2026年1月前後に節目を迎える主なFTA/EPA

2026年1月(実務上は多くが2026年1月1日)に、協定税率が更新・引下げ(または撤廃段階に到達)したことが一次情報で確認できるFTA/EPAは、少なくとも下表のとおりです。

なお、FTA/EPAの関税は「毎年1月1日に段階的に動く」タイプが多く、品目ベースで網羅すると対象が非常に広くなります。ここでは、協定として税率が動くこと自体が明示されているものを中心に整理します。

協定名当事国・地域2026年1月の関税率変更(概要)実施日一次情報(根拠)
CPTPPCPTPP当事国日本を除く当事国は、その後の関税削減(staging)が毎年1月1日に実施されるため、2026年1月1日に協定税率が次段階へ更新。日本は毎年4月1日更新。2026年1月1日(日本は4月1日)(international.gc.ca)
RCEPASEAN10+日中韓豪NZ(計15)ブルネイ、カンボジア、中国、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、NZ、シンガポール、タイ、ベトナムは毎年1月1日に段階引下げ。インドネシア、日本、フィリピンは毎年4月1日更新。2026年1月1日(国により4月1日)
豪印ECTAオーストラリア、インド豪州側の関税表で段階区分B5の品目は、年5(2026年1月1日)から無税化に到達(豪州の対印輸入が広く無税化)。2026年1月1日(オーストラリア外務貿易省)
ChAFTAオーストラリア、中国乳製品などで、中国側の対豪関税(最大20%)が2026年1月1日までに撤廃段階に到達(最終段階の節目)。2026年1月1日までに(オーストラリア外務貿易省)
KAFTAオーストラリア、韓国一部の高関税(例:乳児用調製粉乳など)で、2026年1月1日までに撤廃段階に到達する旨が明示。2026年1月1日までに(オーストラリア外務貿易省)
A-UKFTAオーストラリア、英国水産物で、残存関税が2026年1月1日までに段階的に撤廃される旨が明示。2026年1月1日までに(農業省)
AfCFTA(南ア実装)アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)南アフリカ歳入庁(SARS)が、AfCFTAの関税段階引下げ(phase down)実装のため、2026年1月1日効力で関税率表改正を告知。2026年1月1日(South African Revenue Service)

補足(日本企業の実務観点)

  • CPTPPとRCEPは、協定そのものとして「毎年の更新日」が明示されているため、2026年1月1日に多くの国で協定税率が動きます(品目数は膨大)。(international.gc.ca)
  • 一方で、日本側の更新日はCPTPPが4月1日、RCEPも(少なくとも日本・インドネシア・フィリピンは)4月1日運用と整理されています。したがって、2026年1月の影響は「日本から輸出する際の相手国側の税率更新」が中心になりがちです。(international.gc.ca)
  • 日本の関税率表自体は、税関サイトに「2026年1月1日現在」が公開されています(参照用)。協定税率の確認導線としては使えます。(日本の税関)

メキシコ関税引上げとUSMCA適用の盲点

メキシコ調達と北米輸出のコストが想定外に膨らむ理由

2026年1月1日、メキシコは一般最恵国税率(MFN)を広範囲に引き上げました。対象はHS8桁で1,463品目、税率は5%から最大50%まで引き上げられ、繊維・履物、鉄鋼、自動車・自動車部品、プラスチック製品など、サプライチェーンの裾野が広い分野が含まれます。natlawreview+1

このニュースを見て「うちはUSMCAで北米向け輸出だから大丈夫」と判断すると、原価とキャッシュフローで痛い目を見ることがあります。盲点は一言で言えば、完成品の無税と部材の関税コストは別物という点です。

まず結論:今回の関税引上げで起きること

次の3点が、実務インパクトの核心です。

1つ目:メキシコとFTAがない国からの輸入コストが上がる
中国、インド、韓国、タイ、インドネシアなど、メキシコとFTAを持たない国からの輸入が主な影響対象になります。linkedin

2つ目:FTA締結国でも、特恵を使わなければMFNが適用される
日本は日墨EPAやCPTPPにより多くの品目で特恵税率が見込めますが、特恵申告をせずに輸出するとMFNが適用される点が重要です。vemaps

3つ目:USMCA輸出でも、メキシコ側の部材関税がコストとして残り得る
特にIMMEXなど関税繰延べスキームを使う企業ほど、USMCA第2.5条の規律が効いてきます。tuttlelaw+1

何が変わったのか:メキシコ関税引上げの整理

メキシコ上院は2025年12月10日、輸出入関税法(LIGIE)の改正を可決し、2026年1月1日から新税率を適用する流れになりました。対象の品目数1,463は維持されましたが、途中で115品目が入れ替わっているため、過去のリストで判断するのは危険です。trade+1

また、旅客車の一部は50%への引上げが維持されるなど、分野によってはインパクトが極端に大きくなり得ます。vemaps+1

盲点1 非FTA国だけの話ではない

日本企業の現場で起きやすい誤解は「日本は対象外だから無関係」というものです。実務の実態は次の通りです。

  • 日本原産であっても、日墨EPAやCPTPPの特恵申告をしなければMFNが適用されるvemaps
  • サプライヤーから原産情報が得られず、特恵が使えない輸入が増えると、関税コストが一気に顕在化する

