2025年10月25日発表「対カナダ関税追加10%ポイント引き上げ」

以下は、2025年10月25日(米国時間)にトランプ大統領が発表した「対カナダ関税を追加で10%ポイント引き上げ」の現時点で判明している要点と、既存の関税制度との関係をAIの力を借りてまとめたものです。

発表内容(速報ベース)

10月25日、トランプ大統領がカナダへの関税を「現在の税率にさらに10%ポイント上乗せする」とSNSで表明しました。発表の直接のきっかけは、オンタリオ州政府が米国内で放映した反関税TV広告(レーガン元大統領の発言を引用)への反発とされています。これに先立ち、米国は広告問題を理由にカナダとの通商協議を打ち切っていました。

対象品目や発効時期などの実務詳細は、公式告示が未公表のため未確定です。主要紙も「どの品目にどう適用されるかは現時点で不明」と報じています。

重要:現場での運用は大統領布告・商務省/税関(CBP)通知が出て初めて確定します。現時点では「追加10%ポイント」の方針表明段階です。

既存の対カナダ関税の枠組み(2025年時点)

USMCA適合品:原産地規則等を満たす大半の対米輸出は依然として無関税。2025年夏時点で対米加輸出の多くが関税非課税と報じられています。

USMCA非適合品(一般品):2025年8月1日から25%→35%に引上げ済み。

エネルギー関連:10%(国別追加関税の区分として明示)。

鉄鋼・アルミ:通商拡張法232条に基づき2025年6月4日から50%(英国のみ25%枠)。

自動車・同部品:25%(製品別の追加関税として明示)。

なお、米国は2025年4月5日から「ほぼ全輸入に最低10%関税(ベースライン)」を徴収開始していますが、対カナダではUSMCA適合品の無税枠が大きく残っています。

「追加10%ポイント」で想定される影響(シナリオ)

正式な告示が出るまで断定はできませんが、大統領の言い回しは「今払っている税率に10%ポイント上乗せ」と解釈されるため、カナダ原産で既に課税されている品目に広く加算される可能性があります。想定シナリオを整理すると:

区分現行(参考)追加10%適用と仮定した場合の見込み
USMCA適合品0%0%のまま(無税枠が維持されれば変化なし)
USMCA非適合の一般品35%45%
エネルギー10%20%
鉄鋼・アルミ(232条)50%60%
自動車・同部品25%35%

※上表は「一律に+10%ポイント」が適用される場合の試算イメージです。実際の対象範囲が限定される(例:USMCA非適合品のみ等)可能性もあり、最終は官報・布告待ちです。

:USMCA非適合の一般品を10万ドル輸入する場合、現行35%=3.5万ドルの関税 → 追加10%ポイントで45%なら4.5万ドル。差額1万ドル増。

背景事情

2025年春以降、米国は「ベースライン10%」や国別・品目別の高関税を段階的に導入しています。対カナダでは8月の35%(非USMCA品)に続くさらなる圧力となります。

今回の「10%上乗せ」は、オンタリオ州の反関税広告(レーガン発言引用)への報復色が濃い、政治的経緯を伴う措置です。

企業の実務対応チェックリスト

HS分類・原産地判定の再確認:USMCA適合化(原産地規則・RVC・関税分類変更)で関税ゼロに戻せないか直ちに検討。

関税負担のシナリオ試算:上記の+10%ポイントを前提に、製品別の実効税率・原価・価格転嫁を再計算。

在庫・通関タイミング:発効日確定後は通関日/引取り時点で税率が決まるのが通例。入港スケジュールを調整。

鉄鋼・アルミ・自動車等の品目別規制:232条50%や自動車25%など、既存の高率関税に重畳適用され得るかを注視。

公式告示のフォロー:大統領布告・商務省/CBPの実装通知(HTS追加注記・適用除外・移行措置等)を一次情報で確認。

今後の見通し

対象や発効日の詳細は未公表です。ホワイトハウスや商務省からの正式文書が出るまでは、社内ルールを「暫定→正式」に切り替える準備段階です。

米連邦最高裁は11月5日に広範な関税(IEEPAベース)の適法性を審理予定との報道もあり、法的リスクも交錯しています。

カーニー首相は協議再開に前向きと発言していますが、両首脳は直近のASEAN/APECに出席予定である一方、首脳会談の具体的計画は報じられていません。

まとめ

今回の「10%引き上げ」は「追加の10%ポイント」という宣言で、どの品目にどう重なるかは告示待ちです。実務上はUSMCA適合化(無税化)と非適合品の関税再試算が当面の肝になります。

米中関税交渉・動向 最新アップデート

2025年10月24日(米国時間)時点:米中関税交渉・動向 最新アップデート

全体要点

  • 新たな交渉ラウンド:米財務長官スコット・ベッセントとUSTRジャミソン・グリアーは、クアラルンプールで中国の何立峰副首相と会談中。大型関税エスカレーション回避と、トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談実現への道筋が目的。注目点は中国のレアアース輸出規制とこれに対する米国の対応。
  • 100%追加関税の予告:トランプ大統領は2025年11月1日から中国からの輸入品に追加で100%関税(現行関税に上乗せ)を課すと表明。ただし中国側対応次第で変更の可能性も示唆。この「追加関税発動」が目下のデッドラインとなっている。
  • 関税休戦の延長:8月12日に両国は高関税発動を回避する90日休戦延長で合意。これにより11月10日まで米30%、中10%の暫定関税水準が維持されている。
  • “Phase One”履行調査:USTRは2020年「Phase One」合意の履行状況について新たな301条調査を開始。追加関税発動の法的根拠拡充を意図。
  • 301条除外品目(178品目)の延長:USTRは11月29日まで特定品目に対する関税除外を延長済。該当HSコードは引き続き除外対象。

関税水準とリスク

  • 現状:8月の協議延長により11月10日までは「米30%:中10%」水準の関税休戦が継続。
  • 上振れリスク:トランプ大統領による「11/1から追加100%」の表明が実行されれば、休戦期限前倒しで関税水準が急上昇する可能性。
  • 対抗措置:レアアース規制拡大に加え、米国は米製ソフト利用製品の対中輸出規制強化なども検討中。

今後の注目日程

  • 11月1日:米国の追加100%関税の発動想定日(交渉進展により変更・撤回の可能性も)。
  • 11月10日:関税休戦延長(90日)の期限。トランプ-習会談もこの前後が節目に。
  • 11月29日:301条除外品目(178)の延長期限。以後の延長要否についてパブコメ手続・官報を要監視。

交渉の主要論点

  • レアアースの安定供給:中国の管理強化により米側は防衛・半導体・EV分野などサプライチェーンの影響を懸念。
  • 輸出管理 両国の応酬:米国はソフトウェア規制拡張を検討中で、AIチップや先端装置にも波及しうる。
  • “Phase One”履行・農産品購入拡大:米国は中国に大豆などの追加購入コミットを要求中。
  • 制制度是正:知財、強制移転、農業・金融サービスの体制面の履行状況も再検証。

企業対応チェックリスト

短期(〜11/10)

  • 船積み前倒し検討(到着日ではなく通関時税率適用に注意)。
  • 301条除外適用(〜11/29)HS再確認と申告書類整備。
  • 価格条項見直し(追加関税転嫁ロジック織り込み)。

中期(〜年末)

  • レアアース等サプライチェーン二線化推進。
  • 重層規制リスク(関税・輸出管理・制裁)のリスト化・管理。
  • 官報・USTRパブコメ監視の定期化。

補足・時系列ハイライト

  • 7/29:ストックホルム協議で休戦延長方針一致(最終判断は米大統領判断)。
  • 8/12:休戦延長で合意、暫定関税水準維持開始。
  • 10/10:トランプ大統領「11/1から100%関税追加」表明。
  • 10/22以降:米国が米製ソフトを利用した対中輸出の包括規制検討。
  • 10/24:クアラルンプールで米中実務協議、USTRがPhase One履行調査着手。

結論・注意喚起

最短11/1、遅くとも11/10が大きな分岐点です。「レアアース規制緩和と100%追加関税提案」のバーター的な妥協が現実的ですが、交渉決裂の場合は急激な関税引き上げ+輸出規制強化シナリオに要警戒です。各社は最新動向を見極め、輸入・生産・契約の「関税セーフティネット」を即点検してください。


参考・出典

  • クアラルンプール実務協議
  • トランプ大統領 100%追加関税表明
  • 関税休戦(〜11/10)延長と現行水準
  • 301条除外品目延長

(必要に応じ一次英文もご提供可能です。)

発表されたアメリカのトラックに対する関税に関して企業の経営者への情報

エグゼクティブ・ブリーフ(2025年10月19日/JST)

何が決まったか(超要約)

対象品目と関税率
中・大型トラック(クラス3~8)および部品に25%、バスに10%の関税を賦課。国家安全保障(通商拡大法232条など)を法的根拠とする大統領布告により発効します。

発効日時
米東部夏時間(EDT)2025年11月1日0:01(日本時間11月1日13:01)

