最近のとある商工会議所への原産判定申請が厳しくなった件

とある企業の原産地証明をお手伝いして感じるのはとある商工会議所への原産判定申請が簡単に通らなくなったこと。

問題点を指摘頂き、大変助かります。ただ、かなり厳しくなったなと感じています。

とあるお客様のところで証明を担当している人にその話をしたら共感を得た。この人はかなりの期間証明を行っていらっしゃるのですが、「最近時間がかかるようになりました。この前のものは1か月かかりました。」

厳しくチェックすることは商工会議所にもメリットばかりではない。摘まれている案件が山のようになるはずですね。

最近、検認が増えているために、チェックが厳しくなっているのでしょうか。

日本商工会議所の第一種特定原産地証明書発給システムがメンテナンス中

出来上がったFTAの原産判定証拠書類をもとに依頼をかけようと、日本商工会議所の第一種特定原産地証明書発給システムにアクセスしたが、残念ながらメンテナンス中。

2024年2月2日(金)22:00~2月5日(月)8:00

はメンテナンス中だそうだ。

残念。

検認における日本商工会議所と税関のアプローチの違い

昨今、FTAの検認がかなり増えました。

当社のお客さんの相談も検認が半分を超えるようになっています。

また、RCEPでの検認も始まったようで、検認増加傾向は今後も続きそうです。

検認のサポートを様々経験してきて、感じたことがあります。

自己証明の場合、税関が窓口となりますが、税関が原産性を確認する際に見る視点が日本商工会議所とはどうやら違います。

日本商工会議所は原産地証明書発給の前に証拠書類を見ているのですが、税関は検認時に証拠書類を見るため、見るタイミングが確かに違います。

ただ、組織の傾向から検認時に気をつけなければいけないことがあることが最近の経験から分かってきました。

問題の無い原産地証明と証拠書類を作れば、どんなFTAの検認でも問題ないのは事実です。

ただ、この傾向を知ると知らないでは検認時の対処方法も違ってきますね。

日本商工会議所の事務所によるFTA原産地証明の指摘事項:とても困ること

第三者証明では、日本商工会議所に原産地判定を申請して承認が得られないと特恵原産地証明書の発給を受けることが出来ません。

それ故に、原産地証明の証拠書類が出来ると、日本商工会議所(実際は8つの商工会議所事務所から1つを選択)に証拠書類を提出し判定依頼を依頼します。

困るのは、そこで商工会議所から指摘されることが的を得ていない場合があること。

当社は企業に代り、原産地証明を行い、商工会議所に判定依頼をし、やりとりをして判定を受けるまでを代行業として行うことをしています。

FTAのコンサルティングと称して、原産判定までを具体的にやったことのない企業は信用できませんからね。理屈だけの企業が残念ながら存在するのは業界として困ったものです。当社は原産の判定を行う全ての商工会議所とのやりとりを経験しています。彼らの指摘ももっともだと思うところは、当然反映し、今後の代行業での糧としています。

今回は日インドCEPAの活用だったのですが、一般規則の適用品でCTCとVAを用意しなければなりません。ご存じの通り、CTCとVAでは対象となる部材表が違います。それに従って証明せねばなりません。

当社が提出した商工会議所からの指摘事項には納得がいきませんでした。いくつかあります(多くはこの場では伏せます)が、一番びっくりしたのはCTCの対比対象外の部材にもHSコードを付番せよとのこと。今までにも多くのインド向けの証明をしてきましたが、このような指摘は初めてです。

当方が指摘に対して主張をして、先方が当方の主張に対し、日本商工会議所国際部と打ち合せをした上で再び戻ってこられた回答は、HSコードの付番は必要ないが、表記はこうしてほしいということ。そこで戦っても仕方ないので、追加の表記は了承し、原産判定が下りました。

商工会議所の指摘事項は、「こうしなさい」と来るので、「通常の企業の人はそれに従うんだろうな。」と思うことが割とあります。(彼らの名誉のために申せば、なるほどと思うことも多くあります)

民間コンサルタントの私と、商工会議所の見解と企業はどちらをまず信じるかと言えば後者ですよね。それ故に、「おかしい」との文句が当社に来ます。当方は本当に困るのです。当方の間違いなら致し方ないのですが、多くを経験しているので、「この指摘、おかしい」と思うことがしばしあるのです。

今回の件の1つの事例、対象外の部材に対してHSコードを付番することは労力がとてもかかります。はっきり言って不必要です。指導される方は多くの案件をかかえてらっしゃるのでしょうが、もう少し勉強されたらと思います。また、商工会議所間での認識のギャップはいまだ解決されておらず、Aの商工会議所ではOKだったものが、Bではだめというものがあります。