JETROも、特恵税率の適用には原産地証明書の取得など所定手続きが必要で、手続きをしない場合はMFN税率になる点を明示しています。vemaps

盲点2 USMCAがあっても、メキシコ側の部材関税は消えない

USMCAは北米域内の完成品取引を無税化しやすくする仕組みですが、メキシコが域外から輸入する部材にかかる関税まで自動でゼロにするものではありません。ここで効いてくるのが、**USMCA第2.5条(Drawback and Duty Deferral Programs)**です。prodensa+1

ポイントは2つあります

1. 関税繰延べは、輸出時に精算が起き得る
USMCA第2.5条は、一定の条件下で関税還付や関税繰延べを利用して実質的に関税負担を回避することを制限します。条文上、関税繰延べ制度で輸入した物品を他の締約国へ輸出する場合、輸出側は国内消費向けに引き出したかのように関税を賦課し、その上で限定的に免除・減額できる、という構造です。cbsa-asfc+1

メキシコのMFNが上がると、この精算額の上限(実務的にはLesser of the Twoと呼ばれる差額)が大きくなり、キャッシュフローと原価に直撃します。natlawreview+1

具体例(自動車部品)linkedin+1

  • メキシコ輸入時の非FTA部材関税(2026年):25%
  • 米国輸出時の完成品関税(USMCA不適合):10%
  • → IMMEX企業は米国側10%のみ相殺可能で、残り15%はメキシコで納付義務が発生

2. 60日ルールが資金繰りを揺らす
USMCA第2.5条には、輸出先で支払った関税額の証憑を一定期間内に提示できない場合、輸出側がいったん関税を徴収する建付けがあります。米国・カナダでは、関連する規定として60日という期限が条文運用上の重要な目安になります。tuttlelaw+1

書類が遅れるだけで、想定外の納付が先に発生し、後追いで調整する形になり得ます。cbsa-asfc

盲点3 USMCAの適用は「原産性の主張と証明」が前提

もう一つの落とし穴は、USMCAでの特恵申告は証明の運用が整っていないと簡単に崩れることです。

USMCAでは特定の様式の原産地証明書は要求されません。その代わり、Annex 5-Aに定められた最低限のデータ要素を含む認証(Certification)を、任意の形式で提示できることが求められます。preferredship+1

実務で効くのはここです

  • 形式自由という言葉を、証憑管理が不要と誤解する
  • HS6桁を含む要素が必要なのに、分類とBOMの紐付けが曖昧ustr
  • 輸出者・生産者・輸入者の誰が認証するかが社内で決まっていないpreferredship

結果として、米国側でUSMCA特恵が崩れ米国関税が発生するだけでなく、メキシコ側の関税繰延べ精算も別問題として残り、二重にダメージを受ける構図になります。natlawreview

企業が今すぐやるべき実務チェック

最後に、ビジネスマン向けに優先順位順で整理します。

1 影響品目の特定

  • 自社の輸入品目(TIGIE 8桁)を洗い出し、1,463品目の対象に入っているか確認trade
  • 途中で品目の入れ替えがあるため、最新版のリストで確認するvemaps

2 調達国とFTA利用有無の棚卸し

  • FTA締結国原産でも、特恵を使っているかを取引単位で確認
  • 特恵未利用の取引を優先して是正するvemaps

3 IMMEXなど関税繰延べの前提更新

  • 「輸入時は無税」ではなく「輸出時に精算が起き得る」前提で原価を組み直すprodensa+1
  • USMCA第2.5条に基づく差額精算(Lesser of the Two)、証憑の提出期限(60日)を、社内KPIとして管理するtuttlelaw+1

4 USMCA認証と証憑の整備

  • 認証は様式自由だが、最低限のデータ要素(HS6桁含む)が必要ustr+1
  • 誰が認証するか、どこに保管するか、更新頻度を決めるpreferredship

まとめ

メキシコの関税引上げは、単なる対外政策ではなく、北米サプライチェーンの原価構造を変えるイベントです。特に、IMMEXを使って域外部材を投入し、USMCAで北米に輸出するモデルほど影響が出やすい構造にあります。trade+2

対策の第一歩はシンプルです。品目、原産地、FTA利用、関税繰延べ、USMCA認証。この5点を一本の台帳でつなぐこと。ここがつながると、コスト試算、取引条件の見直し、調達転換の優先順位が一気に明確になります。


