EPA活用セミナー本年度最終回@岡山

経済産業省の補助事業で東京共同会計事務所が主催しています「EPA活用セミナー」。本年は11回のセミナーを行いましたが、その11回目が岡山で本日行われました。

来年度も予算がついているので、来年度も同じようなセミナーがあると思います。
・ 年度入札なので、来年も東京共同会計事務所が受託できるかわかりませんが

岡山は、福山と同じでジェトロとの共催で行いました。

参加者は40名弱。まあまあの参加者数ではないでしょうか。

11回の講演で私の資料もかなり変わってきました。

話すことで勉強ができたいい機会でした。

アメリカという不確定要素と企業のグローバル・サプライチェーン

アメリカの新しい大統領であるトランプ氏が、様々な物議を醸し出す発言をツイッターで行っている。

・ 私の知人(Mr. William F. Hagerty IV)が今度の駐日大使に任命されそうなのもびっくりしたが

アメリカは暴君の国になるのかと思うくらい、力を背景に思いをぶつけている気がしてならない。

フォードに始まり、GMに飛び火し、今度はトヨタ。

企業も、そういった「施策(本当に施策か?)」に対して対応をしなくてはいけない。

特にアメリカがメキシコに対して、そして中国に対して高関税をかけるとなると、サプライチェーンは大きく変わらざるを得ない。

問題はどんな結果を生み出すと考えられるのか。

日本国内のサプライチェーンとは違い、グローバルのサプライチェーンはかなり複雑で、全体を把握することが難しい。そこでお勧めしているのは、グローバル・サプライチェーンのシミュレーションモデルを作り、それに基づき、様々な仮定を設け、どうなると考えられるかを思考実験すること。

エクセルなどで簡単なシミュレーションを行う企業が大半であるが、十分な考察となっていない場合が多い。今回のように、条件ががらりと変わる可能性がある場合はなおさら。

そういったシミュレーションツールによる、戦略オプションの考察への弊社へのリクエストはとみに多くなってきた。

当社では、自前のシミュレーション・エンジンでサプライチェーン・シミュレーションを行ってきたが、近年は日立ソリューションズの持つ強力なシミュレーションエンジンを使わせて頂き、グローバル・サプライチェーンのオプションを顧客と行っている。

日本企業が海外の調達~生産~販売という一連のサプライ・チェーンを考える場合、どうしても定性的情報がない中で決定することが多く、結果として効果的かつフレキシブルな選択肢をとることが少ない。理由は、意思決定するための客観的な定量情報が圧倒的に少ないからである。

シミュレーションはその大きな欠点を補うことができる。

アメリカの次の挙動に不安になるより、シミュレーションを行って、可能性のある策を今から模索されてはいかがか。

【続】国(経済産業省)からのFTA原産地証明の「検認」(証拠書類の確認)

以前にお話しした、国からのFTA原産地証明の「検認」ですが、続報(かな)です。

原産地証明で、輸出者が証拠書類の間違いを見いだした場合、その原産地証明に記されている他の商品にも確認が入るそうです。

その商品が同意通知されたものであれば、その同意通知発行元にも確認があるとのこと。

また、もう一点。

原産地証明が間違っていた場合、そのことを知った国は相手国への通知義務があります。それゆえに、国からの「検認」はイコール相手国からの検認と同等となります。

お気をつけ下さい。

7ヶ月に渡るFTAコンサルティングが一つ終わりました

6月から開始したFTA関連コンサルティングのプロジェクトが一つの区切りを迎えました。

FTAの証明などで問題もあり、今後の世界戦略でもFTAは不可欠な企業での対応を強化するプロジェクトでした。

担当者の認識、証明書類の作成方法等担当者の意識とスキルが向上したことは素晴らしいことです。日本でトップクラスの対応能力が出来たと思っています。

その一方で、私が重要と考えているFTAの会社組織の横断的対応、経営者の理解もかなりのレベルに到達したと思っています。

生産・開発、調達、営業、経理、コンプライアンスなどの組織が関与しないと対等としては不十分ですし、経営者は検認を含めたコンプライアンスを理解することはプロジェクトの大きな論点です。

それ以外にも、サプライヤの認識向上、サプライチェーンへのFTA適用など企業の意識はかなり深まりました。

全てがパーフェクトにはなりませんが、ここまで頑張った事務局の方々には感謝をします。

やりがいのあるタフで楽しいプロジェクトでした。

商工会議所の原産証明の証拠書類確認姿勢の変化

とある商工会議所の原産判定に絡む証拠書類の確認の姿勢が変わってきました。

かなり厳格にされるようになったのはいいとして、おかしいと思われることが連発です。

例えば、

「うちでは付加価値基準では、積上げ式も控除式も認めていません。」

??? 付加価値基準を認めないって事?

今までかなり緩かったのが急な変化。証明の最終責任は企業なので、本来は緩かろうがきつかろうが関係ないので、企業は厳密な原産証明を行わねばならないのですが、責任を取らない商工会議所の姿勢の変化(と間違い)は企業の対応を困らせます。

対応とその知見に私が尊敬を抱く商工会議所もありますが、このような商工会議所があるのは困りものです。

別の商工会議所では、インド向けの証拠書類で、

「付加価値基準と関税分類変更基準の証拠はは同じページに記載しなさい。そうしないと通しません。」

???

