2025年11月19日時点で公表・報道されている「米国の相互関税(Reciprocal Tariff)」

以下は、2025年11月19日時点で公表・報道されている「米国の相互関税(Reciprocal Tariff)」について、指定された国だけを抜き出した最新リストです。


進め方(計画)

  1. 公式の国別相互関税率を確認
    • ホワイトハウス大統領令「Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates」(2025年7月31日)の Annex I にある国別率を確認。
    • JETRO「米国トランプ政権の関税政策の要旨」(2025年11月18日版)の相互関税率表を照合。
  2. カナダ・メキシコ・中国など Annex I に載っていない/別枠扱いの国を確認
    • JETRO「米国関税措置への対応」特集の各国別解説(対中関税、対カナダ・メキシコ関税など)と Federal Register/ホワイトハウスの大統領令をチェック。
  3. 直近(前日)からの変更の有無を確認
    • 11月4日の対中相互関税修正 EO、11月14日の農産品の相互関税対象外 EO 以降、国別レートを変える新たな大統領令・告示が出ていないか確認。
    • JETRO 11月18日資料は「2025年11月18日時点」と明記されており、その後も国別相互関税率の変更報道はなし。
  4. 指定国だけを抽出し、表形式で整理
    • 「国名/相互関税率(国別上乗せ分)/前日差/主な出所/備考」を記載。

この計画に沿って調査した内容を、以下の表にまとめています。


最新 相互関税リスト(指定国のみ)

前提メモ

  • 「相互関税率」は、米国側が各国に対して設定している追加 ad valorem 関税率(Reciprocal Tariff の国別率)です。
  • EU・日本など一部は「MFN税率と合わせて15%になるよう調整」という形で運用されています。
  • カナダ・メキシコ・中国は、相互関税とは別枠の IEEPA 関税や301条関税等が重なっている特例です。

表:国名順(ご指定の順番)