USMCA適格車両の取り扱い
USMCA特恵要件を満たすトラックは、米国コンテンツを除く価値部分のみに25%を課税します(米国コンテンツ分は免除)。商務省への申請・承認プロセスが必要です。

USMCA適格部品
課税方式が連邦官報で確定するまで一時的に対象外とします(ただしCKD/EKD等のノックダウン・キットは常に課税対象)。

相殺プログラム(オフセット)
米国内で最終組立したMHDVについて、メーカーは車両価値の3.75%相当を関税相殺枠として2030年10月31日まで積み上げ可能です。エンジンメーカーにも同等制度を設定します。自動車分野の既存相殺制度も2030年まで延長されます。

関税の重ね掛け(スタッキング)
本布告の対象品は、鋼・アルミ・銅・自動車・木材等のセクター関税や相互関税との重ね掛けを回避します。ただし、素材・非対象部材に対する別関税は継続します。

業界インパクトの含意
メキシコ組立比率が高いOEMは原則コスト増となります。ただし米国部材比率(U.S. content)を高めて証明できれば実効税率を低減可能です。米国内組立は3.75%相殺により相対優位となります。メキシコが米向けトラック輸出の最大供給国である点から、サプライチェーン再配置圧力は強まります。


影響の見える化(簡易式とシナリオ)

USMCA適合トラック(メキシコ/カナダ組立)の関税額目安

実効関税 ≒ 25% × (1 − 米国コンテンツ比率)

計算例

  • トラック価額:180,000ドル
  • 米国コンテンツ:30%
  • 実効税率:25% × 70% = 17.5%
  • 関税額:約31,500ドル

※米国コンテンツの定義・算定は商務省の承認が必要です。虚偽申告には同型全量に対し全額25%適用の制裁条項があります。

米国内最終組立の相殺効果
相殺枠=車両価値の3.75%を、輸入部品の232関税等の負担とネット相殺に活用可能です(エンジンも同様)。


実務上の重要ポイント(法令運用)

USMCA適格部品の猶予措置
課税方式確立前は25%非課税とします(ただしCKD/EKDは課税対象のまま)。連邦官報告示を待つ必要があります。

FTZ(外国貿易ゾーン)の取り扱い
特恵外国(Privileged Foreign)ステータスでの入庫が必須となります。国内移出時に当該関税が適用されます。

車齢による除外
25年以上前の車両は対象外です(8702のバス含む)。

法的基盤と訴訟リスク
232条に加え、IEEPA・1974年通商法604条も布告に明記されています。関連の緊急関税に対する司法審査は別途進行中ですが、今回の主軸は232条です。訴訟リスクはあるものの、短中期での即時停止は見込み薄です。


経営サイドのアクション・チェックリスト(今週~来月)

財務/価格

  • 11/1(米東部)通関分からの原価再計算、販売価格・入札案件の価格条項(関税スライド/サーチャージ)更新
  • 相殺3.75%の申請・配賦設計(メーカー→輸入者番号への割当)

調達/生産

  • 米国コンテンツ比率の早急な実測(BOM展開、原価データの米国起源切り出し)。USMCAとは定義が異なる点に注意
  • CKD/EKD活用案件は構成見直し(対象固定)
  • メキシコ組立→米国組立の再配分や米国部材の置換に関する投資判断(6~18か月)

通関/ロジスティクス

  • 期日跨ぎ貨物の通関タイミング最適化(10/31までの搬入可否)とインボイス価額の整合
  • FTZ利用先はPrivileged Foreignでの運用切替確認

法務/渉外

  • 商務省への米国コンテンツ申請スキーム設計(証憑・監査プロセス)。誤申告は同型全量に全額25%ペナルティ
  • 官報・通達(部品方式、相殺運用細則)のモニタリング体制

メーカー別インパクト(要点サマリ)

評価軸
①北米の最終組立拠点、②メキシコ依存度、③短期コスト影響、④中期の戦略余地(米国化・相殺活用)

Daimler Truck NA(Freightliner/Western Star)
米国+メキシコ(サルティージョ/サンティアゴ)に主力工場。CascadiaやM2のメキシコ生産比率が高く、メキシコ依存度は高めです。USMCA適合でも非米国分に25%で実効税率が上昇します。米国内組立シフト、米国部材比の引上げ、3.75%相殺の活用で対応可能です。

PACCAR(Kenworth/Peterbilt)
米国主力+メキシコ生産も一定の割合を占めます。メキシコ依存度は中~高です。四半期あたり7,500万ドル規模の関税コスト増との報道があります。USMCA部材化・米国化を進めつつ、米国内組立分には相殺3.75%で影響緩和が可能です。

Navistar(International/親会社Traton)
メキシコ・エスコベードが大規模輸出拠点、米テキサス(サンアントニオ)等も拡張中です。メキシコ依存度は高めで、メキシコ発の非米国分に25%がヒットします。米国内拠点の活用拡大、米国部材化で実効税率低減余地があります。

Volvo Trucks North America / Mack
米国生産中心(VA/PA)でメキシコ依存度は低いです。完成車輸入は限定的で直接打撃は小さく、非USMCA部品の25%リスクは残りますが、米国内組立×相殺3.75%でむしろ相対優位となります。

Stellantis(Ram 3500などHDピックアップ)
メキシコ・サルティージョでHDピックアップ(クラス3相当中心)を生産します。メキシコ依存度は高く、USMCA適合でも非米国分に25%、価格転嫁圧力が生じます。米国コンテンツの引上げ、サプライヤー米国化で実効税率を圧縮できます。

Ford(Super Duty、F-650/750)
米国(KY/OH)組立中心でメキシコ依存度は低いです。完成車の直接影響は限定的で、相殺3.75%活用でネット有利となります。カナダ増産計画がある場合はUSMCA扱い+非米国分課税ルールの精査が必要です。

GM(Silverado HD/ Sierra HD)
米国(フリント)+カナダ(オシャワ)で生産します。メキシコ依存度は中程度で、カナダ組立はUSMCA前提でも非米国分に25%の可能性があります。米国内組立比率向上と相殺で影響緩和が可能です。

Isuzu(北米:N/Fシリーズ)
米国組立(ミシガン→SCへ拡大)が進行中です。メキシコ依存度は低く、完成車輸入依存が小さいため直接影響は限定的です。ただし日本発ボディ/キャブ等の非USMCA部品が25%対象となるリスクがあります。米国内一貫体制の加速でネット優位化が可能です。

Hino(トヨタ系)
米国(WV)で中型組立を行います。メキシコ依存度は低く、完成車輸入は限定的で相殺3.75%のポジティブ効果があります。エンジンは外部調達中心に移行済みで、非USMCA部品の管理が論点となります。

Tesla Semi / その他米系ZEV
米国内生産のためメキシコ依存度はありません。直接影響は軽微で、部材の原産地管理・232素材関税の最適化が主眼となります。

参考情報
メキシコは米向けMHDVの最大供給国で、政策発表後の報道もメキシコ依存OEMのコスト上振れを強調しています。


直近90日で経営が押さえるべき「3つの分岐点」

1. 米国コンテンツの定義運用と承認速度
「USMCA適合+非米国分のみ課税」の実効値が各社で大きく異なる可能性があります。商務省の運用方針とプロセス速度が重要です。

2. 部品課税方式の連邦官報告示
発効までUSMCA部品は一時免除ですが、方式確定で非米国分への25%が動き出します。告示内容とタイミングが業務に直結します。

3. 法的争点(232条/IEEPA周辺)の進展
全面無効化までは距離がありますが、周辺セクターとの整合や適用除外の余地に注目する必要があります。


参考:発表と報道(一次情報と主要メディア)

一次情報

  • 大統領布告:25%/10%の新関税、USMCA下の非米国分課税、相殺3.75%、FTZ/PFS、CKD対象、発効時刻等の詳細
  • ファクトシート:クラス3~8の範囲、重ね掛け回避、部品猶予等を整理

主要報道

  • メキシコ向け影響、相殺延長、北米サプライチェーンの見立て
  • メーカー別影響分析

アメリカ合衆国におけるHSコードの事前教示

アメリカ合衆国(U.S.)におけるHSコードの事前教示(Binding Ruling on Tariff Classification)実務ガイド

最終確認日:2025年10月17日

1) 管轄機関と公式窓口

所管機関
U.S. Customs and Border Protection(CBP)/Office of Trade – Regulations & Rulings(R&R)​

担当部署

  • 品目分類(Tariff Classification):National Commodity Specialist Division(NCSD、ニューヨーク)が大半を担当​
  • 高度案件:R&R本部(ワシントンD.C.)が原産地表示・評価等の難易度の高い案件や審査見直しを処理​

申請ポータル

  • eRulings(電子申請):CBP公式テンプレートでオンライン提出​
  • 郵送提出:NCSD(ニューヨーク、Varick Street)またはR&R本部(ワシントンD.C.)宛​

