日本企業のEPA利用輸出における原産性否認事例10選:その9

仕向国(税関)
オーストラリア


適用協定:
JAEPA 日オーストラリア EPA

対象商品(HS):
両面接着テープ (3919)

否認理由
貿易書類に輸出日とCO日付が不整合

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2025年8月10日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

Below is the latest verified list of reciprocal tariffs by country. Data sources include the Executive Order “Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates” (Annex I, signed July 31 2025; effective August 7 2025), along with authoritative reporting on any key updates or deviations.

Primary Sources & Verified Reports

Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates

The White House

Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates

9 日前

国名関税率出所備考
アルジェリア30%EO Annex I
アンゴラ32%同上
バングラデシュ37%同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ35%同上
ボツワナ37%同上
ブルネイ24%同上
カンボジア49%同上
カメルーン11%同上
チャド13%同上
コートジボワール21%同上
コンゴ民主共和国11%同上
赤道ギニア13%同上
欧州連合(EU)20%EO Annex IColumn 1 duties ≥ 15% → 0% reciprocal duty; < 15% → topped to combined 15% United States Trade Representative+8The White House+8BIPC+8Thompson Coburn LLP+9BIPC+9Gibson Dunn+9Thompson Coburn LLP+2GovDelivery+2
フォークランド諸島41%同上
フィジー32%同上
ガイアナ38%同上
インド26%同上Additional 25% penalty starting August 27 over Russian oil imports (total 50%)
インドネシア32%同上
イラク39%同上
イスラエル17%同上
日本24%同上Reported adjustment to 15% with refunds for overpayments
ヨルダン20%同上
カザフスタン27%同上
ラオス48%同上
レソト50%同上
リビア31%同上
リヒテンシュタイン37%同上
マダガスカル47%同上
マラウイ17%同上
マレーシア24%同上
モーリシャス40%同上
モルドバ31%同上
モザンビーク16%同上
ミャンマー44%同上
ナミビア21%同上
ナウル30%同上
ニカラグア18%同上
ナイジェリア14%同上
北マケドニア33%同上
ノルウェー15%同上
パキスタン29%同上
フィリピン19%EO Annex I (overall framework)
セルビア35%同上
南アフリカ30%同上
韓国25%EO Annex I (via accurate secondary)
スリランカ44%同上
スイス39%EO Annex I + PressSwitzerland has formally lodged objections
シリア41%同上
台湾32%同上
タイ36%同上
チュニジア28%同上
トリニダード・トバゴ15%同上
トルコ15%同上
ウガンダ15%同上
英国10%EO Annex I (via accurate secondary)
バヌアツ15%同上
ベネズエラ15%同上
ベトナム20%同上
ザンビア15%同上
ジンバブエ18%同上
その他未掲載国10%EO baseline under Annex I §2(d)

ファーストセール:代表的な否認・却下事例

代表的な否認・却下事例

  • Meyer Corp. v. United States(CIT 2021→再度CIT 2023)
    取引は米国向け・二重売買自体は認定されたものの、関連者間でのアームズレングス立証が不十分としてCITが否認(親会社の財務資料等の未提出が致命傷)。※その後CAFCが2022年・2024年に差戻ししており最終結論は係属中だが、「証拠不足だと否認される」好例ArentFox SchiffBDOホワイト・アンド・ケースFindlaw
  • HQ H307028(CBP本庁・AFR審理, 2020–2021頃, アパレル)
    中間業者が独立した買主として機能していない(実質は代理)、発注や工場選定の主導が輸入者側—などからボナファイド売買性を否定し、First Sale不採用Customs Mobile
  • HQ H097035 → 再検討HQ H215658(関連者間ファーストセール, 2011–2013)
    アームズレングスの証拠不足・完全なペーパートレイル欠如を理由に最初の売買価格の採用を否定。再検討でも結論は維持。 CROSSCustoms Mobile
  • H316892(Machinery CEEが現場で否認→本庁で内部助言扱い, 工具)/2022年の否認事例報道
    インコタームズや書類関係から中間業者がタイトル/危険負担を負っていないと判断→最初の売買が“売買”になっていないとして不採用(時点の港判断)。 CROSSSandler, Travis & Rosenberg, P.A.HKTDCリサーチ
  • HQ H303114(2019, 木工ツール/小売)
    契約条項で「タイトル移転」と書いてあっても、実取引でのタイトル・危険負担移転の実証が無いとして否認(“条項の宣言だけでは足りない”)。 Customs Mobileバーンズリチャードソン
  • HQ H326891(2024, 食品原料)
    多段階取引だが、上流の売買はボナファイドでないとして、輸入者→米国顧客の下流売買のみを有効な売買と認定=First Saleは使えず、上流価格は不採用Customs Mobile

