アメリカへの輸出は新たな時代を迎える

日本からの輸入に対して相互関税が15%と決まりましたが、それで終了というわけではないですね。

WTOによる貿易の時代は、一部の国とFTA利用をのぞき、同じ関税が適用されていましたが、トランプ大統領により、輸出国の違いで適用される相互関税が違うという事態になりました。

まだ交渉中でしょうか、例えばブラジルから輸入した場合に50%の関税が課せられる時代となります。同じ商品なら日本からの輸入だと15%のところをです。

つまり、その商品の原産地がどこかということが関税を左右させることになるわけです。

アメリカでは原産地の判定は「実質的変更基準 (Substantial Transformation)」が採用されます。例えば、基幹の部材までは中国で製造、組み立てをして、残りの簡単な生産を日本で行ってアメリカに輸出した場合、日本産とは認められず、中国産となるというのがこのルールです。

商品の作り方いかんでは別の国で作られたという判断をされるわけですね。日本が交渉で関税を15%にしたところで、実質的変更基準を満たさなければ、日本原産にはならないのです。現実的ではないですが、主たる部分をブラジルで作って、最終生産を日本で行ったのであれば、日本産ではなく、ブラジル産と判断される可能性があるということになります。その場合、関税は15%ではなく、50%ということになるわけです。

この基準が今回のトランプ関税の設定では大きな意味を持ちます。日本の企業はこの実質的変更基準を元にして原産国を自分たちの意図通り明確にできるようにサプライチェーンを再考する必要があります。

私の会社のロジスティックは、この実質的変更基準の適用・不適用は日本企業にとって大切な要素であると捉え、この基準で日本産であるかどうかを判断する模擬評価を行うサービスを始めました。「アメリカ原産地評価プログラム

無料というわけにはいきませんが、日本産から外れる可能性を検証するサービスを行います。

実質的変更基準では、事前教示が受けることができます。一番確かなのはアメリカでこの事前教示を受けることが安全な策となります。

ただ、その事前の段階で自社の商品に問題がないか、あるとすればどう対策すればいいかを把握し、改善することがこのサービスでわかりますので、是非お使い下さい。

本サービスに関して質問がございましたら、info@logistique-inc.com までお知らせ下さい。

相互関税の合意ですが、これで成功ですかね。

相互関税15%でさも成功したように政府はいっていますが、今までは平均3%の関税が15%になったんですよ。それも80兆円の投資とお米の市場のおまけ付き。

EUの落とし所がどこかわかりませんが、日本の自動車業界には大きなブレーキとなるのは間違いないです。その他の業界に対しても同様。

15%もの関税がかかれば、アメリカでの自動車販売価格は値上げ必至。

日本の企業はアメリカ以外の市場での拡販を真剣に考えないと、売り上げが減ることは必須。

状況を客観的に見ている企業は、他のマーケットへのアプローチを真剣に考えています。日インドCEPAの利用が増えているのが何よりの証左。

日本に相互関税15%で合意 コメ・自動車市場開放―米国に80兆円投資・トランプ氏

日本に相互関税15%で合意 コメ・自動車市場開放―米国に80兆円投資・トランプ氏

2025年7月23日

時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025072300215&g=int#goog_rewarded

2025年7月22日 時点:トランプ政権が提示・交渉中の「相互関税」国別レート(主な18 + αヶ国)

2025年7月22日 時点

トランプ政権が提示・交渉中の「相互関税」国別レート(主な18 + αヶ国)

国・地域通告レート*現状・交渉状況主な出所
中国125 %(4 月9 日通告)*5 月12 日 EO で一時停止 → 8 月12 日までは10 %ベースライン6 月26 日「予備合意」後も細部協議中(Fox Business, Trade Compliance Resource Hub)
ブラジル50 %通告のみ。正式協議入りを模索(ABC News)
カナダ35 %協議継続・USMCA 対象品は除外(ABC News)
EU30 %7 月22 日現在も交渉加速中(Reuters)
メキシコ30 %7 月12 日通告。交渉難航(Reuters)
日本25 %8 月1 日発効回避へ協議中(ABC News)
韓国25 %農産物・自動車を巡り交渉(ABC News)
インド26 %「暫定合意」見送り濃厚(ニューヨーク・ポスト)
パキスタン29 %7 月18 日訪米‐協議継続(Reuters)
インドネシア19 %7 月15 日合意(米国輸出品は0 %)(ホーランド・アンド・ナイト)
ベトナム20 %(違法トランシップ品は40 %)ベトナム側は未署名(ホーランド・アンド・ナイト)
フィリピン20 %大統領訪米を前に協議(ホーランド・アンド・ナイト)
タイ36 %レート引下げ交渉を継続(Reuters)
カンボジア36 %交渉停滞(ABC News)
バングラデシュ35 %交渉未開始(ABC News)
マレーシア25 %20 %への引下げ要請中(East Asia Forum)
スイス31 %草案合意済み・署名待ち(ホーランド・アンド・ナイト)
台湾―(対象外)良好な交渉継続(ホーランド・アンド・ナイト)

*「通告レート」は 2025 年8 月1 日(中国のみ 8 月12 日)に発効予定の水準。二国間合意が成立すれば削減または撤回される可能性があります。


全体像と留意点

  • ベースライン 10 %:4 月2 日 EO で全輸入品に課された統一関税。大半の国には 90 日間の猶予が与えられ、7 月22 日現在も交渉が続く。(The White House)
  • レート算定ロジック:各国の対米貿易黒字・既存障壁・為替操作度合いを加味して「相殺」するという政府説明。
  • 変更余地:大統領は IEEPA 権限でレートを随時上下できると表明しており、実際 7 月10 日には「ベースラインを15–20 %へ拡大する構想」も示唆。(Trade Compliance Resource Hub)
  • 法的リスク:5 月の連邦地裁判決で IEEPA 超権限との指摘が出たが、控訴中のため関税は現行のまま。(ホーランド・アンド・ナイト)

実務上のヒント

  1. 8 月1 日(中国は 8 月12 日)までに二国間合意が発表されるケースが増える見込み。自社製品の原産国別シミュレーションを早めに行う。
  2. 合意後も HTSUS Chapter 99 の追加番号でレートが細分化される可能性があるため、輸入申告時の番号変更に注意。
  3. レート確定後も、USMCA・CPTPP・FTA 特恵が残る品目は例外扱いになることが多い(カナダ・メキシコ・ベトナムなど)。