公開データベース

  • CROSS(Customs Rulings Online Search System):公開済み裁定の検索・閲覧が可能​

法的根拠
19 CFR Part 177(Administrative Rulings)​

2) 事前教示(Binding Ruling)のプロセス

対象・申請資格

  • 対象取引:原則として将来(未完了)の取引。完成済み取引や仮想案件は対象外​
  • 申請者:輸入者・輸出者など直接かつ明示の利害関係を持つ者(代理人可)​

申請方法

  • 推奨:eRulingsでの電子申請​
  • 代替:事情により郵送も可能​
  • 通関時:裁定書または裁定番号(コントロール番号)の提示が推奨される​

受付・審査

  • NCSD(分類案件)が審査を実施​
  • 必要に応じて追加資料やサンプルの提出依頼(ラボ分析を含む)​
  • 機密情報は角括弧[[ ]]で特定し、公開版(秘匿削除版)も用意​

結果の通知・公開

  • 裁定書(Ruling Letter)が申請者に発出される​
  • CBPは90日以内に裁定をCustoms Bulletinまたは公衆閲覧システム(CROSS)で公表​

変更・撤回(将来効)

  • 既存裁定の変更・撤回はCustoms Bulletinで提案→30日間の意見募集→最終公示​
  • 最終公示から60日後に効力発生(60日ルール)​
  • 例外:60日未満の裁定は個別通知で即時変更可能​

裁定を出さない事由

裁判係属中の論点や通関現場で係属中の案件など、CBPが裁定を出さない事情が19 CFR 177.7に規定されている​

3) 事前教示申請に必要な情報

19 CFR 177.2の記載要件に沿って以下を準備:​

申請者情報

  • 氏名・住所・連絡先
  • 利害関係者の情報
  • 予定入港地​

対象貨物の詳細

  • 品名/通称・技術名
  • 用途・機能・作動原理
  • 構造/材質・組成(%・容積・重量・価額)
  • 寸法・重量/包装形態
  • 化学品の場合は分析表
  • 画像資料:写真・図面・カタログ等(必須)
  • サンプル:可能なら添付(返却希望は明記。試験で損耗の可能性あり)​

申請者の見解

HTSUSの分類候補(10桁)と根拠(GIR・部注・類注等)​

関連書類

契約・請求書・仕様書等、論点に関係する文書の写し​

既往・係属の申告

同一・類似案件の既往/係属の有無(裁判・抗議・内部助言等)​

機密指定

[[ ]]で秘匿箇所を明示し、公開版(秘匿削除版)も添付。CBPは公開時に該当箇所を黒塗りする​

4) 処理期間の目安

  • 分類裁定(NCSD:原則30暦日以内(受領日基準)​
  • 本部(R&R)付託案件:90日以内​
  • 遅延要因:ラボ分析や他機関協議が必要な場合​
  • FTA原産地等のAdvance Ruling:完全情報受領後120日が標準​

5) 事前教示の有効期間・法的効力

効力

  • 発出日から有効で、未確定(未更正/未清算)取引にも適用可能​
  • CBP職員を拘束(同一事実関係が前提)​

第三者への効力

  • 基本は名宛人限定​
  • 他社にとっては先例的価値はあるが、直接の拘束力はなし​
  • ただし実務上は広く参照される​

変更・撤回

  • 19 CFR 177.12に基づき実施​
  • 提案公示→30日間の意見募集→最終公示→60日後発効​
  • 60日未満の裁定は個別通知で即時変更も可能​

公表

発出から90日以内にCustoms Bulletin等で公表(公開DBはCROSS)​

6) 費用

  • 申請手数料:無料​
  • 実費負担:サンプルの送料・返送費や民間分析費等は申請者負担となる場合がある​

7) 実務上の留意点

通関での使用方法

エントリー提出時に裁定書またはコントロール番号を提示​

不受理の典型例

  • 完了済み取引
  • 仮想案件
  • 裁判係属中の論点
  • 情報不足
    (19 CFR 177.7に規定)​

機密情報の取扱い

[[ ]]で秘匿表示し、公開版を提出。公開時はCROSSから該当箇所が削除される​

優先審査の依頼

緊急案件の事情説明により優先審査の配慮を求めることは可能(ただし確約なし)​

異議・見直し

  • NCSD裁定に不同意の場合、R&R本部への見直し請求が可能​
  • 輸入後は抗議(Protest)の手続が別途存在​

USMCA等のFTA原産地AR

19 CFR Part 182(USMCA)に基づく運用あり​

申請準備チェックリスト

  • ☐ eRulingsで電子申請(郵送も可)。将来取引に限定​
  • ☐ 技術資料の充実:用途・機能・原理・構造・材質/組成%・寸法重量・包装+写真・図面・カタログ、必要ならサンプル​
  • ☐ 自社見解(HTSUS 10桁+GIR・注)を明記​
  • ☐ 機密情報は[[ ]]で示し、公開版も添付​
  • ☐ タイムライン目安:分類=30日/本部付託=90日(追加試験・他機関連携で延伸あり)​
  • ☐ 裁定番号を申告書類に反映(通関時の照会短縮)​
  • ☐ 公開済み先例はCROSSで事前調査(直接拘束力は名宛人限定)​

主要根拠・参照先

  • 19 CFR Part 177(行政裁定):申請資格・将来取引の原則・不発給事由・発給・効力・公表・変更撤回等を規定​
  • eRulings/CBP公式サイト:電子申請の要件、処理期間の目安​
  • CROSS(裁定データベース):公開裁定の検索・閲覧​
  • Customs Bulletin:変更/撤回の公示・意見公募・発効に関する公示媒体​
  • 19 CFR Part 182(USMCA):FTA原産地等の運用枠組み​

「中国、米関税に報復示唆 100%の追加関税なら相応の措置」というニュースの内容を深掘りして整理しました

以下は2025年10月12日時点の整理です。あくまで情報の整理と勝手な推定です。

エグゼクティブ・サマリー

何が起きたか:トランプ米大統領が11月1日から中国からの輸入に100%の追加関税を課すと発表。あわせて「重要ソフトウェア」の対中輸出規制も示唆・準備中。発表はTruth Social投稿・記者団への発言ベースで、現時点で連邦官報(Federal Register)やUSTRの正式告示は未確認。したがって方針発表>実装手続きの途上という段階。

中国の反応:10月11日、商務省が「高関税で脅すのは正しい付き合い方ではない」「米国が独断専行を続けるなら**断固たる措置(resolute measures)**をとる」と表明。「関税戦争は望まないが恐れもしない(We do not want to fight, but we are not afraid to fight)」と一貫した立場を強調。背景として10月9日発表のレアアース輸出管理の強化を「正当かつ防衛的」と主張。直ちに追加関税で報復するとは言及せず、交渉余地を残す発信。

ビジネス影響の核

  • 100%は**既存の関税(基準10%+フェンタニル20%=30%)に”上乗せ”**の追加税と理解され、合計130%となる見込み
  • 原産地が中国かどうかが決定的(迂回組立や単純作業では原産地は変わらない)
  • 越境ECの”抜け道”だったデミニミス($800免税)も中国発は2025年5月2日で既に停止。小口でも課税
  • 中国は関税以外(輸出規制、アンチトラスト、不可靠実体リスト等)での非関税型の報復選択肢を多く持つ

タイムライン(直近)

10/9(木):中国が商務部公告2025年第61号でレアアース輸出規制を大幅強化。ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユーロピウム、イッテルビウムの5元素を追加し、計12元素を規制対象に。12月1日発効。

10/10(金):米大統領が中国全輸入への100%追加関税と重要ソフトウェアの輸出規制を示唆。発効は**11/1(またはそれ以前)**と発言。

10/11(日):中国商務省が「高関税で脅すのは正しい付き合い方ではない」「米国が独断専行を続けるなら断固たる措置を講じる」と表明。レアアース輸出規制は正当と反論。

:連邦官報やUSTRの正式通知に、当該100%の実装告示は未掲載(10/12時点)。制度発動には官報告示・HTSUS追補(Chapter 99)等が通常必要。

100%「追加関税」の実務解釈(通関の観点)

積み上げ型:現行の米中関税は基準10%+フェンタニル関税20%=30%(2025年5月合意、90日延長で11月期限)。100%追加が実装されれば、基準10%+フェンタニル20%+100%追加=合計130%

過去の301条税(25%等)の除外品目については、8月29日付でUSTRが178品目の除外を11月29日まで延長。しかし100%追加との関係は官報告示待ち

いずれもMerchandise Processing Fee(MPF 0.3464%)やHarbor Maintenance Fee(HMF 0.125%、海上のみ)は貨物価額に対して別途加算(関税額に対する料率ではない)。

計算の目安($100,000の貨物価額の仮例)

例A(基準10%、フェンタニル20%、100%追加)

  • 関税=$10,000(基準)+$20,000(フェンタニル)+$100,000(追加)=$130,000
  • MPF=0.3464%×$100,000=$346.40(最小・最大の閾内)
  • HMF(海上)=0.125%×$100,000=$125.00
  • 合計負担=$130,471.40

例B(301条除外品で基準10%、100%追加のみ)