共通する「否認パターン」(要チェック)

  • 中間業者が“買主”としての実体を欠く(自ら仕入先選定・価格交渉・タイトル/危険負担を負っていない)。 Customs MobileSandler, Travis & Rosenberg, P.A.
  • アームズレングス立証が弱い(関連者間で財務・原価+利益等の裏付け不提出)。 ArentFox Schiff
  • 完全な紙のトレイル不足(契約/PO/各段インボイス/支払/船荷証券/仕様などが噛み合わない)。 Customs Mobile
  • タイトル/危険負担の移転が曖昧(条項ベタ書きだけ、Incotermsの整合性不備)。

ファーストセールは実務上可能か

短く言うと――“認められるが、簡単ではない”です。
CBP(米国税関)はファーストセール自体を合法な評価方法として明確に認めて
います(Nissho Iwai判決/CBPガイダンス)。ただし、条件と証拠が揃っていることが前提で、書類が弱い案件は普通に否認されます。Justia LawU.S. Customs and Border ProtectionCROSS

なぜ「簡単ではない」のか

  • CBPは、①米国向けに明確に仕向けられている、②二つの真正な売買、③アームズレングス価格――という3要件を厳密に見ます。どれか欠けると否認の典型。U.S. Customs and Border ProtectionCROSSミラー・アンド・シェヴァリエ
  • 近年のMeyer事件では、裁判所が「余計な追加要件」を却下しつつも、立証責任は輸入者にあることを改めて示しました。つまり“使えるが、ちゃんと証明せよ”という姿勢です。Justia LawFindlaw
  • 政府自身も利用の広さや承認率の統計は把握していないと示唆(データ不足)。ゆえに「一般にどれくらい認められるか」の平均値は公表されていません。usitc.gov

実務感(目安)

  • 要件と証憑が揃えば:通常は受理されます(審査・照会は来ます)。
  • あいまいなまま出す:高確率でCF-28/29(照会・更正通知)否認の流れ。近年も否認事例が報じられています。Sandler, Travis & Rosenberg, P.A.Mohawk Global

“認められやすく”するコツ(超要点)

  • 完全な紙のトレイル:契約/PO/各段のインボイス・支払い証跡/B/L/仕様・US向け表示/関連者間の価格妥当性の裏付け。U.S. Customs and Border Protection
  • パイロット運用→横展開:数SKUで試し、照会対応の型を作る。
  • 不安なら事前照会(Part 177):評価に関する見解を取ってから本格導入。※CBPのバリュエーション裁決や解説にもT.D.96-87の考え方が繰り返し示されています。CROSSCustoms Mobile

補足(重要):「“F”インジケーター
2008年のFarm Bill1年間だけ“First Sale使用時に7501の行にFを付す”という報告義務がありました(後にレトロ申告も実施)。恒久義務ではありません。最近のCBP公式ページも、その一時的制度として説明しています。U.S. Customs and Border Protection+1

結論:ファーストセールは普通に通ります(制度として確立)。ただし**“出せば通る”ほど緩くはない**。3要件を書類で明確に立証できる体制があるかどうかで、体感の通りやすさが決まります。