商工会議所からの原産地証明の指摘事項、ありがたいことではありますが、当方もよく学んだ上で、指摘を咀嚼して、不必要なものは不必要と言えるようにならねばなりません。

日本商工会議所の特定原産地証明書発給システムトラブル

日本商工会議所の特定原産地証明書発給システムが続いているようです。

新規にシステムをリリースする際にトラブルはつきものですが、日々の輸出で活用している企業に取っては、原産判定や原産地証明書発給が滞ることは死活問題です。

テストで安定が見込めるまで、旧システムでの対応をすべきではないかと思います。慎重を期していたとは存じますが、もう少しテストをしておくべきでしたでしょうね。

とある企業で、新システムに移行してトラブル続きで売上を25%失ってしまったことがありました。その際も新システム移行と同時に旧システムを廃棄してしまっており、どうしようもありませんでした。

このシステムが安定するまでには時間がかかるのではないかと思います。原産判定の未処理分も原産地証明書の未発給分も積み上がるでしょうから、日本商工会議所の方の負荷も大変なものになるでしょうし、輸出する企業もEPAを活用するなら、時間を見ておいた方がいいですね。

この問題が長引き、2021年を越えることがあれば、日タイEPAのHS2017、RCEPというビックイベントが待っていますから、困ったことになります。そうならないことを願います。

日本商工会議所による原産判定時の証拠書類チェック

多くの方が勘違いしていますが、日本商工会議所によるFTA原産地証明の証拠書類確認は、証明の確約、保証をするものではありません。

不十分な点を指摘して下さいますが、日本商工会議所による保証を得たということにはなりません。

あくまで、証明の責任は企業にあることを忘れないでください。

検認に来た際に、日本商工会議所は支援して下さいますが、原産地判定を出したから責任をとるということはありません。

考えてみて下さい。

証明責任を日本商工会議所が取流ことになれば、どれだけのリスクを背負うことになるか。証明の背景などを詳しく見ることもできないのです。

あくまでも不備を指摘していただけるということと理解しましょう。

 

PS

ただ、?がつく指摘をされることもありますね。

インドネシアEPAでの原産判定が4日でおりました。

とあるお客様のリクエストで、原産地証明の証拠書類作成を請け負い、日本商工会議所に申請をしました。

インドネシアEPAでのエビデンス(証拠書類)の確認で4日ほどで判定が下りました。商工会議所様の迅速なご対応、ありがとうございます。

遡及ができないので、時間が経つことが許されず、少々ナーバスにはなっておりました。

ここまですべきかと思う点も道中ございましたが、必要な情報を的確に記載すれば時間は判定は早いのだと言うことを再確認しました。

皆さんも、エビデンスをおっくうがらず、必要なものを確実に作成することをお勧めします。

ちなみに、当社が提唱しているフォーマットは以下のサイトからダウンロード可能です。(エクセルになります)

お役立ちFTA関連サイト

第三者証明における商工会議所での所要時間は長くなっているのか

本日、とある商社から、「商工会議所でのEPA原産地判定の所要時間が長くなっていて困っている。他にも同様の事態は起こっているのか」との電話がありました。

全ての案件において、原産地判定の証拠書類の提出義務がなされてから、判定までにとても長い時間がかかり、2週間では終わらないことが多くなったそうです。

FTA戦略的活用研究会でも判定に時間がかかったかどうかを訪ねたところ、長くなったという声もある一方で、既に1週間以上かかっていたので、現実的にはさほど問題とはなっていないという声も上がっています。

「どういう対策を練るべきですか」との質問を受けましたが、こればっかりは商工会議所の処理のバックオーダーが尋常ではない数になっていることから、「輸出に対し、ゆとりを持って申請をするしかない」と言うことしか当方は言えません。

日本企業の証明の品質問題もさることながら、余りにも細すぎる指摘を商工会議所が行うことも課題だと思っています。

FTAが使いたくてもこの環境では使えなくなりつつある事実。「企業に責任がある」のなら、官庁・商工会議所は不介入とすべきです。

第三者証明で、日本商工会議所は原産判定申請時に証拠書類の提出を必須としたようです

日本商工会議所からのアナウンスで、今後の原産判定の際には証拠書類の提出による審査が必須となるようです。

商工会議所のリクエストではなく、経済産業省からのリクエストで、商工会議所も致し方なしと言うところでしょうか。

実際に、確認の手間が明らかに増えるので、商工会議所はたまったものではないでしょうが。

人員も限られている中でのこの決定。

原産判定が更に長引くことは間違いありません。

EPA利用の際には、ゆとりを見て対処することが必要となりそうです。