注意事項

本稿は一般的な情報提供であり、個別案件の法務・通関判断を代替するものではありません。最終判断は当局公表資料や専門家確認で行ってください。


  1. https://natlawreview.com/article/mexican-january-2026-tariff-tsunami-maquilas-arent-immune
  2. https://www.trade.gov/market-intelligence/mexico-customs-law-reform
  3. https://www.linkedin.com/pulse/mexicos-january-2026-tariff-shift-what-means-imports-supply-tian-16cfc
  4. https://vemaps.com/mexico/mx-06
  5. https://www.tuttlelaw.com/newsletters/2020/7-28-20_usmca_drawback.html
  6. https://www.prodensa.com/insights/blog/the-immex-framework
  7. https://www.cbsa-asfc.gc.ca/publications/dm-md/pdf/d7-4-3-eng.pdf
  8. https://preferredship.com/wp-content/uploads/2020/06/USMCA_CoO_US.pdf
  9. https://ustr.gov/sites/default/files/files/agreements/FTA/USMCA/Text/05_Origin_Procedures.pdf
  10. https://www.foley.com/ko/insights/publications/2025/12/mexican-january-2026-tariff-tsunami-maquilas-arent-immune/
  11. https://www.jdsupra.com/legalnews/mexico-approves-significant-tariff-5879289/
  12. https://news.globalialogisticsnetwork.com/2025/11/07/interview-with-globalia-monterrey-a-look-at-mexicos-2026-trade-reforms/
  13. https://www.craneww.com/knowledge-center/trade-advisory-notices/mexicos-2026-tariff-reform/
  14. https://www.jdsupra.com/legalnews/mexico-proposes-significant-customs-and-3809818/
  15. https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/seminar/orb-200701/doc1.pdf
  16. https://www.trade.gov/sites/default/files/2023-09/fulltext.pdf
  17. https://www.afslaw.com/perspectives/alerts/who-can-make-usmca-certification
  18. https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/11e020.pdf
  19. https://www.pcbusa.com/post/how-to-fill-out-certification-of-origin-under-cusma-usmca-t-mec
  20. https://www.customs.go.jp/roo/english/procedure/index.htm
  21. https://biblioteca.cejamericas.org/bitstream/handle/2015/2837/Mexican_government_changes_IMMEX_regime.pdf?sequence=1&isAllowed=y

韓国のCPTPP参加の現状まとめ―2026年1月3日時点の公開情報にもとづく―


はじめに

CPTPP(包括的・先進的環太平洋パートナーシップ協定)は、関税撤廃だけでなく、デジタル取引、投資、国有企業、競争政策、補助金、政府調達など、企業活動を支える経済ルールを高水準で統一する枠組みです。
韓国がこの枠組みに加わるかどうかは、実質的な日韓FTA発効に相当し、サプライチェーン設計や販売戦略の前提条件を大きく変える可能性があります。

現在の進捗状況

結論から言うと、韓国政府は2025年後半からCPTPP参加の検討を再び加速させていますが、2026年1月時点でニュージーランド(CPTPP寄託国)に正式な加盟申請を提出したという政府発表やニュージーランド政府側の通知は確認されていません。
つまり現在は、国内調整および加盟国への事前協議段階とみられます。
(出典: Invest Korea

2025年12月17日、韓国産業通商資源部は大統領報告を通じて、対中サービス分野のFTA推進と並行してCPTPP参加の再検討方針を明確化しました。これは部門レベルの検討から政府方針への格上げと見られます。
(出典: Korea Times, 2025年12月17日

また2025年9月時点でも、韓国政府がCPTPP加入検討を正式に再開する見通しが報じられており、過去に農水産業界の反発や日韓関係の冷え込みを背景に正式申請に至らなかったことが再び指摘されています。
(出典: Invest Korea

外交面でも、2025年10月の外務長官寄稿では「CPTPP参加を積極的に検討すべき」と明言され、地政学・経済安全保障の観点でも参加意義が強調されています。
(出典: 韓国外務省寄稿文

CPTPP加入プロセスの概要

CPTPPへの加盟は明確な手続きを経る必要があります。公表情報による一般的な流れは以下の通りです。

  1. 希望国が寄託国ニュージーランドに正式な加盟要請を提出する。
  2. CPTPP委員会(全加盟国で構成)が**全会一致の合意(コンセンサス)**で加盟交渉の開始可否を決定する。
  3. 承認されると**作業部会(アクセスション・ワーキンググループ)**が設置され、協定遵守能力や市場アクセス譲許内容を審査する。
  4. 全加盟国が最終的にコンセンサスで承認すると加盟が認められ、議定書署名・批准を経て正式加盟となる。

日本の内閣官房も、CPTPP加盟判断の基準として「オークランド三原則」(高水準ルール受容、約束履行の実績、全会一致原則)を明記しています。
(出典: 内閣官房資料

韓国が直面する主なハードル

  1. 国内調整の難航
     農水産業界の反発が最大の障壁とされ、正式申請を見送った過去があります。補償策や競争力強化策を含む政治的パッケージが必要不可欠です。
     (出典: Invest Korea)
  2. 加盟国間の合意形成(特に日本との関係)
     CPTPPでは全加盟国の同意が前提。日韓間の懸案事項(例:日本産水産物輸入制限)は交渉上の焦点になると見られます。
     (出典: Korea Joongang Daily, 2025年9月10日
  3. 加盟審査の順番と混雑
     CPTPP委員会は2025年11月の共同声明で、ウルグアイ、UAE、フィリピン、インドネシアを「オークランド三原則に沿う新規候補」と評価し、ウルグアイのプロセス開始を承認しました。他3カ国については、2026年に交渉開始の可能性があるとしています。韓国はこの時点の候補リストには含まれていません。
     日本政府の整理資料でも、正式な要請国として中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナ、インドネシア、フィリピン、UAE、カンボジアを挙げており、韓国は未掲載です。
     (出典: 内閣官房資料同上)

