RCEPが2018年での大筋合意を諦めました。
残念です。
インドが合意に抵抗したとのことで、メガFTAならではの力学が働いたわけです。
中途半端な合意なら更に1年かけて作り上げるのは是非そうして欲しいものです。
ただ、漂流するのだけは辞めて欲しい。
日本企業に取って、サプライチェーン上も大きな意味を持つRCEP。近年での一番大事なFTAだと思います。
2019年の早期の締結を望みます。
世界で有利に戦うための考え方
当社の本に限ったことですが、最近、傾向が変わってきました。特に原産地規則で顕著です。
直近までは、発効間近のEU、TPPの単品購入がほとんどでしたが、複数買われるケースがかなり増えてきました。
使用している協定の分はリファレンスとして持っておき、協定文を確認するのに使うのだそうです。特に、協定間の違いは意識されるようになりました。
また、ハンドブックも、ご本人用1冊から、部門でそれぞれが学ぶ、若しくはFTAマニュアルとして部門ないし、サプライヤへの参考書として複数購入するケースが目立ち始めました。
当方が本来想定していた使われ方です。
・当方が売れてうれしいというのではなく、本来の使い方です。
ご理解頂けてうれしいです。
昨日、経済産業省受託事業 EPAデスクによるセミナーが東京で開催されました。
場所は、市ヶ谷。
「経営者・管理者向けのEPAセミナー」という位置付けで、本年度は東京だけの開催です。
200人の申し込みで、管理職の方も多くご参会だだきました。
参加者の方々の意識は、TPPや日EUの発効が早まったせいか、とても高いと感じました。事実、名刺交換に列ができ、その列の長さゆえに名刺交換を諦められるかたも見受けられました。
やはり痛切に感じるのは、企業のFTA実務運営に沿ったセミナーがないこと。どこのセミナーも全体最適を考えるために、どうしても同じ話となりますし、わかりやすさを優先するために、話をシンプルかしすぎな気がします。原産地規則を協定を超えて同じルールとして話すのはわかりやすいですが、それ自身は見過ごす点が多いと思います。
協定は個々にその内容が少しずつ違い、特にTPPや日EUは、かなり違うと言っても過言ではありません。わたしの経験からするとやはり一回は協定文を読んでほしい。そして、どう言ったところが違うかを感じていてほしいと思います。
現在、原産地規則・品目別規則を主体とした書籍を作成、販売していますが、この本は、自分が実務を行うのにそばにあったら便利だから作りました。FTAハンドブックも同様です。業務上、間違えず、スムーズな業務をするために作ったものを、(上から目線のようですが)皆さんも使われたらどうですかということで、お分けしているというのが書籍販売の根本です。
この3日間、セミナーのフォローを兼ねて大阪に来ています。
メガFTAの為に、原産地判定の業務が増えることを懸念し、システム導入を考える企業が増えた気がします。
目的は確かに正しいのですが、間違った解釈に立ってシステム化を進めている気がします。
原産地判定作業の自動化は、オートマチックには行きません。
特にFTA原産地証明のシステム化の主体はVAです。CTCの場合、パーツのHSコードがデータベース化されていないと自動で対応できません。パーツ1つ1つにHSを符番するのはオートでは出来ないのです。
・ 「AIを使ってHSコードが符番できます」という会社がありますが、その精度は?です。
VAの場合、データソースがどうなっているかです。よく、BOMデータを展開してと言います。が、FTAで必要となるBOMと会社が持つ技術・生産系、会計系のBOMはその性格が違うため、単純に通常BOMを使う訳にいかないのです。
証明するに当たっての証明姿勢、商品のまとめ方(可能・不可能も含め)を精査し、そのデータがどこにあるか、妥当なデータかを確認、そして、同データを再構成するかを考えねばなりません。
そういったことが分からない人が、「システム化」を唱えるのです。できあがったモノが使えないことも往々にしてあります。
