FTA: 原産地規則とその解釈の難しさ

経済産業省委託事業でEPAアドバイザーをしていますが、いつも悩まされるは、経済産業省や日本商工会議所が記載していることと、企業がそれを解釈することのギャップです。

「生産者」の定義に関して、以前アドバイスをした企業から質問がEPAデスクにあったのですが、「経済産業省のHPと嶋のいうことが違う」というものでした。

設計や品質保証をしているだけでは「生産者」としては認められません。

ただ、企業からすれば「そこまでやっているのだから生産者だろう」という気持ちになります。残念ながら、証明ルール上はそうはならないのです。

ただ、その内容を説明資料の文言から読み解けないことも理解できます。

EPAデスクから丁寧に説明して頂くようお願いしましたが、アドバイザーとして本当に悩ましい。

国はEPA(FTA、TPP)を使え、というのですが、明確な原産地規則を企業がわからない以上、その要望の実現は困難であると思います。これは国のFTA活用推進の大きな課題でしょう。

浜松にて、外務省・浜松商工会議所共済のセミナー「メガFTA時代の到来とTPPの活用」で講演してきました。

浜松にて、2016年1月18日に外務省・浜松商工会議所共済のセミナー「メガFTA時代の到来とTPPの活用」がありました。

そこで、小生が講演をしてきました。

13:30~  開会・冒頭挨拶  衆議院議員 城内 実 氏

13:40~  「TPPがもたらすメガFTA時代」 外務省経済連携課長 岩本 桂一 氏

14:35~  「TPPが変える企業のグローバル戦略」 株式会社ロジスティック 嶋 正和 氏

15:30~  パネルディスカッション「メガFTA時代の国際ビジネスを考える」
・ モデレータ 大阪商工会議所 麻野 良二 氏
・ 三井物産株式会社 貿易・物流管理部
輸出入貿易管理室 マネージャー 武田 ゆかり 氏
・ ヤマハ株式会社 物流システム部 企画担当次長 河田 敏幸 氏

17:15~  懇親会

 

150名の参加者がいらっしゃいました。浜松は本当にFTAでは活発なエリアです。

セミナー風景
セミナー風景

いよいよ、FTA/EPAのプロフェッショナル・サービスを展開します

いろいろあたためてきましたが、これからFTA/EPAのプロフェッショナルサービスを展開します。

すでに、FTA/EPAの原産地証明に関係する

  • 原産地証明業務のアウトソーシングサービス
  • 企業の原産地証明の妥当性を検証するオーディットサービス

は、実施を初めて、好評を得ています。

これから進めるのは他社と協業した複合サービスです。

GEFのセミナーを2月25日に予定しています。その際にはこのサービスの内容を発表しますので、お楽しみに。

 

とてもびっくりした

現在、自動車メーカーのアフターパーツのEPA適用のお手伝いをしています。

アフターパーツの大半は、自動車部品メーカに作ってもらった部品で、内政部品はごくわずかです。

EPAでの原産地証明書を取得するには、どうしても自動車パーツメーカーの協力が不可欠で、多くの企業にその協力依頼をしました。

多くの企業は(その温度差はあるのですが)好意的に対応していただきました。

その中に1社だけ、「当社は企業の方針としてEPAへの対応を行わない」と宣言された会社がありました。

自動車パーツで、EPAへの対応をしない宣言?

正直びっくりです。TPPでアメリカ、日EUでヨーロッパ、そしてRCEPもしくは日中韓FTAで中国が今後対象になってくるだろう中で、「企業の方針でEPAへの対応を行わない」とおっしゃるのです。

当然企業の戦略ですから、企業の自由になさればいいのですが、FTA、EPAへの対応を納品の条件とされる企業も増えている中で、そういう宣言をされる企業はとても大胆です。場合により仕事を失います。

よほど商品に自信がないとできないことですね。

原産地証明アウトソーシング事業

化粧品の企業からの受託した原産地証明アウトソーシング事業、生産者が別であったこともあり、途中少しややこしかったのですが、本日、24品番の原産品判定番号を頂戴しました。

顧客の立場でもあり、また、商工会議所の気持ちもよくわかる立場で改めて制度を考えるといろいろなことが課題としてあります。

でも、この年末の忙しい中、ご対応いただいた商工会議所にはまずは感謝の念を表したいと思います。

ありがとうございました。