国名相互関税率(国別上乗せ分)前日差主な出所備考
Algeria(アルジェリア)30%なしWH EO 2025/7/31 Annex I, JETRO 2025/11/18Annex I 掲載国(相互関税対象国)。
Angola(アンゴラ)15%なし同上同上。
Bangladesh(バングラデシュ)20%なし同上同上。
Bosnia & Herzegovina(ボスニア・ヘルツェゴビナ)30%なし同上高率(30%)グループ。
Botswana(ボツワナ)15%なし同上同上。
Brazil(ブラジル)10%(相互関税分)なしAnnex I, JETRO「主要国・地域の追加関税率」相互関税10%に加え、別の大統領令に基づく追加関税40%で**合計50%**のケースあり。
Brunei(ブルネイ)25%なしAnnex I, JETRO同上。
Cambodia(カンボジア)19%なしAnnex I, JETRO10月に米カンボジア通商枠組み合意。レート自体は19%で維持。
Cameroon(カメルーン)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Canada(カナダ)*―(相互関税対象外)なしJETRO 11/18, JETRO「対カナダ関税」相互関税EOの Annex I には非掲載。代わりに IEEPA に基づく追加関税35%(一部品目除外)。USMCA原産品は免除。
Chad(チャド)15%なしAnnex I, JETRO同上。
China(中国)*34%(名目)/実効10%なしJETRO「対中国関税の概要」(11/5)、対中相互関税修正 EO(11/4)EO 14257 Annex I 上は34%。うち24ポイントの賦課を2026年11月10日まで停止し、相互関税として実際に徴収されるのは10%。さらにフェンタニル対策IEEPA関税10%、301条追加関税25%などが別途上乗せされる。
Côte d’Ivoire(コートジボワール)15%なしAnnex I, JETRO同上。
DR Congo(コンゴ民主共和国)15%なしAnnex I, JETRO同上。
EU(欧州連合)最大15%(MFN含む)なしAnnex I, JETRO、EU・米国合意報道EU向けは特例:MFN税率が15%未満の品目は「MFN+相互関税=15%」、MFNが15%以上の品目には相互関税0%
Falkland Islands(フォークランド諸島)10%なしAnnex I, JETRO同上。
Fiji(フィジー)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Guyana(ガイアナ)15%なしAnnex I, JETRO同上。
India(インド)25%(相互関税分)なしAnnex I, JETRO「主要国・地域」相互関税25%に加え、別EOに基づく追加関税25%で**合計50%**と整理されている。
Indonesia(インドネシア)*19%なしAnnex I, JETRO7月22日の米インドネシア通商合意で 19%に確定。
Iraq(イラク)35%なしAnnex I, JETRO高率(35%)グループ。
Israel(イスラエル)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Japan(日本)*15%なしAnnex I, 日米関税合意および実施EO(9/4)、JETRO解説7/22の日米合意に基づき、相互関税率は24%→15%に引き下げ。MFN税率が15%未満の品目は「MFN+相互関税=15%」、15%以上の品目には相互関税なし。自動車・同部品の232条関税も同様に15%上限。
Jordan(ヨルダン)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Kazakhstan(カザフスタン)25%なしAnnex I, JETRO高率(25%)グループ。
Laos(ラオス)40%なしAnnex I, JETRO非常に高い相互関税率(40%)。
Lesotho(レソト)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Libya(リビア)30%なしAnnex I, JETRO高率(30%)グループ。
Liechtenstein(リヒテンシュタイン)15%なしAnnex I, JETROEFTAの一員。11/14の米・スイス・リヒテンシュタイン枠組み合意の対象国の一つだが、レート自体はもともと15%。
Madagascar(マダガスカル)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Malawi(マラウイ)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Malaysia(マレーシア)19%なしAnnex I, JETRO10月の通商協定枠組み合意後もレートは19%で据え置き。
Mauritius(モーリシャス)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Mexico(メキシコ)*―(相互関税対象外)なしJETRO 11/18, 対メキシコ IEEPA 関税解説Annex I 非掲載。**IEEPA に基づく追加関税25%**が非USMCA品に適用。USMCA要件を満たす品目は免除。
Moldova(モルドバ)25%なしAnnex I, JETRO高率(25%)グループ。
Mozambique(モザンビーク)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Myanmar(ミャンマー)40%なしAnnex I, JETRO最高水準の一つ(40%)。政情リスクも背景とされる。
Namibia(ナミビア)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Nauru(ナウル)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Nicaragua(ニカラグア)18%なしAnnex I, JETRO同上。
Nigeria(ナイジェリア)15%なしAnnex I, JETRO同上。
North Macedonia(北マケドニア)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Norway(ノルウェー)15%なしAnnex I, JETROEFTAの一員だが、相互関税率は15%で確定。
Pakistan(パキスタン)19%なしAnnex I, JETRO同上。
Philippines(フィリピン)19%なしAnnex I, JETRO「主要国・地域」7/22の米比合意で19%に設定。
Serbia(セルビア)35%なしAnnex I, JETRO高率(35%)グループ。
South Africa(南アフリカ)30%なしAnnex I, JETROアフリカではアルジェリア・リビアと並ぶ30%グループ。
South Korea(韓国)*15%なしAnnex I, JETRO(注3)7/31 Annex I で15%。11/13の米韓合意により、今後 EU・日本同様に「MFN(または韓米FTA税率)+232条を含めて15%上限」とする運用に修正される見込み。
Sri Lanka(スリランカ)20%なしAnnex I, JETRO同上。
Switzerland(スイス)39%(発動中)なしAnnex I, JETRO 11/18, JETRO/Reuters/Swissinfo報道7/31 EOの Annex I で31%→39%に引き上げられ、8/7以降発動。11/14に米・スイス・リヒテンシュタイン間で「最大15%に引き下げる」枠組み合意が発表されたが、15%への正式な引き下げを行う大統領令はまだ出ていないため、**11/19時点の法令上の相互関税率は39%**と整理。
Syria(シリア)41%なしAnnex I, JETRO一覧中で最も高い相互関税率(41%)。
Taiwan(台湾)20%なしAnnex I, JETRO同上。
Thailand(タイ)19%なしAnnex I, JETRO7月の通商枠組み合意後も19%を維持。
Tunisia(チュニジア)25%なしAnnex I, JETRO4月時点28%→7/31の再設計で25%に修正。
Vanuatu(バヌアツ)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Venezuela(ベネズエラ)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Vietnam(ベトナム)20%なしAnnex I, JETRO7月の合意で20%に設定。JETRO「各国の追加関税率」参照。
Zambia(ザンビア)15%なしAnnex I, JETRO同上。
Zimbabwe(ジンバブエ)15%なしAnnex I, JETRO同上。

補足:共通の最近の動き(全ての国に関係するもの)

  • 農産品の一部が相互関税対象外に
    2025年11月14日の大統領令により、牛肉・コーヒー・茶・一部肥料などの農産品が、国を問わず相互関税の対象外となりました(237のHS分類が Annex で指定)。
    → 上記表の「相互関税率」自体は変わらないものの、実際にこのレートがかかる品目の範囲はやや狭まっています。
  • 中国に対する相互関税の「実効10%」の延長
    11月4日の大統領令により、対中相互関税34%のうち24ポイントを停止し、相互関税としては10%のみを2026年11月10日まで適用する措置が延長されました。同時に、フェンタニル対策の IEEPA 追加関税が20%→10%に引き下げ。

 

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