検認における日本商工会議所と税関のアプローチの違い

昨今、FTAの検認がかなり増えました。

当社のお客さんの相談も検認が半分を超えるようになっています。

また、RCEPでの検認も始まったようで、検認増加傾向は今後も続きそうです。

検認のサポートを様々経験してきて、感じたことがあります。

自己証明の場合、税関が窓口となりますが、税関が原産性を確認する際に見る視点が日本商工会議所とはどうやら違います。

日本商工会議所は原産地証明書発給の前に証拠書類を見ているのですが、税関は検認時に証拠書類を見るため、見るタイミングが確かに違います。

ただ、組織の傾向から検認時に気をつけなければいけないことがあることが最近の経験から分かってきました。

問題の無い原産地証明と証拠書類を作れば、どんなFTAの検認でも問題ないのは事実です。

ただ、この傾向を知ると知らないでは検認時の対処方法も違ってきますね。

日本商工会議所の事務所によるFTA原産地証明の指摘事項:とても困ること

第三者証明では、日本商工会議所に原産地判定を申請して承認が得られないと特恵原産地証明書の発給を受けることが出来ません。

それ故に、原産地証明の証拠書類が出来ると、日本商工会議所(実際は8つの商工会議所事務所から1つを選択)に証拠書類を提出し判定依頼を依頼します。

困るのは、そこで商工会議所から指摘されることが的を得ていない場合があること。

当社は企業に代り、原産地証明を行い、商工会議所に判定依頼をし、やりとりをして判定を受けるまでを代行業として行うことをしています。

FTAのコンサルティングと称して、原産判定までを具体的にやったことのない企業は信用できませんからね。理屈だけの企業が残念ながら存在するのは業界として困ったものです。当社は原産の判定を行う全ての商工会議所とのやりとりを経験しています。彼らの指摘ももっともだと思うところは、当然反映し、今後の代行業での糧としています。

今回は日インドCEPAの活用だったのですが、一般規則の適用品でCTCとVAを用意しなければなりません。ご存じの通り、CTCとVAでは対象となる部材表が違います。それに従って証明せねばなりません。

当社が提出した商工会議所からの指摘事項には納得がいきませんでした。いくつかあります(多くはこの場では伏せます)が、一番びっくりしたのはCTCの対比対象外の部材にもHSコードを付番せよとのこと。今までにも多くのインド向けの証明をしてきましたが、このような指摘は初めてです。

当方が指摘に対して主張をして、先方が当方の主張に対し、日本商工会議所国際部と打ち合せをした上で再び戻ってこられた回答は、HSコードの付番は必要ないが、表記はこうしてほしいということ。そこで戦っても仕方ないので、追加の表記は了承し、原産判定が下りました。

商工会議所の指摘事項は、「こうしなさい」と来るので、「通常の企業の人はそれに従うんだろうな。」と思うことが割とあります。(彼らの名誉のために申せば、なるほどと思うことも多くあります)

民間コンサルタントの私と、商工会議所の見解と企業はどちらをまず信じるかと言えば後者ですよね。それ故に、「おかしい」との文句が当社に来ます。当方は本当に困るのです。当方の間違いなら致し方ないのですが、多くを経験しているので、「この指摘、おかしい」と思うことがしばしあるのです。

今回の件の1つの事例、対象外の部材に対してHSコードを付番することは労力がとてもかかります。はっきり言って不必要です。指導される方は多くの案件をかかえてらっしゃるのでしょうが、もう少し勉強されたらと思います。また、商工会議所間での認識のギャップはいまだ解決されておらず、Aの商工会議所ではOKだったものが、Bではだめというものがあります。

商工会議所からの原産地証明の指摘事項、ありがたいことではありますが、当方もよく学んだ上で、指摘を咀嚼して、不必要なものは不必要と言えるようにならねばなりません。

検認が増えた

今年に入り、相談事の多くがFTAにおける検認になりました。

それも、RCEPでの中国、韓国の検認発生がまだ確認できていない現段階です。中国、韓国からの検認が始まるとどうなってしまうのか、考えると恐ろしいです。

ご存じの通り、検認は数年前のFTA利用に対してやってきます。それに対してちゃんとした証拠書類をあらかじめ準備し、しかるべき社内での組織対応が確立されていれば何の問題もありません。

しかし、それが出来ていないために、企業内でのバタバタが発生してしまう。過去のものなので、検認を想定した証拠書類もないし、組織も出来ていないため、対応に苦慮している企業が多すぎます。

