原産地証明をAIで行う(施行実験中)

HSコードの符番システムはほぼめどが立ちました。

このエンジンを使えば、HSコードの年次変更も可能。

ここまで来れば、CTCでのHSコード符番は問題なくできるようになります。

現在、この部分を実験中。

一連の流れを自動で行うところはまだですが、それぞれの要素
 ・HSコード符番
 ・HSコードの年次変更(対象HS年次を特定もできるようになっている)

ができれば原産地証明はできたも同然。
 
気になる部分品の部分もトライしている部分では正しく符番できているようです。

自分で言うのも何ですが、このシステムのいいところは、出した解答を100%と言わず、こういう可能性がある(どの程度確かと考えているかを示せる)その曖昧な部分の他の選択肢、どういうことが分かれば確定できるかを示せるところです。

当然、その根拠を左証として示す様にしています。

これらのトライアルの結果から一連の流れが対応できるようにプロセスを修正してはトライをしています。

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日本企業のEPA利用輸出における原産性否認事例10選:その5

仕向国(税関)
イタリア


適用協定:
日EU EPA

対象商品(HS):
紳士用上衣 (6203)

否認理由
台湾製生地
→日本で縫製のみ=PSR未充足

ロジスティックでは無料でのFTA業務チェックサービスを行っています。ご関心のある方はこちらからどうぞ

日本企業のEPA利用輸出における原産性否認事例10選:その4

仕向国(税関)
フランス


適用協定:
日EU EPA

対象商品(HS):
抹茶入り飲料 (2101)

否認理由
非原産砂糖比率が許容値(10 %)超

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ようやく原産判定が下りました

今抱えている案件で2つの商品の原産判定が下りました。

いろいろな事を考えさせられた案件でした。

今後のサービスに役立てることが出来そうな点がいくつもありました。

が、とにもかくにも疲れました。

FTAの原産地証明における商品のHSコード:日本商工会議所東京事務所の見解

最近、東京商工会議所への原産判定申請で、以下の見解をもらいました。

FTAの原産地証明の原産判定基準は商品のHSコード、取りわけ輸入税関のHSコードに依存します。

しかし、最近、東京商工会議所は「輸出時のHSコードは何番ですか」と聞いてきます。また、「通関士にこの商品のHSコードを確認してもらってください。」と言ってきます。このHSコードが輸入時と違う場合、輸出時のHSコードでも輸出時のHSコードは究極統計目的です。輸出時には余り真剣にHSコードの付番をしているとは言えません。それでもそのコードで証明をしなければなりません。

確かに、相手国でのHSコード判断には首をかしげる部分がたまにあります。しかし、それを主張されている以上、原産証明はそれで行わないと相手国で原産とは見なしてもらえません。それ故に原産地証明はこのHSコードで行います。

それに加えて、輸出時のHSコードが違った場合、それでも証明しなさい、なのですから、困惑します。証明をダブルでせよということです。

輸入税関でHSコードが違った場合、輸入者、そして輸出者が困ります。でも、企業の責任です。輸出時のHSコードでも原産性を確認するのは何のためなのか?

検認の際に違ったHSコードでも証明が成立していることを示すためなのでしょうか。仮に商工会議所が商品のHSコードに疑義を持った場合、それをストレートに言われるならまだしも、余り重要性をもっていない輸出時のHSコードの確認とそれでの証明にどんな意味があるのでしょうか。

検認時に起こりうることを考えるのですが、こういった対応をする必要性にまだ至っていません。

どなたか、ご意見を下さいませんか。

FTAの原産地証明、対応が間違っていませんか?