2025年8月9日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は、「相互関税(reciprocal tariffs)」について、ホワイトハウス 2025‑07‑31発《Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates》Annex Iおよび最新報道をもとに、昨日と全く同じ対象国リストとフォーマットでまとめた最新の一覧です。発効は2025‑08‑07 0:01 EDTです。


相互関税 最新一覧

国名関税率出所備考
アルジェリア30%Annex I(2025‑07‑31 EO)Investopedia+8The White House+8The White House+8
アンゴラ32%同上
バングラデシュ37%同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ35%同上
ボツワナ37%同上
ブルネイ24%同上
カンボジア49%同上
カメルーン11%同上
チャド13%同上
コートジボワール21%同上
コンゴ民主共和国11%同上
赤道ギニア13%同上
欧州連合(EU)20%(品目ごとの補正あり)同上 §2(c)Column 1 ≥15% → 追加0%、<15% → 差額加算
フォークランド諸島41%同上
フィジー32%同上
ガイアナ38%同上
インド50%(基本26%+25%追加)Annex I + 別EO(2025‑08‑06)AInvestロシア油調達への制裁措置、8/27発効予定
インドネシア32%Annex I
イラク39%Annex I
イスラエル17%Annex I
日本15%Annex I二重課税の誤課に対し、米側が返金対応を約束した旨報道あり The Daily Beast
ヨルダン20%Annex I
カザフスタン27%Annex I
ラオス48%Annex I
レソト50%Annex I
リビア31%Annex I
リヒテンシュタイン37%Annex I
マダガスカル47%Annex I
マラウイ17%Annex I
マレーシア24%Annex I
モーリシャス40%Annex I
モルドバ31%Annex I
モザンビーク16%Annex I
ミャンマー44%Annex I
ナミビア21%Annex I
ナウル30%Annex I
ニカラグア18%Annex I
ナイジェリア15%Annex I
北マケドニア15%Annex I
ノルウェー15%Annex I
パキスタン19%Annex I
フィリピン19%Annex I
セルビア35%Annex I
南アフリカ30%Annex I
韓国15%Annex I
スリランカ20%Annex I
スイス39%(報道値)Annex I(31%) + 報道スイス側が高率に抗議中
シリア41%Annex I
台湾20%Annex I
タイ19%Annex I
チュニジア25%Annex I
トリニダード・トバゴ15%Annex I
トルコ15%Annex I
ウガンダ15%Annex I
英国10%Annex I
バヌアツ15%Annex I
ベネズエラ15%Annex I
ベトナム20%Annex I
ザンビア15%Annex I
ジンバブエ15%Annex I
その他未掲載国10%(ベースライン)EO 全体構成 §2(d)Annex I外国へのデフォルト適用

AIを単純に使ってHSコードを特定した場合:気をつけること

私のモデルは、HSコード特定のプロセスや考え方、事例を理解して付番する形にしています。

最近はGoogleで検索してもAIが回答する事が多くなりました。(Geminiだと思います)

最近「空調服」を実例で使ってHSコード特定をしてみました。

Google検索でのAIの回答

「空調服のHSコードは、構成材料や機能によって異なりますが、一般的には 6211.42-090 (その他の衣類、織物製、女性用または女児用) または 6211.43-090 (その他の衣類、化学繊維製、女性用または女児用) が使用されます。」

こんな結果が出ていますが、私のHSコード付番モデル(ChatGPTのカスタムGET)では、75%の推定精度で、6201.40(男子用)/6202.40(女子用)と出ました

