今日、HSコードの大家と会食。
私も年をとったと思っていたが、「小僧」呼ばわり。
もっとも、悪い意味でおっしゃってはいないけどね。
大家は71歳。
来週から南スーダンに行って、HSコードの導入を支援するのだそう。
負けていられない。
世界で有利に戦うためのコツ
最近のFTAに関するコンサルティングが多いのは「サプライヤ証明」をどうするかというものです。
サプライヤ証明は原産地証明の必要な部品の原産性を証明してもらうもので、ここが崩れると自社の証明も正しいものでなくなるので、大事な部分です。
昨今はサプライヤにFTAの原産地証明について対応してもらうための説明会を開き、証拠書類の作り方を説明する会社も増えています。
ただ、本当にそれで十分なのか、理解が足りているのか。
現実は、「サプライヤのFTA理解が不十分」というのが現状だと思います。
先日訪問した会社では、サプライヤ説明会の参集通知が来た場合、営業が参加するそうです。話を聞いて、それを本社に丸投げしてくるとのこと。参加した営業の価値は何だったのでしょうかね。
私がサプライヤ説明会を支援する場合は、必ず、「営業の参加があってもいいが、本社の担当者を呼ぶように」とアドバイスしています。ですが、半分以上の会社でそれを守って頂けませんね。
ケーススタディを用いたワークショップを行ったところで、効果もかなり限定的です。
説明会、ワークショップが限定的であれば、どうすればいいか。
現在、試行錯誤中ですが、方向性が見えてきた気がします。
どうすべきかは、またお話しするとしましょう。
ただ言えるのは、現在の状況ではサプライヤに依存した部分のある証明だと、問題を内包したままだと言うことです。
FTAのコンサルティングを行っていて、企業に原産地証明がなかなか根付かないと思っています。
一番の大きな理由は企業の取り組み姿勢にあると思いますが、その次の課題は教える側の教え方にあると思っています。
経済産業省、外務省、財務省(税関)、ジェトロ、商工会議所、EPAデスク、みんな頑張ってわかりやすい説明を心がけているのは事実でしょう。資料も昔に比べて読みやすくなっています。
しかし、根付かない。企業が真剣に取り組んでいないからだといえばそれまでですが、最近特に感じているのは、原産地証明の教え方だと思うようになりました。
学校の勉強も同様ですが、わかりやすさを進めるが故に、なぜそうするべきかということを企業側に理解させていないのです。「こう書きましょう」、「こうしなさい」といったすべきことをわかりやすくは伝えているのですが、その背景にある「なぜそうするべきか」を伝えきっていない。
EPAデスクの対面相談員を担当していますが、「○○にこう言われましたが、よくわかりません。」という質問が最近特に増えています。
企業側は、「これをやれ」ということを丁寧に教えてもらっているのですが、応用が利かず、結果絶えず「どうすればいいのですか。」という疑問しか持っていません。明らかに応え待ちの姿勢で、何がいいのかがわかっていません。
原産地証明で、証明をするにはその背景があります。その背景を伝えれば、何が必要で何が必要でないかが自ずからわかります。その背景なしに「こうしましょう」という指導だからちょっとした変化球に追いつかないのです。
原産地証明のワークショップも増えましたが、例題の限界から、どうしても配布された資料の証明書類への転記で終始します。参加者もそのときは作った気持ちになりますが、気持ちだけで、いざ実際に行おうとするとわからず、戸惑うのです。
「検認にはこれで十分ですか。」という質問をよく受けます。そんなものありません。むしろ、必要なのは「これで原産性は証明できているだろう。なんか問題でも?」という、言い切れる企業による理屈と意思が一番大切です。それがなければ、何でも回答できるように、事細かくすべてのデータを用意する羽目になるのです。
企業がこの姿勢を持つには根本の背景を徹底的に理解させることが必要です。当社ではワークショップの内容を改め、根本の背景を理解してもらうことに努めています。
本日、とある商社から、「商工会議所でのEPA原産地判定の所要時間が長くなっていて困っている。他にも同様の事態は起こっているのか」との電話がありました。
全ての案件において、原産地判定の証拠書類の提出義務がなされてから、判定までにとても長い時間がかかり、2週間では終わらないことが多くなったそうです。
FTA戦略的活用研究会でも判定に時間がかかったかどうかを訪ねたところ、長くなったという声もある一方で、既に1週間以上かかっていたので、現実的にはさほど問題とはなっていないという声も上がっています。
「どういう対策を練るべきですか」との質問を受けましたが、こればっかりは商工会議所の処理のバックオーダーが尋常ではない数になっていることから、「輸出に対し、ゆとりを持って申請をするしかない」と言うことしか当方は言えません。
日本企業の証明の品質問題もさることながら、余りにも細すぎる指摘を商工会議所が行うことも課題だと思っています。
FTAが使いたくてもこの環境では使えなくなりつつある事実。「企業に責任がある」のなら、官庁・商工会議所は不介入とすべきです。
先日のFTA監査でもあったことですが、協定を読めばわかることを、読まないことで悩み、そして証明を間違えているケースがすくなくありません。
FTAの協定文はそのボリュームが確かに多い。ですが、原産地規則の章に限れば大したページ数はありません。
目を通しておくだけで、こういった問題は十分回避できます。
こうなる理由は二つだと思います。
一つは、協定の日本語文が読みにくいため。縦書き、法律文書の難しさから敬遠して読まない。
もう一つが、FTAの活用を促進したいがために、セミナーなどで気をつけるべき点を省略しており、誤認識を誘発している。
FTAを利用されるみなさんはぜひ、協定の原産地規則に立ち戻ることを是非ともお勧めしますq。
本日、2019年2月1日にいよいよ日EU EPAが発効します。
新聞は記者の理解不足、調査不足でやれワインが値下げするとかでしか記事にしていません。
セミナーの集客をみても、これだけの関心を持ったFTAは初めてかもしれません。
メディア的にはTPP11をよく取り上げますが、代替FTA(EPA)のあるTPP11に比べれば企業の注目度は日EUがはるかに高いです。
その日EUも、運用上の課題を抱えての出発です。
企業側も自己証明の対策が出来ていません。何より大事なのが企業のトップが自己証明の具体的なリスクを理解していないこと。
国も企業ももう少し現実を踏まえた対策をしてもらいたいです。