FTA-BPO 002:なぜ私たちがFTA業務のアウトソーシング受託を行うのか
これまで私たちは、企業向けにFTA(自由貿易協定)の活用指南を行うコンサルティング業務に注力してきました。また、書籍やWeb学習ツールの開発を通じて、企業の皆さまがFTAを理解し、実務で活用できるよう教育サービスも提供してきました。
そんな私たちが新たにアウトソーシング受託事業へと進出した背景には、市場環境の変化があります。その理由をいくつかの視点からご説明します。
1. 企業上層部のFTA業務への関心低下
日本企業はこれまで、TPP(CPTPP)、日EU EPA、RCEPといった大型のFTA導入時に、対応策を講じてきました。これらの協定が発効された当時は、企業内でもFTAへの関心は非常に高いものでした。
しかし、近年は新たな大型FTAが目立たず、企業の関心は他の経営課題に移っています。それに伴い、FTA業務への人員配置も消極的になり、他部門同様、人員削減の影響を受けています。その結果、FTAの実務運用はますます困難になっています。
一方で、FTAの運用においては、検認対応を含め、より高度な証明の質とコンプライアンス対応が求められるようになってきました。
FTA業務は、企業の通常業務とは異なり、専門的な知識と経験が必要です。しかし、企業はこの分野に人材育成のための投資を以前ほど行わなくなっています。そのため、FTA業務に関する社内スキルは年々低下しているのが現状です。
優秀な人材はどの企業でも引く手あまたであり、FTA業務に十分な人材を割く余裕がなくなっているのです。
2. 教育と実務のギャップの再燃
過去に、私たちがFTAの教育や組織改革プロジェクトを支援した企業があります。その企業から、プロジェクト実施から3年後、再び相談が寄せられました。「FTAの教育セミナーを再度実施してほしい」との依頼です。
なぜ、今になって再び教育セミナーの要望が出てきたのでしょうか。
それは、社内でFTAの知識と実務スキルが維持されず、担当者の異動や退職によってノウハウが失われてしまったからです。結局、企業はまた一から教育をやり直す必要に迫られています。
このような現実を踏まえ、私たちは単なる教育支援にとどまらず、FTA業務自体を請け負い、企業の負担を軽減しつつ、コンプライアンスを確保するアウトソーシングサービスを展開するに至ったのです。
(次回へと続きます。)