また、システム化はその性格上「ブラックボックス」化します。検認で計算の根拠を問われた場合、そのシステムロジックに戻らなければ説明がつきません。そういったドキュメントもしっかり用意しないと。「計算したら原産だった」という間抜けな説明になってしまいます。
更に、日本企業の場合、統一的なデータベースにデータが格納されていることはありません。様々なデータベースを使わないといけないし、そのデータベースが相互でどう関連しているかも大きな問題です。
ですので、システム導入で明日からすぐに使えるという迷信は捨て、証明方法の整理から入ることを当社は勧めています。
本日、日本関税協会主催のTPP原産地規則のセミナーに行ってきました。
講師はFTA戦略的活用研究会にも参加頂いているJASTPROの今川氏。
以前に弊社アライアンス企業の日立ソリューションズのセミナーでも登壇されていました今川氏です。
その際は1時間程度のセミナーでしたが本日はTPPオンリーで4時間。大変勉強になりました。
弊社の「FTA原産地規則を読み解くシリーズ」のTPP11を持っていき、セミナー資料とともにお話しを伺いました。
手前みそではありますが、弊社の原産地規則本と共に今川氏のお話を伺うと、とても理解が進みました。TPP11の原産地規則本に重要な要素を書き込んだり、ハイライトすることで、TPP11がいかに既存協定と違うかがよく分かります。
今存在するFTA関連セミナーは、今川氏のような原産地規則の協定による違いを話さず、品目別規則を調べて証明する事に注力しています。これがいかに不十分なことなのかがよく分かります。
弊社が出している「FTA原産地規則を読み解くシリーズ」の意義がとても重要であることが改めて感じられました。
先ずは、原産地規則に戻りましょう。
私の顧客で、コンサルティングののちにフォローアップをしている会社があります。
昨日は、そのフォローアップでした。
主たる話は、発効が早まったTPP11と日EUへの対応。
コンサルティングの時から、今後のメガFTAへの対応は行ってきたので、特段慌てた様子はありません。
原産地証明書(申告書)などのフォーマットを確認し、証明書発行の流れを確かめました。
顧客とはすでにTPPや日EU EPAへの適用を打診しているとのことで、証明の作成に注力し始めました。
カナダは今回TPP11で日本にとって初めてのFTA。顧客にはすでにTPP11を適用できると話しているそうです。その顧客は以前から値引きを強く要請されたとのことですが、このTPP11の適用で値引き分を元に戻すことで話がついているそうです。
FTAを営業活動に生かしたいい例です。それ以外にも営業での積極的アプローチを当方が提案し、実践しています。
やはり、メガFTAへの対応は組織とトップのサポートがカギであると実感しました。
個人対応ではおのずと限界があります。
以前にアナウンスしましたが、TPP11の発効はやはり来年1月中旬ですね。
また、初期対象国は新たにカナダが批准するようで、都合7カ国になりそうです。
準備として、弊社のTPP11原産地規則・品目別規則を手元に置いておくと便利です。
GEFの第22回セミナーを大阪で開きました。
多くの方にお集まり頂きました。
テーマは、「EUとTPP:完全自己証明への備え」
EUとTPPのおおよその発効タイミングがわかり、それに対して企業は準備をしなくてはなりません。
そのせいか、欠席はほとんどなし、それ以外にも登録外での参加希望者も少なからずいらっしゃいました。資料が足らず、一部の人には申し訳ありませんでした。
また、最近ぼけているのか、Live配信のアドレスを間違ってお伝えしてしまい、ご迷惑をおかけしました。録画DISKをお送りすると共に、現在でも視聴できるYouTubeサイトをご案内しました。このようなことがないように、肝に銘じます。
会場が久しぶりのグランフロントで、勝手が掴めない一方で、内容を盛りだくさんとすることで、本当にバタバタしました。又大阪でセミナーを行うつもりですが、次回はこのようなことにならないように致します。