台風が来ていましたが、TKAOのEPA活用セミナーの講師で福山に行きました。
主催がジェトロとのジョイントで、通常の14:00スタートではなく、13:00スタート。
天候の問題もあり、到着が13:00少し手前となってしまいました。
私が最初に講演することになっており、問題がありましたので順番を変えて頂きました。
出席者は70名。商工会議所、ジェトロ他の皆様のご尽力のおかけです。
17:00までの長丁場でしたが、皆さん真剣に聞いておられました。
世界で有利に戦うためのコツ
FTAの活用に関して学ばせて頂いた会社があります。
それをA社と呼びましょうか。
A社はメキシコとのEPAの時代から活用しており、その責任者は有名な方で、私も多くを学ばせて頂きました。
その会社の方からEPAの活用相談がありました。
???
という気持ちが本音のところでした。
「できるでしょうに。」
お会いしたところ、とても熱心な方で、メキシコ向けの商品で、VAで活用したくて、条件を満たさないのでどうしようかと悩んでいらっしゃいました。
そういうときは、影響の大きい材料の原産性に遡り、証明することになるのですが、ご存じなかったようです。
常日頃から、日本企業のFTA活用は個人に属しており、企業のノウハウ、体制で行われていないと感じていましたが、
「A社でもか」
という少し残念な気持ちとなりました。
日本の企業の方、FTA活用は是非組織戦でお願いしますよ
FTA活用に関しての社内認知を高める活動を、最近「猫すずプロジェクト」と呼び、セミナーの度に呼びかけをしています。
FTAにおける原産地証明の企業内の問題、メガFTAが近い将来来ることによる問題の拡大とそれに伴うコンプライアンスリスク。
すべて、企業トップの認識がないと改善されません。
企業トップの意識づけをすることを推奨しているのですが、最近その活動が具体化している企業が多いのがとてもうれしいです。
この前も、私がFTAのコンプライアンス問題についてセミナーを企業に行いに行きました。
参加者は、専務、常務、取締役、事業部の上部管理職などそうそうためるメンバー。
ここで、FTAの監査を受けようということになりました。
経営陣も、その問題を報告されていないということで、聞いたらすぐに対応したのにとおっしゃっていたのが印象に残っています。
「猫すずプロジェクト」は声を上げることが、第一歩です。
最近の相談で多いのが、商品のサプライヤーの規模が小さく、輸出も全くしていない場合のFTA原産地証明取得のケース。
輸出なんて全くしていないサプライヤーなのだが、それを購入した商社など企業が海外に販売することで、結果として商品が輸出されている場合が増えてきた。
その際にFTAを活用したい商社など企業が原産地証明をとることに四苦八苦している。サプライヤーが、対応できないからだ。
小さい企業には、確かにFTAだの、原産地証明だの、同意通知だの、ちんぷんかんぷんだろう。
そういった場合にどうやって説得させて、彼らサプライヤーに証明をさせるか。
本当に一苦労である。
たいていの場合は、「EPA相談デスクにお誘いされたらどうですか。」と言うようにしている。ちゃんと説明を聞けば、わかるものである。
サプライヤーの皆さん、そうされては?
先日のEPA活用の相談は、「これはダメだろう!」という内容。
日商からは原産地証明書が取得できており、それによる関税の減免も輸入国ですでに受けている。
だが、証拠書類を一切用意していない。
それをした担当者は、最近入った社員に、「この情報で証明書作っておいて」
どうしたものかと思案したその社員からの相談であった。
「この情報」というのも、あり合わせの部材表で証拠書類としての体をなしていない。
確信犯的行動である。
証拠書類を作る過程は説明をしたが、会社としてどうするかをまずは判断してもらってくれとお願いした。
もの的には原産性は証明できると思うが、本来の主旨を逸脱していい加減に行うのは、それも自分でその責任を取るのでは無く、新しく入った社員に押しつけるとはなんたること。
「問題なければOK」という会社の雰囲気だそうだ。
久しぶりに、怒りを覚えた。
こういう会社は一回痛い目に遭うべきである。
先日、とある会社の方が相談に来られました。
本当に困っていらっしゃるようでした。本業は社長の秘書兼ドライバーだそうです。
誰もやる人がいないので、自分がしなければならないとのこと。
熱心な人なので、いろいろ説明しました。また、今度、原産地証明の取り方の寄り詳しいセミナーをするので案内をしたところ、来られるとのこと。
この企業は決して小さくありません。が、企業の管理職以上は、片手間仕事と思っていらっしゃるのでしょうね。誰でも簡単にできると。
決して簡単な仕事ではありません。また、間違うと企業のコンプライアンスに関わる問題です。確かに、専任者を置くだけのコンスタントな業務量が無いかもしれません。が、やる限りはちゃんとしなければ、大きなしっぺ返しが来ることも企業は理解すべきです。
社長の秘書であるなら、そのことをちゃんと社長に伝えてほしいと申し上げました。(伝えて理解してもらうことがそんな簡単なことでは無いことを知ってはいますが)
本日、お客様からちょっとショックなお話を伺いました。
その会社は大企業で、FTA業務の生き字引の方。その人以外にその会社のFTAを語れないのです。
その人をその会社は人事異動で他部署に。
そして、新任の方が赴任。必ずしもFTAに明るい方ではありません。
もと担当の方の異動は本社内なので少し安心。新任の方も比較的聞きやすい環境にはあります。
このことは、会社はFTAのノウハウの問題を考えていないことの傍証です。
個人に帰属してしまっているFTAのノウハウを如何に一元化し、企業のものとするのか。それをしなければならない矢先の出来事。
この異動がアメリカなんかだったら、この企業はどうするのでしょうか。
人の異動は、その人の成長のためにも大切ですので、否定はしませんが、コンプライアンスに関わるFTAでその準備もできていないときの出来事。
明らかに企業はFTAのコンプライアンスの側の問題を考えていないことを露呈してしまいました。