比較的多く感じるのは、日タイEPAと日EU EPA。

タイは積極的に検認を行っています。まぁ、彼らの積極性はとある理由から発生しているのですが。この国は、一度検認で原産性を否認することがあると検認をたたみかけてきます。ですので、最初の検認が肝心。関税を取れるところから撮ってやろうというきがありありです。

また、EUでの検認ではイタリアが目立ちます。イタリアが多いのは正直意外でした。が、仲間内で話していて、「税金が足らないのでは」という声に、妙に納得してしまいました。

検認はその対応体制としかるべき証拠書類が整っていれば、恐れるものではありません。手際よく行えば、すぐに終わるものです。大半の日本企業がそうでないのは、FTAを利用したいがために、日本商工会議所からの原産判定を取ることばかりに意識がいっているためです。

FTAで大事なのは、検認対応から考える原産地証明を行う事。日本商工会議所の原産判定が下りることが目的とすると検認で大変な目にあいますよ。

ここから当社の営業になりますが、自社が検認対応できているかを確認できる「無料FTA監査サービス」を行っています。(遠方の企業の方には申し訳ないのですが、交通費、場合により宿泊が必要な場合は、宿泊費は頂戴します)、備えあれば憂いなしと言います。一度ご検討ください。

詳細は、こちらをご覧下さい。

第75回FTA戦略的活用研究会でのFTA原産地証明テスト結果

第75回FTA戦略的活用研究会 東京会場で行いましたFTA原産地証明に関するテスト。4月に開始するFTA原産地証明 e-learningから30問を選択し、テスト形式で行いました。

テストにチャレンジしたのは23名。内、19名は当初予定していたようにオンラインでのテスト受験でした。

結果は、平均56点。

当方が想定しているよりも少々低い結果となりました。最高点も74点。テストが様々な点をカバーしているとはいえ、当方は合格点を85点としていたので、少々残念です。

経済産業省やジェトロが行っている簡単な部分の問題は皆さん解けていたようですが、現実問題として、原産地証明の業務で突き当たる問題に対しては残念ながら正答率が低かったようです。

このテスト問題は実践的な事柄をカバーしていることから、FTA戦略的活用研究会に参加されるFTAをよく熟知されている方でも、まだまだ知識と経験が不足しているということが明らかになったと思っています。

ここで皆さんにご提案があります。(半分営業モードですが)

1 FTAの運用現状をつまびらかにするFTA無料監査をお受けになりませんか。

企業として正しい知識をもって対処する知識が会社として備わっているかを一度弊社の「監査」を受けて棚卸をされては如何でしょうか。

検認などの問題が現実化する前に、現状を認識することをお勧めします

2 FTA原産地証明テストを受けてみませんか

「監査」まではいいから、このテストを受けてみたいという方、人数限定で同一のテストを行うことを計画しています。(新たにテストを起すことは考えていません)

自分や会社の仲間がどの立ち位置にあるのかを数字で知ることは大事なことです。

会社で最大4名まで同時に受けることを想定しています。

以上、2つのことにご関心がおありでしたら、こちらの問い合わせフォームからお問い合わせ下さい。

昔からよくある問い合わせ

EPA相談デスクや弊社への問い合わせで多いのが、並行輸出でのFTA利用です。

日本で商品を仕入れ、海外で販売するケースで、メーカーからの承認を得ない並行輸出(?)で、輸入者からFTAの原産地証明書を要求され、どうしたら作成できるかという問い合わせが昔からよくあります。

昨日も同様の質問がありました。

電機製品をベトナムに輸出するのですが、そのメーカーからベトナムでの販売を認められていない中でのFTA適用。

パーツリストがあるので、証拠書類は作れるのでは?といわれましたが、その証拠書類をメーカーが正しいとは判断しないので、無理ですよとお答しました。

他の会社が同様の環境で商工会議所から原産地証明書を取得できているとのことで、自分たちも出来ると思ったようです。

過去と現在では、商工会議所の証拠書類提出義務やそのチェックの厳密性は違うため、その会社はその枠をすり抜けることができたのかもしれません。

テクニカルには証拠書類が準備出来るでしょうが、メーカーの承認の無いものだと、その証拠書類が正しいとは言えないため、企業には「やめた方がいいですよ。」とお伝えしています。

仮に、商工会議所により原産が承認されたとしても、検認時にその正当性が問われた場合、メーカーは「承認していない」となるはずなので、原産性が否認されます。そうなると、輸入者は関税相当額とその他諸々を支払う義務が出ます。