  • 関税=$10,000+$100,000=$110,000
  • MPF=$346.40、HMF=$125.00
  • 合計負担=$110,471.40

※MPFの最低$33.58/最高$651.50(2025年10月1日改定)。

価格転嫁

2018–19年の米中関税では、輸入者・消費者へのパススルーがほぼ完全という実証が蓄積。関税は最終価格に反映されやすい。今回100%が実装されれば、相当程度の値上げは避けがたい。

「断固たる措置」—中国側の選択肢(非関税中心)

中国商務省は10月11日、「米国が誤った道を進むなら、中国は自国の正当な権利と利益を守るため**断固たる措置(resolute measures)**を講じる」と警告。具体的選択肢:

輸出規制の拡張:レアアース12元素(ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等)の輸出許可審査を厳格化。軍需・半導体向けの審査厳格化。民生用途は許可の可能性とするも、実務上の遅延・不透明化でサプライチェーンを締め上げる余地。12月1日発効。

行政的圧力:独禁調査やサイバー審査、データ越境規制の厳格化。直近ではQualcommへの審査着手報道も。10月14日から米船舶への港湾使用料賦課開始。

対外制裁法/不可靠実体リスト:取引・投資禁止、資産凍結、入国拒否など広範。9月マドリード会談以降、米国が複数の中国企業をエンティティリストおよびSDNリストに追加したことを非難し、中国側も同様の指定拡大を示唆。

港湾使用料等の相殺措置:米側措置に対し中国港での米船舶への料金賦課など、物流での摩擦を拡大。

どの品目が特に当たるか(米国の対中輸入の構成)

米国の対中輸入(2024年$4,387億)は電気機器(HS85)・機械(HS84)・家具(HS94)・玩具(HS95)・アパレル(61/62)が柱。100%追加は消費財セクターの最終価格に広く影響。

実装プロセスの見極めポイント(法的経路)

実装にはUSTR告示・連邦官報でのHTSUS Chapter 99追補・適用日・対象の正式特定が通常必要。10/12時点で未掲示。

手段は301の修正もしくはIEEPA等に基づく新たな宣言の可能性。過去の裁判でIEEPA権限の限界が指摘された例もあり、法廷争いや議会監督のリスクを内包。

BIS(商務省)のソフトウェア輸出規制の具体像(規制対象・除外・暫定一般許可)を要注視。最近もAI・半導体で相次ぐ規制更新あり。

既存制度との関係(重要)

301除外の延長:USTRは2025年8月29日付で178品目の301条除外を11月29日まで延長。仮に100%が発効しても、除外品の扱いがどうなるか(別枠の追加税がかかるのか)官報告示を要確認。

デミニミス($800):中国・香港発は2025年5月2日で既に免税終了。小口でも関税・通関が必要(EC事業者はDTC価格式の全面見直し必須)。

あなたの会社が直ちにやるべきこと

原産地棚卸し:全SKUの**最終実質的変更(substantial transformation)**の発生地を再確認。単純組立やリパックでは原産地は変わらない。

関税数理の即時計算:SKU別に基準10%+フェンタニル20%+100%での新想定税負担を試算し、粗利・販売価格への影響と在庫評価を更新。

契約条項のトリガー確認:Change in Law/タリフ・サーチャージ条項の発動条件、価格改定の通知義務、フォースマジュールの射程。

物流計画:11/1前納品への前倒しの可否(ただしルール確定前の駆け込みは通関事故リスクあり)。エントリー日・輸入申告時刻が発効判定の基準になるのが通例。

代替調達・加工の設計:ベトナム等での実質的加工による原産地変更は可だが実質的変更基準を満たす工程設計・コスト検証・**CBP事前裁定(Binding Ruling)**の活用を。

ドローバック戦略:輸出向け分は301等を含め最大全額の99%還付が可能(条件あり)。輸出・破棄・製造代替の各類型で5年内の請求設計を。

社内・販売先への説明キット:上記の価格影響、納期、代替策を1枚に要約。

中国側の非関税リスク:不可靠実体リスト/対外制裁法の指定拡大や当局検査の強化に備え、現地在庫・人員・データのBCPを更新。

サプライチェーン別の「当たりどころ」

**電機・ICT(HS85)/機械(HS84)/家具(HS94)/玩具(HS95)/アパレル(61/62)**は米国の対中輸入の中核。価格転嫁→需要鈍化の一次波及に加え、レアアース制約→部材ひっ迫の二次波及が重なる可能性。

シナリオと備え(確率は私見)

停戦維持(30%):官報告示が出ず交渉入り。市場は一時安堵。

段階的導入(45%):対象・時期に例外を付しつつ一部適用。輸出規制は並走。価格改定と代替調達の両睨みが必要。

全面発動(25%)+中国の非関税報復:輸出許可の絞り込みや企業への個別制裁が加速。在庫・受注の調整を即実行。

(注:現時点で中国は関税で即時報復を明言しておらず、非関税の比重が高い公算。)

実務メモ(細目)

MPF/HMF:MPFは0.3464%(10/1改定で最小$33.58/最高$651.50)。HMFは0.125%(海上)。関税額には掛からず、貨物価額に対し課金。

価格転嫁の経験則:2018–19の研究では輸入者負担が主。部材→最終製品まで広範なコスト上昇。

越境EC:中国発デミニミス廃止(2025年5月2日)でShein/Temu等の小口も通関・課税。小口多頻度のオペレーションは関税・通関コストを前提に再設計を。

直近2週間のプラン(72時間/2週間)

72時間

  • SKU別関税インパクト表(基準10%/フェンタニル20%/想定100%/MPF/HMF)を作成
  • 価格改定シナリオ(内外税、販社マージン、販促原資)
  • 在庫と発注の前倒し/見合わせの判断

~2週間

  • 原産地変更案のPoC(工程票・BOM・価値加算法)/Binding Ruling準備
  • ドローバックの要件確認(輸出・製造代替・破棄)とデータ整備
  • 契約見直し(タリフ・サーチャージ条項、Change in Law、Incoterms再定義)

今後の「確認すべき公式ソース」

USTRのプレス/官報告示:100%追加の対象・発効時刻・Chapter 99番号が出るかを最優先で確認。

BISの輸出規制:「重要ソフトウェア」の定義、暫定一般許可、猶予期間。

中国の商務省告知・輸出許可運用:レアアースの審査基準・許可遅延の実勢(12月1日発効に向けて)。

「中国のレアアース輸出規制に対するアメリカの11月1日からの中国に対する追加関税100%」詳細アップデートと日本ビジネスマンが知るべき点

60秒サマリー

米国は11月1日から対中輸入に「追加関税100%」を課すと発表。既存関税に上乗せで適用され、総負担は多くの品目で130%前後に達する見通し。加えて「重要ソフトウェア」の対中輸出規制も導入方針。発表は大統領のTruth Social投稿によるもので、詳細は未公表。状況次第で発動時期を前倒しまたは撤回する可能性に言及。

背景は中国のレアアース輸出規制の強化。中国はホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウムの5元素を新たに規制対象に追加し、計12元素を規制下に置いた。精製装置・資材の輸出も規制対象とし、域外適用的な運用方針を打ち出した(中国産レアアースを0.1%以上含む磁石は審査対象)。主な発効は11月8日、一部は12月1日。

マーケットは株安・円高で反応。S&P500は2.7%安、ナスダックは3.6%安、円は対ドルで強含み。現行の米中「関税休戦」は11月10日に期限を迎える。

何が「決まった」か速報ベース

正確さに関しては、努力していますが、最終的には個々人でご確認下さい。

米側の措置

対中追加関税100%: 11月1日(またはそれ以前)に発動と大統領がTruth Socialで明言。既存の関税に「上乗せ」する形で適用。

重要ソフトウェアの対中輸出規制: 同じく11月1日から導入方針。ただし「重要ソフトウェア」の定義・該当ECCN・許可プロセス等の詳細は未公表。

背景: 今回の措置は中国のレアアース規制拡大への対抗。現行の米中関税休戦は11月10日に期限を迎える見通しで、11月1日発動は期限の9日前。

撤回条件への言及: 中国がレアアース規制を撤回すれば、追加関税の取り下げ余地があるとの発言も(ただし確約ではない)。

実務メモ: 現時点ではSNSでの政治判断の発表段階。HSコード範囲、免除、経過措置(積送中除外)などの実装細則は未発表。過去の追加関税(例:2025年2月の措置)の際は「船積み済み・積送中」への短期的な経過措置が官報で規定された前例あり(今回も同様とは限らないが注視が必要)。

中国側:レアアース規制の最新ポイント

規制拡大の中身: 5元素(Ho/Er/Tm/Eu/Yb)を追加し、計12元素を規制対象とした。精製技術・装置など多数を規制リストに追加。軍需用途は不許可、先端半導体関連は厳格審査。

域外適用の示唆: 中国資材・設備を使う海外生産や、中国レアアースを0.1%以上含む磁石製品についても中国の輸出許可が必要になり得るとの運用を明記。執行の実効性は未解明だが、サプライ停止リスクが抑止力として機能。

