HS Code Finderの使い方:意見が違う場合のその理屈づけを理解する

スマートリングのHSコードの見解が国によって違っています。最新の商品なのでそういうこともありますが、違う場合に、その論点を明らかにすることができるのはうれしいです。

ご指摘のとおり、スマートリングのような新しい技術を使った製品は、国や地域によってHSコードの解釈が異なる場合があります。これは、製品のどの機能を「本質的な特性」と見なすかについて、各国の税関で見解が分かれる可能性があるためです。

現状をまとめると、主に以下の2つのHSコードが候補となり、地域によって判断が異なっています。


考えられるHSコードと各地域の傾向

候補1:HSコード 8517.62

  • 分類: データ通信用の機器(音声、画像その他のデータを送受信・変換するための機器)
  • 考え方: スマートリングを、スマートフォンと連携してデータを送受信する「通信デバイス」として捉える見方です。通知の表示、音楽の操作、NFC決済などの機能が重視される場合、この分類になる可能性が高まります。
  • 該当する地域: 欧州(EU)で有力な候補
    • EUでは、同様のウェアラブルデバイスである「スマートウォッチ」が、通信機能を理由にこの8517.62に分類される傾向が強いです。スマートリングについても、双方向のデータ通信機能があれば、同様に分類される可能性が高いと考えられます。

候補2:HSコード 9031.80

  • 分類: 測定用・検査用の機器(他の項に該当しないもの)
  • 考え方: スマートリングを、心拍数や睡眠、活動量などの生体データを「測定・検査するセンサーデバイス」として捉える見方です。通信はあくまで測定データを転送するための補助的な機能と解釈されます。
  • 該当する地域: 米国で分類実績あり
    • 先日お伝えした通り、米国税関は「Samsung Galaxy Smart Ring」について、複数の機能(測定、通信など)のうち、解釈通則3(c)(等しく考慮に値する項のうち、数字上の配列で最後に来る項に分類する)を適用し、この9031.80に分類しました。

比較まとめ

HSコード (Code)分類の根拠となる機能判断する可能性のある地域・根拠
8517.62通信機能を重視EUで有力。 スマートフォンからの通知受信や、双方向のデータ連携が主機能と判断される場合。
9031.80測定・検査機能を重視米国で実績あり。 主に生体データを記録・測定するセンサーとしての役割が主機能と判断される場合。

結論と日本での対応

現時点では、日本の税関がどちらの解釈を採用するかを示す公的な分類事例(事前教示)は見当たりません。

そのため、日本に輸入する際のHSコードは、製品の具体的な機能(NFC決済や通知機能の有無など)を税関に提示し、どちらのHSコードが妥当か判断を仰ぐ必要があります。

【最も確実な対応】

このような解釈が分かれる製品については、輸入前に日本の税関へ事前教示の照会を行うことを強くお勧めします。これにより、輸入申告前に正しいHSコードと関税率が確定するため、後々のトラブルを避けることができます。

 

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