ほんとうにこれ。
最近の日本商工会議所(実際は担当している各商工会議所間の)の判定対応にばらつきが多すぎると思う。
時代と共に、各国の検認などの傾向も合せて、日本商工会議所の対応が変わるのは至極当然。
しかし、商工会議所間の判定に対する対応がバラバラなのは如何ともしがたい。
FTA(EPA)の原産地証明の新任担当者は戸惑うだけ。明確な基準がないと、彼らは何をすればいいかわからなくなる。
世界で有利に戦うためのコツ
顧客からの依頼で原産地証明の証拠書類を作成したところ、原産材料のみから完全に生産される産品(原産材料のみから完全に生産される産品( PE:Producted Entirely )での原産証明)での原産証明を利用しての証明となった商品がありました。
私としては工業品を扱うこともあり、CTCでの証明、必要に応じてVAの証明を利用していますが、PEでの証明は初めてでした。
材料は自社品と言うよりは他社からの仕入れ品であり、HSコードが完成品と変わらずだったので、サプライヤ証明を依頼。
材料が全て同一の会社からの購入だったので、サプライヤ証明をお願いする手間も余りかからず。
また、当社が進める方法でサプライヤ証明書をお願いしたために、証明での証拠書類の確かさ、お願いからサプライヤ証明書の受領までの迅速さは顧客の支援もあってとても早い者になりました。
日本商工会議所への申請でも一工夫しました。それ故に迅速な原産判定をいただくことが出来ました。
割と気持ちのいい原産地証明ですね。「気持ちのいい」というのもいい方がおかしいですが。
依頼されていた3件のEPA原産地証明の証拠書類作成を終了。日本商工会議所から判定番号をスムーズに頂戴しました。日本商工会議所からの質問も特になく、かなりのスピードで承認を頂きました。(大阪商工会議所)
日本商工会議所へ申請する際に気をつけるべき点があります。
申請する側からすれば、質問も無く、かつスムーズに判定を頂戴するのが理想ですが、そのためには、提出する証拠書類を日本商工会議所が判定しやすい形式にすることです。
今回のスムーズさに対して、今年の1月に申請したものは3週間、日本商工会議所都のやりとりは5回以上ありました。
その際の問題は、日本商工会議所が納得してもらえるような証拠書類用のデータがなかったこと。それ故に顧客から情報を集めるのに時間がかかったことに起因します。
今回のスムーズな申請は、それとは正反対で、作っている自分でも「問題なし」と思える情報を頂戴したので、非常に短時間で判定を頂きました。
FTAの原産地証明をも鑑みた情報の整理も企業は今後考えるべきだと思います。
昨今、FTAの検認がかなり増えました。
当社のお客さんの相談も検認が半分を超えるようになっています。
また、RCEPでの検認も始まったようで、検認増加傾向は今後も続きそうです。
検認のサポートを様々経験してきて、感じたことがあります。
自己証明の場合、税関が窓口となりますが、税関が原産性を確認する際に見る視点が日本商工会議所とはどうやら違います。
日本商工会議所は原産地証明書発給の前に証拠書類を見ているのですが、税関は検認時に証拠書類を見るため、見るタイミングが確かに違います。
ただ、組織の傾向から検認時に気をつけなければいけないことがあることが最近の経験から分かってきました。
問題の無い原産地証明と証拠書類を作れば、どんなFTAの検認でも問題ないのは事実です。
ただ、この傾向を知ると知らないでは検認時の対処方法も違ってきますね。
第三者証明では、日本商工会議所に原産地判定を申請して承認が得られないと特恵原産地証明書の発給を受けることが出来ません。
それ故に、原産地証明の証拠書類が出来ると、日本商工会議所(実際は8つの商工会議所事務所から1つを選択)に証拠書類を提出し判定依頼を依頼します。
困るのは、そこで商工会議所から指摘されることが的を得ていない場合があること。
当社は企業に代り、原産地証明を行い、商工会議所に判定依頼をし、やりとりをして判定を受けるまでを代行業として行うことをしています。
FTAのコンサルティングと称して、原産判定までを具体的にやったことのない企業は信用できませんからね。理屈だけの企業が残念ながら存在するのは業界として困ったものです。当社は原産の判定を行う全ての商工会議所とのやりとりを経験しています。彼らの指摘ももっともだと思うところは、当然反映し、今後の代行業での糧としています。
今回は日インドCEPAの活用だったのですが、一般規則の適用品でCTCとVAを用意しなければなりません。ご存じの通り、CTCとVAでは対象となる部材表が違います。それに従って証明せねばなりません。
当社が提出した商工会議所からの指摘事項には納得がいきませんでした。いくつかあります(多くはこの場では伏せます)が、一番びっくりしたのはCTCの対比対象外の部材にもHSコードを付番せよとのこと。今までにも多くのインド向けの証明をしてきましたが、このような指摘は初めてです。
当方が指摘に対して主張をして、先方が当方の主張に対し、日本商工会議所国際部と打ち合せをした上で再び戻ってこられた回答は、HSコードの付番は必要ないが、表記はこうしてほしいということ。そこで戦っても仕方ないので、追加の表記は了承し、原産判定が下りました。
商工会議所の指摘事項は、「こうしなさい」と来るので、「通常の企業の人はそれに従うんだろうな。」と思うことが割とあります。(彼らの名誉のために申せば、なるほどと思うことも多くあります)
民間コンサルタントの私と、商工会議所の見解と企業はどちらをまず信じるかと言えば後者ですよね。それ故に、「おかしい」との文句が当社に来ます。当方は本当に困るのです。当方の間違いなら致し方ないのですが、多くを経験しているので、「この指摘、おかしい」と思うことがしばしあるのです。
今回の件の1つの事例、対象外の部材に対してHSコードを付番することは労力がとてもかかります。はっきり言って不必要です。指導される方は多くの案件をかかえてらっしゃるのでしょうが、もう少し勉強されたらと思います。また、商工会議所間での認識のギャップはいまだ解決されておらず、Aの商工会議所ではOKだったものが、Bではだめというものがあります。
商工会議所からの原産地証明の指摘事項、ありがたいことではありますが、当方もよく学んだ上で、指摘を咀嚼して、不必要なものは不必要と言えるようにならねばなりません。
日本商工会議所の特定原産地証明書発給システムが続いているようです。
新規にシステムをリリースする際にトラブルはつきものですが、日々の輸出で活用している企業に取っては、原産判定や原産地証明書発給が滞ることは死活問題です。
テストで安定が見込めるまで、旧システムでの対応をすべきではないかと思います。慎重を期していたとは存じますが、もう少しテストをしておくべきでしたでしょうね。
とある企業で、新システムに移行してトラブル続きで売上を25%失ってしまったことがありました。その際も新システム移行と同時に旧システムを廃棄してしまっており、どうしようもありませんでした。
このシステムが安定するまでには時間がかかるのではないかと思います。原産判定の未処理分も原産地証明書の未発給分も積み上がるでしょうから、日本商工会議所の方の負荷も大変なものになるでしょうし、輸出する企業もEPAを活用するなら、時間を見ておいた方がいいですね。
この問題が長引き、2021年を越えることがあれば、日タイEPAのHS2017、RCEPというビックイベントが待っていますから、困ったことになります。そうならないことを願います。