スケジュール: 規制拡大の主要部分は11月8日発効、一部規制は12月1日発効。

マーケットの初期反応(10月10-11日)

米株急落: S&P500は2.7%安(182ポイント減)、ナスダックは3.6%安(820ポイント減)、ダウは1.9%安(878ポイント減)。4月以来の大幅下落。円高進行も観測。

まだ不明な点(実務で「宿題」となる箇所)

適用範囲(HS): 一律100%を全品目に上乗せするのか、除外・猶予の設計はあるのか。官報(Federal Register)またはCBP通知待ち。

「重要ソフトウェア」の線引き: 対象ECCN、クラウド/SaaSやリモートアップデート等の「無形輸出」の扱い。BISからの追加ルールが出るまで社内フローは暫定対応が必要。

移行措置(積送中除外): 前例はあるが、今回の有無・期間は未定。

米中の追加対抗措置: 米側の輸出規制拡張、中国側の対抗課税・許可運用厳格化などの次手。

日本ビジネスが「今すぐ」押さえるべき要点

価格・コストと供給(11月1日リスク)

中国生産→米国向けの最終製品・部材は実質的に100%コスト上乗せが前提に(既存関税と合算で総負担は130%前後の水準に達する見立て)。在庫・出荷計画の前倒しや価格条項の見直しが急務。

原産地・迂回の誤解を回避

第三国経由の転送では原産地(CN)は変わらない。実質的な原産地変更(substantial transformation)や工程移管が必要。通関当局の取締り強化が予想され、形式的な迂回は高リスク。

レアアース・磁石のボトルネック

EV、風力、産業機械、HDD、ロボットなど磁石・レアアース多用業種は二重の供給制約(中国側規制+米側コスト増)に直面。BOM再点検、代替材・代替サプライヤの即時探索を。中国は処理で約90%、磁石で90%超のシェアを持つ。

米拠点からの「無形輸出」管理

米国子会社・米在勤者が関与するソフト配信、リモート保守、AIモデル提供等は輸出に当たり得る。「重要ソフトウェア」定義確定まで、対中向けの新規提供・更新に暫定ゲートを設け、案件審査を義務化。

契約・物流・金融の実務

価格転嫁条項(サーチャージ/関税条項)の発動条件を確認。インコタームズ(DAP/DDP等)に応じた関税負担者を明確化。船積みカット・通関所要の前倒しを運送・通関業者と共有。為替・金利・在庫のヘッジ方針を更新。積送中例外の有無に注意。

業界別・影響の当たり所(早見)

自動車(EV/HEV): 駆動用NdFeB磁石、モータ、パワエレ部材のレアアース依存+米向け中国生産部材のコスト急騰。

産業機械・ロボット: サーボモータ用磁石・精密センサ類の供給不確実性。

エレクトロニクス: 磁石(スピーカー/HDD)、レアアース触媒、中国EMS由来の部材などで影響波及。

再エネ(風力): 永久磁石式発電機で依存度が高く、調達・価格圧力が強まりやすい。

直近2週間の「ウォッチポイント」

米官報(Federal Register): 対象品目(HTS)、移行措置(積送中除外の有無・期間)、免除申請(除外枠)の有無。

米商務省BISの追加告示: 「重要ソフトウェア」定義・ライセンス運用の詳細。

中国商務部(MOFCOM)の運用通知: 許可審査の実際の厳格度、防衛・先端半導体関連の扱い。

米中首脳外交イベントの有無と追加対抗措置: 米側の輸出規制拡張、中国側の対抗課税・許可厳格化。

すぐに着手したい実務アクション(チェックリスト)

48時間以内

  • 米向けCN原産の出荷案件を全件洗い出し(最終製品・部材・補修品)。船積み前倒しの可否判断。
  • BOM単位でのCN原産比率と関税転嫁条項の有無を確認、価格・納期の顧客コミュニケーション草案を用意。
  • 米拠点からの対中ソフト配信の一時ゲート(新規配信・更新・リモート保守の承認制)を導入。

1週間以内

  • サプライヤ・代替源のRFI/RFQ開始(磁石・触媒・精製工程の代替可否)。
  • 通関ブローカー・フォワーダーと移行措置の有無を前提に申告ライン確認。
  • 契約・約款(価格調整・不可抗力・通関責任)見直し案のドラフト化。

今月内

  • 工程移管(原産地変更)の実行可能性評価と投資稟議の素案。
  • 在庫・為替・金利のヘッジ更新とシナリオ別PL感応度の提示。

主な修正点

  1. SNSプラットフォーム名の明記: 「SNS投稿」→「Truth Social投稿」に修正
  2. ナスダック下落率の修正: 「約3.5%安」→「3.6%安」に修正
  3. 中国レアアース規制の対象元素数: 「5元素を新たに規制対象に追加」に加え「計12元素」を明記
  4. 磁石の審査基準: 「微量以上」→「0.1%以上」に具体化
  5. 中国のシェア: 「9割超」→「処理で約90%、磁石で90%超」と詳細化
  6. 文章構成: 読みやすさ向上のため、セクション構成を整理し、重複を削減

米国とカナダの相互関税交渉:現在地

現状をまとめてみました。間違っている点があるかも知れませんが、ご容赦ください。

米国とカナダの相互関税交渉は複数回にわたり決裂と再開を繰り返しており、現時点(2025年10月)でも正式な合意には至っていません。以下、合意内容と対立点を整理します。bbc+2

交渉の経緯

6月の決裂と再開

2025年6月27日、トランプ大統領はカナダとの全貿易交渉を「即時終了」すると発表しました。決裂の原因は、カナダが6月30日から施行予定だったデジタルサービス税(DST)で、米国のテクノロジー企業に対する「直接的かつ露骨な攻撃」と非難しました。両国は7月16日までに新経済・安全保障協定で合意する予定でしたが、この問題で頓挫しました。nytimes+2

6月29日、カナダのカーニー首相がDSTを撤回したことで、両国は交渉を再開し、7月21日までの合意を目指すことで合意しました。canada+2

10月の会談

7月21日の期限を逃した後、10月7日にトランプとカーニーがホワイトハウスで再会談しましたが、正式な合意や画期的な進展はありませんでした。x+3

合意された点

カナダがデジタルサービス税を撤回したことで交渉が再開されましたが、実質的な貿易協定の合意には至っていません。両首脳は以下の点で一致しました:bbc+1

  • USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の2026年レビューを通じて「誠実な交渉」を進めることbrookings+1
  • カナダ企業が数百億ドル規模の米国投資を行う意向があることx
  • 国境警備とNATO支出(GDP比5%への増額)などの安全保障面での協力強化x

トランプ大統領は「解決策を見出す公式に取り組んでいる」と楽観的な発言をしましたが、具体的な内容は明らかにしませんでした。bloomberg+1

意見対立の焦点

個別品目の関税

カナダが最も強く求めているのは、以下の品目に課されている米国の関税撤廃または削減です:politico+1

  • 鉄鋼・アルミニウム:米国が50%の関税を課し、カナダは25%の報復関税で対抗reuters+1
  • 自動車:追加関税が適用され、カナダの自動車産業に打撃nytimes+1
  • 針葉樹材(ソフトウッド):カナダの製材産業が「崩壊寸前」との指摘politico
  • :追加関税の対象politico

カナダのフォード・オンタリオ州首相は「カーニー首相が早急に合意できないなら、報復関税を強化すべき」と圧力をかけています。politico

USMCA見直しの争点

2026年7月に予定されているUSMCAの共同レビューでは、以下の点が対立軸となる見込みです:whitecase+2

  • 原産地規則の強化:米国は自動車、鉄鋼、アルミなどで域内調達率の引き上げを要求する可能性が高いcsis
  • 対中国政策:北米域内での中国企業の活動制限や強制労働輸入禁止の強化whitecase+1
  • 乳製品市場アクセス:米国が継続的に要求しているカナダの乳製品市場開放whitecase
  • 労働基準の執行:最低賃金規定や迅速対応メカニズム(RRM)の拡大適用csis

トランプ大統領は「異なる取引を行うことも可能」と述べ、USMCAの再交渉や二国間協定への移行を示唆しています。aljazeera+1

構造的な課題

カナダは輸出の77%以上を米国に依存している一方、カナダはG7諸国の中で唯一トランプ政権と貿易協定を結んでいません。米国は2025年にEU、英国、日本と個別協定を締結しましたが、カナダとの交渉は過去のトルドー政権下での報復関税やUSMCAの複雑性により遅れています。bbc+3

カナダの鉄鋼労組は「緊急の行動が必要で、これ以上の譲歩は不要」と政府に圧力をかけており、国内政治的にもカーニー首相は厳しい立場に置かれています。reuters+1