日本企業への実務的示唆

韓国がCPTPP参加に近づくほど、企業は二方向の変化に備える必要があります。

  • 競争条件の変化
     韓国企業がCPTPPルール下で域内アクセスを得れば、関税撤廃だけでなく投資・デジタル・サービスルールの整合性により競争条件が変わります。特に第三国市場での「原産地累積」活用を通じた競争力強化が想定されます。
  • サプライチェーン設計の再編余地
     加盟後は累積原産地範囲が拡大し、日本企業も韓国部材を含むサプライチェーンをCPTPP特恵適用設計に組み込みやすくなります。
     このため、BOM構成の再検討、調達先多角化、原産地証明書管理の標準化などが有効な先行対応になります。

2026年に注視すべきチェックポイント

次の4点が事実上の注目イベントです。

  1. 韓国が寄託国ニュージーランドへ正式加盟要請を提出する発表があるか。
  2. CPTPP委員会が加盟審査開始を決議し、作業部会が設立されるか。
  3. 日韓間の懸案(特に水産物輸入問題など)が整理されるか。
  4. 農水産分野の国内対策パッケージの具体化が進むか。
    (出典: Invest Korea)

おわりに

韓国のCPTPP参加方針は2025年末を契機に再び政治アジェンダとして浮上しました。ただし、2026年1月時点で正式申請はまだ行われておらず、国内・外交の調整局面にあります。
企業としては、正式要請提出と作業部会設立を分岐点とし、原産地設計・市場戦略の2シナリオを並行検討しておくのが実務上もっとも合理的です。
(出典: Korea Times, 2025年12月17日)



メキシコが非FTA品目に最大50%関税へ:2026年1月1日発効、企業が押さえる実務ポイント

2025年12月29日、メキシコ政府は官報(DOF)で輸入関税(一般税率)を広範に引き上げる政令を公布し、2026年1月1日に発効しました。対象はTIGIE(メキシコ関税率表)上の1,463税番に及び、非FTA国由来の調達や、FTAを使わない輸入に対してコスト・調達戦略・通関実務を一段と厳しくします。

改正の概要

項目内容備考
関税率最大50%(多くは5~35%)2026年1月1日発効。対象は1,463税番(TIGIE 8桁)、20以上の分野にまたがる改正
対象国非FTA国(中国、韓国、インド、インドネシア、ブラジル等)メキシコと発効済みFTAを持たない国が対象
有効期限無期限過去の一時措置と異なり、恒久的な法改正
出所DOF、Reuters、White & Case米国商務省・KPMG・法律事務所等の解説に基づく

何が変わったのか:「一般税率(MFN)の底上げ」が核心

今回の改正は、メキシコの輸入関税(IGI)のうち、特定の税番に設定されている一般税率(MFN税率)を引き上げるものです。

実務上の重要ポイント:

  • 「輸入相手国が非FTAかどうか」だけでなく、「当該貨物がFTAの特恵税率を適用できるか(原産地証明・ルール充足・申告)」で負担が決まる
  • FTAが適用できれば、改正後でも特恵税率が優先され、税率引上げの影響を受けない
  • メキシコは現在52カ国とFTAを発効しており、これらの国からの原産品は従来の特恵税率が引き続き適用される

つまり、「非FTA国からの輸入」という表現は正確には「FTA特恵が適用されない輸入」を意味します。


どの品目が重いのか:最大50%は完成車と一部トラック、広い裾野は繊維・鋼材・消費財

全体像としては、関税引上げは多数品目に及びつつ、税率の山は概ね5~35%に集中し、特定の品目で50%が出ます。

最大50%対象品目

完成乗用車:

  • HS 8703.22.99、8703.23.99、8703.24.99
  • HS 8703.32.99、8703.33.99、8703.40.99
  • HS 8703.60.99、8703.80.01など

トラック・電気自動車:

  • HS 8704.21.99、8704.31.99、8704.41.99
  • HS 8704.51.99、8704.60.02など

これらは過去の暫定措置で既に50%が適用されていましたが、今回の改正で恒久化されました。

多くの品目:5~35%が中心

  • 自動車部品:HS 8708.x、8409.x、8511.x、8512.xなど、7~36%の範囲
  • 繊維・衣類:最大35%(繊維製品は20%→35%、繊維材料は10%→15%への引上げ事例あり)
  • その他産業材:プラスチック、鉄鋼、アルミニウム、履物、家具、玩具、家電、紙・段ボール、皮革製品、ガラス、オートバイ、トレーラーなど

なぜ今か:産業防衛と対外関係、そして歳入

政府側は、国内産業と雇用の保護を前面に出しています。Reuters報道では、敏感分野(特に繊維)の雇用を守る狙いと、追加歳入の見込みが言及されています。

背景データ:

