カンボジア(Kingdom of Cambodia)におけるHS事前教示(Advance Ruling)制度

本文書は、カンボジアにおけるHSコードの「事前教示(Advance Ruling)」制度(分類・評価・原産地)の実務向けまとめです(最終確認日:2025年10月27日)。

主管当局と公式URL

主管当局:General Department of Customs and Excise(GDCE/経済財務省所管)

所掌部局:GDCE本部内のDepartment of Planning, Technique and International Affairs(DPTIA)が事前教示業務を所掌しています。

主要URL(公式)

Advance Ruling制度は2013年のPrakas No.002で開始され、WTO貿易円滑化協定(TFA)第3条の履行対象となっています。

事前教示のプロセス(分類ARを中心に)

対象・種別

  • (a) 分類(AR-TC)、(b) 評価(AR-CV)、(c) 原産地(AR-OG)の3種
  • 一申請=1品目(1HS)または個別の1件取引が原則

申請書

AR-TC Form 1(分類)、AR-CV Form 1(評価)、AR-OG Form 1(原産地)をクメール語または英語で作成します。

提出先

DPTIAの所掌部局(公式「Offices in Charge of Advance Rulings」に記載)。必要書類を添えて、申請者本人(または権限ある代理人)が上記オフィスへ持参提出します。

手数料の納付

1申請につき200,000リエル(公共サービス手数料)。

受理・審査

不備があれば追加資料・サンプルの提出指示があります。審査後、書面のAdvance Rulingが発給され、通関で拘束されます(同一条件に限る)。

備考(FTA経路)

カンボジア-中国FTA(CCFTA)は「必要情報受領後90日以内に発給」「有効3年」等を規定しており、国内SLAと併存します。

事前教示取得に必要な情報(最小パック)

身元・資格資料

申請者(会社・個人)のVAT登録証・パテント(営業許可)・身分証/旅券の写し等。代理提出の場合は委任状が必要です。

貨物の詳細(分類判断に十分なレベル)

  • 品名(通称/技術名)/用途・主用途/作動原理・構造
  • 材質・組成(重量%=合計100%)/寸法・重量・電気的仕様
  • 包装形態(小売/バルク、セット/部分品)
  • 写真・図面・カタログ、製造工程・処方、SDS/COA(該当品)
  • 必要に応じサンプル

商流資料

発注書・売買契約・プロフォーマインボイス・LC等(該当時)

申請者の見解

HS/AHTN候補と根拠(GIR・部注・類注)を明記します。

言語

クメール語または英語での提出が明記されています。

結果が出るまでに必要な期間(SLA)

国内SLA(公共サービス基準):30日(Advance Rulingの標準処理期間としてPrakas No.1608のサービス表に明記)。

FTAベース(例:CCFTA):必要情報受領後90日以内に発給(協定での規定)。

事前教示の有効期間・拘束力

有効期間

発給日から3年。実体事実の変更、虚偽・不完全情報、国内法や通達改正等で失効/変更し得ます。

拘束力

発効日以降、税関を拘束します(申請者の同一貨物・同一条件が前提)。

関連法との関係

通関後の事後確認で、申告から3年以内は税関が分類等を再判定できる一般規定があります(法第19条等)。ARがある場合でも実貨物が照会内容と同一であることの立証が重要です。

事前教示取得に必要な費用

申請手数料(公共サービス):200,000リエル/件(Advance Ruling per document)。GDCE案内・Prakas No.1608双方で確認できます。

その他の実費:サンプル輸送費・第三者分析費・翻訳費などは個別に発生し得ます(公示手数料の対象外)。

その他の重要事項(実務の要点)

申請窓口

**DPTIA(GDCE本部)**が所掌しています。Preah Norodom Blvd.(本部)のFocal Pointページに担当部局・連絡先が掲載されています。

公開データ

Issued Advance Rulingsで公開済み裁定の参照が可能です(他社のARは直接拘束しませんが、先例調査に有用です)。

TFA第3条の完全実施

カンボジアはAdvance Ruling条項(3.1〜3.6)を2017年2月22日に履行とWTOデータベースに通知しています。

不服申立て

分類・原産地・評価の税関決定に対する不服手続の案内ページがあります(ARに関連する決定の争いも含む)。

制度開始の根拠

**Prakas No.002(2013年1月4日)**でAdvance Ruling(分類・評価・原産地)を導入しました。

申請準備チェックリスト(分類AR・すぐ使える)

  • ☐ AR-TC Form 1(クメール語/英語)を作成(一申請=1HS)
  • ☐ 企業・申請者の身元書類(VAT・パテント・ID/旅券、委任状)を添付
  • ☐ 用途・機能/作動原理/構造/材質・組成(100%)/寸法重量/電気仕様/包装を写真・図面・カタログ・工程で裏付け。必要ならサンプル
  • ☐ **HS候補と法的根拠(GIR・部注・類注)**を明記
  • ☐ 提出方法:DPTIAの担当オフィスへ持参提出。手数料200,000リエルを準備
  • ☐ スケジュール:国内SLA30日(FTAルートは90日(必要情報受領後))
  • ☐ 有効3年。事実変更・法改正・誤りで失効/変更の可能性。同一性の社内管理(仕様変更時の再申請判断)を整備

参考(制度の背景・補強資料)

  • GDCE「Handbook on Customs Clearance」:ARは発効日から税関拘束と説明
  • WTO TPR(2025):2013年Prakas 002でARを開始の旨