  1. https://www.bbc.com/news/articles/cj6xje2778go
  2. https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-10-07/trump-says-us-and-canada-working-on-formula-for-tariff-deal
  3. https://english.news.cn/20251008/3feef6c749504beb99353f182e606eb2/c.html
  4. https://www.nytimes.com/2025/06/27/business/trump-ends-canada-trade-talks.html
  5. https://www.cnbc.com/2025/06/27/trump-canada-trade-talks-tariffs.html
  6. https://www.politico.com/news/2025/06/27/trump-canada-trade-talks-00429665
  7. https://www.canada.ca/en/department-finance/news/2025/06/canada-rescinds-digital-services-tax-to-advance-broader-trade-negotiations-with-the-united-states.html
  8. https://www.reuters.com/world/americas/canada-rescinds-digital-services-tax-bid-advance-trade-talks-with-us-2025-06-30/
  9. https://www.cnn.com/2025/06/29/economy/canada-rescind-digital-tax-us-trade-talks
  10. https://x.com/i/grok/share/IkCrh2TxebdLc2JtZgn26ARqu
  11. https://www.bbc.com/news/articles/c5yk9dqlvygo
  12. https://www.politico.com/news/2025/10/07/carney-wins-praise-from-trump-but-no-trade-deal-yet-00596259
  13. https://www.bbc.com/news/articles/c62553ywn77o
  14. https://www.brookings.edu/articles/the-us-has-formally-started-joint-review-of-usmca/
  15. https://www.reuters.com/world/americas/canadas-carney-makes-second-white-house-visit-talk-trade-2025-10-07/
  16. https://www.nytimes.com/2025/10/07/us/politics/carney-trump-canada-trade-relationship.html
  17. https://www.whitecase.com/insight-alert/north-america-prepares-2026-usmca-review-and-potential-renegotiation
  18. https://www.csis.org/analysis/usmca-review-2026
  19. https://www.aljazeera.com/economy/2025/10/7/canadas-carney-makes-second-white-house-visit-as-trade-tensions-loom
  20. https://www.bbc.co.uk/news/articles/cj6xje2778go
  21. https://www.tradecomplianceresourcehub.com/2025/10/06/trump-2-0-tariff-tracker/
  22. https://www.canada.ca/en/department-finance/programs/international-trade-finance-policy/canadas-response-us-tariffs.html
  23. https://dimerco.com/news-press/us-tariff-update-2025/
  24. https://www.cfib-fcei.ca/en/site/us-tariffs
  25. https://en.wikipedia.org/wiki/2025_United_States_trade_war_with_Canada_and_Mexico
  26. https://en.wikipedia.org/wiki/Tariffs_in_the_second_Trump_administration
  27. https://www.youtube.com/watch?v=stZ-LLbSGWo
  28. https://www.blakes.com/insights/us-canada-tariffs-timeline-of-key-dates-and-documents/
  29. https://uk.finance.yahoo.com/news/trump-tariffs-live-updates-china-drops-google-probe-as-focus-turns-to-nvidia-tiktok-175804326.html
  30. https://www.euronews.com/2025/10/08/trump-says-there-is-natural-conflict-with-canada-as-he-hosts-pm-mark-carney-at-the-oval-of
  31. https://www.kiplinger.com/taxes/whats-happening-with-trump-tariffs
  32. https://nationalpost.com/news/the-two-ways-trump-tariffs-on-canada-could-collapse
  33. https://www.bbc.com/news/articles/cn93e12rypgo
  34. https://www.aljazeera.com/economy/2025/6/28/what-is-canadas-digital-tax-and-why-is-trump-killing-trade-talks-over-it
  35. https://www.bdo.global/en-gb/insights/tax/indirect-tax/canada-government-to-scrap-dst-to-restart-trade-deal-talks-with-u-s
  36. https://www.nbcnews.com/politics/politics-news/canadas-mark-carney-visits-trump-frosty-relations-longtime-allies-rcna236151
  37. https://www.congress.gov/crs-product/IN12399
  38. https://www.cnn.com/2025/10/07/politics/canada-pm-mark-carney-trump
  39. https://www.wilsoncenter.org/sites/default/files/media/uploads/documents/24-174_USMCA-Review%20(1).pdf
  40. https://www.nytimes.com/2025/06/30/world/canada/canada-digital-tax-tariff-negotiations-trump.html

2025年米国鉄鋼・アルミニウム関税制度の概要と企業対応(2025年10月最新版)

下記情報は確実にと努力しましたが、不確定な部分もあり、あくまで参考としてください。

最新動向(2025年8月~10月)

2025年8月以降、Section 232関税制度は更なる拡大を続けています。8月18日に407品目の派生製品が追加され、9月にはインクルージョン申請の第2回受付期間が実施され、10月には木材・重トラック関税の新規措置が発表されました。

8月18日発効:407品目の大規模追加

商務省産業安全保障局(BIS)は、407の製品カテゴリーを232関税対象の「派生製品」リストに追加しました。この拡大により、年間輸入額2,000億ドル超に相当する400以上のHS番号が新たに対象となり、実効関税率が約1パーセントポイント上昇したと推定されています。

主な追加品目

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品
  • バス部品
  • 空調ユニット部品

この措置は、6月23日発効の家電製品追加に続く第2弾の大規模拡大であり、鉄鋼・アルミニウムの含有価額部分に50%の関税が課されます。

9月:第2回インクルージョン申請期間

BISは2025年9月15日から29日まで、第2回目のインクルージョン申請受付期間を実施しました。このプロセスは年3回(5月・9月・1月)実施され、国内生産者等が追加対象品目を申請できる制度です。申請から60日以内にBISが判断を行い、採用された品目は順次232関税の対象に追加されます。

10月14日発効:木材・木製品への新規232関税

9月29日の大統領布告により、針葉樹材・木材および木製派生製品に対する新たなSection 232関税が10月14日から適用されています。

税率

  • 針葉樹材・木材:10%
  • 室内装飾付き木製家具:25%(2026年1月1日から30%に引上げ)
  • キッチンキャビネット・洗面台:25%(2026年1月1日から50%に引上げ)

重複関税の取扱い

  • 相互関税(reciprocal tariffs)およびIEEPA関税とは重複適用されない
  • 232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみ適用
  • 対カナダ・メキシコIEEPA関税と重複する場合は木材232関税のみ適用

11月1日発効予定:中・大型トラック関税

10月6日、トランプ大統領は中型・大型トラック(車両総重量10,000ポンド超)および部品に対する25%の232関税を11月1日から適用すると発表しました。当初は10月1日発効予定でしたが、米国自動車メーカーからのロビー活動を受けて1カ月延期されました。

4月に開始された商務省の232調査では、「少数の外国供給者が略奪的貿易慣行により米国輸入の大部分を占めている」と指摘されており、国家安全保障上の脅威と位置付けられています。主要な影響国は、メキシコ、カナダ、日本、ドイツ、フィンランドです。

米国トラック協会(ATA)は、この措置に加えてIEEPA関税や232鉄鋼・アルミ関税も適用されることで業界への負担が過大になるとして、緩和を求めています。

1. 2025年の大改定のポイント

関税率の大幅引上げ

2025年6月3日の大統領布告により、鉄鋼・アルミニウムおよびその派生製品に対する関税率が一律**50%**に引き上げられました(英国のみ25%)。これは通商拡張法第232条(Section 232)に基づく措置で、2025年6月4日(EDT)以降の輸入に適用されます。

課税方式の変更:「金属含有価額」ベース

従来の「総額課税」から「金属含有価額のみに対する課税」に変更されました。CBP(米国税関国境警備局)の実務通達により、派生製品やHS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)の品目についても、製品全体ではなく鋼・アルミニウムの含有価額部分のみに232関税が課されます。

除外制度の終了と「インクルージョン制度」の創設

2025年2月10日の布告により、従来の232除外申請制度が終了しました。代わりに、派生製品を追加指定するための「インクルージョン手続」が年3回(5月・9月・1月)の受付期間で運用開始されています。

重複課税(スタッキング)の整理

複数の特定関税が同一貨物に重複して過剰となる事態を一定範囲で防ぐ手順が規定されました。ただし、232関税と対中制裁の「301関税」については累積適用されることが明記されています。

2. 派生製品の対象拡大

「派生製品(derivatives)」とは、基礎素材(鉄鋼・アルミニウム)からさらに加工された下流製品のことで、2018年の232措置では対象外だった製品分野にまで関税を適用するために指定されています。

2025年の主な追加項目

アルミニウム派生製品(4月4日発効)

  • 空のアルミ缶(HS 7612.90.10)
  • ビール(HS 2203.00.00)

鉄鋼派生製品(6月23日発効)

  • 家電製品(冷蔵冷凍庫、洗濯機、乾燥機、食洗機、オーブン・レンジ、生ごみ処理機)
  • 溶接ワイヤラック(HS 9403.99.9020)

トレーラー類(8月18日発効)

  • ドライバン・冷凍(リーファー)トレーラー(HS 8716.39.0040等)とそのサブアセンブリ

407品目の大規模追加(8月18日発効)

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品

木材派生製品(10月14日発効)

  • 針葉樹材・木材
  • 室内装飾付き木製家具
  • キッチンキャビネット・洗面台

中・大型トラック(11月1日発効予定)

  • 車両総重量10,000ポンド超の中型・大型トラックおよび部品

今後の展開

BISのインクルージョン制度により、国内生産者等の申請に基づいて派生製品は継続的に追加される見込みです(申請から60日以内に判断)。次回の申請期間は2026年1月に予定されています。