  • メキシコの繊維産業は2024年に雇用が最低水準に落ち込んでおり、特に中国製品との価格競争が背景にある
  • 中国からメキシコへの電気自動車輸入は、2024年11月に前年比2,367%増の19,344台を記録
  • こうした急増が政策転換の引き金の一つとなったと見られる

一方で、市場では「米国との連携強化」や、USMCA(米墨加協定)見直しを見据えた対中姿勢の調整といった見方も出ています。


日本企業にとっての現実:メキシコ現法の調達網に直撃しやすい

日本企業(特に自動車・部品)は、メキシコ国内生産のためにアジアから部材を入れる構造が一般的です。タイ、中国、ベトナム、インドネシア等からの調達に触れつつ、メキシコとFTAを結んでいない国からの輸入は引上げの影響を受けます。

FTA締結状況による差異

同じアジア調達でも差が出ます:

  • 日本:CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)、日墨EPA経由で無税・低税率の道がある
  • 非締結国:中国、韓国、インド、インドネシア等からの調達は負担増になりやすい

自動車は「50%」という数字が与えるインパクトが大きい

完成車に最大50%がかかる設計は、単に輸入コストが上がるだけでなく、以下に波及します:

  • 在庫政策
  • 価格政策
  • 販売戦略

加えて部品でも税率7~36%(品目による)という設計がされており、BOM(部品表)全体で効いてきます。


IMMEX(マキラ)でも「完全に無関係」とは言い切れない

IMMEXは一時輸入の関税免除が前提になりがちですが、輸出先やUSMCAの関税繰延べ規律(いわゆる「Lesser of the Two」ルール)次第で、結果的にメキシコ側で関税負担が発生し得る点を押さえる必要があります。

USMCA「Lesser of the Two」ルール

USMCA第2.5条では、メキシコで免除・還付される関税額は、以下のいずれか低い方を上限とします:

  1. 第一USMCA国(メキシコ)への輸入時に支払った関税
  2. 第二USMCA国(米国・カナダ)への輸出・輸入時に課される関税

具体例:

非FTA国から25%の関税で部材をメキシコに輸入し、完成品を米国に輸出する際、完成品がUSMCA原産にならないケースを考えます。米国側の関税が0%(USMCA適格でない場合)の場合、メキシコ側で免除できる関税は0%となり、25%がコスト化します。

IMMEX運用の厳格化

2024年12月には302品目がIMMEXプログラムで輸入できない品目リストに追加されるなど、プログラム自体の運用も厳格化されています。


企業が取るべき実務アクション:最短で効く順に

1. 対象判定

自社品目のTIGIE 8桁を特定し、改正対象かを機械的に照合する。通関業者任せにせず社内でも持つことが重要です。

2. 原産地の再設計

FTA適用可否を棚卸しし、使えるものは確実に使う。

チェックポイント:

  • 原産地証明の取得
  • CTC(関税分類変更基準)/VA(付加価値基準)の充足
  • サプライヤー証憑の整備

メキシコはCPTPP、USMCA、日墨EPA、EU-メキシコFTAなど多数のFTAを持ち、適切に活用すれば特恵税率が維持できます。

3. 調達先の見直し

非FTA国依存の部材は、FTA圏内調達や加工工程の再配置で「特恵が取れる形」に寄せられないか検討する。

代替調達先の選択肢:

  • 日本・タイ:CPTPP経由
  • 欧州:EU-メキシコFTA
  • USMCA圏内:米国・カナダ

特に中国依存度が高い部材は、上記への代替が現実的な選択肢になります。

4. 価格・契約

関税増分の負担者(売手・買手)と価格改定条項、インコタームズ、長納期品の在庫方針を再確認。

特に注意: 2026年1月1日以前に契約したが納品が1月以降になる案件は、契約上の関税負担条項を精査すべきです。

5. 制度活用

PROSEC(分野別振興プログラム)の活用:

  • 輸出要件なし
  • 自動車、電子機器、鉄鋼、化学、繊維など特定セクターで原材料・部品・機械を減免税率(ゼロを含む)で輸入可能
  • 該当業種ほど効果が大きい

その他、メキシコ側の産業施策・許可スキームの適用余地を確認する。

6. 当局運用の監視

メキシコ政府は「競争的条件での投入材確保」のために関税調整の仕組みを設け得る、という示唆もあるため、続報を前提にしておく。

並行する執行環境の厳格化:

  • 2026年1月1日発効の税関法改正では、過少申告調査期間が6カ月→12カ月に延長
  • コンプライアンス強化が同時進行

まとめ:2026年は「メキシコ向けの関税コスト」を前提にサプライチェーンを作り直す年

今回の改正は、単発の引上げというより、メキシコが「非FTA調達のコスト」を明確に上げに来たシグナルです。

押さえるべき特徴:

  • 改正は無期限で、過去の暫定措置とは異なり法律として恒久化
  • 短期は通関コストの増加
  • 長期は調達先・原産地設計・対米輸出規律(USMCA)まで含めた再設計が論点に

