカナダの乳製品市場開放whitecase
  • 労働基準の執行:最低賃金規定や迅速対応メカニズム(RRM)の拡大適用csis

トランプ大統領は「異なる取引を行うことも可能」と述べ、USMCAの再交渉や二国間協定への移行を示唆しています。aljazeera+1

構造的な課題

カナダは輸出の77%以上を米国に依存している一方、カナダはG7諸国の中で唯一トランプ政権と貿易協定を結んでいません。米国は2025年にEU、英国、日本と個別協定を締結しましたが、カナダとの交渉は過去のトルドー政権下での報復関税やUSMCAの複雑性により遅れています。bbc+3

カナダの鉄鋼労組は「緊急の行動が必要で、これ以上の譲歩は不要」と政府に圧力をかけており、国内政治的にもカーニー首相は厳しい立場に置かれています。reuters+1

  1. https://www.bbc.com/news/articles/cj6xje2778go
  2. https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-10-07/trump-says-us-and-canada-working-on-formula-for-tariff-deal
  3. https://english.news.cn/20251008/3feef6c749504beb99353f182e606eb2/c.html
  4. https://www.nytimes.com/2025/06/27/business/trump-ends-canada-trade-talks.html
  5. https://www.cnbc.com/2025/06/27/trump-canada-trade-talks-tariffs.html
  6. https://www.politico.com/news/2025/06/27/trump-canada-trade-talks-00429665
  7. https://www.canada.ca/en/department-finance/news/2025/06/canada-rescinds-digital-services-tax-to-advance-broader-trade-negotiations-with-the-united-states.html
  8. https://www.reuters.com/world/americas/canada-rescinds-digital-services-tax-bid-advance-trade-talks-with-us-2025-06-30/
  9. https://www.cnn.com/2025/06/29/economy/canada-rescind-digital-tax-us-trade-talks
  10. https://x.com/i/grok/share/IkCrh2TxebdLc2JtZgn26ARqu
  11. https://www.bbc.com/news/articles/c5yk9dqlvygo
  12. https://www.politico.com/news/2025/10/07/carney-wins-praise-from-trump-but-no-trade-deal-yet-00596259
  13. https://www.bbc.com/news/articles/c62553ywn77o
  14. https://www.brookings.edu/articles/the-us-has-formally-started-joint-review-of-usmca/
  15. https://www.reuters.com/world/americas/canadas-carney-makes-second-white-house-visit-talk-trade-2025-10-07/
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  17. https://www.whitecase.com/insight-alert/north-america-prepares-2026-usmca-review-and-potential-renegotiation
  18. https://www.csis.org/analysis/usmca-review-2026
  19. https://www.aljazeera.com/economy/2025/10/7/canadas-carney-makes-second-white-house-visit-as-trade-tensions-loom
  20. https://www.bbc.co.uk/news/articles/cj6xje2778go
  21. https://www.tradecomplianceresourcehub.com/2025/10/06/trump-2-0-tariff-tracker/
  22. https://www.canada.ca/en/department-finance/programs/international-trade-finance-policy/canadas-response-us-tariffs.html
  23. https://dimerco.com/news-press/us-tariff-update-2025/
  24. https://www.cfib-fcei.ca/en/site/us-tariffs
  25. https://en.wikipedia.org/wiki/2025_United_States_trade_war_with_Canada_and_Mexico
  26. https://en.wikipedia.org/wiki/Tariffs_in_the_second_Trump_administration
  27. https://www.youtube.com/watch?v=stZ-LLbSGWo
  28. https://www.blakes.com/insights/us-canada-tariffs-timeline-of-key-dates-and-documents/
  29. https://uk.finance.yahoo.com/news/trump-tariffs-live-updates-china-drops-google-probe-as-focus-turns-to-nvidia-tiktok-175804326.html
  30. https://www.euronews.com/2025/10/08/trump-says-there-is-natural-conflict-with-canada-as-he-hosts-pm-mark-carney-at-the-oval-of
  31. https://www.kiplinger.com/taxes/whats-happening-with-trump-tariffs
  32. https://nationalpost.com/news/the-two-ways-trump-tariffs-on-canada-could-collapse
  33. https://www.bbc.com/news/articles/cn93e12rypgo
  34. https://www.aljazeera.com/economy/2025/6/28/what-is-canadas-digital-tax-and-why-is-trump-killing-trade-talks-over-it
  35. https://www.bdo.global/en-gb/insights/tax/indirect-tax/canada-government-to-scrap-dst-to-restart-trade-deal-talks-with-u-s
  36. https://www.nbcnews.com/politics/politics-news/canadas-mark-carney-visits-trump-frosty-relations-longtime-allies-rcna236151
  37. https://www.congress.gov/crs-product/IN12399
  38. https://www.cnn.com/2025/10/07/politics/canada-pm-mark-carney-trump
  39. https://www.wilsoncenter.org/sites/default/files/media/uploads/documents/24-174_USMCA-Review%20(1).pdf
  40. https://www.nytimes.com/2025/06/30/world/canada/canada-digital-tax-tariff-negotiations-trump.html

「カナダ—インドネシア包括的経済連携協定(CEPA)」現状整理

概要

協定の現状: 2025年9月24日、オタワで両国がCEPAに署名。協定ステータスは「署名済(未発効)」。international

発効見込み: 2026年に発効予定(各国の国内批准・実施法整備が前提)。pm

関税撤廃の規模:

  • カナダ側:インドネシア産品に対する90.5%の関税を撤廃
  • インドネシア側:85.8%の品目ヘディング(HSヘディング)を自由化
  • カナダの対インドネシア輸出の95%以上で関税削減または撤廃効果xinhuanet+1