最近のFTA戦略的活用研究会でのやりとり、相談事を考えると違うのではないかと思うことが多くあります。現段階での私見を下記に書きますので、参考になればうれしいです。

FTAで輸入側での関税が減免される(可能性がある)ことがメリットですよね。それは、FTAがあれば何でも関税の減免が得られるということではなく、FTAの協定で定められた原産地規則を満たしている事で、その恩典が受けられるということです。

FTAを活用することで下がるコスト

輸入時の関税を減免する恩恵は輸入者に与えられますが、その条件がFTAの原産地規則に則って輸出側が原産地証明を行う事で得られる恩典です。そして一番大事なところですが、損をするのは関税が得られない輸入国です。

輸入国は何でもかんでも輸入したものの関税を減免することは避けたい。ですので、輸入品の原産性を確認する権利が与えられています。それを「検認」と言います。

FTA毎にその協定での原産地規則が決まっています。大筋は決まっているのですが、細部では違っていることが厄介です。

一般的な原産地規則は、以下の通りです。このスライドはかなり昔から使っているのですが、皆さんのご理解が進んでいない印象があります。伝える私の責任であります。

この3つを満たすことが、FTAでは必要となってきます。2は協定毎に地少し違っていることには気をつける必要があります。

これだと何を準備するのかわかりにくいので、私は作るべき資料を以下の様に示しています

赤枠の資料を、原産地規則に従って作成し、それを証拠書類としています。

後気をつけるのは、先に述べたFTAの違いで原産地規則の表記が違うため、対象の競艇を確認すべきです。原産地規則の章はさほどページは多くありません。横着せずに読むべきと思います。

自己証明などは別として、特にアジアの国に対してFTAを使う場合、日本商工会議所の原産判定が必要となります。

そのために、資料を作って提出するのですが、日本商工会議所が見ているのは右側の「原産地規則に基づき評価」の資料です。右側は要求されていないようです。(ただ、一部の商工会議所では提出を要求されることがあります)

まあ、右側でおおよそのことが分かります。原産判定に最終的な責任を持たない、チェック機能としての商工会議所であれば、件数も多いため、右側だけの対応となるでしょう。実際に聞いた話ですが、日本商工会議所のシステムでの提出書類の区分には、右の箱の文言は書かれますが、左側の文言は書かれていません。

であれば、右側だけでいいのだろうと思うでしょうが、私はそう思いません。

日本商工会議所が行う原産判定の際の資料提出と確認は、OKが出たとしても日本商工会議所がお墨付きを出したと言うことではありません。

過去を遡れば、証拠書類の提出はいまみたいに100%ではなく、ラフに計算してみた事があるのですが、20%程度でした。そこで経済産業省が、「証拠書類を全て見よ」という指示を出して、日本商工会議所も抵抗はしたのですが、押し切られた形で証拠書類の確認をするようになりました。

必要な書類を全て見るのではなく、必要最低限を見ているというのが私なりの解釈です

日本商工会議所のチェックは通って当たり前ですが、通ったから検認も問題ないということにはならないのです

原産地証明の際に、出来ればやらなくてもいい仕事は省きたいものです。サプライヤから情報(特に材料リスト)をもらって証明をする際に、私なら必ずもらったリスト(総部材表)にサプライヤの承認を示す印をもらいます。その情報の責任の所在を明らかにするためです。

が、「印がなくてもいいだろう」ということを言ったのかどうか分かりませんが、印がなくても済む対応を経済産業省の証拠書類の例示で示しました。

そのことは、なくてもいいのではなくて、検認が発生したときには、企業がそのリストの正しさを示すのですよという意味と理解しています。OKと言われたことは、後ほどその正しさを企業がちゃんと示さねばならないことであって、「楽ができた」ことにはならないと思っています。

先の図の左側の「総部材表」、「生産工程表」も要らないのではなく、聞かれたらちゃんと説明できるようにしてね、ということです。

最近はEUやRCEPの中韓からも検認が来るようになりました。当社が主催しているFTA戦略的活用研究会で定期的に「検認」のユーザー調査をすることになり、第1回を行いましたが、検認の際にかなり細かいことを聞かれるようになっています。