最優先アクション:

  1. 対象税番の照合
  2. FTA適用の取りこぼしゼロ化

この2点から着手するのが最も費用対効果が高い一手です。


免責事項

本稿は一般情報であり、個別案件は貴社の通関実務・契約条件・原産地構成により結論が変わります。最終判断は通関士・現地専門家と一次資料でご確認ください。


出典

[1] U.S. International Trade Administration
[2] KPMG Mexico
[3] International Trade Compliance Update
[4] Opportimes
[5] White & Case
[6] FedEx International
[7] Clark Hill
[8] XPDEL
[9] Carscoops
[10] Foley & Lardner
[11] LinkedIn (Michael Tian)
[12] Tuttle Law
[13] U.S. International Trade Administration
[14] DLA Piper
[15] Stratego
[16] Mijares, Angoitia, Cortés y Fuentes

アフリカをほぼカバーするFTA:AfCFTA解説

AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)解説

1. AfCFTAの概要

AfCFTA(African Continental Free Trade Area)は、アフリカ連合(AU)が主導する大陸規模の自由貿易協定で、物品・サービスの自由化に加え、投資、競争政策、知的財産、デジタル貿易、女性・若者の貿易参画など段階的に統合を進める包括的枠組みです。署名:2018年3月21日(キガリ)/発効:2019年5月30日/貿易運用開始:2021年1月1日。African Union+1

2. 経済規模(イメージ)

対象市場は人口約13億人、名目GDP約3.4兆米ドル。AfCFTAは加盟国数で世界最大の自由貿易圏と位置付けられます。World Bank

3. 参加状況(2025年9月時点の公的・準公的資料による整理)

  • 署名55か国中54か国が署名(未署名はエリトリア)。African Union
  • 批准・寄託(State Parties)49か国(2025年6月および9月の南ア政府提出資料)。DTIC+1
  • 最近の動き(例)リベリア2023年批准・2024年に寄託、実施戦略を2025年8月公表/マダガスカル2024年11月に批准Ministry of Commerce & Industry+2UNECA+2
  • 主な未批准ベナン、リビア、ソマリア、南スーダン、スーダン(エリトリアは未署名)。DTIC
    ※最新個別状況はAU・AfCFTA事務局やtralacのステータスページで適宜確認するのが実務的です。Tralac

4. 主要な沿革

  • 2018/03:協定署名(キガリ)。
  • 2019/05:22か国の批准到達により発効。
  • 2021/01:物品等の貿易運用開始(各国の準備状況に応じ段階的)。
  • 2022/10:**GTI(Guided Trade Initiative)**開始(当初7か国、のち拡大)。African Union+2WCOE SARP SG+2
  • 2024/12e‑Tariff BookRoOモジュールを拡充。
  • 2025/06:RoOモジュールの機能強化をWCOが告知。World Customs Organization+1

5. 原産地規則(RoO)と証明プロセス(実務ポイント)

  • ルール体系:**物品貿易議定書の付属書2(Annex 2)**に一般規定と品目別規則(Appendix IV)が定められています。累積(Article 8)により全てのState Partiesを単一領域とみなす取扱いが可能です。African Union+1
  • 証明方法
    1. AfCFTA様式の原産地証明書(CoO)(指定当局発給)
    2. 原産地宣言(インボイス等)承認輸出者による自己申告、または小口貨物総価額5,000米ドル以下)は非承認輸出者でも可。宣言文言・署名等はAnnexの定めに従います。World Customs Organization+2cuts-international.org+2
  • 実務ツールAfCFTA e‑Tariff Bookで**関税率と該当PSR(品目別RoO)**を横断検索可能。World Customs Organization

6. 関税撤廃のルール(モダリティ)

  • 90%(非センシティブ品目)非LDCは5年、LDCは10年で撤廃
  • 7%(センシティブ品目)非LDCは10年、LDCは13年で撤廃
  • 3%(除外品目):撤廃対象外(ただし輸入価値の集中回避等の条件・見直し規定あり)
    これらはAnnex 1の譲許表に反映され、各国が年次で段階的に実施します。UN Trade and Development (UNCTAD)+1

7. 運用の現状と進捗

  • RoO合意状況約92.4%の関税行で合意。未了は主に繊維・衣類と自動車で、2026年2月の妥結を目標に交渉継続。DTIC
  • 優遇貿易の開始・拡大GTIを通じて試行→対象国が段階拡大。さらに、24か国が譲許表を官報化しAfCFTA下の優遇で実際に輸出入を開始(南アは2024/1/31開始)。DTIC
  • サービス:優先5分野(金融・通信・運輸・観光・ビジネス)で多くの国が初期オファーを提出、EACの約束表官報化、南アの約束表は2025年3月に内閣承認済(検証・採択手続き中)。DTIC
  • 運用インフラNTBオンライン通報・解消メカニズム(tradebarriers.africa)、**African Trade Observatory(ATO)**などの運用ツールが整備。Trade Barriers Africa+1

8. 抱えている主な課題(実務への影響)