結論が違いますね。汎用のAIだと、HSコードの付番プロセスが理解出来ていないこともあり、違う答えになるようです。

ですので、Google検索下でのAIを使ってHSコードを付番することは気をつけましよう。

AIの種類により、カスタムGPTでも答えが違っている

GeminiのカスタムGPTのGemでも間違います。詳しくは、別の投稿を見てください。きちんと教え込まないと、AIによっては答えが間違います。

安易にAIだからといって、答えを求めないようにしましょう。

カスタムGPTによるHSコード特定力の違い:ChatGPTとGemini

ファンがついている空調服のHSコードを、私が作ったカスタムGPT:ChatGPTベースとGeminiで試してみました。

ChatGPTによるカスタムGPTの結果

推定HSコード(HS2022・6桁)

6201.40(男子用・織物製のアノラック/ウインドジャケット等・人造繊維製)
※女子用なら 6202.40。該当見出しは62.01/62.02(アノラック、ウインドジャケット等)で、号は表地の繊維で決まります
(HS商品インデックス上も「ウインドジャケット/ウインドチーター」は62.01/62.02に位置付け。)

根拠(かんたんに)

  • どの類・項に入る? 62類は(編物を除く)衣類で、62.01/62.02の範囲に「アノラック、ウインドジャケット等」を明記。
  • 6桁の決め方:HS解説は、表生地の繊維で号を決めると説明(例:綿60/ポリ40の男子アノラック→6201.30)。従って化繊主体なら6201.40(女子は6202.40)。
  • セット扱い(服+ファン+電源):通則3(b)の「小売用のセット」は、特定の用途のために一緒に包装された複数品目を、重要な特性を与える構成要素で分類。衣類+付属品の典型例でも、衣類側が全体に重要な特性を与えるとして衣類で分類された事例が示されています。
  • 基本ルール:分類は「項の規定と部・類注」に従って決定(通則1)。

代替候補(情報次第で変動)

  • 編物(ニット)製なら 61類:男子 6101.30/女子 6102.30(人造繊維製)。
  • 表地が綿主体なら 6201.30/6202.30。
  • 男女別で号が変わる:男子=62.01、女子=62.02(編物なら61.01/61.02)。
  • ファン・電源を単独輸入:衣類から独立した場合は衣類ではなく、ファンは84.14類系、バッテリーは85.07類系の検討になります(セットでないなら通則1で各品ごとに)。

推定精度

75%
(服の素材/編み・織り/男女別/セットの構成の確定が未提示のため。これらが確定すれば90%以上に上げられます。)

追加で教えてほしいこと

  1. 表地の素材・混率(綿/ポリエステルなど)
  2. 編物(ニット)か織物(布帛)か
  3. 男性用・女性用の別(またはユニセックス表示)
  4. 服・ファン・電源を一括で輸入するか、別送か(別送ならセット扱い不可の可能性あり)

GeminiによるカスタムGPTの結果

推定HSコード: 8414.59

品目: ファン(卓上用、床用、壁用、窓用、天井用又は屋根用のものを除く。)

詳細な説明: ご提示いただいた「空調服」は、衣類と小型の電動ファンが一体となった複合製品です。このような複数の構成要素からなる物品のHSコードを決定する際には、「関税率表の解釈に関する通則」というルールに従います。

この通則に基づくと、物品に「重要な特性」を与えている要素が分類の決め手となります。「空調服」の場合、その最も重要な機能はファンによる送風・冷却機能であると解釈するのが一般的です。したがって、衣類としてではなく、ファン(機械類)として分類します。

ファンはHSコード第84.14項に分類され、その中でも空調服に使用されるような小型のファンは、この「8414.59」に該当すると考えられます。


根拠と精度

  • 情報源:
    • 関税率表の解釈に関する通則3(b)(複合産品の分類ルール)
    • HSコード第84類(機械類)の規定
    • 過去の類似品目に関する分類事例
  • 推定精度: 85%

分類上の注意点と追加情報

  • 分類上の争点: この種の製品は、衣類(第61類または第62類)とファン(第84類)のどちらに重要な特性があるかで見解が分かれる可能性があります。しかし、製品の主目的が「涼をとること」であるため、ファンに重要な特性があると判断するのが最も一般的です。
  • ご確認いただきたい情報: より正確な判断のため、以下の情報を確認させていただくと、精度を高めることができます。
    • ファンの仕様: ファンの出力(ワット数)は分かりますか?
    • 衣類の素材: 主な素材(例:ポリエステル100%、綿65%・ポリエステル35%など)と、それが織物か編物(ニット)か分かりますか?
    • ファンの取り付け状態: ファンは衣類に恒久的に固定されていますか?それとも簡単に取り外せますか?