3. 関税算定の具体的方法

基本税率

  • 鉄鋼・アルミニウム・派生品:50%(英国原産品のみ25%)
  • 木材派生品:10~25%(段階的引上げあり)
  • 中・大型トラック:25%(11月1日~)

課税ベースの算定

  • HS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)製品:金属の「含有価額」のみに課税
  • 派生製品:製品中の鋼・アルミニウム含有価額に対して課税
  • 鉄・アルミ両方を含む派生品:それぞれの含有価額に対してそれぞれの232関税を課税

申告方式:「2行計上」

CBPの指示により、以下の2行に分けて申告します:

  1. 1行目(非金属部分):本来のHS番号、原産国、「総額-金属含有価額」
  2. 2行目(金属含有価額):同一HS・原産国、数量0、価額=金属含有価額、HS第99類で50%課税

算定例

洗濯機(申告価額500ドル、うち鋼含有価額100ドル、アルミ含有価額20ドル)の場合:

  • 鋼部分:100ドル × 50% = 50ドル
  • アルミ部分:20ドル × 50% = 10ドル
  • 232関税合計:60ドル

中国原産品で301関税対象の場合、さらに25%が併課される可能性があります。

4. 重複関税の取扱い

232関税 vs 301関税(対中)

累積適用されます。中国原産で232対象品の場合、232(50%)+ 301(25%)が併課される可能性があります。

232関税(鉄鋼・アルミ) vs IEEPA(相互関税)

232に関わる金属部分にはIEEPAは重複適用されませんが、非金属部分にはIEEPAが課される場合があります。

232関税(木材) vs その他関税

木材関連の232関税は、相互関税・IEEPA関税(ブラジル40%、インド25%)とは重複適用されません。232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみが適用されます。

その他の特則

  • ロシア関連アルミニウム:232とは別に200%の特則が存続
  • デューティードローバック不可
  • FTZは原則「特恵外国品扱い」が必要

5. 企業の実務対応チェックリスト

A. 分類・原産・含有価額の把握

HTS分類の見直し:新規派生指定品目について社内マスターを更新

  • 家電、トレーラー、空缶・ビール(既存)
  • 風力タービン、移動式クレーン、ブルドーザー、鉄道車両、家具、圧縮機、ポンプ、オートバイ、船舶用エンジン、EV用電気鋼材、排気システム部品(8月18日追加)
  • 木材、木製家具、キャビネット(10月14日追加)
  • 中・大型トラック(11月1日予定)

金属含有価額の算定体制整備:BOM・コスト表から鋼・アルミ含有価額を抽出できる仕組みの構築

原産性証明の取得

  • 鉄鋼:Melt & Pour(溶解・鋳造)国の証明
  • アルミニウム:Smelt & Cast(製錬・鋳造)国の証明
  • メキシコ経由品は2024年7月以降の厳格化に注意

B. 課税最適化戦略

調達先の見直し:英国原産品は25%(他国50%)の優遇税率を活用

米国内素材の活用:米国でMelt & Pour/Smelt & Castされた素材は0%免除の可能性

設計変更の検討:鋼・アルミ以外素材への置換、金属使用量削減による含有価額の圧縮

複数関税の影響分析:232 + 301 + AD/CVDの総負担試算

C. 契約・申請対応

価格条項の見直し:サプライ・販売契約に「232/301変動条項」を追加

インクルージョン申請の活用(国内生産者向け):年3回の申請機会を活用した競合品の追加指定

社内統制の強化:HTS・原産・含有価額・証憑の監査体制整備

6. 実際の企業事例

American Trailer Manufacturers Coalition

Great Dane、Stoughton、Strick、Wabashなどの米国トレーラーメーカー連合が2025年5月にBISへ派生指定追加を申請し、8月18日にドライバン・リーファートレーラーが派生製品として採用されました。

Whirlpool(米国家電メーカー)

家電の派生指定追加(6月23日)に対し、「金属含有価額課税」や重複関税整理を踏まえた支持表明を行い、国産比率の高さを背景に価格公平化効果を主張しています。

Ball Corporation(アルミ缶メーカー)

2025年の関税環境下でも、調達・ヘッジ・価格見直しにより影響は限定的としており、財務・契約面での対応による影響平準化の好例となっています。

外国自動車メーカー連合

外国自動車メーカー連合は、EV用電気鋼材や排気システム部品の派生製品追加に対して、米国内に十分な生産能力がないことを理由に反対意見を提出しましたが、採用されませんでした。

Tesla

Teslaは、電気自動車モーターや風力タービンに使用される鉄鋼製品の追加指定について、米国内の生産能力が不足しているとして反対しましたが、8月18日の決定で対象に含まれました。

7. 今後の注意点

制度面のポイント

  • 232税率は原則50%(英国25%、木材10~25%)
  • 課税ベースは金属の「含有価額」のみで、2行計上が必要
  • 派生品範囲は今後もインクルージョン制度により拡大予定(年3回:5月・9月・1月)
  • 301関税(対中)とは累積適用される
  • 2026年1月には木製家具・キャビネット関税が段階的に引上げ(30%・50%)

企業の優先対応事項

緊急対応(~2025年11月)

  • 中・大型トラック輸入企業:11月1日発効の25%関税への対応準備
  • 木材・木製品輸入企業:10月14日発効の関税(10~25%)の影響分析と価格見直し

継続対応

  • HTS分類の再確認(407品目追加を反映)
  • 含有価額算定体制の整備
  • Melt & Pour/Smelt & Cast証憑の取得
  • 契約価格条項の見直し
  • 対中国301関税重複の影響分析
  • (国内生産者の場合)次回インクルージョン制度(2026年1月)の活用検討

情報収集

  • BISの連邦官報公告の定期的な確認(次回申請期間:2026年1月)
  • 自動車部品インクルージョン制度の動向監視(2025年10月1日から第1回申請期間開始)

この新制度により、米国への鉄鋼・アルミニウム関連製品の輸出入には従来以上に精緻な管理と戦略的対応が求められています。特に2025年8月の407

「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ」の信憑性を評価する(2025年10月6日時点)

10月3日のロイター電以降に出ている一次・二次情報を突き合わせて、件の見出し「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ」の信憑性を評価します。


結論

  • ロイター(10月3日)が伝えたのは「検討中(considering)」。正式決定はまだというのが記事本文のニュアンスです。ホワイトハウス関係者も「大統領の署名による公式行動がない限り、政策の議論は推測だ」とコメントしています。Reuters
  • その後の国内報道の多くはロイター電を基に「延長を近く決定へ/決定の見通し」と書きましたが、新たな公式文書や布告は未確認です(10月6日現在)。Yahoo!ファイナンス+2Mainichi+2
  • 現行の「関税相殺(Import Adjustment Offset)」制度は、2026年4月末までMSRPの3.75%、その後は2027年4月末まで2.5%という既存ルールのみが官報・大統領布告で有効。5年延長やエンジンまでの拡大はまだ告示されていません。The White House+2Federal Register+2

したがって、この見出しは方向性(軽減拡大の検討)自体は事実に沿う一方で、「決定へ」と断定的に読める点は行き過ぎ。“高い確度で検討中”だが“未決”というのが最新の整合的な読みです。


何が報じられたか(10/3のロイター)

  • 趣旨:米国で最終組立てを行う乗用車について、部品の232条関税に充当できる相殺額現行の3.75%(1年目)→2.5%(2年目)という暫定スケジュールから、3.75%を最大5年に延長し、米国製エンジンも対象に拡大する案を大統領が検討
    情報源はバーニー・モレノ上院議員(共和)および自動車業界関係者。ホワイトハウスは「署名までは推測」と述べ、正式決定は否定Reuters
  • 恩恵が想定されるメーカーとして、フォード、トヨタ、ホンダ、テスラ、GMなど米国内での国産比率が高いメーカーが名指しされました(記事内のモレノ氏コメント)。Reuters

10/3以降のフォロー報道(整理)

  • 日本メディアの後追い
    延長を近く決定する見通し」「負担軽減へ」といったトーンで配信(時事/Yahoo!ニュース、毎日新聞、電波新聞など)。いずれも根拠はロイター電で、新規の一次情報は付されていません。Yahoo!ファイナンス+2Mainichi+2
  • マーケット反応
    10/3の報道を受け、米自動車株が上昇(フォード、GM、トヨタ、ホンダなど)。バロンズは相殺延長観測を材料視と解説。Barron’s
  • 周辺コンテクスト(今日:10/6)
    対輸入全般の関税環境が厳しい中で、各社が米国内投資を増やす動きをロイターが総括。今回の相殺延長検討は、こうした潮流と整合しますが、個別制度の正式アップデートには触れていませんReuters

公式根拠(現行制度)

  • 大統領布告(4/29付)と連邦官報で、相殺率と適用期間が明確化:
    • MSRPの3.75%2025/4/3–2026/4/30の米国組立て分)
    • MSRPの2.5%2026/5/1–2027/4/30の米国組立て分)
    • 相殺額は部品の232条関税に充当未使用分は失効せずに繰越可能。
      これを超える延長・拡大の告示は10/6時点で未掲載The White House+2Federal Register+2