  • ルール未整備領域の残存:繊維・衣類、自動車のRoO未確定が一部取引の制約に。DTIC
  • 関税実施・整合の足並み:各国の官報化・税関システム改修の進度差(譲許表の年次実施の追随が必要)。DTIC
  • NTB・行政運用のばらつき:国境手続、規格適合、重複認証等の非関税障壁が残存し、NTBメカニズムの活用が鍵。Trade Barriers Africa
  • 既存RECとの重複:RECはAfCFTAのビルディングブロックと位置付けられる一方、重複加盟による規則の多層化が実務の複雑性を高める。AfricanLII+1
  • 決済・通貨面の制約:域内決済のコスト・ドル依存。PAPSSの本格展開(16中央銀行・140超の商業銀行接続等)が進むが、浸透には時間を要する。Afreximbank
  • インフラの不足:物流・電力等のギャップが大きく、AfCFTAの効果最大化には投資拡大が不可欠。UN Trade and Development (UNCTAD)

付録:実務担当者のチェックリスト

  1. HS品目特定→e‑Tariff Bookで相手国の関税・PSR確認。必要なら代替サプライヤー/工程設計でRoOを満たす。World Customs Organization
  2. 証拠書類整備:BoM、原材料原産証跡、工程記録、原価計算、貨物書類等。
  3. 証明方法の選択:原則CoO承認輸出者原産地宣言を活用。小口(≤5,000USD)は非承認でも宣言可。World Customs Organization+1
  4. GTI/相手国の運用状況を確認(譲許表の官報化、RoO合意有無)。DTIC
  5. 通関でのトラブルNTBポータルに通報/フォロー。Trade Barriers Africa
  6. 決済:可能ならPAPSS等で現地通貨決済を検討。Afreximbank

出典(主要)

本日、RCEPでマレーシアが協定を発効しました

RCEPでマレーシアが使えるようになりました。

マレーシアはTPPは署名しているのですが、こちらは発効するのかしないのか分からない状況。

その一方で、EUとのFTAを画策しているようです。

TPPへの中国、台湾、韓国の参加申請・参加検討に関する私見

中国、台湾、韓国がTPPへの参加を表明または参加検討をすることがニュースになっています。

ニュースやYouTubeで「TPPへの中国、韓国の参加は無理。台湾歓迎」という論調をよく見ますが、FTAを利用する企業側からの視点でこのことを見てみましょう。

(申請に関する是非)

TPPに参加申請をする国は、TPPが定める申請・承認プロセスを経ることになります。申請する段階でその申請を断ることはできません。断る以上は明確な理由が必要となります。

そこで、参加希望国が条件を満たせるかを見定めればよい。中国がWTOに参加するときに遵守するとした条件を今だ守れていないこと、韓国が国際的な決め事を後に保護することなどを加味して各国が見定め、満場一致をもって参加を認めればいいことで現時点で一方的に締約国が「守れない」と主張するのは無理があります。

(日本にとっての経済的メリット、リスク)

RCEPはその協定の内容を見れば分かることですが、日本にとってのメリットが余り感じられない、あったとしてもとても時間がかかる内容です。特に自動車部品の対中国輸出ではメリットがほぼないと言えます。中国や韓国が入ることでメリットが大きいと思われたRCEPですが、実際は日本に取ってそれほど手放しでは喜べないものになっています。

翻って、TPPに中国や韓国が入るとどうなるか。TPPでは日本は米などよく守ったと思われる内容となっている一方で、日本以外ではほぼ100%の関税撤廃となっています。また、その撤廃速度もRCEPとは比べるまでもありません。新規参入の国は、締約国より参加条件がよくなるわけがありません。基本は譲許のスピードが速く、かつほぼ全面的に関税を撤廃することが前提になるでしょう。そうなれば、TPPの方がいろいろな制約のあるRCEPよりも日本企業に取って対中国、対韓国上、関税削減が広く、かつ鋼板に享受できるという活用のメリットが出ると言えます。このメリットはかなり大きなものです。この点だけを考えれば、中国、韓国のTPP参加は日本にとって歓迎すべき事です。

一方、原産地証明上、日本はリスクを背負う可能性があります。

TPPにおける関税低減・撤廃のメリットを得る為には、原産地証明書を輸出時のインボイスに添付する必要があります。その原産地証明ですが、TPPでは「自己証明」という形態をとっています。「自己証明」とは企業が原産性を証明した後に、自身で原産地証明を作成することが出来るということを指します。日EU EPAや日オーストラリアEPAを除き、日本の多くのEPAでは「第三者証明」制度がとられています。これは商品の原産性判定を日本商工会議所に申請し、許可が出た後で、日本商工会議所により原産地証明書を発給してもらうことが出来る制度です。間に日本商工会議所が入ることで時間と手間とコストが企業にはかかることになります。TPPではそれがないので迅速に原産地証明書を得る事ができます。メリットに思えますよね。

FTAでは、原産性が確かなものかを輸入国が輸入時・輸入後に確認できる「検認」が認められています。原産性に関する証拠書類の提出や質疑をして、原産性があることを企業が立証しなければいけません。