※測定単位(関税分類の粒度)が異なるため、数値の直接比較には注意が必要

実施スケジュール

現在(署名後〜発効前): 関税・通関手続きは現行通り。企業はHSコード単位での影響分析や原産地管理の準備段階 。international

2026年発効後: 即時撤廃品目は0%に、段階的削減品目は年次スケジュールに従い低下。具体的な品目別スケジュールおよび品目別原産地規則(PSR)は協定本文・附属書で確認可能 。international

関税・原産地・通関手続き

関税撤廃・削減: 物品市場アクセス章に基づき実行。輸出入許可の透明性強化、新規輸入ライセンス規律も盛り込み 。international

原産地規則(ROO):

  • 累積(accumulation)対応、生産累積見直し条項あり
  • 原産地証明、保存義務、事前教示、検認、罰則、当局間協力を含む
  • 証明方式の詳細(様式・自己証明可否等)は協定本文に従うinternational

通関手続き・貿易円滑化: WTO貿易円滑化協定を基盤とし、通関の簡素化・標準化・電子化等を規定 。international

サービス・投資・デジタル分野

投資: ISDS(投資家対国家紛争処理)を含む保護・待遇規律を整備。ネガティブリスト方式採用、インドネシア側には透明性向上のための3年移行期間。発効3年後のオファー改善見直しも規定 。international

金融サービス: 独立章として、市場アクセス・内外無差別・最恵国待遇に加え、強固なプルーデンシャル例外(金融安定確保のための裁量)を明記 。international

電子商取引: 越境データ流通、データローカライゼーション規律、ソースコード開示、オープンガバメントデータ、個人情報保護等を含み、デジタル貿易の予見可能性向上を図る 。international

政府調達: 透明性・協力等の手続き規律を整備し、将来の市場アクセス拡大に向けた交渉条項を含む 。international

国有企業(SOE): インドネシアにとって初の包括的SOE規律(無差別・商業的考慮・規制の中立性・透明性等)を導入 。international

労働・環境: 水準引き下げ競争防止、気候・生物多様性・プラスチック等の課題への取り組み、責任ある企業行動を盛り込み 。international

優先課題の二国間対話

重要鉱物: 高いESG基準の下で供給網強靭化・技術協力を推進 。international

SPS(衛生植物検疫): カナダ産牛肉とインドネシア産ツバメの巣の市場アクセス課題解消に向けた覚書を活用 。international

紛争解決: 透明性の高い国家間紛争解決(当事者提出、審理、最終報告の公開等)。international

有望セクター(公表情報ベース)

カナダ側有望品目(対インドネシア): 小麦、カリ(肥料)、木材、大豆等—完全実施で価格競争力が向上 。pm

インドネシア側有望品目(対カナダ): 繊維・履物・家具・加工食品・軽電機・自動車部材・ツバメの巣等。6,500超のタリフラインが優遇対象 。xinhuanet

企業実務対応チェックリスト

  1. HSコード特定: 主要SKUのHS6桁〜10桁を確定し、CEPA関税スケジュール(附属書)に照合。段階削減の年次率と即時撤廃判定を準備
  2. 原産地要件(PSR)リスク評価: 自社の部材構成・工程で原産資格を満たせるかを検証。累積条項の活用余地も試算
  3. 原産地管理プロセス整備: 証明書式/自己証明の可否、保存期間、検認対応を社内規程・システムに組み込み
  4. 通関・物流見直し: 発効後の申告手順・原産地申告文言・事前教示の取得計画を立案
  5. サービス・投資規制確認: インドネシア側ネガティブリストの参入制限・外資比率・現地要件を精査
  6. データ・IT対応: 越境データ移転・ローカライゼーション規律に適合するクラウド/拠点設計を検討
  7. 重要鉱物・SPS案件化: 鉱物・食品関連企業は二国間対話を活用し、規制・承認の前倒しを狙うinternational

よくある質問

Q1. いつから特恵税率を使えますか?
A. 発効(2026年)以降です。発効日前の出荷には適用されません 。pm

Q2. 自社品目が即時0%になるか知りたい
A. HSコード別の撤廃・削減スケジュールを確認する必要があります。正式な附属書に基づき判定してください 。international

Q3. 原産地証明は誰が作成しますか?
A. 原産地手続き章に証明・保存・検認・事前教示等の運用が規定されています。自社の役割分担に応じた体制整備が必要です 。international

Q4. セーフガードやAD/CVDは?
A. WTOの権利義務を再確認しており、アンチダンピング・相殺関税・グローバルセーフガードの枠組みは維持されます 。international

追加の注目点

安全保障・経済の包括連携: 署名当日、防衛協力協定など複数のMoUも同時締結。サプライチェーン(重要鉱物等)や人材協力の観点で、民間案件への波及可能性 。pm

数値の解釈: 90.5%(カナダ)と85.8%(インドネシア)は、それぞれ関税撤廃対象と自由化対象(ヘディング単位)で、母数・単位が異なるため単純比較は不適切 。setkab

参考資料

  1. https://www.pm.gc.ca/en/news/news-releases/2025/09/24/prime-minister-carney-announces-new-trade-agreement-indonesia-canadas
  2. https://www.international.gc.ca/trade-commerce/trade-agreements-accords-commerciaux/agr-acc/indonesia-indonesie/cepa-apeg/background-contexte.aspx?lang=eng
  3. http://www.xinhuanet.com/english/asiapacific/20250925/0626b5c9037a40bfa3be41f522915e87/c.html
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