トヨタ・ホンダにとっての意味合い

  • 相殺の枠組みは「銘柄別の優遇」ではなく、米国で最終組立てを行うOEM全般が対象。トヨタ・ホンダも対象になり得ます。Reuters
  • 例:MSRP 4万ドルの米国組立車なら、3.75%=1,500ドル/台を部品関税の支払いに充当可能(現行制度)。これが5年に延長され、エンジン製造にも広がれば、米国内足場の強いトヨタ・ホンダのネット負担はさらに軽くなる可能性。※実際の効果は部品輸入構成や台数で変動。現時点では“検討段階”です。Federal Register+1

信憑性の評価

  • 一次性・具体性:ロイターは名指しの議員+業界関係者を情報源に、制度の具体数値(3.75%、5年、エンジン拡大)まで提示。信頼性は高め。ただしホワイトハウスは未決を明言しており、“方向性は確からしいが確定ではない”が妥当。Reuters
  • 公的裏取り連邦官報/大統領布告/商務省の新リリース延長告示は未掲載(10/6時点)。公式アクション未了Federal Register+2Federal Register+2
  • 二次報道の妥当性「決定へ」「延長へ」という表現は市場の期待を要約したものの、事実関係は「検討」レベル。表現が先走りの可能性。Yahoo!ファイナンス+1

これからの「正式決定」の見極めポイント

  1. ホワイトハウスの新たな大統領布告(Presidential Action)の公表。The White House
  2. 連邦官報(Federal Register)への制度改定の告示(5年延長やエンジン拡大の条項追加)。Federal Register
  3. 商務省(ITA/Trade.gov)のニュースリリースでの運用詳細更新。Trade.gov

上記のいずれかが出れば「決定・実施」に相当します。現行は2027年4月末までの2年相殺が有効で、それ以降や拡大は未確定です。Federal Register


参考(背景)

  • 2025年春以降、米国は自動車・部品に対する232条の25%追加関税を発動(既存の関税に上乗せ)。相殺制度はその痛みを一部緩和する狙い。Auto Care
  • こうした関税圧力のもと、海外企業の米国内投資拡大が相次いでいることをロイターが総括(10/6)。Reuters

2025年米国鉄鋼・アルミニウム関税制度の概要と企業対応

1. 2025年の大改定のポイント

関税率の大幅引上げ

2025年6月3日の大統領布告により、鉄鋼・アルミニウムおよびその派生製品に対する関税率が一律**50%**に引き上げられました(英国のみ25%)。これは通商拡張法第232条(Section 232)に基づく措置で、2025年6月4日(EDT)以降の輸入に適用されます。

課税方式の変更:「金属含有価額」ベース

従来の「総額課税」から「金属含有価額のみに対する課税」に変更されました。CBP(米国税関国境警備局)の実務通達により、派生製品やHS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)の品目についても、製品全体ではなく鋼・アルミニウムの含有価額部分のみに232関税が課されます。

除外制度の終了と「インクルージョン制度」の創設

2025年2月10日の布告により、従来の232除外申請制度が終了しました。代わりに、派生製品を追加指定するための「インクルージョン手続」が年3回(5月・9月・1月)の受付期間で運用開始されています。

重複課税(スタッキング)の整理

大統領令第14289号(2025年4月29日)により、複数の特定関税が同一貨物に重複して過剰となる事態を一定範囲で防ぐ手順が規定されました。ただし、232関税と対中制裁の「301関税」については累積適用されることが明記されています。

2. 派生製品の対象拡大

「派生製品(derivatives)」とは、基礎素材(鉄鋼・アルミニウム)からさらに加工された下流製品のことで、2018年の232措置では対象外だった製品分野にまで関税を適用するために指定されています。

2025年の主な追加項目

アルミニウム派生製品(4月4日発効)

  • 空のアルミ缶(HS 7612.90.10)
  • ビール(HS 2203.00.00)

鉄鋼派生製品(6月23日発効)

  • 家電製品(冷蔵冷凍庫、洗濯機、乾燥機、食洗機、オーブン・レンジ、生ごみ処理機)
  • 溶接ワイヤラック(HS 9403.99.9020)

トレーラー類(8月18日発効)

  • ドライバン・冷凍(リーファー)トレーラー(HS 8716.39.0040等)とそのサブアセンブリ

今後の展開

BISのインクルージョン制度により、国内生産者等の申請に基づいて派生製品は継続的に追加される見込みです(申請から60日以内に判断)。

3. 関税算定の具体的方法

基本税率

  • 鉄鋼・アルミニウム・派生品:50%(英国原産品のみ25%)

課税ベースの算定

  1. HS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)製品:金属の「含有価額」のみに課税
  2. 派生製品:製品中の鋼・アルミニウム含有価額に対して課税
  3. 鉄・アルミ両方を含む派生品:それぞれの含有価額に対してそれぞれの232関税を課税

申告方式:「2行計上」

CBPの指示により、以下の2行に分けて申告します:

  • 1行目(非金属部分):本来のHS番号、原産国、「総額-金属含有価額」
  • 2行目(金属含有価額):同一HS・原産国、数量0、価額=金属含有価額、HS第99類で50%課税

算定例

洗濯機(申告価額500ドル、うち鋼含有価額100ドル、アルミ含有価額20ドル)の場合:

  • 鋼部分:100ドル × 50% = 50ドル
  • アルミ部分:20ドル × 50% = 10ドル
  • 232関税合計:60ドル

中国原産品で301関税対象の場合、さらに25%が併課される可能性があります。

4. 重複関税の取扱い

232関税 vs 301関税(対中)

累積適用されます。中国原産で232対象品の場合、232(50%)+ 301(25%)が併課される可能性があります。

232関税 vs IEEPA(相互関税)

232に関わる金属部分にはIEEPAは重複適用されませんが、非金属部分にはIEEPAが課される場合があります。

その他の特則

  • ロシア関連アルミニウム:232とは別に200%の特則が存続
  • デューティードローバック不可、FTZは原則「特恵外国品扱い」が必要

5. 企業の実務対応チェックリスト

A. 分類・原産・含有価額の把握

  1. HTS分類の見直し:新規派生指定品目(家電、トレーラー、空缶・ビール等)について社内マスターを更新
  2. 金属含有価額の算定体制整備:BOM・コスト表から鋼・アルミ含有価額を抽出できる仕組みの構築
  3. 原産性証明の取得
    • 鉄鋼:Melt & Pour(溶解・鋳造)国の証明
    • アルミニウム:Smelt & Cast(製錬・鋳造)国の証明
    • メキシコ経由品は2024年7月以降の厳格化に注意

B. 課税最適化戦略

  1. 調達先の見直し:英国原産品は25%(他国50%)の優遇税率を活用
  2. 米国内素材の活用:米国でMelt & Pour/Smelt & Castされた素材は0%免除の可能性
  3. 設計変更の検討:鋼・アルミ以外素材への置換、金属使用量削減による含有価額の圧縮
  4. 複数関税の影響分析:232 + 301 + AD/CVDの総負担試算

C. 契約・申請対応

  1. 価格条項の見直し:サプライ・販売契約に「232/301変動条項」を追加
  2. インクルージョン申請の活用(国内生産者向け):年3回の申請機会を活用した競合品の追加指定
  3. 社内統制の強化:HTS・原産・含有価額・証憑の監査体制整備

6. 実際の企業事例

American Trailer Manufacturers Coalition

Great Dane、Stoughton、Strick、Wabashなどの米国トレーラーメーカー連合が2025年5月にBISへ派生指定追加を申請し、8月18日にドライバン・リーファートレーラーが派生製品として採用されました。

Whirlpool(米国家電メーカー)

家電の派生指定追加(6月23日)に対し、「金属含有価額課税」や重複関税整理を踏まえた支持表明を行い、国産比率の高さを背景に価格公平化効果を主張しています。

Ball Corporation(アルミ缶メーカー)

2025年の関税環境下でも、調達・ヘッジ・価格見直しにより影響は限定的としており、財務・契約面での対応による影響平準化の好例となっています。

7. 今後の注意点

制度面のポイント

  • 232税率は原則50%(英国25%)、2025年6月4日以降適用
  • 課税ベースは金属の「含有価額」のみで、2行計上が必要
  • 派生品範囲は今後もインクルージョン制度により拡大予定
  • 301関税(対中)とは累積適用される

企業の優先対応事項

  1. HTS分類の再確認
  2. 含有価額算定体制の整備
  3. Melt & Pour/Smelt & Cast証憑の取得
  4. 契約価格条項の見直し
  5. 対中国301関税重複の影響分析
  6. (国内生産者の場合)インクルージョン制度の活用検討

この新制度により、米国への鉄鋼・アルミニウム関連製品の輸出入には従来以上に精緻な管理と戦略的対応が求められています。企業は早急に社内体制を整備し、適切な対応策を講じることが重要です。