1 初めて利用する場合:企業登録とサイナー登録
FTA/EPAを活用したい企業は、まず日本商工会議所に企業登録をしなければなりません。
この登録はどれだけ大きな会社でも1回限りの登録になります。事業部単位の登録はできません。
企業登録に必要な書類は以下の2つです。
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企業登録申請書
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インターネットで申請書が作成できます。
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履歴事項全部証明書
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発行日から3ヶ月以内のもの
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コピーはだめです。
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企業登録申請書は、日本商工会議所のHPにて行います。
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「企業登録申請フォーム」をクリックして、必要事項を入力・送信します。そうすると、登録された-メールアドレスに企業登録案内メールが届きます。メール内に「登録作成書作成ページ」へのリンクがあります。
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「登録作成書を作成する」ボタンを押すと作成画面が現れ、必要な情報を入力します。そこでは、実際の特定原産地証明を申請する担当者(サイナー)を登録する必要があります。
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登録者を1名ずつ登録します。
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後に追加、修正もできます。
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「企業登録申請用紙」を印刷し、以下の2つのことを行います。
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代表者の印を押します。サインでも可能ですが、シャチハタや三文印はだめです。
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サイナーの自筆のサイン
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上記で作成した「企業登録申請書」と取得した「履歴事項全部証明書」を日本商工会議所に郵送します。
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宛先: 日本商工会議所 国際部特定原産地証明担当
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住所: 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-2 東京商工会議所ビル7階
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電話: 03-3283-7850
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受付: 月~金曜日の9:30~17:00(12:00~13:00を除く)、土日祝日・年末年始は休み
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登録ができれば、その内容変更は登録の際に案内のあるウェブサイト「特定原産地証明書発給システム」のメインメニューの「企業情報の変更(サイナーの追加・変更含む)」にて可能となります。
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企業登録の有効期間は書類提出から2年で、更新が必要となります。
2 特定原産地証明の実施
FTA/EPAで関税削減のメリットを享受するには、FTA/EPAの特徴ですが「その協定の国内で商品が作られている(原産性)」ことを証明する必要があります。例えば、中国から商品を輸入して、そのままFTA/EPA該当国に輸出するだけではメリットを享受することはできません。
その原産性を証明するルールは、各協定に書かれていますので、それを読んで下さい。協定書に規定されている原産性の基準に照らし合わせて証明してください。
証明作業は各企業に委ねられます。証明内容が正しいかどうかは基本的に各企業の責任になります。
日本商工会議所に申請する際は、証明書類は必要ありません。日本商工会議所は各企業の申請を正しいものとして証明書の発行をします。
ただ、最近協定の締結国からの問い合わせが増えており、そのために、商工会議所が事前に内容を確認したいとの旨で連絡してくることもあります。
原産地証明を行うに当たり、どのような資料を作成すべきかを、経済産業省原産地証明室が例示として提示しています。
日本商工会議所も、特定原産地証明のマニュアルを出しています。
企業のFTA/EPA活用を考慮して、ロジスティックではマニュアルを出版しています。ご参考にしてください。
3 原産地判定の依頼
2で特定原産地証明ができると、サイナーがウェブベースの「特定原産地証明書発給システム」で、原産地判定依頼を日本商工会議所に対して行います。
以前はシステムに証明根拠情報の提出(入力)が必要でした。(2008年6月まで)
現在は、使用証明基準、使った救済措置の有無などをウェブ上で選択、入力するだけです。証明そのものは申請した段階で終わっている扱いになります。
申請が終わってから原則3営業日で「原産地判定番号」が発行されます。
ここまでは費用がかかりません。
4 特定原産地証明書発給申請
輸出の準備が整えば、その輸出のインボイスに合った形で「特定原産地証明書の発給申請」を行います。
輸出産品とその原産地判定番号を使って、再度「特定原産地証明書発給システム」を使い、証明書の発行依頼を日本商工会議所に行います。
発行には2営業日がかかります。
「原産地判定番号」と違い、「特定原産地証明書」の発給には、発給手数料がかかります。手数料は以下の通りです。(2013年4月現在)
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基本料: 発給申請1件につき2,000円
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加算額: 証明書記載産品数 X 加算単価
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品目別で1~20回の利用では加算単価500円。21回以上となると加算単価が50円
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発給手数料の支払い方法は3種類あります。
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現金払い: 交付方法は窓口受け取りとなります。
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振込払い: 入金確認後の証明書交付になりますが、交付方法は窓口又は郵送を選択できます。
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後日払い: 発給申請件数や利用金額により違います。日本商工会議所にお問い合わせください。
5 認定輸出者自己証明制度
基本は日本商工会議所へ「特定原産地証明書」の発給を申請しますが、一部のFTA/EPAに対しては自社で発給ができる制度があります。
これを「認定輸出者自己証明制度」といいます。条件は厳しいので、あまり使われていませんが、下記のFTA/EPAで認められています。
経済産業省のホームページに説明があります。