回答日数も少なく、検認は急に来ますから、受ける方はバタバタします。数年前の話ですので、資料を探すのも苦労することがあるようです。

原産判定をした時にちゃんと証拠書類を作っておいたらいいのにと思うのですが、人間の性でしょうか、とりあえず通したいのでしょうね。

そういった事例は他にもあります。

準備するのは大変だと言いますが、実際に原産地証明を代行で行っていて、大変だとは思いません。

関税の減免を受けるために、必要であれば、その原産性の正当性をちゃんと説明できるものをあらかじめ用意するのは当然です。

私は、日本商工会議所の原産判定の際には、先の資料を全て出します。商品の写真も添付します。その方が会議所の方も内容が分かっていただける。

サプライヤ証明も、証明書だけを付けるのではなく、当方で推定して証拠書類を作成し、サプライヤに修正確認をしてもらい、捺印をもらったものを提出しています。

商工会議所から指摘された記述もほとんどを取り入れて、記載しています。

結果としてよく理解していただき、かなりスムーズな申請が出来ていると思います。

CTCやVAだけを提出するよりは少し手間ですが、逆に手間をへらす工夫もかなり行っていますので、時間はさほどかかりません。

楽をすることで後で苦しみたくない。検認の際にはスムーズな対応が出来るようにして、突発的にやって来る検認対応で通常業務に支障が出ないようにしています。

多くのFTAが発行した数年前に比べて、FTA担当の人が入れ替わっている印象が強くあります。

当時はセミナーも多くあったために勉強する場がありました。また、FTAの書籍(当方も出版しています)を買い求めて勉強して対応する方も減りました。

企業の中で引き継ぎがされているのですが、基礎が分からず「とりあえずこうしておけ」的なことが多くあると最近の担当者から聞いています。

商工会議所の原産判定を通すという視点ではなく、原産性をちゃんと説明できる証拠書類を作成することを念頭に置いた対応をされた方がいいと思います。

商工会議所で原産判定をもらっても、「問題ない」ということではない

抽象的で分からないかもしれませんが、原産地証明で日本商工会議所から原産判定をもらって、「できた。問題ないじゃないか。プロに払うのは馬鹿げている。」と思っている人の多いこと。

証明を見ると、問題が多いことが少なくない。

時間をかけて、経験を積んで証明をしてきた人のことを言っていない。問題がないと思う。

しかし、人の証明をものまねして、日本商工会議所から問題なく判定をもらった人の証拠書類を精査するといかに問題の多いことか。

「できた」と思う人を変えることはできない。

ましてや、仕事の欲しい私たちの言っていることは半ば仕事が欲しい「嘘つき」なのであろう。

その上司も分かったつもりで「FTAは問題ないです。」となる。

検認などの問題が発生してから、「困った。どうしよう」なのである。

当方も問題が起こってから対処できることなどしれている。

FTAでの対処は、検認時でも問題が無いようにする「予防」なのである。

そのことが少しでも分かってくれたら、うれしいのだが。

FTA-BPOセミナー 第1回のビデオをYouTubeにアップしました

2024年11月19日に行いました、FTABPOセミナー第1回「FTA業務の悩みと解決方法」のビデオをYouTubeにアップしました。

FTABPOセミナー第1回「FTA業務の悩みと解決方法」
企業、特に担当者が抱えるFTA業務の悩みは尽きることがはありません。 原産地証明、検認に対する恐れ、業務の継続性の不安などFTA業務に対する悩みを紐解き、それに対する解決の道筋を企業事例も含めて提示します。また、当社を中心とした、FTAにおける日本一流のメンバーによるFTA業務支援サービスもご紹介します。

パート1 (60分) 
原産地証明、検認に対する恐れ、業務の継続性の不安などFTA業務に対する悩みとその解決案
株式会社 ロジスティック  代表取締役 嶋 正和

パート2 (30分) 
企業が抱える悩みと対処:企業事例
FTAラボ 所長 國松 佳史

■■ 日時 ■■ 2024年11月19日(火) 14:00~15:30

Teamsの録画で、音が聞こえにくい可能性があります。

その際は、以下のビデオもお試し下さい。

パート1

パート2

最近の日本商工会議所(実際は担当している各商工会議所間)の判定対応にばらつきが多すぎると思う

ほんとうにこれ。

最近の日本商工会議所(実際は担当している各商工会議所間の)の判定対応にばらつきが多すぎると思う。

時代と共に、各国の検認などの傾向も合せて、日本商工会議所の対応が変わるのは至極当然。

しかし、商工会議所間の判定に対する対応がバラバラなのは如何ともしがたい。

FTA(EPA)の原産地証明の新任担当者は戸惑うだけ。明確な基準がないと、彼らは何をすればいいかわからなくなる。