GeminiにChatGPTでの結論をぶつけてみた

セット(服+ファン+バッテリー)で輸入なら 8414.59 にはしません。通則3(b)の“重要な特性”で分類するため、全体の性質を決めるのは衣類=62類(上衣)だからです。通則3(b)は複合品/小売用セットを重要な特性で決める規則で、衣類+付属品の組合せを衣類側で分類した実例とも整合します。

このコメントにはどう返事しますか。

Geminiの回答

HS Code Finder Gemini

カスタム Gem

思考プロセスを表示

ご指摘いただき、誠にありがとうございます。 大変鋭いご指摘であり、HSコード分類における非常に重要な論点です。いただいたご意見を踏まえ、改めて検討いたしました。

おっしゃる通り、セット全体で輸入する場合、衣類として分類する方がより適切であると考えられます。私の前回の回答は、製品の「機能」に重きを置きすぎたものでした。訂正し、深くお詫び申し上げます。


HSコードの再提案

ご指摘の通り、「関税率表の解釈に関する通則3(b)」を適用すると、この商品は「小売のためにセットにした物品」と見なすことができます。その場合、セット全体に**「重要な特性」を与えているのは、ファンやバッテリーという付属品ではなく、「衣類」そのものである**と判断するのが妥当です。

なぜなら、この製品はあくまで「衣類」として着用されるものであり、ファンやバッテリーはその衣類の快適性を高めるための「付属品」と解釈できるからです。これは、ベルト付きのドレスをドレスとして分類したり、スカーフ付きのコートをコートとして分類したりするのと同じ考え方です。

この解釈に基づき、HSコードを再提案します。

推定HSコード: 6201.93

品目: 人造繊維製のもの(男性用のオーバーコート、カーコート、ケープ、クローク、アノラック(スキージャケットを含む。)、ウインドチーター、ウインドジャケットその他これらに類する衣類)

詳細な説明: このHSコードは、衣類が織物であり、主な素材がポリエステルなどの人造繊維であると仮定した場合のものです。空調服は「ウインドジャケットその他これらに類する衣類」に該当すると考えられます。セットで提示されるファンとバッテリーは、この衣類の付属品として一体で分類されます。


根拠と精度

  • 情報源:
    • 関税率表の解釈に関する通則3(b)(ご指摘いただいた通り)
    • HSコード第62類(衣類及び衣類付属品)の規定
    • 日本の関税中央分析所や税関相談室の見解、及び類似のセット産品に関する分類事例
  • 推定精度: 95%

結論

いただいたご意見は、実際の税関実務における判断と一致するものです。複合産品やセット産品の分類、特に「重要な特性」の解釈は非常に難しい問題ですが、今回のような着用する製品の場合は、ベースとなる衣類が分類を決定づける主要な要素となります。

大変勉強になるご指摘をいただき、誠にありがとうございました。今後も何かお気づきの点がございましたら、ご教示いただけますと幸いです。

ChatGPTのカスタムGPTの方が精度が高いことを確認しました。今後もそれぞれを調整します。

ファーストセールの土台となった「日商岩井(Nissho Iwai)事件」って何?

結論
サプライチェーンに「メーカー → 商社(中間業者) → 米国の買い手」という三者売買があるときでも、条件を満たせばメーカー→商社の“最初の売買価格”で関税評価してよい、と連邦巡回控訴裁(CAFC)がはっきり示した有名判決です。以後の“ファーストセール”の土台になりました。Justia Law


何が起きた?