それらが全て輸出者に転嫁されるため、費用負担とビジネスを失うリスクを生じさせます。

余りいい未来が見えません。

第47回FTA戦略的活用研究会は無事に終了。後の懇親会も11名の方がご参加

2020年9月25日に行いました第47回FTA戦略的活用研究会も無事に終了しました。

ありがとうございました。

テーマは、「インドによる原産地証明に係わる新ルール概説」です。

当面、YouTubeで開示していますので、ご覧下さい。登録して頂けると助かります。

https://youtu.be/cTHogTSvlMs

資料のダウンロードは、下記のサイトから必要事項をご記入頂きますと、ダウンロードサイトを示したメールが届きます。

https://smoothcontact.jp/front/output/7f000001724b133ce9ae1f5363b6cc

一週間前の告知にかかわらず、オープンセッションで160名のネット参加も頂き、また、質疑も多く頂きました。

インドでの通関時のメンバー各社の経験をとりまとめ、メンバー間の資産にしたいと思います。

https://global-scm.com

日EUでの原産地証明 証拠書類の不備

最近、日EUでの原産地証明における証拠書類での不備を目にかけることが多くあります。

日EUでの宣誓書が証拠書類を準備しなくても出せるので、起こってしまう現象なのでしょう。

一部の証明は、内容を確認すれば原産といえないものがあり、そのリスクを会社が認識しなければいけないと伝えました。

正しいプロセスを構築することがまずは大事です。その際には、マネジメント層の認識構築が大事なのですが、割と他人事のことが少なくありません。

 

FTA担当者向け無料セミナー「FTAの原産地証明 ~証明技術を理解する~」(2020年3月4日:東京)

平素は大変お世話になっております。

Global Edge ForumではFTA担当者向けに原産地証明の無料セミナーを開催します。
他のセミナーにはない、原産地証明の考え方、具体的手法を学べる機会です。

原産地証明の原点にある考え方を理解して、ケーススタディを中心とした講義を来ることでFTAの原産地証明がより理解出来ます。

今回は無料での開催とします。4月からの来年度以降は有料でのセミナー開催としますので、どのようなものか今回見に来て頂ければと存じます。

セミナーの特性上、定員を超える場合、一企業からのご参加人数を絞らせて頂く場合があります。また、FTAの原産地証明を実際に行われる企業からのご参加のみとさせて頂き、物流関連、コンサルティングなど支援企業の方のご参加はご遠慮頂きます。

 

■■ セミナーテーマ ■■ 
FTA担当者向け無料セミナー「FTAの原産地証明 ~証明技術を理解する~

■■ 日時 ■■ 
2020年3月4日(水) 14:00~17:00

■■ 場所 ■■ 
東京国際フォーラム G402
東京都千代田区丸の内3丁目5番1号
・https://www.t-i-forum.co.jp/access/access/
・東京駅徒歩5分、有楽町駅徒歩1分

■■ 講演 ■■
「FTA原産地証明の理解の方法」
・株式会社ロジスティック 代表取締役 嶋 正和
「ケーススタディから原産地証明を学ぶ」
・TSストラテジー株式会社 代表取締役社長 藤森 陽子氏
■■ 費用 ■■
無料

■■ 申込み ■■
ネットで申込みができます。

YouTubeでのLive配信も予定しております。こちらもネットで申込みできます。
・こちらは、開始前日まで応募を受付けます。
では、会場でお会いできますことを楽しみにしております。

急な原産地証明取得

顧客から急に再来週に輸出するので原産地証明のお手伝いをして欲しいというリクエストが少なからずあります。

緊急なことも確かにあるでしょうが、もう少し計画的に対応して頂けたらいいのにと思わざるを得ません。

第三者証明を使う場合、対応組織の日本商工会議所が証明の全数確認をしていることもあり、それなりの時間がかかります。

時間の糊代のないところで対応するのはリスクがあります。特にインドネシアは遡及ができないので、時間的に厳しい場合が本当に多いです。

原産地証

 

明書の取得に関するスケジュールをちゃんと立てましょうね。

今年最初のFTA相談

私も今年の業務本格稼働です。

本日、メキシコ向けでFTA利用の相談でした。証拠書類を作成されて、持ってこられました。

該当のHSコードで、日メキシコだと、CTSH+VA50。日メキシコでとのことで、証拠書類を吟味すれば、TPPの利用の方が証明しやすいことが判明。CTSHで関税は5%から無税に。

VAで悩んでいたことが一挙に解決。担当者は助かったのではないでしょうか。

TPPなら、一定期間内の過去に輸出したものにも適用可能。

安心して帰って行かれました。