先の原産地証明書の発給プロセスで、日本商工会議所が間に入ったEPAでは、検認時には日本商工会議所が輸入国税関と企業の間に立ち、検認の対応を支援していただけます。「自己証明」である日EU EPAは、税関が仲立ちしてくれます。が、TPPはその仲立ちがなく、相手国税関から直接企業に「検認」の問い合わせがいく仕組みになっています。TPPに中国や韓国が入ることで、彼らから日本企業への検認は各国税関から直接企業にいくことなるのです。助太刀のない検認でかつ中国、韓国から。怖いと思うのは私だけでしょうか。「もう少し製造工程を明確にしてもらわないと、原産として認められない」といった製造上の機密情報を要求されかねないという人も居ます。これは考えるべき大きなリスクです。

(TPPのアキレス腱)

ルールを守らないと考えられている中国を経済的に資すると考えられるTPP参加、それを西側として阻止しなければいけないという外交上の日本のスタンスも分からなくもありません。が、TPPの初期交渉当時からかき乱して、そして離脱をしたアメリカの所業も決して褒められたものではなく、実際のTPPの協定文にはアメリカによって(ごり押しと言っていい)内容が数あります。現段階でのTPP締約国は苦々しく思っている内容です。アメリカが戻ってくることを期待して、そのままとしています。

アメリカが戻ってこないなら、締約国は修正したいところでしょう。自動車関連や特に繊維などはアメリカのごり押しの内容です。直したいというのも当然ですし、理想をいえば直すべきだと思います。が、協定内容を変えることを認めれば、ついでに様々なことが書き換えられる恐れがあります。それが中国の参加の際に書き換えられるとなればどうなるか。中国の参加を歓迎するアジアの締約国がマレーシアやシンガポールなど少なからずあるため、非現実的ではないのです。

(英国の参加申請が当面の試金石)

先に、英国がTPP加盟申請を行っているので、英国に対して、協定内容を変えずに協議するか、厳しい参加基準をどう遵守させるかが当面締約国による真偽の中で見守りたい点です。協定を変えることがなければ、中国や申請をした場合の韓国にも同様の措置がとられるでしょう。そうなればTPPの理念は守られます。

それと同時にかき乱してきたアメリカがTPPに参加するなら修正が必要といっており、かつ、TPP参加が現段階でのアメリカの優先順位ではないため、アメリカの動きも見ておく必要があります。

(中国の真意)

中国は本当にTPPに参加したいと思っているのでしょうか。RCEPという巨大メガFTAも完成目前で、「自由貿易」という意味では中国は成功しています。一方、TPPのルールを曲げない限り、中国は参加要件を満たさないのは明らかで、中国が参加要件を満たす施策を行うメリットはありません。また、TPPは「環太平洋」と謳っていますが、FTAは本来隣接する地域で有効なもので、実際には日本企業がTPPを使うのはEPAのないカナダやニュージーランドくらいで、それほどアクティブな利用はされていません。

そういうことを考えれば、台湾をTPPに参加できなくさせるのが中国の本意ではないかと思います。中国にとって台湾は自国の一部としての認識なので、台湾を独立した形で世界的にメジャーなFTAに参加させないことが肝心なのでしょう。

ほんとか嘘か分かりませんが、台湾がTPP参加申請を出すという情報を中国が知り、先に申請することで台湾の出鼻を挫いたと言われていますね。

今後の動きを見守っていきたいと思います。情報がありましたらまたこのブログに投稿します。

日本商工会議所の特定原産地証明書発給システムトラブル

日本商工会議所の特定原産地証明書発給システムが続いているようです。

新規にシステムをリリースする際にトラブルはつきものですが、日々の輸出で活用している企業に取っては、原産判定や原産地証明書発給が滞ることは死活問題です。

テストで安定が見込めるまで、旧システムでの対応をすべきではないかと思います。慎重を期していたとは存じますが、もう少しテストをしておくべきでしたでしょうね。

とある企業で、新システムに移行してトラブル続きで売上を25%失ってしまったことがありました。その際も新システム移行と同時に旧システムを廃棄してしまっており、どうしようもありませんでした。

このシステムが安定するまでには時間がかかるのではないかと思います。原産判定の未処理分も原産地証明書の未発給分も積み上がるでしょうから、日本商工会議所の方の負荷も大変なものになるでしょうし、輸出する企業もEPAを活用するなら、時間を見ておいた方がいいですね。

この問題が長引き、2021年を越えることがあれば、日タイEPAのHS2017、RCEPというビックイベントが待っていますから、困ったことになります。そうならないことを願います。

RCEPのゆくえ

RCEPは合意ができず、再協議となりました。

すべての案ができあがったのに、インドがちゃぶ台返しをしたせいです。

インドにとっては、中国以外協議参加国との間ではFTAがあるので、今回の話は中国とのFTAという側面も強くあります。

それにしてもこのタイミングでのちゃぶ台返しは、政治的ポーズでしょうかね。

・抵抗したんだよという国内向けの

2020年2月までを次の目標にしましたが、頑張ってほしいものです。

TPPの交渉を思い出します。