  • 当事者と品目
    メーカー=川崎重工(日本)、中間業者=日商岩井、米国の買い手=NY州の公共交通当局(MTA)。品目は地下鉄の車両Justia Law
  • 争点
    米国税関(当時)は**「商社→MTAの価格(高い方)」で関税計算。日商岩井側は「メーカー→商社の価格(低い方)」**を使うべきと主張。Justia Law
  • 判決(1992年)
    連邦巡回控訴裁は商社→MTA価格ではなく、メーカー→商社価格で評価すべきと判断し、下級審(CIT)の判断を覆しました。Justia Law

何を基準にしたの?(“Nisshoテスト”)

判決は、最初の売買価格を使える条件を整理しました。要はこの3点です:

  1. 米国向けに明確に仕向けられている(clearly destined for the U.S.)
  2. **真正な売買(bona fide sale)**がある
  3. アームズレングス(関連者間でも価格が歪んでいない)
    これらを満たすとき、メーカー→中間業者の価格を取引価格(transaction value)として採用できる、と明記しています。Justia Law

その後、実務ではどう運用されている?

  • 財務省決定 T.D. 96-87CBP裁決が、Nisshoの考え方を具体化。
    「インポーター申告価格が原則」だけど、上の3条件を書面で立証できれば**“ファーストセール”が使える**、という運用が確立。必要書類は契約/PO/各段のインボイス・支払証跡/B/Lなど完全なペーパートレイルCustoms Mobile
  • CBPの**インフォームド・コンプライアンス(ICP)でも、“真正な売買”と“米国向け売買”**の確認ポイントが案内されています。U.S. Customs and Border Protection

ビジネス目線での要点

  • イメージ
    メーカー(日本) → 商社(海外) → 米国輸入者
    ↑この左側の最初の価格で評価できれば課税ベースが下がる関税コストが下がる。ただし3条件+証憑がカギ。Justia LawCustoms Mobile
  • 実務Tip:三者でNDA→書類共有→数SKUで試行照会対応の型を作って横展開。CBPはケースバイケースで見るので、書類の厚みが成否を分けます。Customs Mobile

米国輸入で関税を削減する「ファーストセール」ルール

米国への輸入ビジネスで関税コストを合法的に削減できる手法をご存知でしょうか?「ファーストセール(First Sale)」という制度を活用すれば、関税の計算基礎となる価格を下げることで、実質的な関税額を削減できます。

ファーストセールとは?

基本的な仕組み

通常の輸入では、サプライチェーンに複数の売買が存在します:

メーカー → 中間業者 → 米国輸入者

一般的には最後の売買価格(中間業者→輸入者)が通関価格となりますが、ファーストセールルールを適用すると、最初の売買価格(メーカー→中間業者)を通関価格として使用できます。

削減効果の例:

  • メーカー価格:$80
  • 中間業者への販売価格:$100
  • 関税率:10%

通常の場合:$100 × 10% = $10の関税
ファーストセール適用:$80 × 10% = $8の関税($2/個の削減)

適用に必要な3つの条件

1. ボナファイド(真正)な売買であること

  • 所有権と危険負担の実質的な移転
  • 対価の授受が実際に行われている
  • 委託販売(コンサインメント)は対象外

2. 米国向け輸出のための売買であること

  • 売買時点で米国向けが明確に特定されている
  • 仕様書や梱包に米国向けの記載がある

3. アームズレングス価格(本来利害関係のある国外企業の当事者間(独立企業間)取引で成立すると認められる価格)であること

  • 関連者間でも価格が関係性に左右されていない
  • 通常の市場価格と同等である

この考え方は「Nissho Iwai」判決以降、CBP(米国税関国境警備局)のガイダンスにも明記されており、確立された制度となっています。

実務での導入手順

ステップ1:対象商品の選定と効果試算

優先順位の付け方:

  • 価格差が大きい商品
  • 関税率が高い商品
  • 取引量が多い商品

これらの要素から削減効果を試算し、インパクトの大きいものから着手します。

ステップ2:取引スキームの可視化

確認すべきポイント:

  • 各段階のインコタームズ
  • 所有権移転のタイミング
  • 危険負担の移転時点
  • 商品の物流ルート(直送か迂回か)

フローチャートを作成し、売買の実態を明確にします。

ステップ3:3条件のセルフチェック

必要な証憑の例:

  • 発注書(P/O)、請求書、支払い証跡
  • 売買契約書
  • 船荷証券(B/L)
  • 所有権・危険負担に関する条項
  • 米国向けであることを示す書類

ステップ4:エビデンス収集の徹底

CBPは「取引の完全な紙のトレイル(一つの取引に関連するすべての書類や記録を時系列順に整理した文書の記録のこと)」を重視します。以下の書類を体系的に整理:

  • 購買発注書(P/O)
  • 売買契約書
  • インボイス
  • 支払い証跡
  • 出荷書類一式
  • 社内往来文書
  • ロイヤリティやアシスト情報(該当する場合)

ステップ5:申告時の適切な表示

First Saleで申告する品目には、CBP Form 7501またはACEシステムの行レベルで「F」インジケーターを付与する必要があります。

ステップ6:パイロット運用からSOP(標準作業手順書)化へ

  1. パイロット段階:影響の大きい数品番で試行
  2. 検証段階:CF-28(情報提供要求)への対応体制構築
  3. 展開段階:問題がなければ全社展開
  4. 定着化:年次でエビデンスの棚卸しと見直し

ステップ7:事前教示の活用(必要に応じて)

不確実性が高い案件では、Part 177に基づく事前教示(バリュエーション)を取得し、当局の見解を確認してから本格導入することも可能です。

制度の信頼性と最近の動向

法的根拠の確立

CBPの公式ガイダンス「Bona Fide Sales and Sales for Exportation to the United States」により、要件と考え方が明確に整理されています。

Meyer事件による明確化(2024年)

最近の「Meyer」事件では、連邦巡回区控訴裁判所が重要な判断を示しました:

  • 「非市場経済国だから一律不可」という過剰な要件は不適切
  • 本質は関係者間で価格が歪んでいないかの検証
  • 適切な証拠があれば、中国製品でも適用可能

導入時の注意点とリスク管理

よくある課題

1. サプライヤーの協力確保

  • メーカーの原価・利益情報の開示が必要
  • NDA(秘密保持契約)の締結が重要

2. エビデンス不備による否認リスク

  • 不十分な証憑は否認の原因に
  • 事前の準備と整理が必須

3. 申告実務の負荷増大

  • 「F」インジケーターの管理体制
  • 社内SOPの整備と教育

4. 監査・照会への対応体制

  • CF-28/CF-29への迅速対応
  • 合理的注意(reasonable care)の証明

5. 誤適用の防止

  • 委託販売は対象外
  • 売買の実態確認が重要

まずは何から始めるべきか

初期アクションプラン

  1. 優先度設定:価格差×関税率×取引量で対象品を選定
  2. 関係者調整:三者間でNDAを締結し、情報共有体制を構築
  3. 小規模試行:パイロット品目でFirst Sale申告を実施
  4. 体制整備:照会対応テンプレートとSOPを準備
  5. 段階的展開:成功事例を基に適用範囲を拡大

まとめ

ファーストセールは、適切に活用すれば大幅な関税削減を実現できる強力なツールです。ただし、成功のカギは徹底した証憑管理CBPの要求への対応体制にあります。

リスクを適切に管理しながら段階的に導入することで、持続可能なコスト削減を実現できるでしょう。特に、取引量が多く、サプライチェーンに複数の売買が存在する企業にとっては、検討する価値が十分にあります。

重要なのは、これが「抜け道」ではなく、CBPが認める正当な評価方法であるという点です。適切な要件を満たし、透明性を保って運用すれば、安心して活用できる制度なのです。