現在、お手伝いしているEPA活用デスクの大阪セミナーが昨日ありました。
そこで、小生も講演をしてきました。
テーマは前回の東京と同じテーマ。FTA活用の戦略とコンプライアンスです。
セミナーとは関係がないのですが、面白かったのはセミナー会場。
大阪だけではなく、日本で有名ですが、ビルの中を高速道路が突き抜けているビルです。
実際、5階から8階まではフロアーがありません。
昔から知っていましたが、まさかここに来る日が来るとは。
世界で有利に戦うためのコツ
FTAの活用に関して学ばせて頂いた会社があります。
それをA社と呼びましょうか。
A社はメキシコとのEPAの時代から活用しており、その責任者は有名な方で、私も多くを学ばせて頂きました。
その会社の方からEPAの活用相談がありました。
???
という気持ちが本音のところでした。
「できるでしょうに。」
お会いしたところ、とても熱心な方で、メキシコ向けの商品で、VAで活用したくて、条件を満たさないのでどうしようかと悩んでいらっしゃいました。
そういうときは、影響の大きい材料の原産性に遡り、証明することになるのですが、ご存じなかったようです。
常日頃から、日本企業のFTA活用は個人に属しており、企業のノウハウ、体制で行われていないと感じていましたが、
「A社でもか」
という少し残念な気持ちとなりました。
日本の企業の方、FTA活用は是非組織戦でお願いしますよ
昨日(2016年2月24日)に岡山市の中国銀行本店でTPPのセミナーがありました。
セミナータイトル: EPA・TPP活用セミナー
セミナーは13:30~17:00と長丁場で、セミナーの内容も多岐にわたっています。
参加者は約40名。
この地域は自らが輸出する事の少ない地域とのこと(正岡氏)。そういう意味では少し関心から外れる内容だったかも知れません。
ただ、国内の企業に供給している企業も、その商品が結果として輸出されているケースが少なくありません。
その場合、間接的にしろFTAとの関係は存在し、生産者として、原産地証明の申請をするか、サプライヤー証明を出す必要があるケースもこれまた少なくありませんので、無関心ではいられません。
参加者のなかで、一番前の席に座られ、熱心にメモをとられている方と最後にお話ができました。いろいろと話した中で特に印象的だったのが、「なんで皆さん前に座って聞かないのですかね。」とおっしゃられたこと。
本当にその通り。
時間を使っているのだから、何かを得て変えることは大事なこと。
こういう会社がFTAを活用するとちゃんとできるのですよね。
有名な会社の方でした。いい方が働いていらっしゃいます。
PS
セミナー前に外でスタンバイするのにスターバックスに入りました。
支払いの段で、千円札を出そうとすると、ファスナーに引っかかり、紙幣が真っ二つに。紙幣は丈夫だと思っていたのでびっくり。
中国銀行に入り、セミナー会場の前に本店のカウンターで相談すると、両替が可能でした。
とてもすてきな対応をされ、いい気分でした。いい銀行です。
昨日、プロジェクトの一環で、自動車のアフターパーツのEPA活用で困っている自動車部品メーカーと自動車会社と一緒に打ち合わせをしました。
自動車メーカーにとってアフターパーツでのEPA活用するには、部品メーカーに原産地証明を行ってもらうのが効率的です。数が多いし、その原産性情報を開示してもらっても対応できないからです。
昨日も、今まで書いてきたことと同じことが起こりました。
以前に部品メーカーに集まってもらい、どのEPAを活用するか、それぞれの商品のHSコードと原産地規則を明示して、やり方も説明して、「原産地証明をとってもらって、同意通知をください。」とお願いしました。
かなり丁寧に説明したつもりですが、自動車部品の営業の方にしてみたら、一円も特にならない中で「雑用」が増えただけ。かなり、理解の足らない人も多く、こんなので大丈夫かと思ったくらいです。
昨日の方は、よくわかっていらっしゃるのですが、それでも、累積やサプライヤー証明と言った部分はご理解が浅い。「こうしてください」というお話をして、終わりました。
話はむしろそこからで、EPAの原産地証明の要望が発生するたびにその営業担当者が証明をすることのこと。その営業間の情報共有はないとのことでした。
相手は大きな会社です。
大きな問題が起こる前に、証明の一元管理をおすすめしましたが、その必要性をわかっている人が社内にいないとのこと。
営業も、「証明の内容に自信がない。」
本当になんとかしなくてはいけないことばかり発見します。
16日のセミナーを案内し、責任者と思える人に来てもらうようにお願いしたことで精一杯でした。
先日のEPA活用の相談は、「これはダメだろう!」という内容。
日商からは原産地証明書が取得できており、それによる関税の減免も輸入国ですでに受けている。
だが、証拠書類を一切用意していない。
それをした担当者は、最近入った社員に、「この情報で証明書作っておいて」
どうしたものかと思案したその社員からの相談であった。
「この情報」というのも、あり合わせの部材表で証拠書類としての体をなしていない。
確信犯的行動である。
証拠書類を作る過程は説明をしたが、会社としてどうするかをまずは判断してもらってくれとお願いした。
もの的には原産性は証明できると思うが、本来の主旨を逸脱していい加減に行うのは、それも自分でその責任を取るのでは無く、新しく入った社員に押しつけるとはなんたること。
「問題なければOK」という会社の雰囲気だそうだ。
久しぶりに、怒りを覚えた。
こういう会社は一回痛い目に遭うべきである。
先日、とある会社の方が相談に来られました。
本当に困っていらっしゃるようでした。本業は社長の秘書兼ドライバーだそうです。
誰もやる人がいないので、自分がしなければならないとのこと。
熱心な人なので、いろいろ説明しました。また、今度、原産地証明の取り方の寄り詳しいセミナーをするので案内をしたところ、来られるとのこと。
この企業は決して小さくありません。が、企業の管理職以上は、片手間仕事と思っていらっしゃるのでしょうね。誰でも簡単にできると。
決して簡単な仕事ではありません。また、間違うと企業のコンプライアンスに関わる問題です。確かに、専任者を置くだけのコンスタントな業務量が無いかもしれません。が、やる限りはちゃんとしなければ、大きなしっぺ返しが来ることも企業は理解すべきです。
社長の秘書であるなら、そのことをちゃんと社長に伝えてほしいと申し上げました。(伝えて理解してもらうことがそんな簡単なことでは無いことを知ってはいますが)
経済産業省委託事業でEPAアドバイザーをしていますが、いつも悩まされるは、経済産業省や日本商工会議所が記載していることと、企業がそれを解釈することのギャップです。
「生産者」の定義に関して、以前アドバイスをした企業から質問がEPAデスクにあったのですが、「経済産業省のHPと嶋のいうことが違う」というものでした。
設計や品質保証をしているだけでは「生産者」としては認められません。
ただ、企業からすれば「そこまでやっているのだから生産者だろう」という気持ちになります。残念ながら、証明ルール上はそうはならないのです。
ただ、その内容を説明資料の文言から読み解けないことも理解できます。
EPAデスクから丁寧に説明して頂くようお願いしましたが、アドバイザーとして本当に悩ましい。
国はEPA(FTA、TPP)を使え、というのですが、明確な原産地規則を企業がわからない以上、その要望の実現は困難であると思います。これは国のFTA活用推進の大きな課題でしょう。