そんなことどこにも書いていない。それも通さないって・・・

早く自己証明にシフトすべきではないでしょうかね。

国(経済産業省)からのFTA原産地証明の「検認」(証拠書類の確認)

以前に、商工会議所がFTA(EPA)での企業登録をした企業に、証拠書類をだだしく作るように気をつけると事を趣旨としたメールを送られました。

その第二弾かどうかわかりませんが、経済産業省の世耕大臣名でランダムに検認に似た証拠書類の確認要求が出ています。

同じ業界であるとか、同じ地域でということではないようで、確かにランダムのようです。

提出書類は、原産地判定番号を明確にしてそれに関する証拠書類と関連するインボイスの提出。

証明が不十分であった場合のペナルティは記載されていません。しかし、たぶん駄目な場合は、「企業の良心に従って行動してください。」となるのではないかと思います。

私の顧客は十分な証拠書類を用意していると思いますので、問題ありませんが、知っている限り、証拠不十分な会社は世の中には多くあります。どうなりますでしょうか。

宣伝となりますが、このようなことで戸惑うことのないように当社の無料FTA監査をお受けになることをお勧めします。

日本界面活性剤工業会の理事会でFTAに関して講演をしてきました

日本界面活性剤工業会の理事会でFTAに関して講演をしてきました。

TPPの迷走の後の企業のFTAとコンプライアンスに関してお話をしました。

理事会ですので、経営者やマネジメントの方向けです。

FTAのベーシックから、企業の必要な対応、コンプライアンス問題の大きさ・課題を1時間ほどお話ししました。

知らない話であり、経営者として理解をしなければならない話であったという講評を頂き、FTAの課題はやはり経営者の課題であることの意を強くした講演でした。

他の業界団体でも、ぜひ、理事会でお話ししますので、お声をおかけ下さい!!

 

アメリカ大統領選挙とTPP

アメリカの大統領選挙で、現在トランプ氏が有利です。

彼が大統領になればTPPはどうなるのか、皆さんは関心(憂慮?)があるかと思います。

TPPにアメリカへの無税での輸出の世界が広がる。ほんとその通りです。

それが、トランプ氏が大統領になることでどうなるか。いろいろなことが起こる可能性があると思います。

まず確実なことは、アメリカの要求で12カ国で署名されたTPPは再度協議にはならないということ。

ひょっとすると、レームダッグ状態ではありますが、トランプ氏の外交の危うさから彼の就任以前にアジアに対する布石となる議会承認を得られる可能性もあります。

ただ、どうなるかをいろいろ考えるのはよしましょう。

一番大事なのは、TPPであれ、ASEANとのEPAであれ、やらなければいけないこと、証明の証拠書類の準備することは変わらないということ。

トランプ氏の影響に一喜一憂するのではなく、TPP以外にも日EU、RCEPなどでも適用可能な原産地証明のプロセスをちゃんと確立することが何より大事です。

日EUは問題なく合意されるでしょう。TPPの結果を見てRCEPの協議のスピードは変わるかも知れませんが、たぶんやってくるでしょう。

それまでに、原産地証明の体制を確実にすることが、今現在も使えるアジアを中心としたFTAの活用においても大事なこととなります。

 

FTAにおける原産地証明:その使うべき原産地規則

FTAでは、原産地証明で適用する原産地規則がかなり大事であると思っています。

原産地規則には3つの種類があります。

  • 加工工程基準(SP)
  • 関税分類変更基準(CTC)
  • 付加価値基準(VA)

企業は適用基準を好きに選べるわけではありません。協定、及び輸出商品の該当するHSコードにより使える原産地規則が決まっています。多くの場合、CTCかVAの選択が出来るようになっています。

大型客船のような一品ものは、付加価値基準(VA)で問題はないとは思いますが、同じ商品が何度も輸出されるような場合は、関税分類変更基準(CTC)の方が断然使い勝手がいいです。

しかし、実際にはVAを使われる企業が多くあります。計算しやすいからとのことですが、私の経験からすると、むしろVAは証明するのが厄介です。

構成部材毎のコストを計算する必要がありますし、その計算根拠もちゃんと出せるようにする必要があります。また、VAの場合は本来は輸出毎に証明をする必要があるのです。現実はそれは無理なので、企業内でのルール作りをして、そのチェック頻度を企業として明確にして、原産性が維持されていることを確認続ける必要があります。

VAが使われるのに、「計算がしやすいから」という理由意外に別に理由があるととある人から聞きました。「監査法人は、VAの方が自分たちの専門性が生きるし、仕事も継続してもらいやすくなるから。」だそうです。

確かに。

原価計算、システム化では彼らに一日の長があります。一方、CTCで必要となるHSコードは素人に等しい。

どれだけ、本当なのかはわかりません。

ただ、多くの工業製品でCTCとVAの選択が出来る場合は、CTCにした方が企業にはメリットが多いし、相手国の検認にも強いですよ。

FTAに関するサプライヤー説明会: メーカーの要望の問題点

私の顧客のところでサプライヤー様向けのFTA説明会を開きました。

目的は、企業と同じレベルの原産地証明をしてもらうことにあります。企業が原産地証明の品質を向上させたところで、サプライヤーの証明(サプライヤー証明や同意通知)が駄目でしたら、検認の際に大きな問題になります。

できるだけわかりやすい説明会とその後のフォローが大切であることを過去の経験から痛感しており、今回もその経験を生かして行ったつもりです。そうしないとちゃんとした証明を行ってもらえないことが多いためです。

一方、このお客様には多くの納品先から、サプライヤー証明や同意通知をもらうべく、「データを下さい」的な要望が来ます。

彼らが要求している情報だけでは不十分なことが多いと感じます。これにより原産地証明が出来ていると考えている企業が多いことは正直怖いことです。

日頃、サプライヤーの原産地証明に関する認識を上げることが必要と感じていますが、その阻害要因になっているものの一つは、サプライヤーの顧客にもあるのです。